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開放と変化 2

 モスグリーンに襲われたライムたち。助けを呼びに行くモニカは街に着く、たまたま道を歩いている冒険者に助けを乞い、ライムとアッキーは無事助けられたが、アッキーが瀕死の状態に。街まで運んでヒーラーを探すライムは酒場で何とエリスと再会したのだった。

 カタリナ、俺、エリスの順に階段を駆け下りる。左に曲がってしばらく進むと、入り口付近にモニカさんとアッキーが見えた。


「眠らないでアッキー、駄目よ、アッキーしっかりしなさい」

 モニカは頬を叩き、しっかり意識を保つように呼びかけていた。


 俺は入り口付近のモニカさんに走りながら言った。

「モニカさん、ヒーラーを連れてきました」



「ヒーラーが来たわよ」

 モニカさんがこちらを見る。


「アッキーよかったな、女神様のようなヒーラーだぞ」


 アッキーは限界だった。しかしその言葉に最後の望みをかけて、死の淵から目を薄ら開けた。


「あぁ」


「アッキー、意識あるの?」


「早く急いで」


「ぁぅ・・」


「ちょっと見せて下さい、これは高熱と麻痺です」


「すぐに治癒します」

 ロッドを翳すカタリナ、


「与えよう、煎じられし薬草を!」

「メディシン!!」


 緑の植物のような光がアッキーの体を覆い、熱と麻痺を吸い上げて薄れ消えていった。


「これでもう安心です。あとは消耗した体力が回復すれば安心です」


 夢の中でアッキーは良い香りがするなあと、匂いを嗅いでいた。その空気と光で包まれた中で一瞬見えた女神のような女性に心も体も癒され、その安心からか眠ってしまった。


「カタリナありがとう、俺の友達を助けてくれて」

 俺はカタリナに頭を下げた。


「そんないいんです。これからあなたの仲間になる私は皆さんのお世話になりますから」


「仲間になってくれるのか?」


「はい」


「よっしゃあー!」

 こんな頼りになるヒーラーがいれば安心して冒険ができるぞ。


「う~ん、っ」

 アッキーが魘されていた。例のモスグリーンと夢の中で戦っているのだろうか。



「ところでライムあなたたち、どのモンスターにやられたの?」

 一番後ろで見ていたエリスが尋ねてきた。


「モスグリーンと戦った」


「数は?」


「四匹」


「たった四匹に負けたの?」


「・・」

 コクリ、俺は首を下に曲げた。


「それでどうだった、夜のクリアバタフライは?」


「えっ、俺はそんなのと戦った覚えはないけど」


「夜は、そう呼ばれているの。しかもかなり強くなる、夜行性って知ってる?」


「知ってるが」


「クリアバタフライは臭いや水に敏感で、夜は特に動きが早い」


「汗か!」


「それが狙い撃ちされた理由ね。同じモンスターでも、戦士やナイト、魔法使いが戦うのでは戦況に違いが出るわよ。クリアバタフライの場合は変わらないけど職種で倒し方が違う。

 普通は、ギルドメンバー全員で戦うけど、ライム以外が弱くて戦えないとなると負け戦よ。庇うとなるとあなたが身を挺する事になる。他に何か考えつかなかったの?」


「うまく庇うことが出来なかったから、俺は敵を倒すことを優先したんだ」


「その話、私が口を出してもいい?」

 モニカが言った。


「いいけど何か?」


「私たちはここに来たばかり。まだ知らないことがたくさんある。もっと教えてから説教してくれません?ライムにしたって、教えてそんな日が経っていないんでしょ」


「何言ってんの?ライムは十分に習ったの。それなのに馬鹿な事をする」


「馬鹿はあなたじゃない。そんな変な格好で偉そうな事言わないでよ」 、


「これは、魔法使いの格好だけど」


「そんな布きれ一枚を巻いた派手な服がまさかぁ、うふふふっ」


「くすっ、もしかしてあなたも魔法使いを選んだのかしら?」


「そうだけど悪い?」


「変な格好は私の台詞、あなたの服なんて、穴と傷だらけでみすぼらしいわね」


「は~っ?これは編み目、パンツは生地から色が抜けるとこうなるの、つまりお洒落ってわけ。あなたなんて恰好がヒーラーじゃない。魔法使いが白と青が混ざるローブ着る事、絶対にない」


