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第37話 空空(そらから)

第二章の始まりです。

 

 空を見上げると、いつもと違う無限な空が広がっていた。




 果てしなく食べられない様と色と幻想感でまるで異世界のように


「何も変わっていないか」



 誰から見ても空を見上げている奴(俺)がここにいた。分類するなら暇人か自由人かフリーターの部類に入ると思う。


 空を見上げてしまうのは空に雲一つなく空になったから?浮かんでいた雲を喰った奴がいたからか?まあたまーにそんなことがあるだろうが別段、あってもそんなことで日常の生活は変わらない。


 そう、俺は無職になった。


 それは自分の選択肢の結果であって今となってはどうしようもない。ずっと、この憂鬱感に浸っているのもなんだ、もったいない。快晴の空に希望を膨らませて、仕事を探しに行くため相棒の自転車とともに出発する。



 あれから、一体あの出来事は何だったのか?俺は自分なりに調べて答えを導いた。


・雲に梯・・・(七夕の夜にかけて)天の川で会う


・籠の鳥、雲を慕う・・・故郷を慕う



 直訳すれば『空を見上げてしまう』は俺が自由を求め叶えたいからである。


 しかし、他の訳にして初めて分かった。


 空を見上げていたのは女神のエリスも同じった。理由は誰かを探して、そこでエリスは俺を見つけた。そして俺に助けを求めた。

『自由』を求める者同士は引かれあった、そして俺は異世界に行った。

 まあ俺はエリスの彦星という展開にはならなかったわけだが、エリスとリリスがまた一緒に生活できるのなら俺のことはどうでもいいかな。



 目的地に到着、久しぶりにハローワークへ行くと、すぐに良い求人票が見つかった。採用の期待が出来そうな会社があった。年齢、資格、仕事内容、職歴、etc・・すべてクリアだ!


 これまで俺は応募の際、資格や学歴、経験という問題に直面してあきらめていた。そして資格なしで応募可能な会社への面接を繰り返していた。気づくといつしか応募できる求人票がなくなっていた。

 それからも続け一度受けた会社に応募した事もあったが、結果は不採用だった。



 俺はハローワークで求職票を印刷し受付に出した。そして話をして面接日時を決め紹介状を受け取った。あとは履歴書を用意して当日まで面接対策のため準備をするだけ。



  ハローワークからの帰宅路は何も応募出来なかった時と異なり颯爽として自転車が進んだ、風がすがすがしい。



 帰宅途中、

「チャラララ!!」


 音!?こんな音声は、しばらく聞いていない。 車や人の往来が邪魔にならない所に一旦停止、スマホを見ると、Meellの吹き出しが出ていた。


みゃあ こんにちはライムさん


シロップ ハロ!


ライム  久しぶりだな、みゃあとシロップ。お前達ノリノリじゃーないか


みゃあ  ルンルン♪


シロップ グモ!


ライム  どうした?


みゃあ  ちょっと、お話がありまして


シロップ ゲームの事


ライム  ゲームのお誘い?それならもうこりごりだ。まあ2人の話だから一応聞くけど・・。


みゃあ  シロップ話して


シロップ うん、あのね、私は以前からとあるゲームをしている。そのゲーム名は『セブンストリート(それぞれ7つの通路と処理)』っていうの。そこでアプリコットさんに知りあったんだけどライム達を戻すのを手伝ってもらったからセブンストリートでお返ししたい


ライム  それってゲーム?


シロップ うん


ライム  昼間は仕事の事あるし、夜はそのための準備があるんだ。どの位プレイ時間がかかるんだ?


シロップ ゲームにそんな時間はかからないけど1日あたり数時間位


ライム  悪い、俺は1時間が限界だ。それ以上は生活に支障をきたすかな、ちなみに何を手伝うんだ?


シロップ それならこっちでお返しする


みゃあ  ライムさんは忙しいみたいですね


ライム  すまない、じゃあ・


 俺は、そう断りMeellを切った。






 それから面接日当日、




 時間前に着いたので俺はぶらぶら時間を潰していた。そろそろいいかな、会社に入り少し待ち、面接室に案内される。




 卒業する前は会社の面接官が数人いたが今は、面接官が一人か二人。




「ほお~っ!君は以前コンビニで働いていたのかね?」


「はい、働いていました」


「それじゃーレジ出来るんだね」


「はい、出来ます」


「すごいなぁ~。僕レジやった時は全然出来なくてすぐに使え者にならないかと思って配属場所替えられたよ」


 はい?レジ出来る事でふつう誉めるか?逆に俺がレジしか出来ない無能野郎だと言いたそうだ。


「君は何か料理は作れるのかね?」


「いいえ、雑用がほとんどです」


 その質問を答えていくと最後に、


「えーっと、何か質問はありますか?」


「はい、採用合否の結果はいつ分かりますか?」


 それを何度もくりかえして面接はおわった。出来は、まあまあかな。


 ・・・・・。



 良い感じで進んだ採用結果を期待して数日後、家に届いたのはお悔みレター。この度はそちら様のご意向に沿えなかったこと残念との文面である。


 希望に胸膨らませながら明日を夢見て、いつもこの様だ。いい加減バイトで諦めればいいのにと思う。挫折に慣れっこ村井君諦めないで、なんて同情・慰め言葉を誰かに言われそう。


