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抜け出せない檻 3

 スライム、マッダァ、バークバッド、ダンジョン三階層に生息する三種類のモンスター。(ス)ライムという名前から同種族だと思ったレッドスラは、地図をあげるかわりに仲間探しの協力を頼む。

 しかし、橋の下から手を伸ばしたマッダァがモニカの足を掴む!


「きゃあっ!」


「モニカ!!」


「手が離れないっ」

 沼の泥は粘性の土でモニカの足に粘着していた。おまけにマッダァが足を引っ張るもんだから沼地の方へと引きこまれる。


「何よ、これ!!」


 モニカは魔術を詠唱、

「ファイアボール!」

 しかし、土の体であるマダァには火も雷も通じない。


「おいっ!足を掴む手が増えていないか」

 沼地から出るたくさんの泥の手。


「こうなる・・」


「舞い上がれ、空に浮かぶ旋毛のように!」

「ワールウィンド!!」


 モニカとマッダァを巻きこんだ旋風が空中で静止した。正しくは押し上げる浮力と体重の重力が釣りあった状態。


「ライム、マッダァを斬って!!」


「はいっ」

「ズシャッ!」

 俺は素早く横に一刀を出してマッダァの腕を斬り落とした。


 アッキーはモニカを抱きかかえ沼地に落ちない様にキャッチ!


「バシャバシャバシャドドドォオゥ!!」

「ウヒヒヒヒァーッ!マッダダダダー!」


 エリスはアクアウェーブをもう一度放った。手を伸ばすマッダァの大群に波が押し寄せる。水で体が溶けて入り乱れた大量のマダァ、他のモンスターと覆いかぶさったり、くっついたり。


「逃げろー!」

 俺たちは走って逃げ出した。


「はぁはぁ~、なによーあれ」


「はぁはぁはぁ、た助かったぁ」


「はぁはぁくっ、はぁはぁ~っ」


「主があんなたくさんのマッダァを作ったの?」


「はぁ、そのようね」


 表面だけは澄んだ水がある大きな沼地。それが沈殿して溜まった泥とたくさんのマッダァが暴れたことで撹拌し完全に混濁していた。


「まだ暴れているぞ」

 手を顔を出すマッダァ。


「これから他の冒険者が来ても、あれなら気づくと思います」


「いやー、よかったぁ」


 俺たちは沼地から一旦離れることにした。



 少し歩く。


「カサカサカサカササッ!!」


 俺達の背後からついてきた青い泥の物体!


「っおい、まだ追いかけてくっ!」

 しつこい奴だ、声より息が先に出てうまく喋られない。


「っいやあっ!」


「きゃぁっ!」

 みんな息が漏れる。


「ブルーマッダァ!!」

 俺の背中からレッドスラが顔を出した。


「ハヒィ!?」


「レッドスラァ!!」

 ブルーマッダァの声は低かった。


 再会を果たすモンスターたち。うん良い光景。くっつき合うのかと思ったが見詰め合ってるだけ。


「それでブルーマッダァは何してた?」


「俺は、あれからこの沼地にずっと住んでいたァ。それからしばらくして沼地の小屋に真っ黒な布を被った女が来たァ。何回か来てェ、中からは光が漏れたり声が聞こえてきたりィ。悲鳴や物音もするゥ」


