初心者の夕べと他の冒険者 2
倒したアークピクシー、その復活の期待は叶わなかった。ダンジョンから無事街に戻るライムたち(ギルドテリーヌ)。食事、清めの場に行った後、セイラに捕虜となった冒険者の事と伝える。
防具屋でアッキーにチタンアーマー、俺はプロテクターを購入した。
モニカさんとカタリナの二人はライトローブを購入、色は紫と白。女性の服はカラーが豊富なのは元の世界と同じだった。以前の装備品を売る。
機能性は別として擦り切れ、穴が開いたプラントや布の靴はエナメルとヴァイン靴に買い替えた。たった二日で新調するとは勿体ない。売値0Gold、引き取ってもらえただけまだマシ。他使わなくなった装備は全て売る。
試着室もあり、すぐそこで装備品をとりかえた。
女三人は足をのばしたり曲げたりして履き心地が良くなった靴を確かめた。俺も跳んでみてが問題ない。これでGoldをほとんど使い切った。
そしてダンジョン帰還の報告に、アルスのいる商会へ移動した。
顔を出すと、
「おおおお!よく帰ってこれたな、ライム。俺はお前が誇らしいぞ」
「そんなことありません、先に行った皆がモンスターを倒していました」
「みんな!ダンジョンに行ったライム達が帰ってきたぞ」
「へぇ~、もう一人前の冒険者になったか。新人冒険者なんだろ」
「中級冒険者が遺体で運ばれることもあってなぁ、人が運ばれる度アルスが教会まで見に行ってたんだ」
「心配かけたアルス。また行くけど俺たちは以前のようにならない」
「それは頼もしいぞ。そう言えるのはライム達が強くなった証だ。ところでこれからどうする予定は?俺はダンジョンの話を聞きたいんだが・・ドラゴンはどうなった?」
「ドラゴンはもういません」
「うむ。俺は二度と会いたくないが、他の冒険者が俺と同じような目にあう事があるからな」
「アルス、ごめんなさい。急ぐから」
「それなら言ってくれ、皆も頑張れよ」
「はいっ!」
一同挨拶した。
俺たちをジロジロ見てアルスが言う。
「ところで装備品を変えたのか?」
「水のモンスターに溶かされて」
「物入りだなぁ。それならダンジョンの情報を買い取ってもらうといい。図書館、ギルド教会、アイテムショップそれぞれでお金になる物がある」
「さっすがアルス」
そう言えば、そんな事言ってたっけ?
「そういう話はまかせな」
「では失礼します」
俺たちは早々と挨拶を済まし図書館に行った。
この街では、新しい情報や物の事をファーストと呼ぶ。
俺はメニューを開き、履歴を見せた。司書はモンスターからフロアボス、アイテムの情報までを確認、そして鉄の板のようなものに熱したペンで刻んで書いていく。
「これは情報提供料10500Goldになります」
「10500Goldっ!」
「そんな貰えるのー!」
情報だけ買い取ってアイテムはなくならない。モンスターの鱗粉などを採取していたら、一生得られない金額だ。アルスこれで一山当てたな。
ギルド協会に行って朱赤の蜜を見せると「ええ~っ」と声を上げ受付が倒れかけた。初心者がファーストを持って来たことに驚いたらしい。
「そんな驚く事ですか?」
「はは、ダンジョンへの橋の開通時に一番最初にお持ちに来られた方はダンジョンの石でしたので。しかも中級冒険者なんです。
この街は多くの職業の皆さんが鉱物を使っています。だからそれをお持ちになる方が多いのですが、多い分持ちこんだ鉱物はファーストに当たる場合は少なく、使えるものも限られています。材料として認定されれば、街の皆さんに知られ使われる物となります。だから価値も高くなるんです。こういった鉱物以外のアイテムはアイテムショップに持っていくと良いですよ」
そう言われ、俺たちはアイテムショップに行った。
朱赤の蜜は、また手に入りそうなのでアイテムショップで売った。売るとファーストなので2000Goldになった。香ばしい匂いがするので高値になった。皆、喜んだ。
お金に余裕ができた俺は装備品を追加購入した。
「これだ!!」
俺が長い靴下を購入しエリスに渡すと、ちょっと照れくさそうにして受け取った。エリスが身に着けるのならとモニカさんとカタリナの分も必要だろうと購入、後で渡し驚かしてやろう。
「まだ夕食まで時間があるからテントさんの所でも行くか?」
「今度ね、それよりもっと街を知るため探検しましょう。人の出入りも多いし何か情報が入るかもしれない」
「そうかなー?」
「そうしよー、レッツゴォー」
何かあってからでは遅い、俺たちはその意見に従う事にする。
「街のことで何か知りたい事は?」
「特にない」
「モニカやアッキーは?」
カタリナを見ないエリス、まだ仲直りはしないのか。
「エリスさん、楽しい場所とかありませんか?」
「僕はのんびりできるとこ」
「ない」
「それはエリスさんにとってでしょ、良い場所が一つ位あるはずよ」
エリスに反論するモニカさん。
冒険でやってるいつもの事と言えば、俺は思うがままに動いた。
そしてとある家の前でドアを開けてみた。
「ガチャガチャ!ガンガン!」
開かない。
ここは?
