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生活と戦闘 4

 とりあえず魔法使いとヒーラーは魔術を、ナイトと戦士は技を覚えるため、18、17日特訓をした。

 エリスの守護残り16日、


 宿屋のご主人のノック音で目を覚ます。


 天井を見れば別世界で、


 隣を見れば異世界。


 習慣になっている()()()に着替えて、みんなと宿屋を出る。




 宿屋から出て歩き、街外れで立ち止まった。


「今日の予定は午前中に図書館で調べものをして、午後は戦闘のための特訓よ」

 

 最初の目的地は図書館、その言葉に従いエリスの後をついて行く。



 歩きながら、

「えっと、あの光球が真上にきた時がお昼になるから、その後は戦闘で・・」

 普通のゲームなら、単に鍛えれば着実にダンジョンはクリアし、またボスを倒せる。だが、その鍛錬も現実では時間管理が必要になる、それはリーダーの俺の仕事だった。




 エリスは街の図書館に入っていった。ドラゴン発見の見出しが目に入る、文字は難なく読めそう。


「入館には5Gold必要です。本は入っていた棚と同じ段なら、どこに戻しても構いませんが閲覧後は必ず返却下さい。絶対持ち帰らない事。それと傷つけないよう大切に扱って読んで下さい。

 もし破れた、記述がない、と言った場合は受付へお持ち下さい」


「はい」

 俺たちは5Gold支払う。


「図書館の資料を貸りる時は、500Goldが必要になりますのでお申し出下さい」


「うん」



 図書館内を歩く、ざっと人は十数人くらい。ドラゴンの発見で一躍有名になったアルスが持ち込んだ情報が載った本が人気で、今も入館者が多い。俺達が来るまで何日も経っているのに、まだまだ人気は衰えない。


