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炎の守人 2

 いよいよ十三階層突入、そこは何と炎のフロア。すぐに火のモンスターと戦うことになった皆、三年ぶりの皆はどう変わったか?

 精霊にも善と悪がある?そんなの聞いてない!


「どうするの、スカルベ?」

 火が苦手なエルフのシャティさんがスカルベさんの指示を仰ぐ。


「こいつはライム達の仕事だ、お前たちの修業の成果を見せてもらおう」

 シャティの言葉を聞いてスカルベさんは俺たちに指示を出す。


「そ・・すか」 

 敵を下さったのは有難いんですけど、なにぶん異世界では修業したからといって簡単に敵を倒せそうにない。


「ボボフゥ~~!!」

 空に大きく火が吹きだされた。


「おわっ」

「あちちぃ~」

 かわしたので火は当たらなかったが熱は空気中を伝わり肌を焼いた。肌を刺す熱、肌は赤くなって腫れヒリヒリした。


 さらに火を吹くボルカノ。熱源はどこからきているんだ!?

「ボボフゥ~~!!」


 アッキーは転がり火をかわした。太っているがこの身のこなし、なめんなよ。


 さらにボルカノは左にステップ、火を俺の方へ吹く。残念、アッキーより俺の方がかわすのは得意だ。


「ボッボッ、ボフゥ~」

「タタッ、パタタァ」


 筋肉が盛り上がっている煙のようなボルカノ。肉体派に見えるボルカノは予想外に火で攻撃している。モニカさんとカタリナはさらに奥へ逃げる。いつ火柱が地中から上がるかも知れない恐怖に苛まれ全員がかわす。


 「ボフゥ~」

 今度は右に跳び火を吹いてカタリナたちを焼こうとした。


 もちろんかわす、一体どれだけ吹くんだこいつ。そこにモニカさんがアクアウェーブを放つ。水魔術苦手でもやってみる価値はある。そのための修業は積んだはずだ。


 「ザパーン!!」

 見事成功!!敵に当てるつもりだったんだろうが、水はかわされ地を浸して消えていった。かわりにといっては何だが、地が冷えて戦いやすくなったかな。


 俺も火が途切れる合間を見切り、そこに体を逃がすがいつまでもこうやっているわけにいかない、次の途切れた時に攻撃する。


「キィン!」

 煙の体で弾かれた?気体のような体は個体でありかなりの強度(防御力)があった。


「ボルカノは、火を吹いている最中は動けなぁい!!」

 シャティさんが助言した。


 フィアさんを見ると、こちらと目を合わせて言う。

「敵は自分で倒す」


 あ、あなたが倒しても文句ないんですけど・・、シロップの逆の性格をしているフィアさん。


「さあ急いで」

 お前達ただ熱いだけだろ、あははは、二人が困っている。


「おわっ、あつっ!!」

 冗談じゃない、エルフの二人を見ていようと思ったがこれ以上はご免だ、その前にやられてしまう。そこまで熱入れなくてもお前達ダンジョン置いてもらえるって、落ち着けよ。


「ボボッ!」


「だからあついって!!」

 怒らしたのなら謝るから落ち着いてほしい、ボルカノは執拗に攻撃を仕掛ける。


「ブオッ!」

 ボルカノが火を吹いた。俺は小刻みにファーストステップで動き背後に回った、そして剣を突き出す!

 煙のような体に剣が突き刺さる、しかし一撃で倒れない。だよな、あんなに肌に筋肉あるんだからな、何回も突き出す。

「ブオッ!ブブッ!ブオォ!」


 ・・・なぜ倒れない?


 火を吹いたから俺は回避した。そこに、タイミングよくアッキーは横からボルカノに金の斧を振り下ろす。


「キィーン」

 ボルカノの頭と胴体が切り離された。俺とアッキーの連携は健在だな。

「ドン」

 落ちた頭は口を開けたまま転がっていた。


「ダッシダッシ!」

 ボルカノは体だけで動いている、なんという生命力!