「なんだぁ・」


「意味もなく、こんな小屋立てないわよ。おそらく魔術実験ね」


「誰の?」


「例えばドローシラさんとか」


「その可能性が高いわね」


「助けられないんですか?」


「今は助ける方法がないけど、いつかはできるかもしれない」


「そうなのねー」


「どうかぁ」


「くっ、檻の中で逃げられない様にされていたなんて酷すぎる・・」


「もしドローシラなら自分が誰か分からなくなされてたのよ」


「・・その話はやめます」

 鼻をすすりカタリナは話を止めた。


「そうだな。その話は帰ってからにしよう」

 罠にするなら、もっと罠らしい小屋にすればいいんだ。あの小屋は実験していた場所。実験で何も考えられなくなったのか?確かに檻に鍵はついていなかった。


「レッドスラ、こいつも連れて行くのか?」


「うん、仲間だもん」




 俺たちは次の目的地に進んだ。ブルーマッダァは俺の足元でドロリとしていて、ついてくる。


「次はどんな奴だ」


「イエローバーク(バッド)だよ」




 ②仲間のイエローバーク(バッド)まで、


「へぇー珍しいんだな、コウモリと言えば普通は黒なのに。黄色だろ、すぐに見つかると思う」


「私もそう思うけどコウモリは住処に集団でいるから大変そう」

とモニカ、


「ということは・・・」

 カタリナは不安がよぎった。



「ザッザッザッザッ・・ザラッ」


 洞窟の前に着いた。松明をつける俺たち。


「ここです」

 後ずさりするカタリナ、俺も同じ気持ちだ。わざわざこんな閉じ込められる場所に()()入りたくない。


「これが冒険、現実は困難ばかり」

 おでこに手を当てるモニカさん。こんなのばかりに立ち向かおうとしてたら頭が痛くなると思う。


「入るわよ」

 エリスが先導する。


 薄暗く静かな洞窟だ。モニカさんが火を灯した松明を俺とアッキーが持つ。こんな所に果たして探している仲間がいるかどうか。


「ピチャン!」


「うわわっ!」


「どうしたアッキー?」

 ぞわぞわした顔をするアッキー、今のお前の顔を見たらコウモリの方が驚くって。それと合わせてお前は体格でコウモリに勝つ!


「冷たぁ!」

 ローブの隙間から体の中に入っていったらしい。モニカさんは身を細めた。


「おわあっ、僕も」

 体の大きさと度胸は比例しないことが証明された。がその光景は想像したくない。

 岩の天井から水滴が落ちてくるのは、炎によってそれが誘引されたのではないかと俺は考えた。それでも松明なしでは何も見えないので消せないけど。


「コウモリなんてどこにもいないぞ。どこだコウモリ、どこだ~?」

 天井をみるが、どこにもコウモリなんていない。まだ奥かな?先頭をいくモニカさんに、エリス、俺、カタリナ、アッキーと洞窟を100m程進んだ。


「モニカ、何かいた?」


「何もいませーん」


「ライムはー?」


「こっちにもいない」


「アッキーは?」


「ううん」


「カタリナはどう?」


「見えません」


「おかしいわね。いる雰囲気がするんだけど・・」


「エリス、どこから気配がするんだ?」


「どこからって頭の上」


「ははは、頭の上は岩盤じゃないか」


「ポチャリ!」

 エリスの方に落ちる雫・・・?。


「この臭いは水じゃない、コウモリの唾液よ」


「えっ唾液!」


「それでねちゃりと?」


「まさかね、あははははー」


「パチチッ・・」

 たいまつの炎がゆらめき、岩盤を炙る。


「キキィ・・」


「何を!」

 松明様!貴殿は何ゆえ勝手にゆらめいたのですかぁ~!?


「キキィ!」

「キキキキィ!キキィ!!」

「キィー!!キィーキィ!!キィキィキィ!!」


 拙者は何も悪いことはしておりませぬ。

 頼みますから怒り(炎のゆらめき)をお鎮め下さい。


 岩盤を照らすと無数の灰色の斑模様が動いている。黒の斑模様が炎で照らされ岩盤と同系色になっていたのか。


「パチチチチチボフッ!!」

「キキキキキキキキキィ!!!!!」


 貴様!もう勘弁ならん、許さぬぞ!!



