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第31話 時は刻々と喉を流れて

 氷雪の彼女セルシウスを倒し、一度元の世界に話は戻ります。七か月後のみんなの姿を書きました。ここでは焦点をみゃあとシロップに当てる。

「また会いましょう」

 そう言いセルシウスは体が散って消えていった。


 時が経ち年をとって世界も変わっているが『氷雪の彼女は』いつか思いめぐらす人に出会えると思う。



「あれ?雪でなに遊んでるんだ」


「バサッ」

「ほらバサッバサ」


「それがどうした?」


「スカルベ大丈夫?」

「平気だ」


「えい、ズボッ!」


「俺で遊ぶな!」


「平気だって言ったよ」

 

「それはさっきまでの話だ」


 フィアさんとエルドラがスカルベさんに雪をかけていた。シャティさんが笑っている。それより傷を治さなくていいのか・・・。

「ま、いいか」



「足悴みませんか」


「悴んでいるの。お願い治して」

 くわっと睨みカタリナの手を掴むモニカさん、必死だ。


「魔力切れです」


「ええっ、そんなのあんまりだわ」

 目をおさえるモニカさん、


 それにしても壁ドン、股ドン、床にドンでよくいけたと思う、俺って天才かも。彼女のほうからぶつかって来たしなーそれって俺がモテるのかも、それともイケメンだからだろうか。これから、もっとドンドンいけちゃったりと思っていると、


 湖のような氷は解けていった。






 ――元世界――


 あれから十日が過ぎた村井家では、


「庄、どこに行ったのかしら?」

 母の和子が首を傾げている。父は早くに他界しており今は母と二人暮らし。三日目で手紙に気づきそれから一週間で親戚に相談する。



 ~(電話)~


「庄がいなくなったの」


「いなくなったって」


「勤め先に電話したら、本人から急にやめたいって話でやめたらしいの。机に手紙が置いてあったから私も警察には電話しないで待っているんだけど・・一週間も戻ってこないのよ、どこかで事故にでも遭ってなければいいけどねぇ。スマホも机に置いてあるし連絡のしようがないじゃない」

 とり乱して話す和子。


「手紙は本人の手紙なんでしょ」


「これは、庄の手紙で間違いないわ。。文字のハネとマルは癖があって同じ。書かされたものなら、癖をなくすと思うから事件に巻き込まれた線は薄いと思う」


「それならいいんじゃない、まだ若いし。うまくいくまで連絡しない子もいるから」


「そうねえ、それじゃ一か月は待ってみようかな、だけどそれ以上なら捜索願い出す」


「そう・ね」


「鍵を開けて出ていったから、庄鍵持っていないのよ」


「あらー大変」


 ~(電話)~

 ・

 ・

 ・

 そして一か月後、庄は帰ってこなかった。警察に届ける前に庄のスマホを開く和子。アプリ(Meell)に!が入っているものが見つかる。

 そこでMeellを開いた。またメールを送ったところゲームのメンバーと連絡がとれた。そしていくつか!を開き家出する前に何があったのか和子は調べていた。


 和子は警察に捜索願いを出すのを土曜まで遅らせることした。ゲームメンバーに詳しい話を聞いてから判断するためだ。


 それから土曜日のこと。村井家に来客があった。学生時代が終わり滅多に来ない来客だった。和子は家出の事情を知らないか尋ねた、そして話を聞いて胸を撫で下ろす。誘拐や事件に巻き込まれたわけではないことの確認がとれたからだ。本人が出かけるといったのなら仕方がない、どうしようもない。


 それから一か月後、それでも和子は心配だった。だから警察に直接行って事情を話し一応捜索願いを出した。


 そして村井庄が消息を絶って見つからないまま、七か月以上が過ぎていった。




 七か月が過ぎた上田家では、


「あきおがいなくなって既に七か月以上が過ぎた。流石に連絡なしで家を出ていったら親としても何もできんぞ」


「私が何もしてやれなかっただけに可哀想なことをしたのかもしれない。これからあきおは一人で生きていかなくちゃならない。本当ならほっとくのが一番なんだけど状態がよくないからねぇ」



 あきおはいつの間にか消えていた。ある日、母は音がなくなったあきおの部屋の様子を伺っていた、そしてしばらくして気づく。

 部屋は開いており誰もいない、初めて入ったあきおの部屋はすごく古びていた。塵や埃があるからではない。生活感はあるが、浮かばない毎日に気が沈み鬱屈した空気が漂っていた。それはまるで『心を塞いだように部屋も塞いだ』象徴だった。