「ガチャリッ!」
開いた!
「なんだい?」
「・・え」
目の前にふくよかな女性のご婦人がいた。どうしよう皆っ。だが俺を見る皆の目は焦っていた・・・。
「用件も誰かも言わないのは強盗に間違いないね」
なんで強盗になるんだ?お前こそ誰だよ。
「あれっ、家間違えたかな?」
頭を撫でて、とぼけるしかなかった。
「すっとぼけるんじゃないよ」
「バシッ!!」
暴力反対、そっちが強盗だ。
「ライム、何してるの?」
「アイテムと宝の回収」
街トラップ、街イベント、街アイテムを漁りたかっただけなんだけど・・・。
「ライムさん、泥棒はやめて下さい」
カタリナ、おまえはそういうゲームをしたことがないのか?
「RPGの真似しただけなんだ」
モニカさんに理由を話す。
「はは、それならライムピッキングにならない?看板立ってなかったら民家ってことで触らない方がいいわよねぇ」
「開いたもん・・」
触らぬ神に祟りなしってか、うまくゴロ合わせしたってドアを開いた説明にならない。エリスがそんな探検なんていうからだ。俺がこの街で、まだやっていない事と言えば回収くらいで、ゲームならそれが優先事項で決まっている。
「行くわよ、ライム」
みんなの後について行った。
「ああ」
とほほ、こんなカジノや闘技場すらない街で何しろって言うんだ。アッキーお前は偉いよ、それでも付き合っている。
「この土地は、街が発展するための人や物が少ないからダンジョンに期待が行くのよ」
「へぇ~そうなんだ」
ふ~ん、そうなのか。
・・・。
街は街の人の方が詳しい、そう思い俺はそこで歩いている若い男に話しかけた。
「この街で珍しい店を教えてもらえませんか?」
「お前たち先日来た冒険者だろ、僕はここにずっと住んでいるけど話しかけられて初めて気づいたよ。お前達がうまく行ってることに。次まで一応調べておくよ」
街の人は、初対面の俺たちに優しかった。
「あ、ありがとうございます」
俺は親切心に感激し思わず握手した。どうも・。
「ただ・・」
男が何か言った、金の要求か?
良く聞こえない・・俺は近寄って聞いた。
「そこの女性の方を僕に紹介してもらえませんか?」
誰だエリスか!?
視線の先は視線の先はカタリナだった。
「紹介してどうするんだ?」
「食事でも・・」
「はい、行きますっ!!」
も、モニカさんが大声で勝手に返事した。
「本当ですかぁー」
男が手を広げて大喜び。
カタリナは手を前に組み、もじもじする。顔を下げ上目使いで男を見た。
「モニカさん、何言うんですか!私はお姉ちゃんを探しているんです」
「それこそカタリナ、食べに行った店で見つかるかもしれないわよ」
手を口に当てモニカさんはカタリナにそう言う。このこのと肘を当てた。
「お姉ちゃんも探してもらいなさい」
「え~」
「お姉ちゃんが行ってそうな店ですね。僕、有力な情報を掴んでみせますから。それじゃーみなさん、カタ・ナさんっ、失礼しますー」
「じゃねー」
「じゃあ、な」
「行ってしまったぞ、カタリナ」
俺はカタリナの方を見た、お前が断るの遅いから。
「ライムさん、困りますー!」
頬を膨らまし迫るカタリナ。
「おいおい落ち着け、お前の敵はモニカさんだ」
おまえには違った技があるだろ。
「食事して見つかるんですか?」
「街の人よ」
「街の人・・」
「住人は戦闘スキル最低にしてお探し最高レベル。ここだけの話、私たち(異世界人)とは比べものにならない」
「食事=お姉ちゃんとなる」
コクリと頷くカタリナ。
こうしてカタリナと街の人のイベントが発生した。街の人も言うことが必ずしも決まっていない、また家の中は住人の許可がなければ入れない。
教会と商会の間の広場に男が倒れていた。
「だ、だれか助けてくれ・・」
素性の怪しい冒険者が助けを求める。目の周りが真っ黒で瀕死の状態だった。
「もう三日間食べてない。いつか返すから助けてくれ!」
俺は200Gold手渡した。
「助かった。ありがとぉ・」
涙も出ないくらい乾燥した顔だ。男はふらふらして立ち上がり歩いて行った。俺がエリスに助けてもらったときは装備品を売ったんだったな。
「何でお金渡したの?」
「何でって死ぬから」
「あなたは自分と相手、どちらが死ぬ事をとるの?」
「両方だ」
「どちらかにしなきゃ、共に死ぬわよ」
「どうかな」
俺は生きる。
「もし今度同じような人がいても、絶対に軽々しくお金を渡さないで」
「次からはひっかからないわよ、ねえライム」
「じゃー死ねって言うのか?」
「何かしてもらいなさい。あの男を教会に連れて行くとか方法はいくらでもある」
