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個性的な皆とシーレース 2

 ダンジョンの中の通路、その通路を歩く一行は話し合う。人間の手によるものなのか別か・・。四階層に入ると海が広がっていた、さらにボートを見つけたカタリナまで。

 ボートにはオールもついているのでちょうど良い、これで漕げるぞ。


「アッキーはそっちを持って」


「うん」


 力仕事は男の仕事と、海にボートを二つとも運んだ。

「モニカさん、ボートはここでいいですか?」


「いいわライム、ありがとう」

 モニカはボートが流されないように押さえて答えた。


 海は浅瀬などない、いきなし深くなって底が見えなくなっている。


「皆さんレディーファーストです。ボート押しますからオールで漕いで行って下さい」


「お言葉に甘えさせてもらおうかしら」


「いいですね」


 女三人がボートに乗り込み俺たちが押す。三人は少しこちらを見て前へ進んでいった。案外、真っ直ぐ行けるもんだなと思う。


「次は俺たちだアッキー、そこを持ってくれ」

 俺は手前で、アッキーは後ろを持つ。


「うんっ」


「よぉーおおおし!」


「パシャツ!シャシャ・・」

 ボートを水面へ浮かせる。


「タタッ!」

「さあ、こっちはいいぞ!アッキーも飛び乗るんだ!」


「よっと」


「グラッ」

「おおおお、うわぁっと!!・・・・・おおぅ」

「パシャパシャシャ!!」


 アッキーが飛び乗ると、ボートのこちら側が宙に浮いた。体重差ってそんなに影響するのか。


「落ちるかと思ったぞ」


「大袈裟だよ」


「少し前に空中に浮いたんだ。俺は泳げるし水は平気だが、流されたらどうする~アッキー!」


「ごめん」


 浮き輪になるアッキーならそれも、いや絶対流されるぞ~。

「まっいいや、オールで漕ぐか」


「うん」


「あいつら・・早ぇえ~」

 この先アッキーと一緒だと恐いな。


 俺たちは左右三本ずつ合わせて六本あるオールのうち、四本を使って海面を進んだ。

 四階層出口から出発地点を結び、そこからまっすぐボートを漕ぐ。二十分ほど過ぎた頃、横に流れる流速が早くなり、前へ進まず力が削がれてきた。


「うっし、うっしっ!」


「っし!っし!」


 何だあれ!?

「おーい、下見てみろよぉー!」


「な~にぃー!」

 モニカさんは、海原の水面に気を取られていたようだ。


「!?」

 エリスも珍しく見る。


「何かありますか?」


 さっそく聞いてきたなカタリナ、

「水中に赤い綺麗な結晶が見えるぞ」


「どれ、どこ~!!」


「あれかしら!?」


「うわぁ~、光ってますよ!」


「透き通っている赤色のクリスタルサンゴが見えるだろー!!」


「クリスタルサンゴ?良く見えるわね。水の中だから歪んでいて見えないんだけど!!」


「光るからな!」


「ライムさん、そんなのメニューに載ってません!!」


「俺が名付けたんだ!」


「植物は手に取るまで表示されないわよ」


「へぇ、そうなの~」


 まっ、リーダーとして当然の発見だカタリナ。これが正当な勝者であり、リーダーなのだよ。俺の脳内辞書によれば該当される植物はサンゴで否定はされることはない。



 魚みたいな生物が来たぞ!あっ、水に体が流されてる。

「おっ?」

 サンゴの縁で止まった。中に入っていかない、硬いのか?


 おおっ!刺さったのか?

