オアシス湖
ライムは、メニューの見方をエリスに習った時に、勝機を発見した。だが勝機は表示されないゲーム要素という事だけ。午後は皆、その事を踏まえて特訓をしていた。
エリスの守護、残14日
「コンコン!」
いつものように狐が化かしに来た、と言ってもご主人なのだが。
朝起床後、すぐに宿を出る。橋が開通日後の事は無関係に俺たちは旅に出ることにした。間接的には他の街に行くので関係しているのかもしれない。
街の中を歩くエリス、俺たちはついていけばいい。
「ダンジョンには体力全快で着きたいわね」
歩きながら、こちらを見るエリス。だいぶ俺たちも戦闘に慣れてきた頃か。
「ダンジョンってお前、オアシス湖に行くとか言ってなかったか?」
「そうよ、だから」
「ラクーダ?」
エリスは、街の端に着くと、ラクーダがいる柵に手をかけていた。憩いの間じゃないんだ、おいおい。
ラクーダはテントさんが住んでいる家の近くフタコブという店で売られている。街に隣接した外の柵で遊ぶ馬とラクーダ。この二種類は交通手段になることから冒険者に愛用される。
また、預かり可能&交尾の関係から冒険者たちの護衛が無料で受けられる特典付きで重宝されていた。
ラクーダの購入が決定したのは、昨日の酒場の会話にエリスが便乗した結果である。
「どうする、アルスに会いに行く?」
愚問するエリスは少し笑った。ラクーダの購入は体力のないエリスにとって、それほど喜ばしい事なのか?
「もちろんだ」
いくらラクーダと言えど、あれだけ広大な砂地だ、絶対迷う。
早速、アルスにオアシス湖の場所を教えてもうため商会に会いに行く。
商会のアルスはダンジョンと冒険者のことで大忙し。商会の受付には手続きがあるのか列が出来ていた。
「ちょっといいか?」
「なんだ悪いが今、忙しいんだ」
「オアシス湖の場所を教えてほしいんだ。大きな街があるのならもっと早く立ち寄るべきだった」
「そうだな、反省したのなら教えてやろう。ライム、仲間を守り抜け」
「はい!」
アルスの話を聞いて、場所の地図をスプレッドクローズに描き記した。布に跡をつけ、光球の位置と街の位置に〇を付けた。恰好良いのでNSWEと『4』のような線も追加。
アイテムショップでポーション二本とエナジードリンクを二本購入、高価な上に希少だとか。一応、砂嵐用の防塵バンダナも。
食料を調達したかったが市場が開くには、まだ時間がかかる。
俺は酒場で料理を注文し、スプレッドクローズに忍ばせた。本当は、品質の保証から持ち帰りできない。
俺達は、ただ修業していたわけではない。修業中に倒したモスグリーンの鱗粉、リコイルの石灰化した殻、サンドワームの牙のような歯を回収し売却していた。だからGoldはたんまりある。
「食料を一日分確保したけど他にいるか?」
「いいえ、オアシス湖でも買えるからいらない」
「きっと、オアシス湖で買えますよ」
こうして、旅支度を整えて出発した。
街を出るとエリスが声をかけた。
「さあ、ラクーダに乗って出発よ!」
「俺も」
テントさんのラクーダ一匹と他に四匹追加購入、俺たちはラクーダに乗った。
ラクーダに乗ると、おっと跳ねる跳ねる。これを乗りこなすには技量がいるな。
1kmメートル進む、
「バサッ!」
最前列を行く俺の後ろで砂の音がする。エリスが前方に落ちたようだ。まさか、見目に魔術に剣術まで最高のエリスが・・。そしてローブがめくれ上がっていた!これ位で妄想を繰り広げるようなら俺の命はここで尽きよう。エリスはこっちを見ていないが我慢だ、俺はリーダー!
「バサッ!」
「バササッ!!」
エリスが落ちて視線を反らしたのか?カタリナ、モニカまで。じゃじゃ馬娘のモニカでも乗りこなせない、馬じゃなかった・・。
そうはそうと、この二人もローブがめくれあがっている。お前ら、わざとやってないか?しかも変な倒れ方で。
ここ何日もお坊さんのように自分の性欲を戒めてきたのに、ここにきて崩れた。
めくれ、めくれ、めをくれる?