「にげるんだぁああ!!」


「バサッ  バサッバサッバサッ  」

「バサッバサッ バサッバサッバサッ」

「バサッバサッバサッバサッ バサッ」

「 バサッバサッバサッバサッバサッ」

「バサッバサッバサッ    バサッ」

「バサッバサッ    バサッ   」


「みんなーどこっ!?」


「いあっ!」


「地面に伏せた方が当たりにくいぞ!!」


「ぁああっ」


「ああっ!体がジリジリしています」


「っつスティックが、うまく持てないぃ!」


 それで身を屈め洞窟の出口に向かって走るが、行先は羽ばたくコウモリに占拠され、顔に体に翼を当てられる。


「シャッ!  シャリッ! ッリッ!」

「  シュシャッ!   シャッ! 」

「      シャリッ      」

「   シャ!    シャリリッ!」

「 シュリッ!          」

「シュリリリ! シュ!シャ!   」


「痛っ!」


「な・んだぁ、くっそぉー!!」


「きゃ、あ~ぁ。ったたあっ!」


「うわぁああああぁ、頭が痛い!!」


「痛ぁあっ!」


「うっ、ああぁっぐぁ!」


 バークバッドは普通のコウモリではない。その翼といったら硬いのなんの。木の棒に当たった時のように痛い。


「キィキィキィ  キィキィキィキィ!!」

「キィキィキィキィキィキィキィキィ!!」

「キィキィ  キィキ   キィキィ!!」

「キィ  キィキィキィキィキィキィ!!」

「キィキィキィキィキィキィキィ  !!」


 俺達も声を上げたが、すぐに膨大なコウモリの鳴き声に飲み込まれ意思の疎通ができない。その鳴き声は狭い洞窟内で反響して耳の中を(つんざ)く。鼓膜が震えて頭がくらくらしてきた。


 全員が両手で耳をおさえる。


 頭と耳が痛い。コウモリに頭をくじかれるだけではない、声のせいで耳の奥がジワンジワンと響いた痛みがする。


 よかった。どうやら皆、地面に伏せたようだ」

 隣にはエリスがいた。ぶつかってすぐにエリスだと分かった。


「これは鳴き声だけじゃないわ、超音波!!」


「なに!?」

 俺までエリスの声が届かない。


 エリスは、俺の手の甲に肘を三回当ててメニューを開いた。


 履歴に“バークバットは超音波を出した“とあった。このコウモリは列記としたモンスター、しかも攻撃をしている。



「照らせ、月の光!」

「ライティング!!」



「キィキイキイ!!キイキイキィ!キイキイキィイ~ッ・・」

 コウモリの動きと声が止まった。


「コクリッ!」

 それを逃すまいとアッキーが斧を振り上げた。振り上げた斧は一匹のバークバットの体を真っ二つに切り裂いた。まとめて退治できるかと思ったが真っ暗で当たらない。松明はどこかへ落としてしまった。 


 ライティングの明るい光は多少の効果はあった。だが状況を把握する時間しかなかった。そしてすぐに光は消えていった。うまく行動にまで移せなかった。


「効きませんか」


「ううっ」

 アッキーが呻く。


「シュラッ!」

 それでも俺は剣で薙ぎ払った。近くのバークバット一匹でも倒せば、少しの足しになる。体を少し斬ったが逃げられてしまった。


「バサバサバサッ、バササササァッ!」


「キッ、キキィー!!」

「ッキキィ、キキキィー!!」


「また復活したぞぉお!!


「みんな耳を塞いでー!!」

 エリスが大声で言う。


「散らん、星降る眠り!」

「スリーピングスター!!」


「バサッ、バサッ、バサバサバサ」

「おぉ、おおーっ!」


「すごい!」


「ポトリ、ポトリと落ちていくわ」


 バークバットの耳は目の役割を果たす反響定位(エコロケーション)だった事、洞窟という筒のような地形は反響効果(エコーエフェクト)が大きかった事、これがバークバッドに災いし否応なしに声が聞かされていく。地に伏す敵と味方。


[説明補足:火魔術は炎と熱を出す、幻魔術は声と幻覚を出す。つまり精霊や神の眠りの歌声を聞いている。※声と幻覚はどちらが先でも問題はない]



「どう?」

とエリスがライムに尋ねる。


「もちろんいいぞぉ!!お前ら恐れ入ったかー!!」

 エリスはすっごい魔法使いなんだぞ。これが俺の守護エリス様だ、なめんなよ!


