第34話 ダンジョン17階層 古びた書庫と実験的研究
エンシェントドラゴンの装甲を見事破ったアッキー、ドラゴンは空から沈没した。万全の体制で挑むためライムたちは一晩泊まり体力を回復させる。
ダンジョン17階層 古びた書庫と実験的研究
朝、起きる。こんな場所でも眠れるのでおかしな話だ。まあ、ここはモンスターがいない分だけ安心である。
食料の調達もギルドメールで元メンバーのアルスに頼めば何とかなるだろう、この世界の最初の仲間で友達の彼に。
朝食を軽く済ます。
「食事まで緊張するなぁ~」
「そうですねライムさん」
「うん」
とアッキーは笑顔で答える。
「作戦はどうするー?」
「そうだな。どんなフロアか分からないと立てようがない」
「見てからにしましょう」
「はいっ」
これまではフロアとボスと、その外見から作戦を立てていた。俺たちは、真っ直ぐ進み扉を開いた。
!!
扉を開くと真っ白な空間が広がっていた、異様な臭いが漂っている。そのフロアの右にはケースのような物が置いてあった。
「あっ、あれ!」
「何かいるよ!」
「行ってみましょう!」
「これは!!」
生物が環境で進化した亜種などではない。キメラだ・・・、キメラがいる。それも不完全に体の胴体や足がくっついたキメラ。鳥のような頭と胴体(黄土色)に灰色と緑色が混ざった馬のような足と、とても大きなコウモリのような翼(黒色)がくっついている。
しかし体は接合部で合わさらず肉が抉れていた。腐っているのか骨が見えている。合成が上手くいかなかったのだろう。
このキメラは透明な大きな管に入っている。ホルマリン漬けにしてあるのか中は色の薄らついた液体に満たされていた。
もし、これが研究ならダンジョンマスターも人間という可能性が出てくる。隣には別の動物の体がある。しかしこれは体の一部のみであり、保存・保管されている状態だと思う。他には、
「おあ“っ!!」
人間のような体の男が透明な管の中に入っていた。その男は目を瞑ったまま、しゃがんで膝に手をかけている。
「ライムさん、どうしたんですか?」
カタリナが俺の後ろから覗き込むと、動きが止まった。
「きゃあっ!人間がいます」
「どれよー!?」
「うわあ、本当!!」
モニカが驚く。
「・・・っ」
その管の中の男が動いた!
「うっ、ごぼぼっ、ごはっぐふぁあっ。ごおおお、だすげてくれぇえー」
男が急に目を開け溺れた。そして周りの液体を飲みこんで苦しむ!
「なになになにー!!動いたわよ。助けてくれって叫んでるー!」
「このままでは息が詰まって死んでしまう、容器を壊せ!」
「壊すよ!」
「ゴォーン!」
そう言うとエルドラは思いっきり蹴った。
「だめ、硬くてヒビもはいらない!」
「アッキー、斧でぶち壊してくれ!!」
「わかったー」
そう言うとアッキーは透明な管めがけて斧を振り下ろした。もちろん上の角の方に少し当たるように振り下ろしていた。
「カシッ!カシュッ、シィイ、バリィーンッ!!!ガラララガラララ!!バシャバシャシャシャー!!ガラガリン!!カラカララ!!バシャ」
「おい、しっかりしろ!」
「ああっ、お前達は、ごほっ!がぁあっ!!ああ・ああ・ああっ・・」
「ドサッ」
「心臓が動いていない」
その男は死んでいた。
「ドラグケア!!」
カタリナが急いで回復魔術を唱えたが、その男は二度と目を覚ますことがなかった。
「おい!おい!目を覚ましてくれ!!」
俺たちが壊したせいで男は死んでしまった。俺たちが殺した、そう言われても否定できない事(罪)を俺たちは犯してしまった。
「おいおいっ!!」
「おきて下さい!!」
「おじさん!」
「死んでしまったの?」
モニカさんが尋ねる。
「・・・・・」
俺は答えられなかった、そして誰も答えられない。
「こっちにもあるよ」
「ほっときましょう」
「そのつもり。だけど、この女の人は死んでいるよ」
この管から出さなくても死んでしまうようだ。
この透明なガラスの管は隣にもいくつか続いていた。男だけでなく女もいて、全身裸体である。どれも目を閉じて眠っていた。そして体から微かに鼓動を感じる、音を立てないように気を付け、そのままにしておいた。
助けたいが助けられない。仮にダンジョンをクリアしても、ここには誰も入れないほうがいいと思う。
こちらにはやけに白い肌の女がいるんだ?どうやら人間のようだがホムンクルスだろうか?今も実験中なのか、あっちの方では中で肉片が動いている。
「どうする、あっちも確認しておくか?」
「どうしよう?」
「そうね、この透明な管は実験に使うものみたいだしそれが分かったのならいいわ。他を当たってみましょう」
俺たちは移動する。位置口から見て、このフロアの右には透明な管、左に魔法陣や実験道具、奥には本棚が置いてあった。中央には小さなテーブルが置いてあり、そこで実験が行われていたようだ。
小さなと言っても、この白いフロアの中では小さいと言う意味だ。普通の机と比べればかなり大きい。魔法液やら生物の細胞やらが所狭しと置いてあった。
「ここは実験室で間違いないよな?」
