7話 ウェイクニングダンジョン5日前
ライム一行は図書館でお勉強、エロ保養(橋の開通日祝いローブでブリッジストレッチ)、朝昼食、戦闘のための特訓を積む。その最中、ボルフライに捕まった男の声。
空から落とされず、ボルフライはそのままどこかへ連れていった。それを見て悲しむカタリナ。
エリスの守護、残り15日
いつものように起きて支度し、街に出る。
今日は、橋の開通日。皆にとってはダンジョン探索の初日となる日だろう、街は思ったよりも静かだった。
「・・・」
エリスがどこかに向かって歩いて行く、いつもの事で俺達も後に続いた。
エリスは正面から見て街の左上角の方へ歩いていった。階段をのぼり二階に行くと、そこには何もない殺風景な場所があった。
ここは見張り台らしい、階段は金属と鉱物(岩)で作られ二階の床は木を何重にしたものだった。
エリスは俺たちの前に立ち話し始めた。
「今日は、メニュー画面を説明をします。ライムちょっとメニュー画面いい?」
「メニューだな、準備できた」
「はいはーい!先生」
「なにモニカ?」
「私たち何回も見たことあるし、これゲームでもやっていたからほとんど分からないことありませーん!」
モニカさんは、途中から声のトーンを下げて話した。
「最後まで説明を聞きましょう」
「まず最初にメニューを開と、Name(名前)、Job(職種)、EXP(経験値)とGold(お金)と一緒にstatesが表示される。
下にはメニューバーが広がり、Equipment(装備)、Item、Skill、Totalskill(全スキル)、History(履歴)、Mail、Helpと列が並ぶ。
Goldには全員の合計額が表示さ、誰か使ったら全員のGoldが減ってしまいます。StatesにはHP、MP、LVと縦にステータスが表示される」
Nameライム Job knight EXP 235 Gold 3349
States
Lavel 12
Hit Point 100
Magic power -
Attack 60
Guard 45
Magic -
Magic Guard 30
Agility 22
Luck 27
「最初にHPやMPを説明するけど、二つは寝れば回復するし、アイテムでも回復できるから一度アイテムを使ってみて」
「次に魔術による攻撃や防御の説明ね。魔術攻撃は敵の属性にダメージが影響するの。仮に水系モンスターだとすると水魔術は抵抗力があるからダメージが半減、激減する。逆に炎なら良いように見えるけど、水系モンスターが持つ水分で熱を奪われるから、これも半減、激減する。但し、それに勝るだけの火力があれば話は変わってくるわ。
明らかに言えるのは、雷魔術なら水や火魔術以上のダメージを確実に与えられるということ。
また私たちの職種がエルフだと仮定すると風や土による魔術ダメージが減少する。ドラゴン族だとすべての魔術攻撃に抵抗がある。魔術を受けても皮膚が特殊だから人間のようにはダメージは与えることができない。
ここでポイントなのが、一概に魔術の防御が高いからといって全ての属性に対して高いとは限らない。この数値は各々の系統の総合値で表示されているの、だから注意が必要よ!!」
「三つ目に運は不明確な要素であること。各ステータスが低くても、潜在的な才能とか能力、創意・工夫が高いのであれば運は必然的に高く表示される。どれだけ皆が頭を使い発想するかが大切になります。それだけで可能性もぐんと広がる」
「私、そんな事考えなかった。目から鱗よ」
「値には、含みがあるんですね」
つまり一般的なゲームも含めて、この世界のゲーム要素は表示されないものがあると言えるらしい。その表示されない何かを探ることが出来れば、ドラゴンにも勝機がある。
「装備は武器、防具、補助(頭や足)が装備できる。装備品は兼用の服もあれば職種専用の服もある、購入には十分に気をつけて購入すること。
一度購入した装備品を売却すると半値になるから、間違えるとかなりの時間と労力、Goldを費やすことになるわ。ちなみにマントはアクセサリー扱いになる」
「アイテム欄は全ての持ち物が表示される欄。武器・防具、ポーションやエナジードリンクを始め、スプレッドクローズ、デュラムパンや水などの食料や備品も表示されるの。有るかは見て確認すれば良いわ。一度だけ使えるものもあれば老朽化するまで半永久的に使えるものもある」