「これから私がライムたちに二十日間教えるんだけど、あなたには教えない事にする」


「それって仲間外れにするって意味?うわっ意地悪おばさん、見た目に騙されないわ、あなたはおばさんでしょ!そうでもなきゃそんな事はしないわ」


「ちょっと二人とも、こんな所で言い争うのは止めて下さい」

 俺は二人を止めに入った。


「ライム、ちょっと見ない間にこんな派手な女に魅了されたの?だからモンスターにやられるのよ」


「魅了されてませんし、アッキーがやられたんです。アッキーはゲーム・・」


「ストップ、喧嘩はよくないよ」

 アッキーは起き上がり言った。そして、

「ここで喋るのもよくない」

と皆の顔を見た。


 よかったいつもの優しいアッキーが戻ったぞ、俺はアッキーの復活を喜んだ。


「も、もしかして皆さん全員いせ・」

 ここにもう一人いた、カタリナの方を見る皆。


「しーっ!!」

「しっ」

「シーッ!」

 とエリス以外が止める。 


 俺たちと同じ異世界人がここにもう一人いた。他にもいるのか、詳しいことが分かるまではこちらから素性を明かすわけにはいかない。


「メガミじゃなくて、カタリナありがとう」

 アッキーがカタリナにお礼を言う。


「どういたしまして」


 アッキーの目にはカタリナが女神様に映っている?ヒーラーの格好ならエリスも見えなくもないが。


「アッキー、かなり魘されていたぞ。夢の中でもダメージ喰らってた?」


「えっ、そうだなぁ。滅多にないことで、そのショックに苦しめられていた」


 女神様に出会ったと思ってるのか、かなり回復が増幅されたように感じた。


「でもよかった」

 仲間が助かって嬉しかった。これでもし俺や仲間が死んだりしたら、ここでの環境が全く異質なものに様変わりする。瀕死状態で、あれだけ慌てて必死だったから。


「それよりエリス、ダンジョンで死んだ仲間たちがどうなったか聞きたいんだ」


「もう遅いから宿屋で休みましょう、その話はそこでする」


「ああ・・」




 酒場から移動後、街を歩いていた数人が、ライムたちの話に耳を傾けていた。


「さっきのアッキーだっけ?」


「助かったって」


「そりゃーラッキーだったな」


「ここで、ヒーラーが見つかるとはツイていたな」


「俺たちもヒーラー、もう一人探しておくか?」


「そりゃーいい考えだ。でもよ、この街の奴らみんな同じこと考えてないかな?」


「いーや考えてない。うちらはアイテムもあるしダメージもそんなに喰らわないから。それにヒーラーは簡単に見つからない」


「そうだ、簡単に見つからない」


「さっき、ダンジョンって言ってなかったか?」


「ダンジョン!?」


「噂があったんだよ、過去にあるとかどうとか」


「一度、探してみるか?」




 宿屋に着くと二部屋分、お金を支払い部屋に移動した。ご主人は相変わらず女性客が好きなようで恨めしそうに、こちらを見ていた。


 一度アッキーがいる男部屋に全員が集まることになった。大事な話だ、全員に聞いてもらおう。


「みんなちょっといいか、アッキーの周りに集まってくれ」

 病み上りで寝こんだアッキーのベッドに腰掛け、話をすることにした。


「エリス、それで俺の仲間はどうなったんだ?」


「その前に向こうの世界のことは皆に言わないって約束して。もしこの世界の街の住人が異世界人の存在に気付いたら、捕えられ一生、知識の引き出しのように使われるわよ」


「わかった」

「約束します」

「わかりました」


「約束よ!」



「最初にアルスだけど、彼は生きている」


「し、死んだんじゃないのか!?」


「実は生きてるわ」


「それ、お前が助けてくれたのか?」


「もちろん、ただ体に損傷があるの」


 ・・・・


「手がないのよ」


「・・・・」


「手を棍棒で潰されたの、腕は腐って手遅れで。

 私はあの後、ダンジョンを出て街まで戻ったわ。外にはモンスターがいて、時間がかかった。

 魔術で治癒できるのは腐っていない部分だけ。腐った部分は二度と使えないから。他まで腐ってしまうから腐った部分は切り落としたわ。そして皮膚を焼いたの。残酷だけど命は助けられる」

 顔を伏せ、悲しそうにエリスは話した。後半になればなるほど言葉が重くなっていく。


「ぁー」

 聞いて良いのか悪いのか、でも聞くことが俺のケジメだ。



「次にセイラ、彼女も生きているわ」


「セイラも生きてる?よかったっ、さすがエリス!」

 俺の目は感動で潤み感情の高ぶりから声が震えていた。


「でも彼女も深い傷がある」


「傷跡が酷いのか?」


「傷というより彼女、目が見えないの」


「えぇ、あ・・・」

 呆然としてしまった。


「顔を敵に何回も叩かれ潰れていたの。セイラは口は動かし最後の魔力を振り絞って顔の傷だけは治癒させる。でも急所である眼球は潰れていた、棍棒のトゲが刺さったみたい。回復魔術で再生はできない部分だから、ライム・・」