「!」


「ねえねえお父さん、ドラゴンは空を飛べるモンスターなの?」


「本では、そうみたいだな」


「そしたらさあ、それに乗ってここから飛んで違う街に行こうよ」


「そうだな、生け捕りにできたらな」

と二人の親子が話し合っていた。 



「なあ、メランダ?ここはフロートでいけないのか?」


「無理よそれは、上空にだけ住まうモンスターがいるって曰くがついてたから」


 普通のモンスターでも飛行しない上空か。ということは岩壁の高さは、曰くつきの上空より下になる。



「ダンジョンを攻略すれば、ギルドランクが上がりベスト五位に入る事もあるぞ~」


「それは夢のまた夢、もしそうなったら酒場貸切だ」




「明日には橋が完成するみたいだぜ」


「そりゃー他の街へ行けるかもしれないんだ、街の建築家ギルドたち全員で作業するわけだ」


「どんな物がとれるか、うはははは!」



「私、もっとすごい魔術を使ってみたいのよねー。もっと、こう致命的な傷の跡まで消えてくような、そんな魔術書があったらいいなぁ」



「盛り上がってるな」

 ダンジョンをクリアすれば新天地にいきつくかもしれない。これは歴史が動くことになるなと思った。


「そうですね」


「当然、こんな辺ぴな場所でこれ以上珍しいことはないから。人々がオアシス湖やツリーシードの森を発見した時以来かしら、あそこに移住した人も多かったし」


「エリス!それって大きい街なのか!?」


「え、ええ・・。手を離して」


「おぅ」


「俺はこの街と同じだと思っていた、もっと知っていればあんな目にあわずに済んだのに」


「行ってもやられてたわよ」


「それは言えない」


「湖や森にしたってモンスターがいると思うわ。どちらにしろ負けたら死ぬんだから一緒でしょ、ねえエリスさん」


「そうね。でも橋が完成しても私たちはダンジョンへにしばらく行かない予定よ」


「それを聞いて安心した。俺たちドラゴンに殺されかけたから。失敗の教訓だ、ほら皆」

 俺はメニューの履歴・モンスターに記述されたドラゴンの解説を見せた。


「ホントね」


「あれ?」


「????ってなんですか?」


「俺もさっぱり」


「まだ何か隠しているのよ」


「竜の玉だったりして」


「はははー、それなら怖くない」

 だが俺は知っている。ダンジョンには他にも武器を持った攻撃力の高い戦闘用モンスターがいることを。


「ところでダンジョンは発見にならないのか?」


「ふぅん?」

 アッキーは何も言わない。


「聞いて見ては?」


 受付に尋ねる、

「ダンジョンは以前から噂話にありました。図書館の書物の中にも記述がいくつか載っていますので発見扱いにはなりません」


「そうなんだ」

 少し残念。


 同じ図書館でも、元世界では歴史、地理、文学と分類事に分けられているが、ここにはそれがない。

 さらにタイトルと内容が異なっていて、思う様に情報を探し出せない。

 受付に尋ねても、お安く閲覧できるように情報を調査し買取するため、記述方法については教えてあげられませんとの回答だった。


「手当たり次第、本を読むしかないわ」


 この本は何だ?珍奇な道具としてスプレッドクローズ、ホッピングボール、コンタクトピンのアイテムが挙げられている。情報者は不明だが、何かの役に立つのだろう。たまに出回る希少な道具で、入手方法はアイテムショップと書いてあった。

 読んだからと言って得があるとも思えないが、この街の生活について理解できそう。




 そろそろ、朝昼食の時間だろう。

 買い出しは俺とアッキーが引き受ける、女たちには食事の場所取りを頼んだ。


「アッキー、スキルの方は覚えられたか?」


「遅れてる、もう少しかな」

 自信がなさそうに言うアッキー、


 明日は橋が完成するから街は慌ただしく、人は明るかった。 



 市場の階段を上がると籠の中の食料が何と空っぽだった。


「すみません、今日は完売です。人が多くて売切れました」


「まずったな」


「うん」


 明日のダンジョン冒険へ行くため皆が買い溜めして完売していた。それでもテントさんの知人である俺たちはデュラムパンと水を手に入れた。 




 俺達が食料を調達し広場へ行くと、


 女三人がスプレッドクローズの上で仰向けになりブリッジポーズをとっていた!?その形はピラミッドのような形である。

 こんな所でピラミッドはしないよな。アングルを変えると、どれ?ローブの隙間が見える。そのローブから入ると中にはお宝が眠るって?それはないない。


「え"」

 モニカさんと目が合った!


「何してるんだ?」


「待っていたわ、ちょっと戦闘前の準備体操ぉ」


「コホン!・・・ぃぃか」

 曲線が!膨らみが!公衆の面前で何とハレンチな、でもエリスまでやっていたのでちょっとびっくりー!


「う~ん」


「ぐぅうう」


「おい、周囲に怪しまれるぞ」


「いいのぉ」


 それはいいいのかよ、俺たちが来るまでお前達は人の目線に気づかなかったぞ。


「怪しまれるのなら止めましょう」


「そうですね」


「はい」


 おー戻ったか。まあ俺が間に寝そべって俺のハーレムさみたいな感じにしてもよかったんだけど、そうだ!俺はそれをまだやっていないっ!焦って話しかけてしまったぁー!!


 おっと、皆がいた。

「どうしたんだ?みんなー」


「橋が完成する話をしていたらブリッジというストレッチを思い出してさぁ、それでエリスさんに教えてあげたの」


 俺の想像と常識を超越した三人、『ローブでブリッジ、ストレッチ!』と呼べる誘引と魅了溢れる光景に俺とアッキーの二人は見事引きつけられていた。


「体も痛いですし」


「体が軽くなったかしら」


「うんうん、そうか」


 やるなNo1キーパー、ダンジョンめ!!お前ほど巧妙で奥が深い奴はいない、街の皆をお宝で魅力し惹きつけ虜にしたか!!!


 はぁはぁ、さすがの俺も危なかったー。俺たちまでダンジョンに囚われる所だった。しかし、俺を魅了するには、一万年早いがな、はっはっはっはー!


