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大フロアでの決戦 2

 一晩眠り待ったがスカルベさんたちは来なかった。翌朝、次のフロアでいきなりフロアボスとの戦闘に突入。フロアボスはステンノー、メデューサ、エウリュアレーの三匹がいる。

「ドクドクドク」

 下半身が固まっているライム。すでに死んでいるかもしれない。表面が石のように固まって心臓が脈打つが正確な心音を刻めない、血液循環が遮られ呼吸もままならないまま内部にまで石化が始まっていく!


「シスターロザリオを使ってみて、カタリナ!!」

 モニカが助言する。


「は、はい!!」

「捧げよう、数多の祈り!」

「シスターロザリオ!!」

 そしてもう一度詠唱する。

「メディシン!!」


 何とライムの石化が解けていった。


「お・・・ぇ、ほぇ?」

 俺は意識を内から外に向けた。効果を高めたからか目をすぐ瞑ったからか、魔法防御のおかげか幸い命に別状はない。石化の効力が遅かったから助かったけど本当危なかった、やっぱりカタリナはすごいヒーラーだと思う。

 1分もしないうちにそれが解けて、俺は完全に元の状態に戻った。


 その奇跡の感覚に浸っていたいが、すぐ戦いは続いていく。


 エルドラがステンノーとエウリュアレー二匹の相手をする。

「シュガッガッ、バシバシ!!」

「キィーン!キィィキキキン!タッタッ、ズッ!」

「ぁっ!」

 エルドラが危ない!俺は半開きの瞳を開けてステンノーを相手するがエルドラがいてくれるから出来ること。相手の注意が反れていなければ既に斬られているに違いない。


「雨で降らせるのはどうでしょうか、モニカさん」


「やってみましょう!」

「レインコール!!」

「シトシトシト、ポッポッポッ!」

 大フロアに雨が降った、絨毯が水を吸いなぜか霧が消えていく。体の状態異常もそれと共に完全に消えていく、水に溶けやすいのか消えていった。


「やったぁ大成功!!」

 モニカは跳びあがって喜んだ。

「ドドドドドドドド、パパパパパパパパパパ!!!!」


「シスターロザリオの効力が残っていたのね効果倍増したみたい。但し大雨だけどぉっ!」


 大量の雨にうちつけられ視界が悪くなった。


 アッキーがメデューサ目がけてガードしたままゆっくりと前進する。その巨体に驚嘆するメデューサ!だが巨体ゆえに嫉妬や妬みが湧かず力が入らず・・攻撃する。空にとんで杖を振る、その一振りが異常に重くアッキーの肩を打った。


「バシバシ!」

「う、うごぁ!!」

 鈍い音が肩でしたアッキーは眉を顰めた。

 メデューサは杖を二回振る。杖での攻撃は弱いという定説を誰もが否定する威力だ、巨体が揺さぶられていた。


「スペンサー!!」

 赤い閃光が空に線を一つ引く、その線を器用にかわしながらアッキーはスキル振回で攻撃する。



 ステンノーが剣を横に振る、一歩前に出て振る、また、また、また。俺は後退し続け剣を当てる、当てる、当てる、当てる。これまでのフロアボスに比べて少し弱い気がする。

 焦りの色が見えるステンノーの攻撃になぜか俺は違和感を覚えた。何だ?どうして急いでいるんだ・・・。攻撃を受ける度に剣から伝わる音が声のように共鳴し、それを読みとらせた。



 エウリュアレーに斬りつけたエルドラの攻撃は空振りだったが、すかさず飛んで空から斬りつける。それを手で受けるエウリュアレーに、地上で下りて斬りつけたエルドラだったが攻めきれず。すぐにブリンクし再び斬りつける、エウリュアレーに剣が少し入ったが強固な体は傷つけられず。エルドラはウィンドウィングで旋回しクイックカット。スキルを二つ連携して使用する、攻撃と補助のスキルだ。


 雨が止む。


「カッッ、カッッ、カッッ!」

 アッキーはメデューサに斧を振って攻撃する。攻撃は直前の振る前の動作で威力を殺された、あっさりと杖で受けられる。

 すごい!とは思わずにいられない防御、それでも右左に回し攻撃するアッキー、そしてまた振回した時だ、退いたメデューサにかわされると見るやトマホークに切り替えた、斧を投げつけるとメデューサは驚いだ、そんな繊細、素早いことができるように思わないから。