「でしょうね、ほらこのビーカーの中なんて液体が動いているわよ」
「これ面白い。持って帰ったらダメ?」
「ダメだ。エルドラそれは遊び道具ではない」
それは、生きているように動いていた。
ビーカーのような容器の液体は何かを形作る様に盛り上がったが力尽きたのか水平な状態に戻った。
「あれっ」
左の方には実験道具として異国の器具や専用の医療道具一式。また床には魔法陣が描かれていた。魔法陣はミミズが走ったような線が走っている。これで召喚しているのか、移動するために使うのか分からない。
「どうしよう・・」
俺はみんなに話しかけた。
しばらく見回していると、
「血が・・」
アッキーがそう言ったので指さす方を見るとテーブルの下に血痕のような跡がついていた。
「誰かケガをしたのかな」
「さあ・・何とも言えないけど」
「この血液量なら大丈夫そうですね」
「ここは病院なの?」
「いや、これは実験に使ったんだと思う。こんな所で治療ってないだろ」
「そうよね」
「ここは誰もいませんね」
カタリナはメニューの履歴を見ていた、戦闘になるのが嫌なんだろう。
「う~ん、誰もいないのならとりあえず本から調べて見てみましょう」
「うん、罠があるかもしれないから気を付けて下さい」
いきなり罠でバボーン!!とやられて死んでも復活なんてしないからな。
「もっちろーん、これでもゲームではリーダなのよ」
モニカさんはいくつもある本を罠に気をつけながら無作為にとった。
「コトッ!」
「あっ、これ大きい~」
「どれにしよう~、これだっ!」
どうやら大丈夫そうだ、俺たちも後に続く。本棚から少し出ていた本を俺は手にとった。
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~地形の変動について(設定)~
地形変動を行うには自然界におけるルールがあり秩序を乱したような設定はできない、共存が求められる。ある時にこれを否定して独自の設定を構築をする者がいた、その結果、地形崩壊が起き生物消滅を引き起こした。地形ができるまでには、活動する生物や物質その他、自然界の活動が影響している。
――――――――――――――――――――
俺は読み上げた。
「意味が分からない・・」
「どれ?見せて!」
エルドラが尋ねるので俺は本を見せた。
「ふむふむ、これ地形は自然だから自然のままにしなさいって言ってるんだよ」
「あーだな」
「あーっ、馬鹿ライム聞いてない」
「バカバカ言うなよ」
「えへっ、あははは~!」
「ったく・・」
そんなことは知っている。地形は変動後変わらないってことだろ。だからダンジョンマスターが作ったこのダンジョンでも変動後はそのままになっているんだ。
「ここで研究と実験を繰り返しているのよね」
モニカさんが本を読みながら俺に話しかけてきた。
「そう思いますけど」
前に実験をした形跡のある場所があったな。レッドスラの仲間のマッダァがいた沼地である。
「ここをフロアにしなかったのは、ここまで来られるとは思ってもいなかったんだろう」
「そうでしょうね」
「はい」
「ねぇダンジョンマスターは、どこにいるの?」
「さぁ、急に出てくるかもしれないし出ないかもしれない」
俺はそういってメニューを開き履歴を確認した。
「外出していることはない?」
「僕探そうか?」
ドラゴン族の目を持つエルドラなら探せば見つかるかもしれない。だが、まずは情報収集だ。戦闘で役立つ情報が入手できるかもしれないし俺たちがここへ来た理由が掴めるかもしれない。ここで実験や研究をするのならダンジョンマスターでも知らないことがある、俺たちの知識ならそれを解明できる可能性がある。つまり俺たちの武器になるということである。
俺たちには神の武器とエリスの知恵、エルドラというドラゴンエルフの仲間がいる。そのいくつかがあっても仲間が死んだ。だから決して油断できない。
「みんな、もっと何の実験をしていたか調べてほしい。それでこれからの運命が決まるような気がするんだ!」
そうだ、普通のダンジョンなら攻略の鍵や交渉の条件となるものが得られるはずだ。
「おー!」
全員は、さらに調査することになった。
「コレとか面白そう」
モニカさんが人差し指でさす。
「コトン!」
アッキーは何冊か本を手に取ってみた。
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~キメラの実験~
キメラの作成には最低、体が二体必要である。その交配方法は生殖交配(遺伝子交配)、魔術交配(魔法陣による合体)が主だ。他、偶発的な変化の誘発による製造も可能だが、いささかこの方法では難があるようだ。そこで私は~
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~ホムンクルスの製造方法~
ホムンクルスには人間の体に含まれる大量の血液が必要である。その他用いる臓器は人工でも構わないがその培養に日数が要するのと成功する可能性はほとんどない。さらに成長を促進させるような作為的な刺激は体の崩壊を招く。なお~