「■〇×な♡R*7&」
みだらな姿の三人を俺は凝視する。
「・・・ゴクリ」
喉が鳴った。
「!」
うち二人が俺に気づいた。いかん、邪念を払うため顔を戻し前方に固定する、むむむ。
俺はラクーダのトランポリンを見事に耐えきっていた。みーんな大したことない、これぞリーダーの鏡と言えよう。
ナイス! ラクーダナイス!
運は最高のStates Luckは最高のTaste!
そういえば後ろのアッキーがいやに静かだ。
あれ?
振り向くと、どこにもアッキーがいない。ラクーダまで・・・
遠くにもいない、
と思ったら、ラクーダはそこで潰れていた。
「ラクゥーダァー!!」
ラクーダは生きていた、スフィンクスのような構えで座って。あの体重に耐えるとは、お前は中々できるやつ。
「よしそのままだ、無理はするな!」
俺はリーダらしく頭をひねってはじき出し、体力の消耗を考えてラクーダの入れ替えを提案。もちろん通ったよ、みんな分かるもん。
俺がアッキーのラクーダに乗ることになった。
乗るとラクーダは立ち上がった!翼がはえたように!
しかしラクーダが変われば乗り方やバランスのとり方も変わり、
結果、体をひねったラクーダは俺を弾き飛ばし、そのまま歩いていった。
「ラクゥーダァー!!」
俺を置いて行かないでくれ~。人間の言葉が分からないお前だが、俺の気持ちだけは汲んでほしかった。
その教訓を生かし俺はラクーダにスプレッドクローズを巻きつけ体を安定させることに成功!それからラクーダを何度か取替え砂地を進んだ。
「ラクーダ汗、出てますね」
「暑いからな」
途中、頑張って歩くラクーダに水をあげる。
「もっとあげたいんですが・・これだけしか」
カタリナが水の器をペロペロと舐めるラクーダに言う。
「うまいか?飲め飲め」
俺もラクーダに水をあげたがあっさりとなくなった。
アッキーも気を使いラクーダに水をあげる。
「はいっ」
エリスとモニカは地図を見て行先を確認する。
「ちゃんと合ってるじゃないライム」
「しっかり見てたから当然!」
俺は地図もしっかり見ていた。
「休憩はいい?さあ出発再開よ」
俺は光球二つの位置を確認しながら砂地を進んだ。ラクーダが入れ替わる前に砂地に行先を書くと方角を見失うことはない。
それから進んで、光球がちょうど頭上の位置に昇った時、煌びやかな水面が視界に入った。
「あれ、か」
大きい湖が広がり、その周囲には黒い物が密集している、湖の隣にはたくさんの建物があった。サンサンドの街よりは小さいが、それでも人間が生活するために必要な物が売っている大きさである。
もっと進もう。
距離が縮まるにつれ黒いものが識別できてきた。オアシス湖に密生している水生植物のようだ。人が入らないのか、草が生えたままになっていた。
「何か草が生えていない?」
「そうですね、モンスター以外は良いです」
雑草は世界共通だ、どこにでも生える。
オアシス湖に着いた。
オアシス湖は沖に行くにつれ海のように深かった。浅瀬の水は青白く澄んでいるが淵は濃くなって底が見えない。
「エリス、ここ、雨が降らないんだろ」
「そうよ」
「変だぞ、湖の水は、川から流れてきてるのか?」
「この世界の砂地にしみこんだ水は、全て地中を通りオアシス湖に集まる。魔術の雨も」
「そうか、それで濁っているんだな~」
「それは色んな理由があるわ。一つ言うと水面に映る空の状態とか・」
「砂か」
砂が関係して濁色して見えたのか、何か悪い事が起きそう。
「カタリナ、こんなに水が多い場所久ぶりよねぇ」
「はい、ずっと殺風景というか同じ風景でしたから趣深いです」
あまり先入観で判断するのもよそう、そう考え、水面に寄り空の容器にオアシス湖の水を汲んだ。
「おおおおっ!」
「ライム!」
しゃべらないアッキーが思わず言葉を発した。俺より、名前を呼ぶアッキーの声に他三人の視線が集まる。
「冗談だ」
「は・・」
恥ずかしがるアッキー、お前は照れ犬か。俺の雄叫びより目立っちゃヤダ!