「それ?精霊?悪霊の方だと思うけど・・・」

とシャティさん。


「アンデッド?ヒーラーならカタリナさんが担当ではないですか」

とフィアさん。


 俺はその言葉を聞き逃さなかった。


「カタリナ可哀想だから回復させてほしい」


「何かいつもと違いませんか?」

 俺に疑いの目が向けられる。


「おれもなぁ・・っく、知らずにやったとは言え、精霊を切ってしまうとは・・ぐずっ。助けてもらえないよなー魔力大切だもんなぁ!」

 俺は泣き落とし行動をとった。


「く、くっつくか分かりませんけど、試してみます」


「ヒーリング!!」


 げへぇ、成功。どう見ても、あれモンスターじゃん。三年経っても俺の演技力は衰えを見せない。コンビニ(販売)は笑顔で挨拶、それが接客というものだよ、カタリナ君。


 ボルカノは取れた頭を持って首根っこにつけようとしていた。しかし回復魔術に阻止され体がぼろぼろと崩れ落ちた。


「崩れている」


「えっ?」


 どうしたのか?伏せて胸を抑え苦しんでいるカタリナ。良心が痛んでいるのか、回復魔術使って心にダメージ喰らったらいかんぜよ。


「今のうちだ!!」


 アッキーが斧を振り下ろす、ボルカノの体にヒビが入る。俺は一刀を縦横斜めに三度入れた。


「ガジ・ジャン!!」

 ボルカノは体に亀裂が入り崩れ、離れ、薄まり消えていった。


 ボルカノは悪霊であるが火を吹く、その体は見えるわけで魔術によって弱化されたため武器による攻撃で倒すことができた。


「バカバカ、ライムさん騙したんですか」

 跳びかかってくるカタリナ。


「騙しない、神に誓って」


「誓いは嘘をついてはいけません、グリッ」


「うっぐぅ!」

 カタリナがロッドで腹をつついた。


「お前、やっと攻撃出来たじゃないか・・」

 これで二度目だがな・・。


「これは攻撃ではありません」


「その前にも頭叩いたじゃないか」


「知りません」

 攻撃を認めたくないカタリナは白をきる。


 それから、またボルカノが出た。

 こいつだけは勘弁してほしい。本当戦闘みたいな形になるから手が抜けない。エルドラ、スカルベさんが攻撃するもダメージは削られていた。そこでフィアさんが敵にポーションを振りかけた。


 しばらく行くと、煙が充満していて先の様子が見えなかった。そこで手分けして探す。


「このフロアのモンスターは案外素早さが遅い、二人組四方向に手分けして探しましょう、モンスターが出たら逃げること」


 戦闘の代償としてHP、MP、アイテムを消費する。時間と歩数が増える度にさらに増加して。






 俺はフィアさんとペアで五百mほど歩いた時、進んだ先に何かが見えた!?


 木か?


「あれ、人・・」


 フィアさんがギルドメールを送りそれを知らせた。


 二組にしたのは一列に進むためだ。そうすれば引き返す時、方向が分かる。全員道を戻り合流した、そして俺とフィアさんが進んだ道を進む。もちろんモンスターも出たが簡単に逃げられた。敵もこの煙の中では俺たちが見えないようだ。要は近づくもの全てから逃げればいいだけだからだ、仲間以外は。