「刺さっているぞ!」


「ライム!エリスさん刺さってないだってー!!」


「エリス、見えるのかー!!?」


「三人の方まで行くぞ、アッキー!」


「はぁはぁ~、うんっ」



 俺達のボートをエリス達の方まで寄せた。


「はぁはぁ、それでどうなんだ?」


「ええ、少し肌が震えて痺れていたわよ」


「痺れていた?」


「ライムが言うあのクリスタルサンゴ?から毒か刺激物を出してるようね。しばらく泳げず止まったまま体が流されていたから」


「へーっ、普通のサンゴと同じなんだ。これも主が作ったのかな?」

 生物が近寄るとクリスタルサンゴはキラキラと光った。


「でしょうね」


 答え方からエリスの推測だと分かる。エリスでも知り得ないのに、これから俺たちだけでどうすればいいんだ。まあヘルパーだからって何でも教えてもらえないが。


「サンゴなら何で魚が寄ってこないんだ?」


「それはあなたが付けたんでしょ」


 そうだった忘れてた。魚みたいな生物は痺れていることから考えると、あれも生物の可能性がある。俺がクリスタルサンゴの事を話していたら、


「っはーっ! っはーっ!」


 アッキーが息を切らし、一生懸命オールを動かしていた。


「悪いなアッキー、お前一人で漕がせて」

 頭を回転しサンゴの事を考えていたら、手が疎かになった。


「すぐそこー、さっきの魚が来ているわよ、ほら!」


「ほんとですねモニカさん、何かお祝いされているような感じです」


「えいっ」

 人差し指を水に入れるモニカ。


「ほらほら」

 俺は手を水につけ動かした。


「触らないで!毒を持っているかもしれないのよ!」

 エリスが注意する。


「えあ!」


「おおと!」


「私が不注意だったわ、カタリナの魔力は回復のためで貴重だったわね」


「そうだぞ、お前たちポイズンフィッシュには気をつけろよ」

 ビビットな体の魚は毒系のモンスター、だからそう名付けておこう。もちろん自分も注意する意味で言った。




 三人は急に、あちらの方を見ていた。


 何だお前たちは無視する気か、そうか。てか俺がもう一度言えば、


「おーい、エリス!」

 耳に手を添え返事を聞く俺。


「・・・」

 はい沈黙無視ね、


「おーい、モニカさん」

 ミュージカルバージョン!両手を口に添え呼ぶ。


「おーい?」

 両手を左右に広げ、全身で皆の振り返りを待つ。


 おおっ!


 いつの間にかポイズンフィッシュたちも周りに集まってきたぞ! 


「バシャ!カプッ」


「あっ」

 手に噛みついた。


「ぎょぎょぎょぎょ、ぎょえー助けてくれ、カタリナ!」

 無視だった。


「ミンナ、サカナ、カナリキタ、カタリナー!!」


 そこには俺がいるから何を言っても誰も振り向かない。俺はみんなの残酷な態度と現実の冷たさを知った。離れていく女たち、そこまで嫌わなくてもいいだろー!




 女三人のボートでは、


「!?」


「お願い、ボート漕いでて悪いけど」

 エリスがモニカに頼む。


「はいエリスさんっ!」

 流されないように任されたモニカは、一人で必死にボートを漕いだ。


「ちょっとカタリナっ、回復魔術教えたいんだけど」


「エリスさんっ、今魔術の特訓ですかぁ?」


「そうよぉっ、もしあなたに毒がまわったら全滅するから」


「はいっ」


 息が上がる。それでも二人は話す。


「ライムは既に毒がまわってる」


「そんな・・」




 男二人のボート、


「おいおいっ、アッキー」


「はあはあ。何っ、ライム」


「お前ぇ初めてじゃないか、名前呼んでくれたの」


「・うかな」


「手噛まれたんだけど、どうしよう」


「なんともないの」


「うん。女たち二人オール放して余裕見せてるのか?」


「さあ・・・」


「あれだ、こっちと対決してるんじゃないか?」


「はぁはぁ、ええっ?何の」


「列伝の」


「まだ列伝やってるの」


「決まってるだろ。お前、俺で止めたの忘れたんだろ」


「はぁはぁ、覚えてる」


「そうくるよな。俺たちも対抗策いるかな?」


「いいよ、僕漕ぐだけで精一杯だから」


「俺もそうなんだけど、女三人組がタフで負けそうなんだ」


「負けていい」


「戦いを投げ出すのか?アッキー、身投げ以外なら何を投げ出しても惜しくないのか!?」


「いゃ」


「アッキーはズボラだ。銅像やってたりして」


「銅像って僕の事?」


「ああ例えばな」


「銅像って先人たちの功績を讃えるためにあるから、僕は銅像に成れる人物に成れるのなら光栄だと思う」



「さっき見ただろ。ボートが一つしかない時。銅像は重いからボート沈むわーとか言われ捨てられる」


「困る」


「困るだろ!その列伝に困っているんだ」


「はぁはぁ、あぐぅ・」

 アッキーは息が上がっていた。


「わるい、俺も漕ぐから」




 女三人のボート、


「毒攻撃を受けた傷の部分にロッドを当てて詠唱して。その方が早いから」

「持て、森の解毒草をその手に!」

「アンチドート!!」


「エリスさん一つ質問いいですか?その前文は省けませんか?」


「どうして?」


「時間がかかるからです」


「ただでさえ練習を積み重ねても発動しないのに人間に詠唱破棄は不可能よ。精霊や神様に呼びかけ(詠唱)こたえてもらえるようになったら、新しい魔術を練習していきましょう」