 すぐに盾を使いガード体勢で猛追速攻突進するアッキー!トマホークをうまく杖で弾き落としたメデューサにアッキーが盾ごとぶち当たった。メデューサは杖を振って攻撃するが盾に当たり手は出し尽くされていた、後ろに吹っ飛ばされる。

 すかさずアッキーは斧を拾う。


「スペンサー!!」

 頭にきたメデューサが魔術を唱えた、赤い閃光が一線走った。これは盾ではガード不可能である。アッキーはかわす。しかし狙いは後ろにいたモニカだった。


「マジックバリア!!」

 その戦闘をしっかり見ていたモニカさんが唱え魔術を防いだ、さらにモニカはファイアボールを飛ばした。杖を翳すメデューサは魔術で対抗する、アッキーはスキルパワーアクスでメデューサに攻撃!


「ボウッ!!」

 杖を当てパワーアクスの威力と速度を弱めかわして凌いだメデューサだったが、その時に詠唱中の魔術に支障が生じる。対抗する手立てなくメデューサの髪に炎が燃えうつった。

 緑の髪がボワボワと燃えるように揺れている。そして髪は逆立ったままチリチリと固まった、熱くないのか。


「よくも髪を!!」

「ジル・セイガ!!」

 無数の木の枝のような光の束が電子回路を描くようにアッキーに向かう。アッキーが横に動くとそれも軌道を変えた。これは追跡する魔術である。


「マジックバリア!!」

「ィィィィイン!カキカキカキ!」 

 光の木の枝の切先は魔術防壁によって弾かれたが、枝が半ばで伸びてきて横からアッキーに集まってくる!!


「トゲ?」


「うわっ、きゃあ~。なによ、これは」


「キリッ!キッ!!」


「うぐ、ああ!!」


 アッキーの首元を髪を切る光の線!血が流れる首元を抑えるアッキー。ライムたちの方にいたカタリナが走ってくる、マドレヒーリングを傷口に当てて治した。ダメージはそれほどでもないが出血多量の即死的な継続ダメージがあった。

 アッキーは盾を捨てて一時回避、だがその回避によって他のメンバーに負担以上の負傷をかけることになった。


 メデューサが魔術を唱える。

「ジル・セイガ!!」


 ライムはスキル見抜きで先の攻撃に備えつつ、それをかわす。少しずつ戦闘の中でスキルの使い方が適当になってきた。いい加減という意味ではなく様になったと言えばいいか。


 ステンノーがここぞとばかり、

「クロスラッシュ!!」


 剣をクロスに二回振る、その交差する点に力が集まりどんな力でも返せないほどの破壊力が押し寄せる。それに手を出してしまい剣がのけ反った。破壊力が俺に届く前に、その体勢のまま瞬時にダブルキルを使った。反発する力では当然こちらが負け、反発して俺はさらに吹っとんで攻撃型回避に成功した。ダメージはかなり受けている、それでも致死的ダメージではない。

 メデューサの魔術とステンノーの一撃から俺は攻撃を凌ぐ事が出来たようだ。


 ステンノーの二撃がくるまでは・・ステンノーがその後ろに吹っ飛んだ俺に接近し斬りつける!



 エウリュアレーはエルドラに正拳突き!

「グリターダズル!」

 しかし七色に光るキラキラとした光に包まれたエルドラにかわされ姿を見失ってしまう。



 メデューサの背後からモニカは魔術を詠唱、魔力は消費を極力抑え使える最大火力の有効な魔術攻撃。

「得意な炎は効果覿面のはず!」

「飛べ、ゆらめく不死の炎よ!」

「ファイアバード!!」


 メデューサを飲み込む無数の火がメデューサの魔術璧に纏わりつく。そして身動きができないほどの炎の鳥に囲まれた。



 ステンノーはライムに剣で斬りつける。だがステンノーが斬りつけたのはエルドラの残影だった、敵は左右を見回す。

 

 これはスカルベと同じ技!