 ハロワ、面接、不合格通知、ハロワ、面接、不合格通知、ハロワ、面接、不合格通知の頭文字をとってハ・メ・ツの文字だけがいつも俺の周りに付き纏っている。


 俺はやる気があるうちにハロワと面接を繰り返した。

 そして1か月が経ったときだった。




「チャラララ!!」


【先日の件について】

 ある日、スマホからメールを受け取った。見慣れないメッセージ、立ちこめた雲を吹き飛ばせるかもしれない、新たな風を受け取ってみようと思いメールを開く。もしかしたら仕事の補欠採用メールもあり得るかも・・・。


――――――――

みゃあ   (=^・・^= ミャアーッツ)

シロップ (☆_・ キランッ)

みゃあ Meellを開いて下さい。

――――――――


 おまえたちか、2匹も揃って何してやがるw。期待させるな馬鹿野郎。Meellでメッセージ送ればいいだろー。えっと、ちょっと待てまて。



ライム 2人で何しているんですかw?


みゃあ  何かといえば友達作りでしょうか?それは置いておいて、この前は唐突にお誘いしてすみませんでした。奇妙奇天烈な出来事の後、皆さんが見つかった事で少し話しておきたかったのです。


ライム それはごめん、事情も察せられず・


みゃあ それででなんですが、これも何かの縁ですし、ゲームではなく実際に一度お会いしませんか?


ライム もっと唐突になりますねw。


 少し迷った。でも流れが変わるかもしれない。


シロップ ドー?


ライム  気分転換に行こうかな


みゃあ  それはよかった


ライム  アッキーは呼ばないのか?


みゃあ  一応、連絡は入れて誘ってみましたが音沙汰なしで返事がきません


ライム  そうか


シロップ ライムいつなら時間空いてる?


ライム  俺はしばらくは開いてるからいつでもいいぞ


シロップ それじゃー来月の第一日曜日は?


ライム  大丈夫。みゃあもそれでいいのか?


みゃあ  私は日曜は大丈夫です


ライム  よかった、楽しみ~




 それから数日が経ち、翌月の第一日曜日。


「えーっと」


 待ち合わせの場所は河北駅から裏手に歩いて3つに通路が分岐したうちの一番右、そこを通り左側に古びた喫茶店があるようだ。俺はスマホの地図ページを開いて歩いた。


 こんな初めての場所でも問題なくスイスイ歩けるのは、このスマホのおかげだ。


 ――――。


 「喫茶店 ANYYOU、ここだここ」


 古い喫茶店だが自宅からの距離を考えると、ここが一番皆から近い場所らしい。シロップとみゃあが見つけてくれたのだろう。俺たちは都道府県を跨いでここまで来た、あくまで地図用なので立ち止まり確認する。


「リン!」


 入り口には小さな鈴が付いている。お店の人に見られそうだなと思って中を見ると、カウンターの中に一人しかいなかった。


 俺は店内のテーブル席を見回した。一つだけ人がいるテーブルがある。しかも女三人に男一人で他に客がいないことから待ち合わせのメンバーだとわかった。初めての喫茶店で、かつ初対面の人から注目を集めることは緊張するので、偶然立ち寄った客のふりをしてテーブルの前まで歩いた。


 テーブルは店内の角にあり座れる席が六つあった。まだ他の客か区別がつかないはずだ。



 コンビニの要領で挨拶といこうか。俺は学校を卒業してから久しく、他人とまともに話したことがない。同級生とも話しておらず、初対面でどう声をかけるべきか。


「初めまして、ライムです!」


 演技の自分、でもこれは目指す自分でもある。こんな明るい自分を演じるのも何年振りだろうか。


「ラ、ライムさん!?」


と、みゃあが焦っている。



「ぶふっ!」


 モニカさん、なぜか笑う。あっち向いて誰だ?俺、生まれて初めて自分が恥ずかしいって思いましたよ。


俺は目線を反らすと、


 ちょっとしたを見ると、こちらに上目使いで視線を送る女性、


「やあ」


 シロップと思われる女の子は帽子を引っ張り、コートを纏っていた。明らかに年齢を隠しているがその台詞は健在だ。


「何で笑っているんですか?」


 俺、何かついていますか?


