表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/127

二分のギルド 11

 試験が終わりサンサンドの街に戻るモニカとアッキー。夜に不穏な行動をとっていたスカルベはどこかへ出かけた。

「スカルベ~!」

 街の入り口付近を集合場所にした男二人と女四人は、三日目のお昼にサンサンドの街で会うこととなった。

たった二日間だったが、随分と様子が変わっていた。


「おい、お前達寄るな触るな」

 シャティとフィアがスカルベの背後から肩に手を置いたり羽を触ったり、じゃれてスキンシップする。


「そこは・・・!」

 スカルベの尻尾を触るシャティに焦るスカルベ。


「アッキー羨ましそ」

 耳に語りかけるモニカの声、これは正に悪魔の囁きである。


「焦ってる」

 アッキーは少し赤くなっていた。


「アッキーさんどうでした?オアシス湖は」

 カタリナが優しそうにアッキーに話しかけた。


「半漁人を倒した」


「えーっ!!そんな!」

「えーっ!!それ!」

 カタリナとモニカが驚く。


「わあ、アッキーさんが倒したんですねぇ」

「金じゃない!!腰ぬけるかと思った」

 カタリナはアッキーを褒め称えたが、モニカの視線の先には金の斧があった。目が毒されていることにアッキーが気づくと、すぐに体で金の斧を隠す。


「その斧は、攻撃力ないんじゃない?」


「モニカさん!それは良物だと思います、金は錆びないし酸にも強いんです」

カタリナが金の効力について語る、


「いいから、貸してみなさ。偽物の金も出回っているかもしれないわ」

 話を聞かない。


「ええっ」

 首を振って断るアッキー、偽物疑うんだったら金とか言わないだろと思うアッキー。


「かして!」


「だめ」

 凄んで迫るモニカに抵抗するアッキー。


「アッキーさん怖がってますよ、ダメですモニカさーん」

 モニカは目が$になり、モンスター以上の眼力でアッキーを睨んだ。


「何をやっているんだ?」


「え“!!」

 スカルベが尋ねると、正気に戻ったモニカ。



「悪いなモニカ。それはアッキーの武器だ、どこにあったのか知らんが綺麗でかなり攻撃力がある」

 スカルベのドラゴン印のお墨付きをもらった金の斧。どうやら、この世界から戻れそうだ、そう考えてモニカは諦めることにした。


「ほーんとどこから持ってきたのよ、そんなの~」

 モニカは少し口を尖らせて言った。


「さて、えーそれでは支度を整えましょう」

 シャティが話をまとめた。



 その話声を聞いて宿屋のご主人が話しかけてきた。


「みなさん、ゲイルさん達からこれを預かっております」

 武器と防具一式を手渡された。

「私事ですが、ゲイルさん達に出発する時に挨拶をしてあげて下さい」


「わかったわ。ありがとう、ご主人」

 シャティがお礼を言った時、街の中央から誰かやって来た。


「カタリナさーん」

 街の若い男だ、以前にも話しかけてきたことがある。

「一度食事をして下さるって約束ですよ」


「いいわよ」

 モニカが答える、


