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怪物たちの狂歌 3

 ダンジョンに突入し、まず最初に言われたのが不用意に動くなということだった。そこでトロリンとの戦い方をエリスから教わることになった。

「次はアッキー、あなたの番よ」


「は、はいっ!!」

 アッキーは緊張している。また照れて顔が少し赤く、恰好つけているのか口調がゲームの時とは違っていた。


「棒を投げて、こっちに来たら斧を振り上げ下ろす」


「・・」

 頷くアッキー。


「攻撃が終わるまでみんな離れて」


 頷く俺達、当たっちゃ敵わない。


「手順は二つじゃ足りないから、三つに分けたほうがいいかな」


「三つ・」


「うまくいかなくても私が援護するから、自信を持って」

 アッキーに優しいエリス、なぜだ。


 アッキーが棒を投げる(手順1)


「コトン!」

 トロリンが音に気付く。そこになかったはずの棒が落ちているのが目に入った。


 よし!!と俺は思った。


 しかし、そのままトロリンは止まってしまった。その時々で十人十色、トロリンがどんな行動を起こすかは決まっていない。棒を投げる時も思った位置に落ちるとは限らない。


 アッキーは、次の手順をとった。草むらから一本にょきっと棒を出した(手順2)


 何だあれ?不思議と好奇心が芽生えてくるトロリン。そりゃー気になるよな、かつて見たことない棒。それでいて日常でありそうな物。


 トロリンが草むらに歩いてくる。棒をとろうとした時、トロリンの方へ棒が倒れていく。斧と共に、それに合わせてアッキーは斧を振り下ろしていた!(手順3)


「ズッツ、ブシャッツ!!」

 残酷だがこれが戦闘というものである。頭が二つに割れ血が噴き出した!そして、すぐにその部分から消え去っていった。


「アッキー、上出来よ」

 誉めるエリスに心奪われるアッキー。エリスの言うことは疑いなしに実行できるようだ。アッキーは誉めれば伸びるタイプかも。


「次はモニカ、ロッドで攻撃よ。あなたは攻撃力のある職種ではないからサポートするつもりでやってね」


「魔術、使っちゃダメなの?」


「魔術は目立ちすぎる。もし近くに仲間がいたら、居場所を教えているようなものよ」


「ごめん、そうよね」

 反省するモニカ。


「いいから。それよりどうしたのライム」


「モニカさんに用があって」


「何?」


「ここにきて性格変わってませんか?」


「特に変わってないわ、あははは。ただ若くないし、モンスターの変化で弱腰になったのかも~ぉ」


「この状況だと否応なしに無理強いされてしまう。だからまだ体が受け入れられないんだと思います」


「それはライムが選んだ状況よ」

 俺とモニカの間にエリスが入る。


「そうだけど俺は生死をかける冒険は求めていない。こう充実したかったんだと思う」


「もう生死をかける場所にいるの。あなたが選んだ、進んだ道なのよ」


「だから・・・」

 何も言いかえす言葉が見つからない。


「何もしないで時間が過ぎて死んでいく?この世界の冒険者たちや住人は、生きるために必死にやっているの」


「だから・・」


「あなたのせいで仲間が手を目を失った。生活するため、生きるために必要なものが。世界が変わっても同じなのよ、ほんと情けない男」


「全部俺が悪いんだ、俺が・・」


「言わないけど私も求めていた。でもずっと見つからなかった。その中であなたは求めに応えてくれた」


 俺とエリスを、モニカは何も言わず交互に見ていた。アッキーやカタリナも黙って見ている。


 そして、

「う~んとねぇ、年上のお姉さんから言うと人生の目的や答え探しなんてやっても、きっと一生見つからない。

 私たちはこの世界に来てボスを倒して平和な世界を築き、元の世界に帰るという目的が出来た。私は英雄に憧れていて、なって語り継がれる事があったら幸せかなという人生の夢を持っている。

 だから、お互い良いところで手を握り合っていいと思うんだ~。夢と現実の違いは実際に叶ったかで変わるものだから、その違いだけよ」


 つまりモニカは自分の求めに応えてくれたといいたいのか、それで納得できるんだな。


「英雄?」

 アッキーがボソリと言った。


「馬鹿にしてないアッキー?」

 アッキーは顔をぷるぷる振って否定した。


「馬鹿にしてるでしょ」


(アッキー、何も答えない方が無難だぞ)


