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11話 ダンジョン4階層 個性的な皆とシーレース

 レッドスラの仲間である人間の言葉を話す残り二匹のモンスターを見つけ出す。そこに偶然、捕虜となった冒険者を見つける。だが冒険者を残して四階層へ繋がる洞窟に進んだ。


 松明を持って岩の中を進む。森(三階層)で枝を補充しておいてよかった。


 三階層の罠に誰もかかっていない事から、このフロアに来た冒険者は誰もいないのではと思う。また、その隠し通路をどうやって知ったのか気になる。次に合う時、レッドスラに聞こう。


「綺麗な道」

 エリスは不思議そうな顔をした。それはあまりにも平坦な通路だから。

 普通に岩壁を刳り貫いて洞窟を作ろうとしても通路はガタガタ、凸凹(でこぼこ)、斜面ができる。魔術でここまで掘削できるのか?モンスターいや、ピラミッドのように古代人が人工的に作ったのか?謎は深まるばかり。

 一つ言えるのは、何者かの力が働くということ。


「主は古代人か?」


「違うわ」

 エリスが、そう断言できるのは何か知っているか痕跡があるからだろうが、その事を尋ねても答えを有耶無耶にされる。これでは禁止事項という答え方も、そのうち出てくるな。

 エリスは冒険に必要なことは教えてくれる。だから間接的に関係のある事を質問し、答えを引き出してみた。


「ダンジョンは、昔からあるのかなー?」

 全員に向かって尋ねる。


「でしょうね、少なくともテントさんの若い頃より前」

 答えたがはっきりしない。質問の仕方(知りたいことの聞き方)を変えてみるか。


「モンスターはいつ出現したんだ?」


「ずっと前から出現していた」


「エリスもいたのか?」


「ええ」


「他の人も?」


「いたわ」


 この世界の創世、つまり歴史(人や街、モンスターがいつから存在するか)が分かれば俺たちの道筋がたつんだが、図書館の書物を調べても載っていない。


 何か言いたいのか、モニカさんが俺の方を見た。

「このアプリが昔からあったとしても、スマートフォンが私たちの世界で作られ使われ始めたのは今から二十年位前じゃない。私もその時に持ち始めたんだけど、それ以前は出来なかったの」


「そうだろうな」


「パソコンにオンラインゲームの世界があった。それでもテントさんの話の方が前になるでしょ。だからここは現実に作られた場所だと思うの」


「つまり、ここはゲームの世界じゃなくて別の世界で、例えばパラレルワールドのような場所に転移したと言いたいんですね」


「うん」


「ということは、モニカさんの年齢が三十二歳以上になるんですけど・・・」

 アカウント関連で取得年齢が決まっているから逆算すれば分かる。俺より年上なのか?まさか三十代ではないだろう。


「そうよ三十代で悪いわけ?」


「いいえ、悪くありません。そんな風に見えないなと思っただけです」

 思わず目を合わせず反らしてしまった。


「そう」


「それと、異世界間での経過時間なんですけど」


「うん」


「この世界の十日は元の世界では一日半です」


「えっ、それじゃ百年前は、えーっとぉ十五年前になるの?」


「そうです」


「そうかぁ、それだと私の推測も微妙にずれるわけね」


「はい」


「ふふっ、年齢を聞き出したわけねぇw」

 なぜか、構えているモニカさん。


「ははっ。いいえ、違います。ただ言うのが少し遅れただけです」


「私は歳よねぇ」

 モニカさんは笑っていな・・いる!?


「はい」

 ここは、正直に答えるのがベストアンサー。


「そう・・ね」

「ムギュ!」

 モニカさんは俺の口に何かを押し込んだ。


「もごもごごごっ」

 えぇっ、何をするんですか!


「スライムの粘カスをあげるわぁ。スライム味を楽しみなさい!」

 モニカさんが俺の口にぐりぐり押し付けつける。


「ひゃめてくださーい」

 俺は歯を閉じたままと懇願した。それで俺に話ながら少しずつ近づいていたんですね。


「言うの遅い」


「ほぉと、ひゃあく言いましから~」

 魔法使いなのにこの力は何だ~、押し返せない。


「女性に年齢は聞かない、わかったぁ」

 上から見下ろすモニカさんの迫力が物凄いっ!!