「おおおおおっ!」
「まだやってるの~、ライム」
「ライムさん、私たちには通じませんよ」
「バシャバシャ!!」
「うわっ、あああぁ!!」
湖の中から俺の手を引く何か!やばい水中へ連れて行かれる!!
「バシャ、バシャ!」
「みんな助けてくれ!!」
俺の手を離さない何かが湖の中から現れた。
「お前は!」
「私はリトル、あなたも人魚?」
水面から顔を出す女が俺に話しかける。
「残念ながら尻尾はなく、人間だ」
「そこの方がすごく綺麗な目をしていたから、もしかしたらと思って」
「わたし?ゴメンナサイ。人魚ではないけど味方よ」
人魚と話している間、ラクーダは俺たちの横でオアシス湖の水を飲んでいた。
「リトルは、いつから住んでいるんだ?」
「ここに来たときから」
「今、来たって言ったよな」
「はい」
「どうやってここに来たんだ?」
「それはある日、海を泳いでいると水面から語りかけるような声が聞こえ、近づくと気を失って・・気づいた時はこの湖の底に。その時から私はここに」
「語りかける声?」
俺達とは状況が違う、ただ同じような語りかけがあったようだ。
「もしかしてエリスが連れてきたのか?」
「いいえ、私は知らない」
「えっ!エリスさんが私たちをここに連れてきたの!?」
モニカさんがエリスに尋ねる。
「だから知らないって!私は何もしていない」
「ごめんなさい、エリスさん」
「あなたたちはどうやってここまで来たの?」」
リトルが俺達に尋ねてきた。
「ライム、リトルにだったら話しても良いわよ」
「そうだけど・・」
「私たち、ダンジョンマスターに呪いをかけられたの」
モニカさんが勝手に答えた。
「呪い?」
仕方ない、全部俺がいうか。
「それで呪いを解くため、仲間を救うために俺たちは来た、のかな!?」
「下らない」
「そんなこと言うなよ」
「私は早く元の海に帰りたい、返して。ここには誰もいない、あいつ以外は」
「あいつ?シーラカンスみたいな魚料理は酒場で夕食に上がったけど、それか」
「ここにあいつが住みついてからは、街の人はオアシス湖に管を通して向こうにも小さな湖が出来るようにした、街の中の方へ水が流れている」
「vv」
水面を打つ何か、振動のような音である。
「あいつが来た!、私は行くね」
「パシャパシャ、パシャーン!」
「vvvvvvvvvvvvvvvvvv!!」
「バシャバシャバシャ!!」
「水面でたくさんの魚が跳ねているのか?」
「跳ねの原因は、そこで水飛沫をあげているモンスターだ!!」
水面の跳ねは、ただの水の王冠、人間とは別の生き物、半魚人のような奴が水面から半分顔を出して、こちらに襲いかかって来た!!
「戦闘よ、私が指示する。モニカ、ファイヤーボウを唱えて!」
モニカが詠唱、放つ!
「・・・」
ファイヤーボウ失敗。こちらとの距離を半分くらい縮めたモンスター。
「今度はカタリナ、ライティングの準備!モニカはファイヤーボウを続けて放って」
「はい、照らせ月・・・」
「ファイヤーボウ!」
「ボシュッ・・」
炎の矢は水の中で消えていった。思う時に決まらず・・。
「ライム、間合いをみて一刀放つ!アッキーはライムの一刀後に振落準備、周囲に気を付けて!」
「はいっ」
半魚人が水面から顔を出した瞬間を狙い攻撃する、うまくいくか。
「動きが早い!私にまかせて」
エリスが加勢する。
「吹け、北風を我が背に!」
「ティルウインド!!」
追い風が俺たちの背中から吹きつける。
「ザァ―――ザァ―――ッ」
波が立ち、迫りくるモンスターの動きを鈍らせる。
「波は、初めてかしら?」
「今よカタリナ!!」
「ライティング!!」
詠唱は終わっている、魔術名を発し放つカタリナ。
ライムとアッキーの後方で唱えたカタリナのライティングは、水から浮き上がって出てきたモンスターの目を焼いた!