「ベシッ!」


「いた」

 あっ、アッキーまたしゃべった。


 俺はこういったしゃべらせ方もあるのか、荒療治だけど今度使ってみようと思った。


「それじゃモニカお願い。トロリンは口を開くから喉を狙うの」


「わかりました」


 モニカは棒を投げる、


 トロリンの肩に当たった。怒ってトロリンは草むらの中に走ってきた。


「ズボ、グスッ!!」


「ウウグゥウ・・」


「ズボ、グスッ」


「アッキー倒して」


「ブンッ」

「ズシュ!」


「ありがとう」


「うげぇぇ、気持ち悪い~。ほら!ドロって唾液がついてるし」


「あげるわ、ピチャッ」


「うご・」


「うご、なーにアッキー」

 モニカさんは唾液をアッキーにぬじった。


「タッタタ」

 アッキーは逃げ出した。



「次はカタリ・・」


「私はここにきて約一年。人生がつまらないとか、ゲームの世界に入りたいと思った事は一度もない。だけどある理由があってここに来ました」

 カタリナは思い詰めた顔をして、重い口を開いた。


「どうしたの?」

 エリスが冷たい声を出す。


「私のお姉ちゃんが突然消えた、警察には行方不明で片づけられたけど私は諦めない」


「お姉ちゃんがいなくなった」

 今の時代、そんな事あるか?


「お姉ちゃんが失踪する前に、このゲームをしていたことがスマートフォンの履歴から分かった。最初はメールで呼び出されたのかもと思ったけど、そんなグループや会話はなかった。靴も家に全部置いてあった。じゃあどこに行ったのか?手がかりを探すためアプリを全て起動させ調べてみた。

 すると、このゲームでネットワークエラーが発生していた。

 私は自分のスマートフォンで、このアプリをインストールしてゲームを始めた。始めてから知ったんだけど、このゲームは名前を全て入れて検索しないと絶対に見つからないアプリだった。

 お姉ちゃんのキャラクター名はチョコ、同じ名前は使えないからカタリナで私は登録し姉の行方を調べたら同じギルドのメンバーが見つかった・・」


「カタリナ、その話は終わってからにしましょう」

 エリスが話を中断させた。


「そぅね、その思いの長をトロリンに思いきりぶつけてやりましょう。戦闘再開、カタリナの番よ」


 カタリナは、まず棒を草むらから横に出す。


 つぎにトロリンに向かって棒を投げる。


 気になったトロリンは出ている棒の端を掴んだ。それと同時にカタリナはその棒の端を思いっきり自分の方へ引っ張る。 

 草むらに引っ張られるトロリン。トロリンの視界は草だらけ。その傾斜角四十五度の位置からロッドを持ったカタリナが倒れるように覆いかぶさる。全体重をかけたカタリナのロッドだったがトロリンの体には刺さらなかった。


「私にはできない!」


「ゥガ!」


「散らん、星降る眠り!」

「スリーピングスター!!」


 エリスはトロリンが奇声を発する前に魔術を唱えた。トロリンは体が揺れ深い眠りにつく。


「あなた、お姉さんを助けるんでしょう」


「私にはできない。倒したモンスターにも仲間や家族がいるかもしれない。そんな恨まれることをしたら絶対にお姉ちゃんは帰ってこない!」


「貸しなさい!」

 ロッドを掴みトロリンの口めがけて突き立てた。


「ァガァ・・!!」

 トロリンは目を開き、口から血が垂れた。痛みで声が出せないトロリン。


「ライム!!」


「ブ・シュッ!!」

 俺はとどめを刺した。


「残念だけどギルドメンバー失格ね。私が見つけたのに馬鹿みたい。あなたは力ある目をしていたんだけど」


「すみません」


「カタリナ以外、実践の戦闘は合格よ」



 こうして俺たちは各々倒せるようになり、次は石や布敷いて体制を崩し倒していった。

 途中、エリスが説明したり、みんなと話をしたがモンスターに知られることはなかった。きっとエリスはモンスターに気づかれないように魔術をずっと唱えていたのだろう、スティックがチカチカして光を放っていたから。