「キキィ」

「俺の体にくっつくなって」

 体に爪を引っ掛け、しがみつくバークバッドを剥がす。


「キ、ポテッ・」


「片付いたわ」


 足元は気持ち悪いバークバットの山、

「松明の使いかけ、これじゃ見つからないなぁ」


 俺はメニューを開き、木の棒を手に取った、

「エリス頼む」


「飛べ、怒り怒る・・ 」

 エリスが詠唱、松明に火をつける。


 松明を灯すと、地面一体がくちゃくちゃの黒い絨毯になっていた。


「みんなぁ!!」


 絨毯で覆えない高さの、てるてる坊主を三つ発見。


 くそっ、傷がヒリヒリする。こいつら俺を挫くわ挫くわ、当り散らしていきやがった。


「女たちはローブしか擦り切れていないw」


「ライムさんもマントでガードすればいいんですよぉ」


「カタリナ、俺はマントでガードしたんだよ。体はな、でも頭までは足りず隠せなかった。ううっ、それでこの様っ」

 俺の普通の顔が台無しだ。


 全員、起きていた。それはバークバッド以外はそんなに音に敏感でないから。また、移動できず地面で頭や体を守るように押さえていたから。


「そこを見てご覧なさい」

 全員がアッキーを見た。


「全身傷だらけの戦士がいる」

 エリスが言った。


「あなたの前には何も言わず黙って攻撃に耐えた真の男がいる」

 全身鎧でないアッキーは体の所々にダメージを負っていた。だが全く何も言わず、こちらを見ていた。


「僕はいいよ・・皆が無事なら」



 アッキーが言わないのに俺は・・・・。


「ライムの泣き言は心が負けてるからよ、見習いなさい!!」

 