 あきおは未だ消息不明。両親は警察に捜索願いを出し近所や河川敷などを歩き回って調べたが発見できず。

 警察の方は、いつからいなくなったのか分からないので調べようがなかった。有力な手がかりもないまま時は過ぎていった。


「あきおの事どうしようか」


「見つからないのでは、どうしようもない」




 七か月以上過ぎた西森家では、


「ゴォ―――――ッ」

「チッチッチッチッチッチッチッチッ」

 冷蔵庫と時計の音が時を刻み、閑散としている。


「チリリリリン、チリリリリン」

 かおるのスマホから鈴の音が鳴る。


 ただスマホは、自動充電器がついたスマホスタンドにより電気を蓄え活動していた。




 ライム達がいなくなって一か月後のシロップとみゃあ、二人はいつものようにM()e()e()l()l()で連絡する。


シロップ まー


みゃあ  ちょうどきたよ


みゃあ  さっ、行きましょう



 そしてゲームをプレイする、もちろん()()()()()()()()()()()()()は続いている。


マーク:おお、きたかお前達、準備はいいんだな


みゃあ:はい

シロップ:うん


 二人は別のギルドに入っていた。いつものようにイベントをこなし取り分をもらう、しばらくそこでお世話になる予定でゲームを続けていた。自分たちのギルド内に他のメンバーを入れると、その後戻ってきても皆戻れない問題が起きる。


みゃあ:あとで連絡する


シロップ:うん



 Meellに呼び出しが入る。


みゃあ  ねぇ、シロップ


シロップ なーに


みゃあ  ライムたち一体いつになったら戻ってくるかな


シロップ いつかな


みゃあ  あれからゲーム内にもいないし仲間検索も何も変わっていないからログイン自体していないようでさっ


シロップ やめるとは言ってなかったけどいないのなら例の場所


みゃあ  本当に呪いの事信じてる?


シロップ ないと思う


みゃあ  調べてみようか


シロップ どうするの?


みゃあ  ライムのお母さんからいなくなったことで連絡があったんだけど、ライムが何かあったら私たちに連絡してと手紙を残したみたい。それで一度直接会って話をしたいって誘われたの。


シロップ 本当にいなくなった?


みゃあ  そうみたい、それで一か月間が経った


シロップ いなくなって消えた


みゃあ  一度行ってみない?


シロップ 会う?


みゃあ  うん、でもシロップの事は誰にも言わない


シロップ 小学生って言われた話?


みゃあ  それよ


シロップ うう~ん、ちょっと予定見てみないと返事できない


みゃあ  近くだといいね


シロップ うん




 次の日にみゃあはMeellで連絡をとった。


みゃあ  会える?


シロップ 場所次第で了解


みゃあ  わかった、シロップあとで断れないわよ


シロップ うん


みゃあ  それでなんだけど・・


・・・シロップとみゃあの住所は隣県で近かった。


みゃあ  ライムの住所はここだから、さらに一県越えれば行けるわよ


シロップ 遠い


みゃあ  新幹線の費用は私が持ちます、こう見えて仕事できるんだから。


シロップ いいです


みゃあ  なら中止にします


シロップ 持つのでいい




 そうして週末の土曜日午前に駅で待ち合わせした。

 シロップは黄色のニットにスカート、みゃあは白のシャツにスキニーパンツの格好をしていることをMeellで伝えた。


「あっ、あれは下が黄色かぁ」

 人がたくさんいて前の人の服しかみえないと思いみゃあが探していると服を右後ろから引っ張られた。見ると後ろにポニーテールの女の子が立っている。だが小学生にしては少し身長が大きい。


「こんちには」


「あっ、こんにちは」

 みゃあは返事が遅れた。コミュ症ではないがそこは学生の方が得意である。

「シロップだよね」


「うん」


「ちょっとあの赤い柱まで行こう」


「えっ、赤?」


 一度、人ゴミを抜けて声が通る場所に移動する。手を引っ張られシロップはついていった。


「今日、お仕事お休みですか?」


「会社はやっているけど私は休暇をとったから休み。学校は週二回土曜休みだったかな」


「そんな感じ」


「あれっ、これ可愛いー」

 可愛い鞄を下げるシロップ。みゃあは手に取って眺めた。


「まずはここから新幹線乗るからね」


「うん」


 そう言って切符を買い改札口に入る。(みゃあ)は会社勤めで友人と出かけたりするが、いつも多忙なので休みが二日間しかとれなかった。今回はゲームで知り合った仲間と実際に、会うことになったわけで、すごい楽しみにしていた。当然、現実は初対面なので胸がハラハラ、ドキドキする。