「大体ここは片付いたようね」


「そのようですね」


 俺は区切りがついたので一度手の甲を三回タッチしメニューを開いた。見るとLV、Statesが上がっていた。


「わあ~っ、LVが14になってる。みんなー見て~」


「僕も14」


「俺は15だった」


 カタリナは自分のステータスを見て黙っていた。


「カタリナはどうだ?」

 俺は言い出しにくそうだったのでカタリナに尋ねた。


「LV12か、上がりにくいって職種もあるから気にするな」

 実際は11。俺は落ち込んでいるカタリナを励ました。


 「カタリナはモンスターを倒せないから経験値が減る。一緒にいるだけでも入るけど、戦闘で攻撃したり倒して計算されるものだから仕方がない」

 とエリス。


「エリス、ひとまず戻るか?」


「いいえ、まだ続ける。出来れば上のフロアにも。そしてこれからが本当の戦闘」


「うん」

 まだあるのか。






「うわあぁぁ!」


「やめてぇ!」


「おい、おい、くっそぉお~!」


 400m位行った先で薄暗いから見えなかったが、冒険者がトロリンと戦っていた。足元は平地である。

他の冒険者がどういう戦い方をするのか目を凝らした。


「ガッ、キィンン!」

「ガッガッガッ!ジジジッ!」

「バシバシッ!」


 俺らの真正面先400mのところ、トロリン四匹に、戦士とナイト。

 そこから10mの先に、トロリン一匹、攻撃を喰らっている冒険者、助けようと近づくヒーラー。

 さらに、この両者の反対側15mの所にゴーブ、ナイトとヒーラーが見える。装備品や髪(性別)で判断した。


 <トロリン四匹対、戦士とナイト 400m>

 相手が棍棒一振りするのに合わせ剣を二回繰り出す、その後ろに後衛のヒーラー一人が距離を保ち控える。


「攻撃で応じないで、かわせばいいのに」


「いいえ、棍棒ごと剣で斬ればいいのよ」


「そんな腕のナイトは、いないだろ」


「いる。でも彼はできない。棍棒は多少傷つきはしても」



 <冒険者&ヒーラー 400m±10m>

「ガスッガスッ!!」

 冒険者が一人倒されたのか体を棍棒で叩かれている。トロリン一匹だが、このままだと危ない。


 そこにヒーラーが一人、錫でトロリンの顔を突き刺す。


「ドッ!」


 ヒーラーの一閃でトロリンにダメージは与えたが、それで動きは止まらなかった。トロリンはターゲットを変え、錫を持ったヒーラーに攻撃する。

『トロリンがヒーラーに攻撃する』という戦闘の公式に当てはめると、ヒーラーは致命的なダメージを負いかねない。相手は子供と言えど攻撃型モンスター。



 <ゴーブ対ナイト&ヒーラー 400m±15m>


 ゴーブはナイトに石を投げつける。


「タタッ・・」

 それをナイトは上手くかわした。


「し、しまった」

 ナイトが避けたのはいいが立っていた位置が、がら空きに。かわしたあとすぐにゴーブは素早い身のこなしで回復担当のヒーラーに近づく。


「バシュッ!バシュッ!」

 ヒーラーを爪で引き裂くゴーブ、使えるものは何でも使う。ヒーラーのローブが切れている?が、体にはあたっていない。後ろ右、後ろ左に下がり、なんとかかわしている。下がりつつ錫でゴーブの顔をビシバシと叩いて追い払おうと攻撃する。


 ―――。


 間合いをつめられた!


 接近戦ではどう見てもゴーブの方に利があった。


「助けるか?」


「見て!」


「シュッッ!カカァ!!」

 ヒーラーを狙うゴーブの背中をナイトが後ろから一刀!


 最後の力を振り絞ってゴーブは空に石を放り投げた。


 ナイトとヒーラーが話し合ってすぐに仲間の援護に行こうとした矢先、右からゴーブが四匹走ってきた!



「仲間を呼んだのか!」


 準備していた?それともとっさの判断!?


「一刀直後二刀、三刀入れ仲間を呼ぶ隙を与えないで倒すことが重要!」


「教訓、雑魚一匹でも逃すと命取りになるだったな」


「数で上回れないと勝てないし、見つかったら負け。あの冒険者たち、このまま戦闘を続けると疲弊して殺される」


「回復は?」


「状況があれよ!回復は到底かなわない。だって魔術を詠唱しながら四匹のゴーブの攻撃をかわすのよ。熟練したヒーラーでも集中力が切れて不可能!」

 今回は魔法使いやヒーラーも普通の打撃攻撃して倒すことを念頭に書きました。街の外にいるモンスター以外とは、ほとんど戦った経験がない冒険者。そのモンスターとの戦いをこれからどう書こうか迷います。

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