「そうするよ」
今度あった場合の事を考えておくことにした。
「あとはアイテムを買って、冒険の復習よ」
俺たちはアイテムを持てるだけ購入した。ポーションやエナジードリンクは一日の購入数が三つまで。
「これで合わせて十五個ポーションのストックができた」
いつもの広場でスプレッドクローズを広げ休憩、メニューを広げダンジョンを振り返る。
「ダンジョンは一体何階まであるんだろうな」
「外から見て空まで続いていたから高いわねぇ、きっと」
その後、ダンジョンでの復習をする。
夕食の時間、酒場にて。
「えっとフライロット!それとキャーメル、シマーロリオン。ああそうだ、飲物はグランをお願い」
「はい、あります。それを五人分ですね」
酒場と言ってもマスターとウェイトレスが一人、中で料理を作るのが一人と合わせて三人。
「アッキー、メニューお前も好きなの言っていいから」
「今度言うよ」
「そ・か」
また明日もあるか。
「そういえば、他にご飯食べれる店ありませんでした?」
「ああ、あったな」
「今度そこへ行きません?」
「ええ」
「そうだね」
注文した料理がテーブルに届く。
「それじゃーまだ途中だけど、初ダンジョン帰還にカンパーイ!」
「カンパーイ!」
「カンパーイ!!」
「カラン!」
「カランッ!」
グランと言う紫色の果実の絞り汁が白いランプの灯りを吸収して輝いている。
「いゃっはぁ~!」
陽気なモニカさんが騒いだ、周囲も活気づいていて酒場は盛り上がっている。モニカさん、お酒を追加で頼んだのか?
ただ一部、静かなテーブルが角にあった、冒険者ではないが悲しい顔をしている。
「エリスさん、これ美味しいですよっ。ほらぁ」
「何するの」
「怒った顔も可愛い魔法使いですねえ。私なんてもう・・」
歳だと言いたいのか、こんな所でそんな事相談すると話のネタになるぞ。
「そんな事ないから」
「そ、それお酒じゃないですか?」
「これは何?」
「あまり飲むと、意識が鈍くなるからカウンターに返しておいて」
「はい・・」
「これからどうしたらいいんですかねー」
とカタリナ。
「ちょちょっと、くっつかないで」
とエリス。
「行かないでどこにも~」
とモニカ。
「モニカさんしっかりぃ~」
「アッキーお前のおかげだ、カウバーグでも注文するか?」
「ううん」
「お前は岩を砕いた男なんだから、もっと食べろ」
「岩じゃない、ブロッグだよ」
「じゃないと俺が死んでいた」
「生きてほしかった」
「うわぁ~ん、アッキー」
「ちょっとぉ」
こうして夕食を酒場で取り盛況のうちに店を出た。たくさんのGoldを所持しているので、俺は周囲を警戒する。視線を感じるが、ここは街だからあって当然。
宿屋にいくとランプを灯した人が表に出てきた。ご主人か?
「ようこそ、お待ちしておりました」
ご主人、相手していたら疲れそう。
「戦闘でお疲れでしょう。部屋はご用意してあります、さあ」
「これは私からです」
水差しとコップだ。
「あれ、身に着けられる物が変わってませんか?」
「夜は変わります。部屋へは、そこから入って下さい」
宿屋のご主人は、どこかへ走っていった。
「おい、客がいるんだぞ」
もしかして引き取ってもらったレザーブーツを売ってもらうとしているのか。もう店閉まってるって・・。
廊下を歩きドアの前、
「カチャリ」
男部屋で今回のダンジョンの反省をするんだろう、エリスが俺たちの部屋に入ってきた。そして話始める。
「皆さん、お疲れ様。初めてダンジョンの階層を進んだ感想はどうだった?
「出来る事ならもう行きたくないかな」
「これからが勝負だと思います」
「頑張っても命が危なかった」
「うわぁ~、だめぇ~」
「そう。それぞれ感想があるようね。ここからは私が手短に話します。今回のダンジョンでの皆の活躍を評価すると三十七点。ライムとアッキー、モニカの三人はこれからの成長が見込めるからギルドで頑張ってもらうわ。でもカタリナには、このギルドから外れてもらいます」
「えぇ・・」
「そんな」
「・・・私」
「そうですね。皆さんには迷惑をおかけしました。私もこれ以上いたら胸が張り裂けそうです。だからギルドから出ていきます」
覚悟していたのか、カタリナはあっさりと了承する。
「・・・」
事の成り行きが悪い方へ流れていった。
「エリス、俺はカタリナが必要だ」
「ぼくも」
「私もっ」
エリスの命令に俺たちは反対した。
名前を考える事に時間がかかりました。なるべく他の作品と重ならないように気をつけてました。拍手パチパチパチ!