 エルドラは仲間のピンチで覚醒した。ブリンクと画竜点睛をほぼ同時に使ったのだった、混合魔術までとは言わないが魔術的な回避。二つの特徴を持つエルドラはキメラである意味モンスターと言える、だから強いのは頷ける。

 エルドラはエウリュアレーを突き飛ばす。炎の鳥がいる場所へ、


 メデューサと共に炎の鳥の中に入ったエウリュアレーは顔をおさえ苦しむ。メデューサは魔術壁を張るが二人とも覆えず。

 アッキーは盾を拾い上げた、カタリナは胸を押さえるライムや他のメンバーに広範囲のマドレレイズヒーリングを唱えた。


「カタリナァ・」


「はい?」


「様子が変わったと思わなかったか・・」


「少し弱いかなと思います」


「そうだろ、敵は怪物だから勢いは変わらないはず」


「それで何でしょうか?」


「エクソシストクロスを頼む」


「は、!?」


「今度の今度は攻撃じゃなく救いのための回復、または治癒だ」


「ほら、くるぞ!!」


「この、己らー」


 髪が燃えているメデューサ。


「あんなのいた?」

 全員の髪が逆撫で揺れる、ファイアバードの炎は既に消えたのに髪がバサバサと揺れていた。相当なダメージを負ったのだろう。ただそれは髪でなく蛇であった、全員の髪は蛇で作られた髪であった。


「早く!」


「当てなくてもいいからやってくれ」


「当てませんから!」

「エクソシストクロース!!」

 そう言うと、カタリナは聖魔術を使った。攻撃呪文ではないのは承知している。そして敵を救うための魔術であることも。

 三匹の女の頭の髪が暴れている、凄いバサバサに乱れて止まらない。

「うああああっ、なんだお前ら」


「何をしたの~」


「頭が痛い痛い~」

 呪いというか、属性というか解かれて三匹は苦しんでいる。


 三匹は乱れた髪で襲い掛かってきた。少し足がふらついているのは頭で蛇が暴れているからか。


 ステンノーが剣で斬りつけてくる。

「ガンッ!!」

 何て力だ!しかし呼吸が乱れたステンノーは動作と剣まで乱れていった。ふらつくステンノーの剣を受けるが暴走した蛇が噛みついてくる。剣を押し返し一度距離をとる。噛まれて毒でも受けようものならとんでもない。


「スパ!」

「バサリ」

 それならば、間合いをとりダッシュで近づき斬る!そしてファーストステップで離れた。乱れた髪がしたにバサリと落ちた。


「シュラッ!」

 私の髪が・・・。


「よくも」

 下に落ちた髪は動き回り、蛇のように蜷局を巻いて消えていった。

 チャンスとすかさずダッシュして斬りつける。刹那、腕をたてに振り下ろしたステンノーが見えた。その前の記憶に疑いがかけられる。記憶が確かなものだと悟ると心に冷たさが走った、殺気や死線からくるものなのか。

 そして俺の顔や体が熱を出し痛み始めた。ドクドクと鼓動をたてて血が吹き出してくる、手で触れるとかなりの深手なのが分かる。

 俺はそれを左手でおさえ、足元を思いっきり蹴り上げ絨毯に吸い込まれた水を飛ばした。絨毯から飛沫が上がる。カタリナまでダッシュする、それを阻止しようとしたステンノーだったが頭をかかえよろけていた。



「ドッ!!」

 エウリュアレーが足蹴りを喰らわすと、エルドラが吹っ飛ばされた。


「ガスッ」

 続けてアッキーも殴られる。


「ボコッ、ガフッ、ドッ、ドフッ、ボフッ、ガッ、ガッ」

 ただ一方的に攻撃を喰らったアッキーは耐えるしかなかった。下手に攻撃しようものならまともに一撃を受けて臓器破裂なんてことも有り得るからだ。幸い肉厚な体と鎧と防御が身を守ってくれていた。