「何?」


「時間があるから、明日二人に会いに行く?」


「うん」


「誉めてあげて、死にかけたけど頑張っているから」


「わかってる」


「もし助けなかったら、あなたが戻ってきた時に怒るでしょ。それとライム、助かったんだからダンジョンの頂上までたどりついてダンジョンマスターを倒しなさい!」


 モニカさんとカタリナは顔をゾッとさせていた。


「すみません、それってモンスターとの戦いでなったんですか?それと、私たちこれから、そんな危ない事をこれからするんですか?」

 エリスに尋ねるモニカ。


「そうよ。怖気づいたのならやめてもいいから、出ていって」


「わかったわよ、出ていくわよ」


「お願いです、近くにいて下さいモニカさん」

 カタリナがモニカに頼む。


「バタン!、、、、バタン!」

 モニカは出て行った、隣の部屋に。




「アッキーさん、まだ必死に戦ってますね」


「よっぽと衝撃的だったか、アッキー生命力が強そうだ。抵抗している」


「私も眠るわね。ライム、明日はお願い」

 エリスが疲れた顔で言う。


「お、おぅ」


「私も失礼します」

 エリスと一緒にカタリナも部屋を出ていった。



 アッキーは夢の中、クリアーバタフライは一体何匹いるのか?夢の中で一匹ずつ倒しているのかもしれない。俺は明日の事を考え気が重かった、何と言葉をかけたら良いか。

 これからの仲間の事も考えると気持ちがさらに複雑になった。


 アッキーと俺は苦悩・苦痛と戦い疲れ眠る。




 エリスたちは、


「バタン!」

 エリスとカタリナが隣の部屋に入った。

「ガチャリ」


「きゃースケベ!人の部屋に勝手に入ってこないでよ」


「ここは私たちが稼いだお金で借りた部屋だけど」

 エリスは唖然とした。


「あーら、これはエリスさん?エロスさんだっけ?」


「私はエリスよ!」




「トントン!!」

 話の最中、部屋のドアを叩く音が鳴った。


「はい」


「誰?」

 エリスがドア越しに尋ね、確認する。


「宿屋の主人です」


「カチャッ!」


「何でしょうか?」


「エリス様、ルームサービスを持ってきました」

 なんと宿屋のご主人は水と布のローブを持ってきた。


「頼んでないわ」


「いいえ、あなたのローブに皺や染みができると大変です。一説によれば防具を着たまま寝ると、その防具本来の機能が下がってしまうという話を聞いたことがあります。これはタダですので、ぜひこれに着替えて下さい」

 ご主人はエリスの手の上に置いた。


「ありがとう」

 思わず受け取ってしまうエリス。


「パタ、ガチャリ」

 ご主人が自分を見ていたので、すぐに部屋のドアを閉め鍵をかけた。



「いつも私が宿に泊まるたびに寝息を聞きにきているの」


「エロスね」

 モニカが言う。


「あれっ?今のはエリスさんの名前ですよね。違う?あ!わかった、エロスってエロッスの略とか」


「パコォーン!失礼ね、愛よ、愛。何でご主人がエロっすって、のこのこやってくるのよ下心丸出しじゃない!」


「わかりました!それより頭叩かないで下さい、馬鹿になったらどうするんですかー」


「いいのよ、もう頭悪いんだから」


「酷いなぁ、今日会ったばっかりなのに」


「しらなーい」

 枕を持ったままモニカは白を切る。


「私のお姉ちゃんと同じ」

 カタリナは枕を持っていじけた。


「カタリナはお姉ちゃんがいるんだ。変な妹がいると姉は苦労するの」


「そんな苦労はしません、ねぇエリスさん」


「そうね、しないわ。さっきの話を聞いても二人とも精神的に安定しているわ」

 姉と妹のような二人の姿を見て語るエリス。


「まあ、ね」


「それでも、するべき事があるんです」


「これからたくさん困ることが出てくると思うし平常心を保たないとね」

 モニカがエリスに言った。




「ねえー、エリス先生!」

 気持ち悪く、モニカはエリスに言った。


「先生?」


「同じ魔法使いですよね、ライムと一緒に敵討ちするから魔術を教えて下さい!」


「一緒に敵討ちか・・・いいわよ」

 何故か断れないエリス。


「やったー」



 女の部屋にはベッドは二つある、これもご主人の配慮ね。エリス一人とモニカ&カタリナの組み合わせでベッドに寝る。寝そべって天井を見る三人。


「あ~、こーやってると私、生まれ変わったみたい」


「私もです」


「生きているし、現実よ」


「知っています。どうなっていくんだろう」


「モニカさん達は、考えるにはまだ早すぎますよ」


「今から考えないと間に合わないのよ」


「ぎゃぇー、首絞めないで下さーい」


 こうして宿で泊まった女たち三人の仲は、深まるばかり?であった。




 翌日、カウンターにはいつものご主人が据わり微笑んでいた。

 昨日、エリスが受け取った寝具用ローブは俺の部屋にあった。誰も使わないらしい。俺が有難く使わせてもらったが、果たして良かっただろうか?

書き溜めておいた分はとりあえず終わりで、ここは半分以上考えていました。

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