 アッキーは顎に手をやったり、笑っているライムをじっと見ていたのだった。




「いただきまーす!」

 それぞれ特訓を振り返りながら思い思い朝昼食を食べた。


 これほど戦いとは厳しいものなのか。

 戦闘が始まる前から、皆を『捕虜にして自由を奪う魔術』がかけられている。ただ、俺はその魔術に気づいている。その第一発見である俺だが図書館に報告しておくべきか否か、迷っていた、もぐもぐ。

 まだやっているライム、妄想はさらに膨らんでいた。




 午後から特訓。カタリナは昨日と同じように、より高位の回復魔術を練習する。


「広げよ、いやしの輪!」

「マドレヒーリング!!」


「クィイ―――ン!」

 ロッドが揺れ、持つ手も揺れる。ギュッと力をいれ揺れを抑えようとするが微かに動くロッド、力がかなりいるのだ。カタリナは顔が少し赤く、額に汗をかいて目が険しかった。

 見ていると魔術の特訓はロッドから発動した光の熱気や振動があり、体力が必要なことが伝わった。



 俺も負けていられない、モンスター相手に技を磨く。


 俺は一度、死にかけている。

「ダッシュ、一刀」


 あの時、死んでいてもおかしくはなかった。

「ダッシュ、斬撃」


 俺は何て弱いんだ。もっと強くならなければダンジョンへは行けない。

「ダッシュ、一刀、斬撃」


 速く強く鋭く巧く剣で切り裂く。突き刺す、絶対に負けないように何度も練習する。


「ダッシュ、一刀、斬撃」

しサンドワームとペンタンの体を剣で斬る。


「シュパッツ!サァア・・・・」

「シュパッ!サァア・・」


「ズババッ、ザザザザザー!」

「キー!パタッ」


 はぁはあ、はぁ。休憩の途中三人を見る。




「モニカには新たな魔術を覚えてもらうわ、一度見せるから見てて」


「はい」


「飛べ、怒り怒る炎の球!」

「ファイアボール!!」


「ボウワァッツ、ズズー―――ーッツ、ゴゥンッ!!」

 空中にいるモスグリーンに炎が燃え移る。


「パチパチチチチ!!」


 そしてモニカさんも真似してやってみると炎の玉が勢いよく飛んでいった。


「ボウワァッ、ゴゥンッ、ドドドォ!」


「直線的には飛ばないけど、そんな気にしなくていい」


「きゃーエリスさん出来たー!これだけは覚えたかったのよね」

とエリスにタッチするモニカ。


 モニカはファイアボールを習得した。


「ファイアボールとファイヤーボウ紛らわしい名前ねぇ」

 メニューのスキル、魔術を見てエリスに言うモニカ。


「詠唱や魔術名を小さく言えば、他の冒険者と戦闘になった時役に立つわ。口元の動きでは見分けがつきにくいもの。


「そっかぁ」


「火力はファイアボールの方が大きいけど、速度はファイヤーボウの方が早いから使い分けて!」


「それが二つ揃ったのね♪」




 それに遅れて、”マキヲワル”と口パクで言ったアッキーが振落を完成させた。俺のメニュー履歴の表示にもそれが表示されていた。アッキーがサンドワームに放った渾身の一撃である。

 汗だくになったアッキーはそのまま膝を地面に落とし正座した。そして尻餅し休憩に入る。


 よく耐えて練習したなアッキー、上手く出来ない時ほどやる気も失せるし体にも力が入らない。




「体でモンスターを感じる。五感を総動員して敵に反応、相対し反撃、次も朝から夕まで特訓よ。たまに夜まで延長するから準備しておいて」


「夜に戦闘して体はいつ休めるんだ?」


「ダンジョンでは朝も夜もない、休める所まで休めないから」


「それなら頼む、夜から朝までにするのはどうかな?少しずつならしていくという感じで」


「その方が都合がいいかも」

 手厳しくなったエリスは、これからどうなっていくのか心配だ。




「うああっ!!」


 突然の悲鳴、誰の声だ。


「あっち!」

 エリスが指さした方にボルフライに掴まれた冒険者が見える。日が暮れてきたのではっきりとしないがその影は人、そしてさっきの声は男。仲間の冒険者が地上で追いかけている。