「ちょっとーモニカさん勝手に返事しないで下さい」


「じゃあ、どうするの?」


「・・・食事します。約束を破る事はいけませんし相手にも悪いので」


「それはよかった、さあ行こう」

 それではこちらと、若い男はカタリナの腕を引き連れて行った。


「私たち宿屋にいるからー!」

 モニカは大きな声で言った。


「聞こえてます!」

 恥ずかしそうなカタリナ。顔を伏せて歩いていった。




 昼になる。

 サンサンティーの飲める教会近くの広場に座る二人、


「こういう場所もいいですねカタリナさん」


「はい、気持ちが軽くなります」


「そうですね、心が落ち着きます」


「あの私、これから用事がありますので手短にお願いします」

 カタリナはダンジョンに行く準備をしなければならない。


「カタリナさんは何歳ですか?」


「私、私は・・・二十歳よ」


 質問をする若い男は答えるとすぐに、どう思うか話した。一体何を話したいのかカタリナに伝わらない。


「それで・・」


「はい」


「もしよかったら結婚して頂けませんか?」

 とプロポーズした。


「私は姉を探しています、そしてダンジョンへ旅立つ予定です」


「それなら待っています、必ず帰ってきて下さい!それと・・・これを受け取って下さい」

 深みのある緑のナイフ。


「こんな貴重なもの受け取れません、それに私はもう街へ戻れるか・・・」

 差し出した手を押し返すカタリナ。


「いいんです、我が家に置いておいても使わないものです。それに、あなたが戻るにしろ戻らないにしろ僕にとって勝利してほしい女性ですから。僕はあなたに生きてほしいんです」

 さらに手を前へ出す若い男。


「私は武器は使いません」


「はい」


「でも仲間は使います、これは仲間のために受け取っておきますね」


「ぅぅう、はいっ、生きて下さいっ!」

 若い男は泣いていた。初めての失恋なのかもしれない。




 カタリナが若い男に誘われてから、モニカはアイテムショップに行った。すると店員が、


「今日は珍しい物があって、ほら」

といって丸い形をしたものを取り出した。


「はい、買います」

 モニカは気晴らしに良さそうと思い二つ返事で回復アイテムと一緒に購入、宿屋に戻った。


 その後、アルスがモニカ達に会いにやって来た、

「お前は戦士だ。みんなお前の力にかかっている」

 グーにしてアルスはアッキーの体に当てる。


「はい、全力で頑張ります」


「頼む、俺が行けないのが悔しい」


「お前たちはライムの仲間として、これまでやってきた。街は俺達に任せて思う存分後悔のないようにやってこい、但し生きて帰ってこいよ。

 それと街の修復をしていたアンクたちが来た、街の修復作業で教会横の広場の穴から見つかった物だ、なかなか良さそうだからライムに渡してやってくれ」


「ライムに渡す物」

 品定めするモニカ。


 皆が修業をしている三年間で“ダンジョンの進行”と“街の発展”は比例するように進んだ。街の内外壁に対モンスター用の防壁が施され、さらに武器や防具・アイテム、その他職業全てにも顕著に発展がみられた。