 煙がない、見晴らしのいい場所に人がいる。


 一人の剣士だ。


 その剣士は岩に突き刺した剣を握り立っていた。


 スカルベさんを先頭に後を続き歩いた、ある程度まできた所で止まる。




「俺が行こう」

 スカルベさんが剣士に近づき話しかけた。


「お前は誰だ?」


 ゆっくりと人は目を開いた。

「私はフレイヤ、この炎のフロアを守る番人としてこの地に君臨するものだ」


「フロアボスか?」


「ほう、冒険者と見たが間違いないな」


「そうだ!」


 スカルベさんはドラゴン族だけど・・。


「ダンジョンマスターはどこにいる!?」

 俺は男に尋ねた。


「それは言えん、なぜなら、その方の命を受けて俺はここにいるからだ。ところでお前たちはどこでそれを知ったんだ?」


「前にちょっとありまして」

 俺は誤魔化した。案外、その存在の有無をスンナリと答えてもらえた。


「そうか、どちらにしろ言うつもりはない。さあいくぞ!」


 誘導質問をすることなく済んだわけだけど、それ以上のことは聞けなさそう。



「ま、待って!」


「どうするの?」

 シャティが言う、


「戦うしかないだろ」


「じゃあ勝てたら教えて下さい!!」

 エルドラとシャティが俺を見る。




 強制的に戦闘に入るフレイヤ、右足を一歩前に出す。

「ッツプシィーン」

 いきなり剣で横に一振り、空間を薙ぎ払う。


「ギワギワギワァァア!」

 地面から熱と煙が立ち込め、上へ上る。


「っつ」


「くっ」


 なんだ!?ブーツが熱いぞ。このレザーシェルブーツは中が貝で外が皮で作られている。どうやら熱が伝わってくるようだ。


「どうしたんですか!その手は」

 シャティさんの白い手が赤く腫れ火傷が出来ていた。さらにフィアさんの足の太ももに縦に三本線が通り焼け爛れていた。二人は俺と同じ場所にいたのにダメージを受けていた。


「構うな、エルフは火に弱いだけだ」


「メディシン」

 詠唱に入っていたカタリナの手がフィアの足に触れる。フィアの足がみるみる回復していく。


「ありがとうカタリナ」

 フィアが礼を言う。


「くるぞ!!」


「はあっ!!」

 フレイヤの赤の衝撃波がとんできた。様子見だろう本気を出していないフレイヤ、こちらの出方を見ている。


「バサッ」

 カタリナ、フィアはスカルベにとばされた!攻撃したわけではない、助けるために必要なことをした。


「目をそらすな!」

 倒れた二人に怒鳴る。


「まだまだー!」

 ライムに剣を振り下ろしたフレイヤ、


 剣で受けるライム!手に百kgもあろうかという力がかかる。


「ぐぐっぐ痛いぃぃ・・」

 膝を曲げながら剣で耐える。腰が砕けそうなくらい痛い、胸の肋骨?もギシギシと痛み出す、痛い痛いもう限界っ!!


「はっ」


「ボゴッ」

「ぐはっ、ドササササッツ」

 一瞬楽になったかと思うとフレイヤに蹴られた、俺は擦れて地に伏しているようだ。修業の甲斐がなかったように思う。


「・・・・しゅっ」

「ガキン!」

 金の斧を持ったアッキーが蹴られた俺を庇うようにフレイヤの間合いに入り振落を出した。


 それを片手で持った剣で受けるフレイヤ、


「あつ」

 剣の刃に触れているだけで熱が伝わる!?そこでアッキーは振回した。一度刃を離し回転の攻撃だ。また片手で持った剣で受ける、剣を下左斜めにして受けている。

 さらに後ろを向いて下右斜めにして受ける。フレイヤは上に剣を軽く振り、エルドラの急降下攻撃を軽い剣波で押し返し、かつ体を切り裂いた。

「あっ」


 スカルベが走り翼を羽ばたかせ高速接近、ティルウィングを構え振り下ろす。


「ギンッ!ギリギリィィィ、カン、バッツク!」

「っ」

 スカルベは剣で打ち合い、その圧力で立ったまま退けられた。それでも翼を立て張力を働かせ、体勢を崩さないように耐えた。敵に隙は与えない。


 メニューを確認する。遅い・・と思うが始まってまだ時間は経っていない。確認する暇がなかったのだ。


≪フレイヤ フロアボス ????≫


 名前からして火か?まず衝撃波や剣波の正体は火、その剣に宿るのか灯る火が攻撃と同時に加わる。戦闘をしつつ戦闘データを集めていく。その情報で勝てる方法を早く見つけ出さないと長期戦になると負けて殺されてしまうぞ。


「―・ !」

 フッっと消えたかと思ったら、目の前にいた!!