「スキル欄には技と魔法(魔術)が表示される、普通はどちらか一つしか欄がないが、両方使える職種だと二つ欄があるの。全スキル欄は使えなくても実際に見た技や魔術が記載される」
「履歴には戦闘とモンスターの二つの欄がある。戦闘欄にはこちらの攻撃や魔術、モンスターの攻撃も含めて五分間だけ表示が残るの。五分経過後は知ってのとおり更新されて真っ白になる。
一方モンスター欄は、簡単に言えば図鑑よ、発見したモンスターの名前と説明が記載されている。
戦闘する時、敵の特殊攻撃や技を確認できると有利になる分、調べる際に時間をとられ攻撃されるというリスクがあるから前もって見ておくことが大事」
「メール欄はメールを書いて送る欄と見る欄がある。先日、ライムにはこれでメールを送ったの。受け取ったわよね」
「ああ、ラブレターだろ」
「・・・。それが橋が開通後、文字数が狭められたの」
「嘘・・・本当だ」
いつの間に。
「ヘルプも変えられたのか?」
「ずっと前にね。バーがあるのは最初は使えたから、でも今は使えなくなったの」
「それなのに表示されるのか」(そしてエリスもいる)
「ルーレイファワークの幻影かしらね」(私も含めて)
「幻影ねえ」
おかしな点や怪しい所は理解できるまで質問するか調べろ。ゲームの鉄則だが、これでは調べようがない。
「昔のまま更新されず・・」
カタリナが言う。
「ふ~んん」
アッキーも難しい顔をしていた。
なんか原因があるな。
「他に何か質問がない?」
「混合魔術でもメニューの履歴に五分残るのか?」
「混合魔術はアースレインとならず、魔術が二つ表示される。あとそれは私以外は使えない魔術よ」
「それでわかった」
さっそく一個発見。なるほどな、この世界は魔術にも設定があるということだ。ただエリス以外は使えないとなると意味がない気がする。
以上の事を習い、俺たちはステータスを確認したり、スキル説明を呼んだり、モンスターの名前と説明を読んで理解深めた。
朝昼食の時間、
「たまに、違った場所で食事も良いなー」
開通日だから、俺たちは見張り台で食べることにした。
「いつも同じ風景だと飽きますか?」
カタリナが食べながら頬を動かして尋ねてきた。
「いーや、場所を変えると少しずつこの街の事が分かってきた気がするんだ」
「安心しました、私は嫌になったのかと思いました」
俺が嫌になったら次に嫌になるのは皆になる。アッキーは植物の根っこみたいな芋?を食べるのに苦戦している。そんな根っこから食べることないだろ、ちぎって食べりゃーいいのに。
朝昼食を食べて休憩後、戦闘の特訓開始、
俺は体力をつけるため運動をした。長距離走、腕立てふせ、スクワット等。エリスが皆につきっきりで何をすればいいか迷ったからだ。こういうのでも体力つくかな?
終わったら、またスキルを幾つか組み合わせて、やってみるか。
「モニカは火の魔術は覚えてきたから、今度は土のクレイモールの魔術の練習よ。土竜のような精霊が砂中のモンスターに攻撃するわ。魔法使いは、物理攻撃できない場所にいる敵を魔術で攻撃するの」
「やってみるわ」
モニカに詠唱を教える。
「力を貸せ、地中の土竜!」
「クレイモール!!」
グレアロッドの反応がない、黄色く光ったように見えたが消えていった。
「ふっ、モニカが火の魔術が使えたのは得意だからよ。土は多少練習が必要かな」
「私は火の魔術が得意なんだ。それなら火の魔術を習得させた方が良くない?」
「それは危ないわ。同じ系統だけ覚えると、耐性や吸収能力があって火魔術以外しか効かないモンスターに遭遇したときに負けてしまう。苦手なことを練習して欠点を埋め、弱点をなくすことが大切になる」
「魔法使いなのに、魔術で負けたら悔しいもんね」
モニカに魔術を教えたエリスはアッキーの方へ移動した。
「アッキー、あなたにはこの盾を買っておいたから、持って防御の練習をして」
「課題一つ目は盾を使わずトータルガードの肘と腿の防具を使い防御、ダメージを軽減させる。それが出来たら課題二つ目、盾で防御よ。盾の装備はメニューで変更する、必要のない時装備なしでいいから」
「防具が壊れたら」
アッキーがエリスに尋ねる。
「まずないけど、新品を購入する。武器と防具は、モンスターと戦闘に使用するから消耗品かしらねえ」
人見知りのアッキーの質問にエリスは優しい顔と声で返答した。
