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JKメイドの私が宇宙に留学し20億人の命を奪える女になった話  作者: 環状ブレイド
釣りとはどんなスポーツ

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湖は釣りをするための場所であり裸の女の子をイカダに乗せて眺める場所ではありません

「……で、その甘々すぎる初夜の翌朝、二人で『ロンミ君』『ラツミネちゃん』って呼び合う約束をした……と。ロマンチックですね」

私は拝むように手を合わせながら、ニヤニヤが止まらない顔をなんとか整えた。二人を見ると、なんだかんだで照れつつも、すごく幸せそうな顔をしている。

……それにしても、だ。

「……はぁ。それにしても、あのゲンソクトウの帝魔王さんとこうもあっさり会えるとは……」

ゲンソクトウ。もちろん、私が通うオクスタン高校の地理の授業でも習ったことがある。地球でいえば明治時代くらいの文化レベルを持つ、魔法師たちの星だ。その国の政府とは別に魔法師による政治組織が存在し、日本でいうところの「幕府と朝廷」みたいな二重権力構造に近いのかもしれない。

「ステップ9様にそう言われてしまいますと、なんだか恐縮してしまいますが……お互い様ですよ。さっきも言った通り、私はスノースクション家の遠い臣籍の分家出身です。ステップ9どころか、アビリスターの人間と知り合うことですら、数年前の私からすれば夢みたいな話ですから」

「あの……私だってノリでアビリスターの能力者になりましたけど、まさかいきなり最強のステップ9になるなんて夢にも思ってませんでしたよ」

ラツミネさんとは、意外に気が合う気がする。


「そういえば、午後はどうするの?」

ロンミ君が素朴な疑問を口挟む。

「その答えは決まってそうだけどな」

ロル君は、ラツミネさんが持ってきたゲンソクトウの漫画を熟読しているアギちゃんを見つめる。

「そのようね」

ナキユちゃんも、ロル君と同じ視線をアギちゃんに向ける。

私とロンミ君だけが、どういうことか分かっていないようだった。


そんな甘い余韻に浸っていた時、バーベキューの隅でラツミネさんから借りた漫画――タイトルは『釣り屋のひとりごと』――を読んでいたアギちゃんが、突如としてバッと立ち上がった。

「決めたぞ! 釣りだ! 釣りをやるぞ!!」

唐突すぎる宣言に、その場にいた全員の動きが止まる。

「やっぱりこうなったか」

「こうなったわね」

「こうなりましたね」

ロル君、ナキユちゃん、ミンネさんは、まるで夏休みにアイスの食べ過ぎで腹を壊した子供でも見るような目つきと声になる。

彼らの予想通り、アギちゃんはラツミネさんが持ち込んだ大人気釣り漫画に、まんまと影響されたらしい。


「ちょっと、アギ。ロンミさんやラツミネさんもいる前ですよ?」

「いいではないか! どうせ予定もないのだろう? どうせ交友関係も希薄なのだし」

「お嬢様じゃあるまいし……そんな意味不明な影響を受けて、帝魔王夫妻を連れ回さないでいただけますか?」

コウレ君の言い分も正論だ。ラツミネさんも流石に呆れるのでは……と私は彼女の方を見たけれど、当のラツミネさんはむしろ目を輝かせていた。

「……釣り。ぜひ行きたいわ! 旦那様も行くわよね!?」

まあ確かに、彼女はもともとアウトドアに興味がありそうな感じではある。アギちゃんのように何かに影響されたわけではなさそうだ。

「ラツミネちゃんがそう言うなら……」

ロンミ君も素直に賛成する。彼も好奇心旺盛そうだしね。


「そもそも、このあたりに釣り場なんてあるんですかねえ」

思いつきに流されたくないのか、ちょっと嫌味っぽく呟くコウレ君。するとアギちゃんがドヤ顔で答えた。

「セントカクラ家の釣り堀があったはずだぞ」

「確かにあるにはあるが……あれはお前の母親がボートで飲酒運転をしたり(もちろん完全自動運転のボートなんて腐るほどもってる)、アビリスターの幹部が裸の女の子をイカダに寝かせて岸からそれを見物したりするために作った人工物だろ? 魚なんて釣れるのか?」

ロル君の口から明かされた酷すぎる裏事情に、その場の全員の表情が「呆れ」と「どん引き」で完全に凍りついた。さらっと帝魔王夫妻の目の前で、仮にも自分の義母の恥部を晒すロル君。

「…ちゃんと魚も放流してありますよ… 他の星からも高級魚から一般の川魚まで輸入して、100種類以上。そうしないと雰囲気が出ないとか何とかで……」

コウレ君が補足する。日本の琵琶湖ですら在来種や外来種を含めて約70〜80種類なので、それすら上回るスケールだ。

(……どうせ湖面なんてまともに見ないくせに……)ってことを言いたげな顔だけど。

こうして私たちは全員で、オクスタン高校の近くにある風光明媚(?)なセントカクラ家の釣り場(湖)へと繰り出すことになったのだった。

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