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~魔法構成~
異世界での魔法構成を記述する。魔法は主に水、火、土、風を四元素として成り立つがこれにいくつかの元素を加えることができる。さらに~
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他、【オリジナルモンスターの作成】【モンスターコントロール】【メニューの作成】などの本を手にとって読んでいった。
その中で、この世界を作ったのがダンジョンマスターであることが分かったアッキーは本を開いて床に置いた。すると全員が気になったページを開いて床に置いた。そして全員が床に置いてある開いたページを読んでいった。
本はどれも読める文字(言語)で書いてある、文字が多く絵は少ない、トラップといったものがないのはダンジョンマスターが専用の部屋にしているという証拠である。
俺はテーブルに置いてある1冊の本を手に取った。
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~異世界探究者~
他の世界を応用し世界を構築する術を施そうものなら、この本をぜひ手に取ってもらいたい。これは夢や幻ではなく現実であり、その世界で実験するための術が書かれている。その世界にあるものを製造することも可能だ、現に我々はこの方法で他の世界の物質や生物を魔術による製造方法以外で作ったことがある。
ところで精霊やエルフといった特殊な生き物が住んでいることがあるが、これらはその世界に召喚された可能性が大きい、その証拠に魔力供給は断たれておらず/
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一冊のうち、以下のページが切り取られていた。
「切り取られているぞ」
「興味深そう」
「破ったわね」
「あやしい、ここがダンジョンマスターの部屋なら誰もこないから破る必要がないじゃん」
そうエルドラの言う通り!この本は、この世界とダンジョンを知る上で必要な本だと思う。こういったものは街の図書館には一冊も置かれていなかった、超レアな代物だぞ。
「おい、これは!」
床の端っこに置いてあった本だ。
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~街の発展~
街に家が建てられれば人は増えていく。人が増えていけば、さらに大きな街が必要になる、もしそれが足りなければ溢れかえった人は死んでいく。そのために湖や木々のある場所、ラクーダや馬といった乗り物、食料採取できる場所を順次増やす。
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この世界の事が書かれた本である。逆に言えば街にあるような本がダンジョンの中にあることも普通はない。以前アルスさんに聞いたことがある、この世界の歴史だ。
「ライム、それがあるということは街もダンジョンマスターが作ったということになるわよ。間接的にだけどね」
「実験のために作ったとでもいうんですか?」
「正解よ!」
「酷い、それじゃーここにいる人たちは実験をされるために生まれてきているんですか!」
「ダンジョンマスターは少なくともそうでしょうね」
「なにそれ!」
「待って待って」
アッキーが止めに入る。
「二人とも静かに!」
そんな大声では気づかれてしまう。人間もモンスターもどこかから来ていることは知っている。
「皆、私たちと同じように連れてこられたの?」
「同じ人はいたよ、もう倒されちゃったけど・・・」
「そうか。人間は空間にポンと出ているように見えるんだがどうだろうな」
「そのポンなら、あそこの方が怪しいよ、本にかかっている埃が少なくないし」
エルドラが言う。
「そうだな!?」
本当は動かしていると言いたいのが分かった。確かに言われてみれば本の棚の上の埃が少ないかも。
「みんな、棚を前に引いてみよう」
「僕がやるよ」
アッキーが言う。
―――――
「うん、せぇーの・・」
「・・・・・・・」
「だめ~」
「動くの、これぇ~」
押しても引いてもビクともしない。本棚を横にずらすってのもできないし二十分ほど調べたが結局何も見つからず。
「もう一度始めから調べましょー」
本を棚から抜いて見たり、外装が他と異なるものを調べて見たり、ただの棚の間の敷居で本ではなかったり。
「前面に倒れるんじゃないですか?」
「やってみるか、アッキー頼む」
アッキーは力を入れて本棚を支えるように前に引いた。
「う、動かないよ」
しばらく迷っていると、エルドラが草臥れて本棚の上に座った。
「ガゴゴガゴゴォオ!!」
本棚が下に下がっていった。
「おい、これ」
埃は関係なかったが、本棚で合っていた。怪しいと嗅ぎ取ったのは間違いなかった。本棚が床の高さに下がると、このフロアの上に一つの穴が空いていた。
間違いない、あそこは隠し部屋。もしいるなら、この上に!!