 新幹線が来る前に話をして待つ二人。

「名前、教えてほしいな」


「私ですか」

 怖い顔するシロップ。


「言いたくないよね」


「あんまり」


「それじゃ私から言うね、私は宮村藍」


「!わたし佐藤一十美」

 一十美は、この展開を予期していたが相手が勝手に話したので少し焦った。


「私は二十五歳、一十美ちゃんは何歳?」


「・・十四歳」


「やっぱり子供だった」


「はい」


「はは、素直に認めるのはゲームと性格が反対だ」


「仕方ないもん、会う約束したから。それに相手の名前と歳を聞いて答えないのは勝負では負けを認めているようなもの、それとゲーム名で呼ぶのは嫌」


「そうだよね、ははは。それで呼ぶと周りでわかる人いるかもしんないよね」


「駄目だから、皆に教えたら」


「うん、秘密にする。その照れ方若い頃を思い出すなぁ。あどけなさがあって、たどたどしい子供の特徴」


 ・・・ぷすっ、困って呆れる一十美。


「ゴメン、こういうの苦手だったんだ」



 新幹線が来たので乗り込む。

 電話番号を交換しておこうと思った藍は座席で一十美と連絡先を交換した。


「直に会うと、こういうのやりやすいね」


「そうですね」


「素直すぎw」


 話をしていると、すぐに目的地の駅に到着。一十美はずっと顔を赤らめているので藍はすごく面白がっていた。

 それから電車を乗り継いでライムが住んでいる駅でおりる。昼食は駅の近くの飲食店に入った。


「私が注文するから、さぁ選んで」


「これ」


「んーどれかな」


 子供扱いの藍だったが一十美は素直に受け入れていた。


「ボンゴレロッソにトマトクリームパスタをお願いします」

 藍はパスタを注文した。


 麺とソースの出会いが今日の二人のように重なり一層美味を高めている、と思う藍。ア

ルデンテの麺が弾力を持って口を押し返す、それを何回も咀嚼して喉に通す一十美。


「妹が出来たみたいで楽しい」


「誘拐犯」


「あはは違います」

 周囲を見回す藍、何人かこちらを見ている。


「あっ、ソースついてる」


「えっ、ぁっ」

 一十美の口をふく藍。油断する一十美、


「遅いぞ」


「次は負けないもん」


 食事を済ませ、駅からバスで移動する。バスもスマホで検索、時刻表と地図を確認した。


「一十美ちゃん、さっき疑われた時は困ったよ」


「ぅぅん」

 にやけ首を傾げる一十美。


 歩いた先にそれらしき家があった、二階建て一軒家で少し古くなっているが木造とコンクリートを合わせた家である。


「ここかな」


「表札合ってる」


「合ってるー?」


「インターホンあるから押してみて」


「子供扱いしないで」


「私が押すより合ってるから。怪しい女が来たって」

 一十美に萌えている。


「えー、私は彼女?とか尋ねられて喜ばれると思うけど」

 手を頬に当てシロップこと一十美は否定した。


「そういうのは子供が押す、ほらっ」


 一十美は答えずインターホンを押した。

「ピンポーン♫」


「はい」


「手紙のものです」


「よかった、待っていたのよ」


 客間に案内されると、

「カッ」


「どうぞ」

 お茶とお菓子が置いてある。持て成しを受けたわけだがゲーム仲間の家に本人が留守で無断であがり込めるほど図々しくできない、気まずい雰囲気が流れる。


「それでなんだけど、あなたたちずっとゲームをやっていたの」


 ライムといた直近の話をした。藍と同じギルドでゲームしていたこと、そしてメールきて出かけたことを伝えた。問題になるのでメールはさほど気にならないもので関係がないと伝えると、


「でゲームのことでメールが来て、それで出かけたの?」


「はい」

 藍は嘘をつくのは嫌だが肯定返事をした、曖昧な感情になり言いにくかった。


「他の仲間と一緒に出ました」

 一十美も言う。


「ふ~ん、つながりで働き口でも見つかったのかしらねぇ。こうして手紙もあるから捜索願は近くにしてあるんだけど・・・」


「探されているんですかー?」


「いえ母親としては未成年でなくても探さないといけないと思いまして」


「彼は今、何歳なんですか?」


「二十三歳」


 藍と一十美は聞いて目を合わせた。


「私たちも突然、庄さんたちが消えたわけで呆気にとられたんです。それからは何の音沙汰もなく会っていません、他の人もいなくなりましたが同じです」


「その人たちと連絡がとれれば分かるの?」


「はい、分かります。ただ・・みんなとも連絡が付かないから難しいかもしれません」


「そうねぇ」


 そして自分たちの年齢を話し、何か分かれば連絡しますと言って早々に帰ろうとすると、


「そう、ありがとう」

と言ってライムのお母さんはお土産をあげた。そんなつもりで来たのではないと藍が言うと、話が聞けて感謝しているというので藍と一十美は受け取った。

 ライムの家まで来た藍と一十美、一度会う話があったがこうやって自分たちの方から尋ねていったので変な気持ちになる。また何の力にもなれないので申し訳なくなった。


 二人が帰宅後、和子は庄のスマホを立ち上げMeellを起動してみた。既に話の履歴は消えていた。ただグループにいた四人のうち他の二人の返事はきていなかった。念のため、もう一度メールを送る。