「聞ひませんっ」

 スケモン、スラモン、まただぁ~。


「バタッ・・!」

 モニカさんが前のめりになったので俺は足で押し返そうと思ったが、暗かったのでモニカさんの太ももを蹴ってしまった。


「あっ」


「バタタタッ!!」

 一緒に地面に倒れ込む。



「いたたぁ」

「いてててえぇぇ」


「もにゅ」

「ん?」

 柔らかく優しい感触が体に・・。モニカさんの体勢が崩れ俺の上に覆いかぶさってきたので胸が俺の体に当たった。


「あ・・」

 二人見詰め合った状態で何も言わずモニカさんは顔を赤く染める。


「ゴックン」

 生唾ゴックン、俺は胸に気を取られ、スライムの粘カスを飲みこんでしまった!


「何をしてるんですかぁー!!」

 カタリナが松明をこちらに当てて驚嘆の声を上げる。学校で先生がピーをしていた生徒を発見したように。急いで俺たちは離れた、驚いたのはこっちだよ。


「ごめんごめんカタリナ、これじゃラブコメのヒロインだよねー」


「いえ違います、ラブハメのヒロインです!」


「そう見えた~?早とちりよカタリナあははははは~」


 俺は照れたのを隠そうと平然を装い、カタリナの方をしれっと見た。


「まあ・・いいです、暗いですから」

 冷静さを取り戻し、話を終えるカタリナ。


「かーっペッ、かーっペッ、うえ~っ」

 唾しか出ない俺の口内、それでも舌に残ったカスや感覚が取れた気がするので何度もやった。体の倦怠感や痺れがないから毒はなさそう。


「ライム、次からは女性には気を使ってね。はははははは」

 

 笑っているモニカさんは大魔王気取りか。それにしてもスライムの粘カスをどうやって採取したんだろうか? 




「あーっ、階段がありますよ」

 松明を預かったカタリナが階段を見つけた。


「ここもしっかり作られているなぁ」


「この階段の詮索はいいから、さっさと上りましょう」


「ああ・・」


「はーい」






 【ダンジョン4階層 個性的な皆とシーレース】


「えー絶景かな蒼海かな、暗くて冷たそうな海原かな」

 四階層に着くと胸ぷにゅのことは頭から消え去ったかのように、おでこに手をつけて海を見渡すモニカさん。


「海ですか?」

 カタリナは風に靡く髪をおさえて海を見ている。


「水だ」

 アッキーは呟いた。


「すごい物を作ったな、ここダンジョンだぞ」

 実際こうやって海を眺めると、まるで空に浮かんだ海のように見えた。海か湖か、どちらにしろ水がいっぱいのフロア。空は元の世界の午後四時頃の明るさ。


「ふぅ」

 海を見てアッキーがため息を吐く。


「水が苦手か?アッキー元気だそう」

 あの戦士としての忍耐はどこへいった。あれはエリスの評価だが、俺はアッキーを励ました。


「うん」

 応援に答えるアッキー。


 見渡す限り水水水なので海としておく。この海原は深く広い、波の音はなく死へと誘っているように静かだった。少し眺めていると海の濃厚な蒼さで、気構えてしまい足が竦んできた。

 また風のせいか、水面は右から左に流れていた。少し砂を散らしてみると、緩やかに見えた流れが意外と速く水面に小さな渦が見える。流れに逆らうのは難しそうだ。

 泳ぐ事は想像したくない。フロートで渡りたいので周囲を視察する。


「どうします、エリスさん?」

 モニカさんが話しかける。


「行くわよ」

 エリスはあっさり返答。


「海ですけど・」


「船とかない?ダンジョンなら使うから置いてあるはずよ。この場所が誰かの作ったものなら尚更にね、但し迂闊に使うと、とても危険だけど」


「ダンジョンには船があるんですか?」

 カタリナはアッキーに尋ねた。


「うん、ある」

 そんな事言ってアッキー水が恐いんだ。と言おうと思ったが、俺が格好悪すぎて止めた。


「それじゃー船があれば行けるんですね」


「船なんてあるわけない」


「あそこにボートがあります」

とカタリナが発見!


「あるのか!?」

 そんなのあり?