 魔術でバークバッドをエリスは眠らせた。アッキーは攻撃に耐えた。カタリナやモニカは知恵を出した。俺は思考力が不足し傷だらけ。


「くそ」


「おわっ、ドサッ!!」

 足が縺れて倒れてしまった。


「ああ、胸が痛い」

 胸がビリビリする。


「うわぁ、ったかっ」

 バークバットの上に倒れ込むアッキー。


「私も手がしびれたから、スティック左手に持って魔術を使った」


「カタリナ、メディシンをお願い!」


「メディシン!!」

 カタリナは全員に詠唱していった。バークバットを踏んで起こさないように気をつけながら。


「エリスさん、ライムさんをあまり責めないで下さい。僕は大丈夫です、ほらぁ!!」

 背中からレッドスラが顔を出した。



 レッドスラはライムがマントで力強く体を覆っていたので怪我はなかった。変な形に潰れていたが陽気な表情を見せている。


「ライムも上出来ね」

 エリスが俺を誉めた。遅いぞっ、俺は頷いた。レッドスラは考えていなかったが体を守ることで守れていた。


「ところでレッドスラ、イエローバークはいたか?」


「ごめん、見てない」

 体を窪ませて謝るレッドスラ。


 みんなガックシ肩を落とす。


「こんなのもう嫌だから」

 モニカが言う。


「俺も」

と賛同。


「これ・」

 アッキーが手に黄色いバークバットを持っていた。


「イエローバーク!」

 黄色の毛並のバークバットはスヤスヤと眠っていた。


 お手柄アッキー、またしても。


 ふへへ、

「チョンチョン!」

 バークバットを触り何度か起こす。


「むにゃむにゃ、もう飛べない」


「ん、夢?レッドスラがいるっ!!」


「現実だよイエローバーク!!」


「いぇい!」

「いぇい!」

 体を触り合うレッドスラとイエローバーク。


「さあ出ようか」


「ねえ人の気配がする」

 エリスが立ったまま言う。


 人が・・いるだって。

「イエローバーク、ここに人がいるのか!?」


「いる。だけど行かない方がいい」


「どこにいるんだ」


「この奥にいる」


「行こう!」

 俺は全員と奥へ向かった。




 歩きながら新たな仲間と話す。情報は一つでも入手しておきたい。


「イエローバーク、さっきくらっとしたんだけど何故か教えてほしい」


「それは唾液です。痺れ効果がある特殊攻撃がありますからね」


「そっか、だからか」


「この洞窟は何のためにあるんだ?」


「僕らの住処と捕虜を見張ることかな」


「捕虜?」


「先日も人間が連れられてきた。私たちはその見張り」


「それって例の冒険者じゃない?」



「ここよ」


「誰もいないけど」


「さらにその奥の曲がった先」


 洞窟の上は開いて空が見えていた。この洞窟を上によじ登ることは人間には不可能だろう。


「元気がいいな、こいつにしようと男が連れていった。私はこっそり聞いた」


 よく気付かれなかったな。気づかれてもあのバークバッドの中に入れば、まず誰か分からないか。


「男は人間か?」


「鎧を身につけた男です」


「食料は上から落とされる。飲み水はそこに流れています。穴があるから気を付けて下さい」


「わかった」

 俺はそういってさらに奥へ歩を進めた。



 男五人と女二人がいた。死んでいるようにな目で一点を見ている。


「あのーっ」

 声をかけてみた。


「あ、あぁ・・」


「ねぇ、あなたたち連れられてきたのよねぇ・・」

 失望を確認する。


「いや、自分で来た」


「そうよ、助けにきたの」

とモニカ。


「ああああぁ!!」


「ねぇねぇねぇええ!!」


「見てる」


「あれ見てよ!」


「んっ?」


「来た!!しかもたくさん。助けぇ・・てぇ!」


「かっはははぁ~!!」


「これで、帰れるぞおお!!」


「うぅうぉおおおおほほ!!」


「やったぁあぞぉお!!」


 全員が失望状態から希望を見出した。




「ここで何があったんですか?」


「知らないわぁよ!!突然モンスターに連れられて」


 どうやらモンスターがここに連れてきたようだ。


「俺たちも同じだ」


「どうやってこのダンジョンに入れるんだ? 」


「ダンジョン?ここはダンジョンという場所なのか?」


 ダンジョンを知らない。そうか、もっと前に連れられたのか


「ダンジョンってあれだよ、この前来たやつが言っていた」


「そうか、ここがダンジョンという場所なんだな」


「この前来たやつということは、もういなくなったんですか?」


「既に連れて行かれた」


「鎧の男だ。しばらく向こうで殴ってからな」


「ううっ、俺も聞いたよ。一日でも命が長くなればいいなと思って話を聞いた!」


「それで」


「知らないと答えると、殴られる音がして連れていかれた。引きずった音がしたから」


「話して下さり、ありがとうございます」

 殴ってとは逆らったのか、これでは何があったのか情報が少なすぎて推測できない。


「ありがとう、もう話はいいから」


「これで帰れるぅううう~っ」

「あぁっ、はぁ~、人生にこんな日もあるんだなぁ」

「ここで死ぬんだと毎日自分を説得していたわぁ~でも諦めないでよかった」

「はあはあ、やっと、このつらい生活が終わる」


「行こう!!」

「早く誰か来ないうちに私たちを!」

「ああそうだ!!」



「助ける条件として二つ約束してほしいの」


 エリス、条件ってなんだ?


「おい約束が違うじゃないか!!」

「二つも何を聞けって言うんだぁ!!」

「助けに来たって言ったわよねえ!!」

「あの男の仲間かよ、お前たちぃ!?」

「俺たちでお前たちを倒したっていいんだぞぉ~!!」



「安心して、条件は簡単だから。約束一つ目は、私たちがここへ来たことを絶対に言わないこと。それは、あなたたちが街に戻ってからも同じよ!」

 すました顔をして俺の隣に来たエリスは捕虜七人に言う。



「あぁ、する。するなんでも!!」

「はい」

「俺も言わなぁい!!