「どうしたの」


とみゃあさんが聞く。いや隣の御人が笑った理由がわからないから気になってしまう。


「私でしょ。いやー、ちょっと驚いちゃってね。実はこんなに若いとは思ってなかったのー」

とモニカさん。


「ももももも、もしかして」


「そのもしかしてのモニカでーす」


 シャープする髪をクルクルと巻きながら笑顔の女性はモニカさんである。大人らしいと言うか女らしい。年齢も三十代の顔だ。


「これは始めまして」


 でーすって今何歳だよ。ゲームでもこうだった、俺とモニカさんは出会いで戸惑った。


「よして、もうあっちの世界では友達以上なんだから」

と言ってウィンク一つ。



「きゃ、友達以上ってどんな関係だったんですかぁ~?」

とみゃあが俺達二人を冷やかす。他のメンバーも注目。


「いやっ、別に変な意味じゃー」


「そ、そうよそうよ。何言ってるの・・ 」


 モニカさんがみゃあの体を叩くと、みゃあは笑っていた。


「あはははは、はぁ」


「タッ!」


 皆さんお集まりですねー、ロングコートにお洒落なシャツをきて帽子を被った顔が良く見えない人がやって来た。見るからに秋らしい装いである。


「は!?」


 まさかアッキー?


「誰ですか、それ?」


「まれ!」


「おお!その挨拶は」


 席の前、ちょうど通路側にいる帽子を被った女性が顔を上げた。その円らな瞳は煌めいて、顔はあどけない。やはり子供かシロップである、モニカさんの予想が見事的中していた。


「シロップです、よろしくお願いします」


「こちらこそ、私はアプリコットです」




「皆さん始めまして。以前は勝手に帰ってしまったアプリコットです。私はこちらゼロと、とあるゲームをしたことがきっかけで知り合いました。それでその話を聞いて先日、ルーレイの世界にお伺いさせて頂きました」


「ええ、その話からするとゼロはシロップのことなの?」


「あー私は、また話を勝手に続けていました。説明べたですので」


「!」

 シロップが何かに気づく。


「いいから、私が話す」


「そうですか?」


「私はこのセブンス・トリートのアプリをやっていて、アプリコットさんと知り合った。私はそこでゼロという名前を使っている」


「言っていいのか?」


「もうアプリコットさん言ったから」


「やあやあすみません、軽はずみな言動が多くて」


「ここから“やあ”がきたんじゃないか?」


「シロップはマーマレイドやマンゴーでもよかったんじゃない」


「ゲームした時はアプリコットの存在を知らない。それに名前はきちんと考えてつけたものだから。私の名前は佐藤一十美、足し引きゼロでその名前をつけたの」


「恰好良い名前だな」

 俺はワザと言った。盛り上げる気持ちでw。羨ましい、庄ってどうすればいいんだ、少し照れているゼロこと一十美。


「それシロップも名前が、かかっていない?」


「だからいずれ分かるから先に言った。あとこれから重要な話をするから本名を名乗るのは当然」


「そうなんだ」


「うん」


「じゃ話すね。私は少し前までこのゲームをやっていた。そしてアプリコットさんと知り合いになったの」


「そこからは私が話します」


「わかりました」


「私は、これまで全てのアプリゲームをやってきました。簡単なものから難しいものまで分け隔てなく。 そしてクリアしバグや情報を盗む設定まで見つけ出しました。今回はその知識を応用しゲームにリンクした、つまり異世界にハッキングしたわけです。

 こちらの一十美さんとは、先ほど言われたようにセブンストリートというアプリで知り合い、一緒に行動させて頂きました」


「このアプリコットさんは、ほとんど留守だけど戦闘無敗を誇るNo1プレイヤーなの。私は何度もアプリコットさんに助けてもらいました」


「助けてだなんて、私は沢山ゲームをしてきましたから当然です。それで閉じ込められた仲間という話をゼロから聞かされた時、最初はどうアクセスしようか困り果てました」


「アバターみたいなものは俺の目でも確認しました」


「はい、こちらから向こうに行ったんです。向こうからこっちにアクセスしたんです。繋がっているじゃーありませんか、その後を調べただけですよ。私にとっては単なる電波ジャックといいましょうか、クッキー集めというか」


「すごいんですね」


「そんなの神レベルのスマホ達人でも出来ない事じゃない?」


「はぁ~ははは、そんな神だなんて・・」


「すごーい。私は普通のパソコンソフトで迷うのに・・」


「そんな驚かないで下さいっ、驚くのはあんな異世界があった事です!」


「そうだ、それであの後どうなったの、ライム?」


「すべてエリスに説明してもらった。夢かもしれないけど・・」


 結局アルスとセイラには挨拶なしになったが、夢の中でエリスに俺が宜しく言っていたとは頼んでおいた。もしかしたら夢の中で会えることがあるかもしれない。

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