 ダンジョンに草木がなければ、街の職業に変革がもたらされることはなかった、これは偶然ではなく必然である。




 カタリナが戻り宿屋に全員が揃う。そこにゲイルたちが見送りに来た。


「ヴィンスを迎えに行こうと思ってな、それとお前達を見送りに来たんだ」

 ゲイルとデメグラムの二人が前へ出た。


「がんばってね」

「ちゃんと連れて戻りなさいよ」

 励ましの言葉をかけるリコルチェとハーゼリア。


「意地でも戻る」

 頑ななデメグラム、


「俺たちはベスコの所属するホパーのギルドと一緒に行く」

 ゲイルが言う。ベスコたちは届ける食料を持っていた、これが最後だ。


「忙しいな」


「ゲイルさん達、いつも修業で疲れ切っていたからな、今日くらいは話せるかなと思って来てみたが一緒に行くんだな」

 三年間修業したのは他のギルドも同じであった。


「ほら見て下さい、街のギルド一行が集まっていますよ」

 ホワイトベール、ピックルバロン、キキアレキ、たくさん他にも集まっている。


「俺たちが街をしっかり守ります」


「これ皆で買い集めました。ダンジョンの攻略は私たちの未来に変化をもたらします、頑張って下さい!」

 ポーションや装備品を手渡す男、ベスコ達が預かった。


「何か面白い話があったら聞かせてくれよ」


「俺たちは、これからダンジョンに向かう。目標は最上階で二度と戻ってこないかもしれないが、その時は酒場のマスターに相談してくれ。あとのことは頼んである」


「皆さん、このテオにお任せ下さい」

「なーに言ってるのぉー、テオ!」

「イライザさん、僕はあなた以外も全てを愛おしく思います。だからこの役目も僕に下さい」

「そう言って、女の手を握ってんじゃないの!これでもくらえぇ!」

「いたたたたぁー!」


「ははははは」

「しゃきっとしなさい!」

「ダメだな、そんなじゃー」



「では、しゅっぱーつ!」

 ゲイルが大きな声で号令をかけた。


「まずは三人と集合だ」

 歩きながら話すスカルベ。


「ライム達、元気かな」


「はい」


 ラクーダに乗って外に出る。出費がかさみ馬は手に入らず。



 教会で話す二人。


「行ってしまいましたね」


「はい。ライム達なら、きっと勝ちます」






 サンサンドの街を出発したスカルベ、モニカ、ホパー(ゲイル、デメ含む)はダンジョンの入り口に早々と到着し、一階層から二階層出口まで歩を進めた。


「今日はここで泊まろう」

 夕食をとり一晩泊まる、これでギルドメール後三日が経った。残り二日、どうやらメール通りに到着できそうだ。



 朝起き、朝食をとるとすぐに出発した。三階層のレッドスラたちの住処を避け順調に進む。レッドスラたちは普段見ないギルド一行に姿を隠す。四階層はエルフが魔術で風を吹かせたので早く進みモンスターとの戦闘も有利に働いた。五階層を超え昼食休憩で休む、そして六階層から七階層に抜ける階段で夕食、一晩を過ごした。


 ちょうど五日目、絶対無敵の準ボスがいる迷いの森は楽々に抜けることができた。

「ここは木に扮して少しずつ歩を進めるんだ、そうすりゃー敵は襲っちゃ来ない」

 どうやら一直線にこの森は抜けれるようである。劇の木の役をやっているようで楽しかったが歩幅が小さすぎるので時間がかかった、また迷いの森に怪しまれたような気がした。八、九階層と過ぎ十階層についたのは、



 ――――――

 MEM よる

 ――――――


「夜だ」

 ヴィンスとゲイルのメニューにハーゼリアからメールが届く、外の世界では既に夜だった。


「今日は着かなかったな、また明日会うのを待とう」

 ヴィンスベルタが言うと、


「みんなも忙しかったんでしょう」

 俺は、それを受け止めた。


「あ~あ、残念。早く見せたかったな」


「強くなったな、でもあっちは三人が教えている」


「そうですね(汗)」


「楽しみだな」




「カタッ」

 物音がした。武器でもズレたのだろう。


「・・・・!」


「み、みんなぁ~!」

 物音がした場所、そこにいるのは、三年経ったアッキー、モニカさん、カタリナ。あーんど、スカルベ、シャティ、フィア。


 間違いない、俺の目の前にみんないる。俺は感激し涙が出た、なぜならここは寂しすぎる。家族もいない上に、共に過ごした仲間もいなかった。今か今かと待っていた、その日々を思い出していた。