「それは守ります」

「守る守る!!」

「わかったから」

「うん」


「約束二つ目は、今すぐにはあなたたちを助けられない。だから助けるのはさらに何日か何十日後になるということ」


「くそっ、何だよそれ。その間に死んだらどうすればいいんだ?」

「正直待てない、待ちたくない」

「次来るまでは何日あるのよー」

「うううぅぅぅっ、今皆でやるか?」

「早く来れるの?死ぬ前によ!」

「わかった・・わ、あなたたちの状況も良さそうには見えないから」


「私たちは冒険者であなたたちの仲間よ。ここまで来れたのなら強さくらい知れるでしょう。くれぐれも変な気を起こさないで待っていて」


「そうだな」

「・・・っ」



「行くわよ!!」

 エリスが洞窟を戻って行った。


「おい、エリス!!」


「エリスさーん!」


「早く!!」


 俺たちは、その場を後にした。



「何で今助けられないんだよ」

 俺はエリスの考え方に反対だった。


「あなた達の手には、この世界の多くの人たちの命がかかっているからよ。まだ捕まっていない人、他に捕まっている人も含めて」


 その言葉が俺の心に重くのしかかった。俺達は後悔を残したまま進まざるを得ない。






「ねぇーっ、モンスターと一緒に歩く冒険者って怪しくない?」


「そうだな」

 まさか現実でゲームと同じことするとは。目立ってしまうと敵・味方双方にマークされるぞ。


「ライムさん、それ私が持っていいですか?」

 カタリナがバークバッドを気に入ったようだ。一応モンスターだが、一匹なら暴れても脅威にならないだろうと思いカタリナに渡した。


 しかし、イエローバークは俺の事が気に入ったらしく俺の腕にしがみ付いて離れない。


「カタリナ、ライムの腕が気に入ってるみたいよ」


「ふん!」

 カタリナが怒った。


 怒るなカタリナ、お前の胸には既にスライムが二匹いるじゃないか。例え、お前とローブが隠しても俺は知っているんだぞっ!以前街で、その膨らみを俺の目が捉えていた。

 それにしても男の俺が好かれるとは、俺はモンスターの好感度が高いらしい。このイエローバークは肉球が気持ちが良く何とも言えないなぁ。俺の背中にはレッドスラ、足元にはブルーマッダァ。もしかして!これは最強の仲間に匹敵する奴らでは!?

 なぜならモンスターを連れているから、このフロアの他のモンスターに敵だと気づかれないから。




 ある岩の前、

「ここを押すと、隠し通路がある」

 レッドスラが言った。


「皆、ありがとう」

 俺の体にくっつくなって、分かるけど俺最高って。


「ライム、僕たちは仲間!緑の場所で合ったから次からはグリーン(ス)ライムと呼ばせてもらいます」


「えっ、ライムにしてくれよ」


「グリーンライム」

「グリーンライム」

「グリーンライム」


 レッドスラから【グリーン(ス)ライム】の異名を名付けられた。


「またね」


「・・」


「ありがとう」


「また用があったら行って下さい!」


 人間との戦闘と見張りのためにモンスターたちは去っていった。



 岩を押す、

「ガガガガアッ!」

 岩の隠し通路の表面は岩だが、中は軽い素材だった。


「また、洞窟ですね・」


「仕方がないよぉー」

とモニカさん、


「ふぅ」

とアッキー。



「モンスターにも良悪がいるんだな」


「言葉さえ通じれば、意思の疎通はできるから」

 エリスが素っ気なく答える。


「味方か敵かは考え方かも」


「エルフやドラゴンの事、言いたいの?」


「それは、まだ会ったことないから言えない」


 ダンジョンマスターは全てのモンスターを従えてはいない。それは突然、連れてこられたからだろう。そこに、この戦いの勝機があると見た。


 人もモンスターも恐ろしい。ここでモンスターと人が捕虜となった。そして実験が行われた?檻に鍵はない。抜け出すことが許されないまま両者はお互いを見張っている。

Q1.人の皮を被った怪物は誰でしょうか?

①捕虜の人 ②モンスター ③ダンジョンマスター(主)


Q2.なぜこのフロアを抜け出せないのでしょうか?

①捕虜だから ②モンスターだから ③1と2以外にもたくさん理由があるから

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