「グスハォウ!」
「シュッ!」
「ガシャッ!」
半魚人の角は、ライムの顔に刺さる直前で止まった!!そこにライムは一刀、アッキーは振落を出す。二人の攻撃でモンスターの体を斬ったが、硬い皮膚で切り口は浅かった。
「強い・」
モンスターは水飛沫をこちらに吹きつけ水の中、奥深くへ潜っていった。
「逃がした!」
「危なかった・・。あの角が刺さっていたら一撃で致命傷になりかねない。まだライムたちだけでは勝てない相手よ、命が惜しいなら二度と手を出さないことね。ダンジョン以外にモンスターがいるとなると他の場所にもいる可能性が出てきたわ」
≪ナーウワール 湖に住むモンスター、その角からくり出される一撃は死ぬほど強力≫
オアシス湖の街へ行った。
街は木造で細長い家が多い、海の家のような感じか。そこに武器屋やリーフティー屋、飯屋、アイテムショップが並ぶ。
「ここって海ですか?」
「いいえ湖よ」
「何か涼しい恰好をしていらっしゃいますね」
この街の男女の一部だけど水着のような格好をしている。彼女はビーチチェアに寝そべって何をしているのか。ミニのオアシス湖の近くに、さらにプールのようなものが作られている。贅沢な連中もいて困ったものだが、これも一種の生活の姿なのだろう。
「朝昼食を食べましょう」
エリスの言葉で、俺たちは少し遅い朝昼食をとった。この街で食料の不足は起こってなさそうだ、サンサンドから持ってきた食料を温存せずに普通に食べることにした。
「ここ座っていいですか?」
カタリナは礼儀正しい。
「いいわよ、好きなところに座って」
オアシス湖の街の広場には、デイデイの店以外にも冒険者五人が座れる椅子が置いてあり、各々が好きな場所に座っていた。
アッキーも腰を下ろす。だが椅子がギシギシいった。普通は、アッキーの体重まで考慮した設計はされていない。
「アッキー、一緒に食べよう!」
「うん」
俺は隣同士に座った。
酒場の料理で常時手に入るものと言えば、これデュラムパンとカラカラボールなどの街名産の食料だ。ほとんど加工されていないので料理とはちょっと呼べないが保存がきく。
「これライム、フォークとかないの?カラカラボール食べにくいじゃない」
「悪い、勝手に持ち出すことはできなかった。素手で食べてくれ」
お尋ねものになったら酒場立ち入り禁止になってしまう。
「モニカさん、手汚れても水が豊富にありますから」
既に素手で!まあ素敵、カタリナは気長で穏やかな性格であった。
エリスは食べながら俺たちを見ている。やっぱりお前は歯が白い、人魚が仲間だと見間違えるわけだ。
「もごもご、かむかむ」
咀嚼音が声のようなアッキーは、未だ目を合わせない。
「もごご、はむむ」
「エリスは食事中は静かだよな」
「・・・」
これで皆と一応コミュニケーションはとれた。新しい街の夕食は、どんな料理が出るか楽しみだ!