「いくぞ!!」

 俺たちは全員ボルフライが飛んでいる方へ走った。


「おい、魔術でどうにかならないのか!?」


「それが・・・放てないのよぉぉ・」

 モニカさんがロッドを持った手を、微動だにせず。


「あの高さから落ちたら死ぬわ」


「はぁはぁ、通常の攻撃パターンなら空で落とすはずだ!」


 冒険者を抱えたまま飛んでいくボルフライ。


「はぁぜぇ、エリスさん!私の回復魔術でどうにかできませんかぁ?」


「っ、できなぃ。それと、あんなに遠いと魔術が届かないわ。回復魔術は範囲が大事っ」

 顔を横に振るエリス。


「はぁはぁ」


 俺たちは、結局見ているだけで諦めるしかなかった。


 ダンジョンの開放で敵の行動習性まで変わったなんて聞いてないぞ。


「はぁはぁ、はぁはぁはぁはぁ」


「もう暗いわ」


「ぅん」


・・・掴まれた冒険者は見えなくなり、俺たちは街に帰ることにした。




 酒場メルルにて夕食をとる。


「おれたちゃバラン冒険者ギルドー、強いぞ、恐いぞ、ダンジョン行くから待ってろー」


 酒場は大盛りあがり、酒に酔った冒険者が盛大に歌っている。赤と青の液体がグラスに入っている。プーンと匂うので酒だと思う。甘い匂いもするから果実酒もあるのだろう。


 その雰囲気の中、俺たちは静かに夕食をとった。


「人が、人がぁぁ、私助けてあげられなかった」

 カタリナは目に布(酒場用)を当て、ずっと泣いていた。


「自分の命は自分で守るしかないの」


「これからダンジョンが開かれ、ここも変わると思うぞ。俺達も早く強くなろう」


「強く・」


「頂きます」

 エリスはフォーク(形がそうだから)を使いスプリゲティを食べていた。


「俺も食べよう」


 お腹は空いているのに食欲が失せる、しかし口に料理を押し込んで食べた。




 体を洗いに教会へ行くと、すごい人だかりである。


「どうしたんだカタリナ?」


「ちょっといいですか」

 そう言って祭壇の方へ行き、手を合わせ目を瞑る。


 俺はシスターに尋ねると、

「明日ダンジョンに行かれると言ってギルドの方々が体を清めにいらっしゃいました。それで昼夜お手伝いしております」


 体を洗うまで相当待たなければいけない。


 教会から出ていく男たちが話している。

「ダンジョンに行ったら次はいつ洗えるか、体は先に洗っておくのが正解だな」

「それよりお前太ったよなー」

「これは筋肉だ」



 また教会の中で婦人と女冒険者が話す。


「あら、あなたなぜ体を清めに?私は主人が橋の建設を無事終えたからそのお浄めとしてきました」

「ダンジョン内で、神聖な場所があった時のため清めています」


「長い橋だから気を付けて下さい。川のモンスターが襲ってくるかもしれません」

「それを聞いて安心したわ。それを知ってさえいれば、こちらも対処できます」


 情報は命だ、常時神経を集中するなど到底できない。情報で使い分け分け体力を温存するわけだ。


 時間がかかったが、俺たちも体を洗い終わった。




 宿屋に行くとご主人がこちらを見ていた。


 何やらエリスに照準を合わせている。


 ご主人は瞬き一つせず、丸い目のまま顔を動かした。


「どうしましたご主人?」

 ダンジョンの見張りによくある銅像以上の威圧感に堪らず俺は声をかけると、


「ダンジョンへ、いか、れる、ので、すか?」

 とカタコトの言葉を発した。


「まだ、行きません」


「そーでしたかーそうですよね。このっ、このっ」

 ご主人は喜び、自分で頭をペシペシ叩いた。


 俺たちはご主人が喜んでいる隙に部屋に向かった。これじゃー、ダンジョンへ行く時は通せんぼされるな、黙って行こうと思う。


 そして部屋に入り服を干し、すぐにベッドで眠る。

 街も発展時期を迎えていますが、新たな発見がないと迎えられません。

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