「ひっさしぶりねぇ~ライム」

「ライム!」

「ライムさん」


「スカルベさ~ん」

 エルドラはスカルベの胸にとび込んだ。


「おい、どうした」


「ここで一人残ったよ」


「大変だったな」


「偉かったわねエルドラ」


「ほーらぁエルドラっ」




 俺たちが話しているとその背後から、


「おお久しぶりだなー」


「おっ、お前はゲイル。そしてデメグラム~!」


「そして、とは何だ?ヴィンス」


「おっ、お前変わったな」 


「そっちこそ変わっているぞ」



「盛り上がっていますね」


「三年ぶりの再会だからな」

 なんと、後ろにゲイルとデメグラム、ホパーのギルド一行がいた。


「お前達だけか」

とヴィンス。


「ああ、ホパーのギルドと一緒に来たんだ。ハーゼリアとリコルチェには留守番を頼んだ。二人がここへ来ると恐怖がまたぶり返すかもしれないからな」

とゲイル。


「酷いのか?」


「いや、髪の毛は部分的に疎らだが生えてきている」


「治ってきたのかー、よかったぁぁ」

 感慨深いヴィンス。


「それはそうと、この中の暮らしもよかったぞ」

 ヴィンスの顔は少し黒ずんでいた。なんだか無精ったらしい。


「そんなのいいわけないじゃないシャティが言う」

 否定するシャティ、自然がないもんな。


「本当だ、ほら見てくれこの体、鍛え上げられたこの腕、足」


「まあ、体はねェ」


 アッキーはあまり変わらない。しかし、太っているが筋肉もついていた。

「アッキーも、ちょっと変わったな」


「ライムも変わったね」


「俺は強いぞ」

 そう俺は強くなった。ずっと素振りだったからな、あきるというレベルではなかった。


「僕も強くなった」

 そうこなくちゃー。


 俺はこの世界に仲間を連れてきたんだ。だからお弱かったり甘えたり、出来ない言い訳を探したりすることは三年間しなかった。皆の人生、時間、生命を巻きこんだんだ。


「アッキー、たくましくなったかな」

 話すようになったからかアッキーからは生きる希望が感じられる。


「そうかな・・」


「なーに話してるのライム」


「モニカさん、また一段と綺麗になられましたね」


「いいわよ~お世辞なんて。らしくないから~」


「カタリナも綺麗になったな」

 みんな、すごく美しく見えた。


「はい、ライムさんも強くなって」


 お互い顔をじっくり見まわしている。


「ドサッ」


「皆に食料と装備品を持ってきました」

 遠慮気味にしていたベスコが話しかける。装備品はロンドナイフ、蝶紋の黒杖、紅蓮マント、リフューズソード、ウィッチローブ、司祭のローブ、魔法のブーツと初めて見るものが多数あった。



「アッキーはそれか?」


「僕はリトルからもらった武器」


「リトル、ああ彼女か」

 人魚の存在を言うわけにいかない。斧をもらったってゲームのイベントみたいだ。ゲームか、懐かしい。


「これアンクさんから」

 アッキーが話す、変わりすぎてない!?


「リフューズソード!?」

 出てきたのは古びた剣だった。そう言えばアッキーも金色の斧を装備している。


「似合うかな、少し攻撃力が上がるみたいだ」

 それにしてもか細い剣だ、軽いが案外丈夫そう。


「おおっ、俺のマントにひけをとらない良いマントがあるぞ。誰が装備するんだ?」


「これはライムじゃないか」

 手に持つベスコ。カッコいいマントの赤い布地が目立つ。


「おれ!?」


「おおーっ、恰好いいじゃないか」

 マントだが蝋でも塗られたような膜がある。それに火の柄のような刺繍が入る、しかし縫ったものではない。第二のヴィンスさんなんて御免だ。あの洒落た台詞を決めて登場するなんて・・・恰好いいかも、ふふふふふ。


「それ何?」

 エルドラが尋ねる、


「アポロンの弓、私の新たな武器」

 シャティが装備している。


「アルテミスの弓は私」

 フィアが装備している。


「それじゃー僕はこのナイフだね」


「そうね、それはエルドラのかな?」


「こっちのナイフを使うよ」


「お好きに」



「私にですか?」


「どう見てもカタリナへってあるわよ」

 司祭のローブの裏にカタリナと名前が書いてあった。


「もしかしてこれは私!、私の」

 モニカは蝶紋の黒杖を装備した。そして一回転して似合うか確かめた。


 こうして各自、武具を装備した。


「それじゃー、私たちは帰るね」


「ホパーのギルドの皆さん、ありがとうございました」


「ありがとうございました」


「街の皆のために頑張ってくれ」


「みなさん、応援しています」

 見送る俺たち、イラストマイガはすぐに下りて行った。何人か残して下りていく、二回に渡って降りるようだ。



「準備はいい、行くわよ」

 十階層出口に向かいシャティさんが歩いて行く。スカルベさんたちは後をついていった。


「おー!」

 俺たちも後についていく。

 これから十三階層のフロアを書くにあたって準備段階を書いた。修業と装備がこれで足りるだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