食べ終わって休憩。ここまでずっと、ラクーダに乗ってきたので足腰に負担がかかり痛くなっていた。屈伸し、体をほぐしながら街の中を歩く。
この小さな建物はアクアショップという店だ。瓶に入った液体が売られていた。
「これは何ですか?」
「これは販売用の水。湖の水をそのまま飲むとお腹が痛くなります。昔はねぇ、そのまま飲んでも美味しかったけどモンスターが住みついてから水質が少し変わってしまって私たちの体に適さなくなった。湖の植物まで取れなくなってしまって店は大損!」
「大変ですね」
「旅の商人が水を運んでいるんです。
汲んだ水をろ過、熱で煮沸消毒した蒸留水を飲み水として、単に熱して冷めた水は住人の使う水として販売している」
「なるほど、何も力になれなくてスミマセン。あのコレ下さい」
俺たちの実力では、あのモンスターには勝てない。俺は水を購入した。
「いいのよ~♪」
武器屋を見る。
「あ!可愛い指輪があります」
「私はいらない。もっと派手なのが欲しいものー」
「それ買ってもいいわよ」
エリスのお許しが出た。
「きゃー嬉しい!あー、こういうのってなかなか見つからないんですよね。つける機会もありませんから」
「お目が高いと思いますよぉ。その指輪は水辺の近くで見つかったものなんですが、魔法加工も受け付けませんのでぇがらくた同然の扱いでしたぁ。錆びがありますがぁ、気に入られたのでしたらお安くしますよー」
エリスはプレイヤーリングを買った。価格は250Gold。
「使い過ぎない方がいいと思うよ、エリス」
「もうダンジョンに行くからGoldは必要ないわ。それとこれ限定アイテムよ」
ガラクタじゃない、しかもレア?使ってから、買ってから良さがわかる装備品か。
≪プレイヤーリング 祈りの指輪と言われる物で魔術の成功度が上がる≫
「成功度が上がるなんてすごい指輪だな」
「そんなにすごいの?」
「これはヒーラー専用の装備品だから使えないわ、モニカ」
「専用ねぇ」
「エリスさん、集中力が上がりました」
「もう上がったか」
嬉しさアップだ、物を介して思いを伝える方法があるから指輪は否定できない。
街の人の話を聞いて、俺たちは湖に戻った。
「水生植物がとれなくなったんだって」
「それなら集めてあげましょう」
「私は見張りをするから早くして」
エリスが大きい湖の前に立つ。
「はい」
「ぐぅっ・・」
アッキーはしゃがむと面白い姿勢になることがわかった。
俺たちは手分けして集めた。
「たくさん集まりましたね」
「こんなにたくさん集まったのか!」
結局モンスターも人魚も出なくなって。二人とも何の目的でオアシス湖に連れてこられたのか。
「ふう」
「異世界アニメは人だけが連れてこられるが普通よねえ」
「アニメでは、はかれませんよ」
「人魚と半魚人へと、交互に変身してたりして」
俺が言うと、
「ないない」
モニカとカタリナが否定。
水生植物を持って、アクアショップに行く。
「おおー!ぜひ、買い取らせて下さい」
「お金は結構、大変そうなので摘んできました」
「そうですか!代わりにと言っては何ですが、こちらを使って下さい」
俺はオルカソードを手に入れた。
「ありがとうございます」
しばらく俺たちは湖を眺めて話していた。
「その剣、あのモンスターに似てない」
「あっ、はははははは」
「こんな場所に住むのもいいわね」
「そうだな。この世界はいつも同じ風景ばかりで嫌になるから」
夕方まで湖を眺めて話していた。
夕食時間、オアシス湖の街の中にバーベキュー風の石の台座があって、その店が営業を始めた。冒険者をはじめ商人が何人もいた。俺たちはそこで食事、
「シーラカンスの丸焼きに、塩だぞ塩」
これは珍しい、この世界に元いた世界の調味料がなぜ・・。
「これ岩塩じゃないですか?」
「粒が大きい、アタリだ」
サンドライスを食べ、水を飲み、話しながら夕食を食べる。
「この赤い草は何よ?」
エリスは構わず食べていた。
おいっ・・。
すみませーんと店の人に聞くと、
「アカシェルという岩肌に着く赤い藻です」
と説明される。
「この磯の香りが、サンドライスと絡み合ってる」
食べると俺は、この世界で初めて美味なるものに出会ったと思った。
外のどこで体を洗おうかと見ていたら、さっきのプールの男女の人が一緒に入っていいというもので、お言葉に甘えて入泳(泳がない)させてもらうことになった。