 攻撃が途絶えたら反撃のパワーアクスを出す、エウリュアレーはそれをかわしアッキーを殴る。


「ドッ、バッ、バッ、ゴッ」

 顔を殴られるアッキー。


 エルドラがブリンクで移動しナイフの刃をエウリュアレーの体に押し当てた。

「グスッ」

 片手を押し当て両手で体に突き通すナイフ。エウリュアレーは横を見たまま、腹を狙って蹴った。かわすように足を広げジャンプしたエルドラは翼を羽ばたかせ飛びあがった。

 空に上がったエルドラにエウリュアレーは蹴りを当てた。顔に足が当たる直前、肘でガードするエルドラだったが、威力に負けてふっとばされてしまう。

 翼を使い地面すれすれでその衝撃を耐えたエルドラ、エウリュアレーは走り攻撃を仕掛けようとしたがアッキーが足を引っかける。

「ガゴッ!」

 顔からすごい勢いで前のめりに転ぶエウリュアレーに、体勢を立て直したアッキーは斧を振りおろす。体に傷が入ったエウリュアレー、骨を砕くような音がした。少しずつだが勝機が見えてきたか。



「スペンサー!!」

 メデューサが魔術を放った、しかも術者が動き電子回路の軌道が読み取れない。これではマジックバリアでは防げない、避難しても仲間が巻き添えを喰らってしまう。


「ファイヤーボウ!」

をモニカは唱えた。


 炎矢を魔術璧で防ぐメデューサは、接近戦しカタリナに攻撃する。首・肩・腕・手・腿・膝・踵に杖で攻撃、とにかくカタリナを動けなくしたいようだ。


 マイリーロッドでそれを受けるが攻撃を喰らう。接近戦、遠隔戦どちらも杖と髪と魔術で対応できるメデューサに勝機がある。


「バシ、バシ、バシ、ガスッ!」


「きゃっ!」


「ガスッ!ガスッ!」

 モニカが、そこに割って入る。三回杖の打撃を受けたところで、


「バシ!!」

 止めた!だがカタリナは倒れてしまった。腕と腿と膝に激痛が走り力が入らない。すぐに逆手でロッドを持ちマドレヒーリングを唱えた、膝に当てる。当てることで回復の速さに違いが出る、早く歩けるように膝に当てるのだ。


「ジル・セイガ!!」

 無数の木の枝のような光が発現した。モニカ一人では逃げられない、続けて畳み込むメデューサ。

「ストーンアイ・・」


 この距離ではジル・セイガはかわせないと思ったモニカが唱えた魔術は、

「ライティング!!」


 目を焼かれるメデューサ、

「ウァアア!」


「うっぐぁきゃああああっ、あぁああっ!!」

 かわしきれない、モニカは光の束に体を刺され悲鳴を上げる。さらに体に巻き付いた。


「ううっ、はぁはぁはぁ・・」

 体を締め付ける痛みの轍、大量の雷が流れこんできた。血管が膨らみ痛みが流動する、さらに血が燃え上がるような熱を感じた。


「耳を伏せて!!」

 モニカさんが詠唱する。

「スリーピングスター!!」


 メデューサ含めた三匹は、なんとそれに合わせ蛇が耳に入る、耳を塞いだ。


 十秒後耳から出てくる髪のような蛇。その間に皆を回復するカタリナ。俺は死亡寸前だった。良かったけど、しばらく動けそうにない。血が足りず動けないな。


 メデューサが再びストーンアイを唱えた

「ストーンアイ!!」

 阻止しようとしたモニカが黒杖を出す。


「ズブッシャ!!」


「ギャァーーー!!アアアッイタイタイイウググググゥウウ!よくも私の目を目を潰してくれたな!!」


 杖を逆にした先の部分で攻撃したカタリナ、相手から跳びこんできて目玉を刺してしまう、カタリナは唖然とした。そんな残虐なことをしようと思ってやったのではない。


「ウッァアアアア!!ググハハハァ!!」

 痛みで苦しんでいるメデューサは床で転がった、痛みで戦闘どころではない。


「マクスヒーリング!!」

 俺の血液の不足量を補うように、傷口が塞がれ眠気や脱力感が消え去った。


「立てます?」


「ありがとう、自分で立てるからっ」

 また死ぬ寸前まで行ったんだ、早く立たせようとしないでくれ。


 可哀想だがお前たちは罪を犯した。そしてお前たちはモンスター、倒してもまた復活できるだろう。

「さあ倒すぞ!!」

 三匹の怪物に問題が発生!魔術干渉か!?またそれは別の話。

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