「はい」


「私はボートを漕ぐから、あなたは練習を始めて」


 カタリナが呪文を詠唱する。

「持て、森の解毒草をその手に!」

「アンチドート!!」

 緑色の光が茶色に変わり消えていった。


「失敗ね。これは精霊召喚・薬草使用・治癒、この三つの過程で成っているの」


「はい、それで薬草はどこから調達してくるんですか?」


「それは精霊の住んでいる森になる、精霊も元素のよって火や水など違う住処に住んでいるからぁ。具体的にどこかは言えないわよ」

 息を切らして話すエリス。


「精霊の住処ですか」


「思い浮かべることを大切に、もう一度やってみて。誰も死なせたくないんでしょ、その願いをこめるっ!」


 カタリナはアンチドートを唱えた。黄色い光が薄らと灯り空気中に消えていった。


「魔力は足りているけど思い描く力が弱いわ。ところでカタリナ、精霊ちゃんと見えてる?」


「見えてません」


「森を想像して木や葉の匂いと脈打つ呼吸に耳を傾ける。そこにいる虫と動物と自然、そこに遊びに来た精霊を想像してみて」


 呪文を詠唱しながら森のイメージを膨らませる、そしてアンチドートと唱えた。

 すると、ロッドから緑い光が生まれ中心から白の光に変わっていく。その光はエリスの膝に下りていき中に入って消えていった。


「その光は自然に毒のある場所にいくから」


「はいっ、まさかこんなに早く習得できるなんて。あはははは」


「メディシンは痺れ、眠り、毒などまとめて消せて役に立つけど、毒だけに使うと魔力消費が大きいわよ」


「はいっ」

 カタリナは魔術を一つ習得した。




 男二人のボート、

「カタリナが喜んでる」


「はぁ、うええ・・」


「もう列伝の免許も皆伝したのか?」


「・・っつ」


「はぁはあ、なぁアッキー。目が痛く、熱が出てきたみた、だぁ・・」




「エリスさん!!ライムが毒で倒れた!!」

 アッキーが叫び三人を呼ぶ


「!?」


 アッキーの大声に三人は急いでボートを漕いで寄せた。


「目が痛く熱があるって」


 カタリナは顔にロッドを当てると、

「持て、森の解毒草をその手に!」

「アンチドート!!」


「ううっ」

 目も体も熱が退いてライムは目を開いた。


「みんなー」

 隣にアッキー、ボートの隣に三人が見える。


「調子はどう、ライム?」


「悪い」


「悪いけど行くわよ」


「ありがとう、みんな」


「どういたしまして」

 カタリナたちが格好よく離れていった。


 俺とアッキーは、女三人の後をついていった。




 三十分ほどして最悪な生物がやって来た。海でお決まりの奴。


「みんな」


「見えてるわ」


「サメーッ!」


「ええっ!」

 俺は立ち上がった。奥を見ると、二枚の刃が海から出てボートに近づいてくる。


「とりあえずファイアボールで遠隔攻撃するわね!」


「ボフッ!!」

 ファイアボールはサメの横に落ちた。


「モニカさん何やってるんですか!」


「やったのよお、でも動いていて当たらないの!!」


「今のは敵がかわしたのよ。今度は私たちがかわす番!」

 エリスが叫ぶ。


「行くぞ、よいしょ、よしょよしょよしょ!!」


「パシャ!シャシャサーッ!!」


「うわあ!!!」


「あぁ!」

 ブレードシャークの猛突進をかわした俺たち。俺はすぐにメニューを確認した。俺たちやボートの状態を知るにはメニューの履歴を見るのが一番良い。


「ボートが少し壊れたぁ!」

 当たったら魚雷並みの衝撃がありそう。しかし、よく見るとボートの前方にある竿が切れていたので唖然とした。


「敵は二匹いるわよ、それでかわせなかったの。次来るー!!」


「モニカさーん、もう一度魔術をお願いします!!」


「ファイヤーボウ!!」


 炎の矢が飛んでいく。


「よし、やったー!」

 二匹のブレードシャークの内、左側の背ビレに当たった。これは速度がかなり早いから、かわせなかったようだ。俺は仲間の成功に会心のガッツポーズで喜んだ。


 さすがモニカさん、敵一匹は浮いてこない、逃げたか。



 残り一匹が俺達の方へ向かって来る、今度は俺たちだ。


「ライムー!ボートを横にして敵を正面で迎え撃って」

 エリスからの指示だ。


「だけど!ボート壊れますよー」


「いいから。そして剣の柄は布で覆う!!」


「覆う?やってみるか」

 敵に対してボートを横にする、マントで柄を覆う。


「アッキーは、手前まで来たらオールで敵を突く!!」


 3、2・・・、


 1m牽制するためアッキーがオールで突く(フェイント)する。


 しかしブレードシャークも賢い、ここで潜った、


 だが!


「バシャシャ!!バシャシャ!!」

 周りが氷で覆われ、跳ねているブレードシャーク。


「突き刺してー!!」


「おりゃあああ!!」


「パシィ――!!」

 光線のようなものが空を走った。


「うあああ!!」

「カッ」


 俺は突き刺した剣がビリビリしたので思わず手放してしまった。


「剣が持っていかれる」

 アッキーが言う。


「そうだ!」

 俺は沈んでいくブレードシャークに刺さった剣を恐る恐る抜いた、もうビリビリしなかった。電気シャークだったかのか。


「おーい、このシャーク電気帯びてるぞー!!」


「それ、私よ」


「エリスが魔術を使ったのか?」


「そうよ」


「何したんだよ。まさかお前、俺を道連れにしようとして」

 俺、人間不信になりそうです。


「いいえ」

 ボートの上で立っている自然体のエリス。モニカさんは憧れの眼差しでエリスをみていた。カタリナはあまり嬉しそうではなかった。

 海に入る時、ある一定の範囲を越えると波に冷たさに攫われます。そして高波や渦、水温が冷たくて抵抗不可になる。サメやウミヘビも気になり怖くなる。

 海に入る時は気を付けましょう。誰かの見える位置にいること。準備体操も忘れずにね!



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