「シィイィイィン」

 スカルベはその一撃を受け止めた!何も予期されていない状況で一瞬のうちに前に移動して繰り出した攻撃を!


 エルドラはナイフで斬りつけ回避、ライムとアッキーは刃に当たっただけで体の重心が崩された。これでは攻めることができない。


 フレイヤは体が揺らめいたかと思ったら一瞬で移動している。でも位置は知れるから攻撃に対応は可能。


「ウォーターガン!!」

「ウォーターガン!!」

「サンダーアーク!!」

 水水雷、三つ巴となった魔術が放たれた。


 スカルベ、エルドラ、アッキー、ライムは後ろを見ないで跳んだ。フレイヤが避けるなら、そこに速攻、跳ぶなら飛翔攻撃されるだろう。


 さあどうする?


「ジジジジジジジ、ユリッ、バサンッ!!」

「バシャッ、バシャッ、バチバチバチチッカカカ!!」

 剣で地に円弧を描き、底上げするように地盤を持ち上げた。その即席の盾で魔術を凌ぐ。地盤の盾は見事に避雷針の役割を果たし水・雷共に吸収、さらに岩板を蹴り倒しその剥いだ部分に埋めつけた。なんという戦闘センス!


 うまい


 なんてものではない、とんでもないぞ。


「サァィイイイン!」

「ムゥウウウウン!」


「・・・ヘシッツ、カラン!カッ!」

 シャティのアポロンの弓とフィアのアルテミスの弓から、発光した矢が放たれた。しかしフレイヤは、剣波でその矢を吹き飛ばす。



「離れろ!」

「ふんっ!」


 剣波の威力を見せられた動揺を止めるかのようにスカルベさんはティルウィングで片手で剣を振り、もう片方の手でドラゴンクロウを出した。二刀流、両手攻撃!!二段攻撃、連続攻撃、そんな事できるのか?

 アビリティというものはない。思いついたことならなーんでもできる世界なのは分かるが、そんなの思いついても体がついていかない。

 スカルベはフレイヤの動きは止めた。そこにアッキーが突進、フレイヤは足蹴りで応じるとガード、アウトブレイクし、さらにディスクストライクを出した。修業でやったとおりの事をしたアッキー。


「カジャカジャン!」

 アッキーの金の斧がフレイヤの鎧を打ちつけた。多少の響きだけでノーダメージ。それが生身の体でないのが惜しい。


「よく・・・当てたな」

 戦闘中のフレイヤが言った。


 そりゃー、一連の動きを頭にいれりゃーいけるだろ。それだ!そこまで攻撃は早くないからそこを縫ってやればいい。だが今ので手の内のいくつかは知られた。


「はっ」

 剣による斬りとドラゴントラストを二連で放つスカルベ。通じた攻撃が生地のように縫われて通じない攻撃になっていく。


 スカルベとフレイヤは離れれば、


「シュパパパパパ、カキキキキン」

 エルドラがブリンクしロンドナイフで多種多様に斬り裂く。

「右、左、上、そして斜め!」


 隙あり!


「!!」

 二刀同時攻撃だ、スカルベさんと俺は剣を振る。空に飛んだフレイヤ。


 スカルベも空を飛んだ。


 チャンス!


 空に焦点を合わし、三人は急いで詠唱を始めて放った。

「ウォーターガン!!」

「ウォーターガン!!」

「サンダーアーク!!」


 カタリナは、地上で皆のダメージ回復にあたる。


「一気にカタをつけさせてもらう。黒炎よ、その力を呼び起こせ」

「ブラックソード!」

 剣を振り翳すと、その剣から黒い炎が出た。そして振り下ろすと黒い炎が俺たちにとんでくる。


「やばい!かわせ!!」

 スカルベさんが叫ぶ。

 炎の守人フレイヤ。炎を纏う剣を持ち、その剣の威力は相当なハイレベル。全員が三位一体でなく八位一体となって連携をとらなければならない。

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