「うん」
「リコイルの回転を鎧だけで防御できれば次は盾のガードよ、さあ練習する」
リコイルが出現、回転タックルをガードするため真正面に立つアッキー、リコイルが曲がればアッキーも垂直に当たるようにその方向を向く。
「ボフッ、ガサッ・ザザザザザァ・ー・ー・」
真正面で受けたがリコイルの回転力は、アッキーの力と体重に勝る。当たり負けの原因は腕と膝が動いてしまったこと、そこで姿勢や腕と足の固定方法を変えるなど工夫を重ねた。
姿勢を変える方法はいくつも行われた。出の形で直立のまま腕と膝を前に出す、卍の形でしゃがみ腕と膝を出す、足の形で中腰になりぶつからない腕と膝に重点を置いた。
アッキーは課題に取り組むが腕と膝が、どうしてもブレて体が弾きとばされていた。
エリスはカタリナの問題点を解決できるようアドバイスした。
「カタリナの問題点は回復魔術しかできないこと。本当は一緒に戦わないといけないんだけど、今日は光の発光による目暗まし攻撃を覚えてもらうわ」
「照らせ、月の光!」
「ライティング!!」
「これなら、攻撃が苦手なあなたでも目暗ましが出来る。さあやってみてカタリナ」
カタリナは詠唱した。
「ライティング!!」
魔法使いやヒーラーは、あらゆる状況を考えて魔術を習得するんだな。俺もそれを見習おうと思った。
午後の特訓が終わり街に戻ると、包帯を巻いたギルド冒険者が数人、街を歩いていた。なんだ、ヒーラーの魔術で回復できない状態にあるのか?思った通り、この街はヒーラー不足になっていた。
「腹減ったー」
「疲れたわ」
「気力がありません」
「痛ぃ」
「・」
目的地はメルルの酒場、
着くと入り口から冒険者たちの話声が聞こえた。
「おい、あそこには武装モンスターがいるって本当か?」
「本当だ、それが攻撃特化の体格らしい」
「俺達が、こんなに早く戻ってこられたのは馬のおかげだ、間に合ってよかった」
「なあ、俺たちも馬を購入しといた方がいいんじゃないか?」
「それが馬も急に不足して、いないんだ」
「しょうがないラクーダで我慢するか。馬を購入すると酒場で飯も食えなくなるしなぁ」
身の丈に合う生活を送る冒険者たち。ダンジョンに行かない冒険者、無事帰還した冒険者は食事しながら酒を飲み情報交換していた。
酒場の連中の話をチラホラ聞きながら黙って食事を喉に運ぶ。疲れてしゃべれねぇ、あんまり張り切るんじゃなかった。そんな俺だったが料理はちゃっかりチェックする。
カクタスポテトとヴィヴィサラダ、チッキンという肉でサラダや肉は触感と味からそう分類した。それにシス水がついていて飲むと美味しかった、だって特訓中は水一滴飲んでいないからさ。
「美味しいかった、久々のバランスのとれた食事」
一時、ダンジョン攻略の確保分として食料の買い占めがあったから在庫が底をついたかと思った。
「取り合いにならなくてよかったですね」
「そうなったら皆でテントさん家におしかけよう!」
「どう言って?」
「ここで働かせて下さいって!」
「いいかもな」
「きっと、生活は安定します」
食後、教会に行く、
カタリナは祭壇に行き冒険の安全を祈願する、俺達も隣で一緒にお祈りした。
アッキーは泥だらけ、もうこんなに汚して子供かよ。いや、大人だ。
「なあアッキー」
「なに」
「いや言っただけさ」
「・・ふ」
体を洗うのを早々に終わらせ宿に戻った。
俺は宿屋のベッドで考え事をしていた。
ここにきて五日、前回来た時は十日過ぎて戻ると約1.5日の時間が経過していた。今の経過時間だと、元の世界では一日も経過していないので、まだ両親は俺がいなくなったことに気づいていないだろう。
俺は他にすることもないから自転車で出かけたりイベントに行ったり、草が生い茂る様に色々やった。だけど結局、最後には刈られるか潰されて実らなかった。
もし俺たちなら今でも、例のドラゴンやトロリンと戦闘になったら間違いなく負ける。
正直、他の冒険者がダンジョンへ行ってくれて安心した。俺たちは死んだも同然だった。
しかし、この安心感は罪悪感に変わっていった、アッキーの命の恩人の冒険者達が殺されて死んで帰ってくるかもしれない。だから明日エリスに相談しよ・・。
実はRPGの設定は奥が深いものなんです。ゲームをやっていると矛盾や不明な点が見つかる様に、魔法(魔術)は無属性も含め属性ごとに【強い】や【弱い】ものがあります。




