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JKメイドの私が宇宙に留学し20億人の命を奪える女になった話  作者: 環状ブレイド
釣りとはどんなスポーツ

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自分から溺れて下着が透けるのは男性でも女性でも哀れな説

何度も釣竿を落とすアギちゃん。しかし、彼女はこれでも魔法界の名家であるセントカクラ家のお嬢様兼漫画の天才である。彼女なりに知恵を絞った「秘策」を披露し始めた。

アギちゃんは釣竿のグリップ部分と自分の手首を、持っていた頑丈な紐でぐるぐると固く縛り結びつける。

「よし! これで私の身体と固定した! これでもう、釣竿だけを落とすことは絶対にないだろう!」

「おお……! 単純だけど素晴らしい案じゃないかな!」

純粋なロンミさんが感心してパッと声を上げる。だが、その言葉すらも、わずか数分後に惨たく裏切られることとなった。


「ぬんッ! 喰らえ、必殺の投擲――うわあぁぁぁっ!?」

気合を入れて竿を振りかぶった瞬間、勢いに振られたアギちゃんは足元の濡れた木道を派手に滑らせた。

釣竿は確かに手首に固定されていたため、「釣竿だけ」が湖に流されることはなかった。

――だが、その代わり。

ドバッシャアアアアアンッ!!!

釣竿ごと、アギちゃん本人が頭から豪快に湖の中へと転落したのである。

「ア、アギちゃんーーーっ!?」

「ゴボボっ!? ぶはっ、助けっ、ゴボッ、沈むぅううっ!?」

手首に重い高級釣竿が固定されているせいで、アギちゃんは水中で満足に身動きが取れず、足の届く浅瀬であるにもかかわらず派手にバタバタと溺れかけた。元よりまともに泳げるはずもない彼女は、完全にパニック状態である。

「アギさん! 落ち着いて、立って!!」

「無理だぁあ!!」

叫んだ直後、アギちゃんはそのままズブズブと湖面から顔が消えてしまった。

とっさに私は自身の能力(サイスプリム)を発動し、アギちゃんの周囲だけ湖面をモーセの海割り状態に押し開く! その一瞬の隙を見逃さず、ロンミさんとラツミネさんが側にあった一番長い釣竿と、浮き輪代わりのペットボトルを素早くアギちゃんに差し伸べた。

引き上げられたアギちゃんは、半泣き状態のままズリズリと陸揚げされる。

「……ゲホッ、ゴホッ……! 死ぬかと……思ったぞ……」


陸に引き揚げられたアギちゃんは、濡れネズミならぬ「濡れアギちゃん」と化していた。

手首に固定された釣竿だけは、陸地の上で濡れた以外は無傷のままコロンと転がっている。だが、アギちゃん本人はといえば、頭から溺れたため服どころか下着の柄がハッキリ透けて見えるほど全身ずぶ濡れだ。

「そ、そんな私をジロジロ見るな……!」

恥ずかしさのあまり真っ赤になるアギちゃん。この状態で下着の柄が透けるのは、たとえ見ている相手が私やラツミネさんといった同性だけであっても、ラノベによくあるラッキースケベで見られるより遙かに恥ずかしいのだろう。

プライドも身体も完全に惨敗し、完全に自暴自棄になった彼女は、体育座りすら崩して周囲に水気を撒き散らすことも構わず仰向けになり、陸の上で打ち上げられた魚のようにピチピチと力なく跳ねながら、遠い目をして天を仰ぐのだった。

「……」


ロンミさんは、そんな彼女の全身をじっくりと覗き込む。

「ねえアギさん、このままだと釣りどころか風邪引くよね? それどころか、こんな水質もわからない湖だし、最悪命にかかわるかも。着替える場所ならトイレや草むらがあるけど……今日は泊まる予定もないから、タオルも着替えもないしなぁ」

「ふふ、それがあるのよ旦那様。タオルはもちろん、お召し替えの下着まで一式揃っておりますわ。こういうこともあろうかと、ミンネさんとコウレ君に持たされておりますので」

ラツミネさんが微笑みながら、脇に置かれた防水バッグをポンと叩いた。

「……流石はプロの執事とメイドさんだ」

「あいつら、私のことを何だと思っているのだ!」

(……蚕かなんかかな?)

蚕は地球の家畜で人間が世話をしないと生きていけない生物である。

「とにかく、早く着替えてきたら?」


数分後、草むらの陰で着替え終わったアギちゃんが戻ってくる。

「……つまらん! 釣りなど実につまらん遊びだ!! これだから静止した水場は嫌なのだ!」

「『足場の安定した岸辺』がつまらないなら……いっそ、誰も行ったことがない『沖合の最深部』まで行ってみない?」

ロンミ君が唐突に提案する。

「……ぬ? 沖合だと?」

アギちゃんも再び興味が湧いてきたらしい。

「でも、沖なんてどうやって行くの? ゴム製のイカダはあるけど、どちらかというと岸代わりの休憩用だし……」

「確かにそうだね……」

「だったら、私が能力で沖まで連れて行きましょうか? 人間4人+ゴム製イカダぐらいなら、安定して浮上させられますし」

「えっ、いいんですか?」

「ええ。お安い御用ですわ」

「待って。運ぶのは3人だ」

ピラーセル君が口を挟む。

「淀ほどじゃないけど、僕も飛べるし。淀と僕が2人がかりのほうが安全性高いし」

こうして私たちは、アビリスターの規格外な能力を無駄遣いしながら、沖合での決戦釣りに繰り出すことになったのである。

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