「帰りの時間調べた?」

 藍が一十美に話しかけた。


「ううん」


「これで合ってると思うけど、まだ三十分以上時間あるからここに寄らない?」


 駅の近くの喫茶店に入る。

「何でも注文していいよ。私の奢りです」


「えっ、新幹線の方だけでもう・」


「私が休みたいの」


「う~ん・・・」


「ゲームで手伝ってもらってるし私にも世代の違う友達が出来たみたいで嬉しいんだ」


「・・・・」


「じゃっ、私が注文するね」


「うん」

 そうしてレモンティーとストレートティーを注文した。


「どうして話さなかったんですか?」

 レモンティーを持った一十美が藍に尋ねた。


「まさかゲームの中にいるなんて言っても信じてもらえないでしょ、そんなパラレルワールド親は到底理解できない」

 藍は渋い顔をしてストレートティーを飲む。


「心配してた」

 レモンティーが酸っぱそうな一十美、


「そうよね」

 上を見て思い悩む藍、


「仕事、何しているんですか」


「私は工場で事務の仕事、現場の作業も少しある」


「すごい」


「そんなすごくない、けど大変かな。それより中学生って今何流行っているの」


「流行っているのことはないけど私はゲームが好き、あと受験勉強に部活してる」


「学校の勉強と部活、ゲームの両立ね」


「ゲームは絶対外せない」


「我が道を行く的な」


「剣道部だから」


「剣の道か。そおだぁ、ここでも一緒に写真とらない、お互いスマホで」


「う・・ん」


 それから喫茶店を出て電車に乗って、待ち合わせした駅に着いた。


「それじゃーここで別れましょう」

「はい」


「新幹線を下りてから自宅までどの位かかる、暗くならない?」

「たぶん二時間位」


「結構遠いわね」


「乗り継ぎの問題だけです」


「それはよかった、それとコレ」


「なんですか」


「私、色んなキャンディ集めるのが好きなんだ。それでその中から選りすぐりの詰め合わせを持ってきたの、食べて感想を聞かせて下さい。それと、もし美味しいキャンディあったら教えて」


「あ・りがとう」

 一十美は綺麗な銀の包み紙を受け取った。


「これからも仲良くしましょ」


「バイバイ」

と別れる。




 分かれた二人、新幹線を下りた後、それぞれの方法で帰り自宅に着いた。


 藍は部屋で思い耽っていた。

「ふぅ~、私の力じゃ解決できないな」



 一十美ベッドで呟いた。

「はぁ~緊張した。今日はルーレイファワークやらないって言ってたし、イベントあるから違うのしようかな。その前に宿題を片づけてからにしよう」


 一十美は銀のラッピングを開けると、キャンディが入っていた。

 キャンディはドーナツ、星、惑星、花などの形があり多彩だった。それも、お洒落な包み紙に入って折り方も片方、両方、包み、花、リボンのような工夫されている。

一つ頬張ると控えめな酸っぱさと甘い味がした。変わったキャンディだと思い、溶かして喉に流してみると懐かしい味がする、包み袋にはストロベリーザクロと書いてあった。


「美味!」

 思わず口にした、そして宿題を始めるのだった。




 それから三か月後、ルーレイファワークのアプリが廃止になった。いつものようにMeellに呼び出しが入る。


みゃあ  ねぇ、シロップ


シロップ なーに


みゃあ  アプリ使えなくなった・・


シロップ ・・・・・戦えない!運営と戦ってくる


みゃあ  ちょっと待って、運営も戦えない状態なのよ


シロップ 両方全滅


みゃあ  シロップ縁起悪いコメントよ




 七か月が過ぎたみゃあとシロップは、


「忙しい~」

 シロップは忘れ物、朝から部屋を駈けずり回る。

「あれ着替えどこだっけ?」



「もっと在庫処理を急がないと時間まで帰れない、私も運ぶの手伝おうか」

 みゃあは残業続きの仕事の中、何とか時間を捻出しようと奮闘しているのだった。

 みゃあとシロップは意外と近くに住んでいました。結構あるよそういう事。

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