「あそこだな」
「いるかもね」
「その前に一度ステータスを確認しておこう」
「はい」
全員が手の甲を三回タッチしてメニューを開いた。
Nameライム Job knight EXP 2557657 Gold 59800
States
Lavel 45
Hit Point 320
Magic power -
Attack 245
Guard 258
Magic -
Magic Guard 242
Agility 230
Luck 245
スキル 技
ダッシュ、ダブルキル、ファーストステップ、一刀、斬撃、見抜き
Nameエルドラ Job doragonelf EXP 3226770 Gold 59800
States
Lavel 48
Hit Point 302
Magic power 175
Attack 414
Guard 298
Magic 256
Magic Guard 338
Agility 304
Luck 299
スキル 魔術
水魔術 ウォーターガン、ウォータースプラッシュ、レインコール、アクアウェーブ
氷魔術 アイシクルランス、ダイヤモンドダスト、スタンコールド
風魔術 ワールドウィンド、フロート、ティルウィンド、ヘッドウィンド
スキル 技
ウィンドウィング、ブリンク、クイックカット、グリタータズル
ドラゴンパンチ、ドラゴンクロウ、ドラゴントラスト、ドラゴンテイル、ドラゴンファング、画竜点睛
りゅうせいのやり、青の銀河
Nameアッキー Job Warrior EXP 2520447 Gold 59800
States
Lavel 46
Hit Point 350
Magic power -
Attack 277
Guard 266
Magic -
Magic Guard 178
Agility 155
Luck 200
スキル 技
振落、振回、ガード、アウトブレイク、トマホーク、パワーアクス、パワーキル、ディスクストライク(円盤打)
Nameモニカ Job wizard EXP 2611656 Gold 59800
States
Lavel 46
Hit Point 205
Magic power 309
Attack 205
Guard 195
Magic 255
Magic Guard 277
Agility 200
Luck 189
スキル 魔術
火魔術 ヒートバーニング、クリメート、ファイアボール、ファイヤーボウ、ファイアウォール、ファイアバード、バースト、エクスプロード、メギドフレイム
水魔術 ウォーターガン、ウォータースプラッシュ、レインコール、アシッドレイン、フローリバース、アクアウェーブ
氷魔術 スタンコールド、ダイヤモンドダスト、フリージア、アイシクルランス
風魔術 ウィンドサークル、ワールウィンド、フロート、ティルウィンド、ヘッドウィンド、エアブラスト、テンペスト
魔魔術 マジックバリア、マジックヒール
幻魔術 スリーピングスター、ブラッドマインド、シャドウマイン
雷魔術 サンダーアーク、サンダーボルト、サンダースパーク、ライトニング
土魔術 クレイモール、アースクエイク、アポカリファス、サンドストーム、メテオライト
Nameカタリナ Job Healer EXP 1970166 Gold 59800
States
Lavel 42
Hit Point 220
Magic power 300
Attack 105
Guard 205
Magic 280
Magic Guard 265
Agility 244
Luck 205
スキル 魔術
回復(光)魔術 ヒーリング、マドレヒーリング、マクスヒーリング、レイズヒーリング、マドレレイズヒーリング、マクスレイズヒーリング、ドラグケア、アンチドート、メディシン、ライティング
聖魔術 シエルアトモスフィア、エクソシストクロス、シスターロザリオ、ゴッドブレス
「全員確認できたか?」
「OK」
「いいよ」
「ええ」
「大丈夫」
「それじゃー、私の周りに集まって」
モニカさんの周囲に全員が集まる。そしてモニカさんはフロートを唱えた。
「先頭は俺に任せてくれ」
「僕二番手行くよ」
「じゃっ私は三番手で左側に陣取ろうかな」
「私は四番手右側にいます」
「僕は最後尾でいつでもガードするよ」
皆の決意がここに集まった。
そして、
「カタッ」
「コトッ」
「コトン」
「タッ」
「トトン」
何を研究する実験なのかは謎としています。本は適当に集めてみました。なお本は四千冊以上あります。