「みず・・」

 アッキーが困ったように言う。()()()に乗る事を想像したんだろう。


 ボートは、どうみてもアッキーが乗ると皆が乗れない物だった。

 冒険者の平均身長を考えて置いておくのが主(設定者)なのだろうが、如何せん違った場合に攻略不可になる可能性が大きい。設定を超える体重設定をしたプレイヤ-がここにいたんだ、その名もアッキー。


「ボートが一(そう)か」


「全員乗れないから、じゃんけんで乗る人決めない?」


 いや、それにしてもこの主(設定者)は成す術がなくなってもいいのか、おいおいモンスターにやられたんじゃないんだぞ、ボートだぞ。普通は乗ってて沈没するのに、それもなく定員オーバーです、ゲームオーバーですってあるのか?



「アッキーさん、どうします?」

 カタリナがアッキーの隣で尋ねる。


「ええ?じゃんけんは嫌かな」

 迷うアッキー。


「どうしよう」

 カタリナは相談するため、エリス達の方へ戻っていった。その距離20m。


「・・・」


 俺は落ち込んでいるアッキーに声をかけた。

「そうだよなボートに乗れないのは見てわかるよなアッキー、俺の目を見て黙って聞いてくれ。カタリナは密かに酷い女いわゆるS女だ。陰険な話しかけプレイを絶妙のタイミングで間髪いれずやりやがる。確かに”嫌がらせ列伝”ならお前が大将だよ、おまけに俺の事も列伝の絞められキャラだと思ってるし。

 さっき俺が的になったからわかるんだ、その悔しさ。大丈夫、俺はそんなことを質問しないし言わない、お前の味方だ」


「えっ?」

 首を傾げるアッキー。


「カタリナに悟られないNice!アドリブだ」

 俺は無表情で親指を立てた。アッキーにしか見えない位置で。



「あそこにもボートがあります!」

 カタリナが言った。


「ほーらみろ、言っただろ!!こういうことがあるから、もう一(そう)ボートがあるんだ、カタリナはボート見つけの名人だ!!二連艘(れんそう)だぞ、はっはっは驚いたかー、なあアッキー!」

 俺はアッキーの肩を叩いた。


「ぃやっ」

「バシバシバシバシバシバシバシバシッ!!」

 何か言おうとするから、俺は強く叩き続けた。


 実は俺はわかっていた。そうやって例外が発生した時に、その条件を満たすようにボートを置いてやる。これが運営者であり主である、運営はいないんだっけ。これで主は船で行けなくして攻略不可能にしなかったことは認めよう。俺たちは恐がってないようだ。


「ライムさっきから心ここにあらずじゃない?」

とエリスが俺に言った。


「ボートのことで熟考していた、これからどうしようかなって。俺もリーダーだから責任感じてな」


「もう見つかったから必要ないわ」


「知ってる、言わないでくれエリス」


「いいから行くわよ」


「ああ」

 みんなトコトコとボートの方へ歩いていく。おい、いつの間にエリスが仕切ってるんだ。

 お前・・・まさか!リーダーの座を狙っているのか・・。大人しい顔をして姑息な真似を、最初からその気でいたのか!

 それとも、ま、まさか”嫌がらせ列伝継承者”になろうと・・・。


 エリスの顔を見た。


「・・?」

 普通の顔だ、何も考えていないな。よかった、まだエリスはカタリナが伝承できることを知らないようだ。


「時間がないから急いでるの」


「そうだったエリスは十日後にはいなくなるんだった。はっはっはーお別れだ」

 そうだった・・・な、寂しくなる。


「はやくライム~、リーダーなんだから」

 モニカさんが呼ぶ。


「おーまかせとけ、リーダーが今行くぞー!」




 ボートが置いてある場所に行く。


「えっ!」


「モニカさんペアはそれでいいんですか?」


「体重別にした方がいいかなって思ったの」


「私、エリスさん、カタリナの三人」


「ライム、アッキーの二人」


「そうすると同じくらいの体重にならない?」

 女同士、男同士か。さすがにリーダーと言えども女性三人の体重を知ることは許されない。

 スライム味の粘カス、マッダァの欠片、バークバッドの毛の案がありました。ライムの口に押し付けるものはスライム味の粘カスにしました。スライムのグミ、何かうまそう!


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