「ちょっと待って」
「ヒートバーニング!!」
水の中で炎の柱が上がった。すぐに消えたがエリスが何をしたか俺は理解した。
「きゃぁきゃ!」
「わぁあーい!」
「ぶふふっ!」
男女タオルを巻き水に入る。アッキーに水をかけてやったぞ、はっはははー。大変そうだなアッキー。そして男女混ざって夜のプールを楽しんだのだった。
水は、しばらく冷たくなかった。少しの間だったが楽しめたので最高だった。タオル、店に返しておかなくちゃなー。
宿屋に入る、
「ようこそ、一泊15Goldになります。五名様でよろしいですか?」
「はい」
すると宿屋の人が部屋に入っていき、五人分の寝床がつくられた。
俺たちは装備品などを干した。
部屋に入って仰向けに寝る。目を瞑ると、昼の戦闘を思い出す。死の恐怖、差しこむ影、刺す角、殺気が刹那に迫ってきたのを思い出した。その心音を感じ取る様に俺の心臓は、まだ少し鳴っていた。
相部屋で少しドキッとしたが別の音、俺には皆がいる。
風があるのか、湖があるのか涼しく快適な就寝につく。
エリスの守護、残13日
翌朝、エリスは湖にいた。
「早いな」
「長い間、ここにいたけど人魚に出会った事がなかった。私が気づいていないだけ、ここではもっとたくさんの事が・・・」
「ライムさーん、エリスさーん」
カタリナが手を振っている。
俺たちが見ているとカタリナが走ってきて近づく。
「何しているんですか?」
「世界の広さを感じていた」
「くすっ、この湖も広いですね」
ラクーダにアクアショップの水を鱈腹とはいかないが飲ませ、街に戻る準備をする。
「出発だー」
モンスターに二、三度出くわしたが、あっという間に俺たちは倒した。半魚人には、もっと強くならなければ絶対に勝てない。
体力消費のためのラクーダの入れ替えにも慣れ、帰りは順調に道を行く。
そして光球は頭上少し手前、サンサンドの街に着く。
ラクーダを一時預ける。
手早く市場で朝昼食を購入し、食事を済ます。そして休憩。
「体が怠けるから午後からは修業よ」
「また~?」
「ライムさん、もう音を上げたんですか」
「うん」
「ええ」
カタリナも修業ばかりだから言い返せなくなっていた。
剣の素振り、片手で斧を持ち上げる筋トレ、魔術の集中力を高める瞑想、各自修業する。
酒場で夕食、
ダンジョンから帰ってきた冒険者の話がたくさん聞けた。
俺たちはまだダンジョン一階にいるとか、全然進めないとか、敵が強いとか、うまくいったという話は一つもなかった。俺たちもオアシス湖で強敵と戦闘したんだと心の中で言った。
「やっぱりサンサンドの街のご飯は一番良いな。他二つの場所の恩恵を受けていて種類が豊富にある」
食料は傷みやすいから、何でも持っていけない。
「この街が中間にあるからよね」
「それでなんです」
教会の清めの場所で体を洗う。
俺はアッキーと早々と洗った。
「あああっ、気持ちいいなー、気持ちが落ち着く」
「アッキー、少し痩せたんじゃないか」
「いや」
「そうか、あれだけ動いたからな、ははははは冗談だよ。ピシッ!」
「いてっ」
「ここが一番いい場所よね」
「はい、何か守られている感じがします」
「教会だから」
エリスが言う。
「なんか今回のは、すごいモンスターでしたねモニカさん」
「伝説の生物でしょ」
「?」
とエリスは不思議そうに二人の話を聞く。
「人魚の方はいいんですか?」
「人魚はいるわよ」
「ロマンですか?」
「いいえロマンといえ・ば・・」
女三人は話していた。
「やっときたか、どうしてそんな長くかかるんだ。もしかして遊んでいたんじゃないか」
「それがライム、伝説の生き物で対立しちゃって~」
「それはいいから宿屋に行きましょう」
俺は、話が長くなりそうだから止めた。
宿屋に入ると、ご主人が少しほっと胸をなでおろした。
いつも通りGoldを支払い部屋に行く。
「明日はツリーシードよ、早く休みましょう」
廊下でエリスが言う。
「おう」
「ええ」
「はい」
「うん」
と頷く四人。
部屋に入り服を干す。
宿屋が変わって知らない人と接し、初の強敵モンスターと戦闘し全神経を注いだ。その後も気を張りつめたまま、ここまで来た。あーっ、すごい疲れた。
「おやすみ」
みんな。
14日、13日の二日分を書きましたが、店や料理の部分の内容が少し浅いかも?




