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JKメイドの私が宇宙に留学し20億人の命を奪える女になった話  作者: 環状ブレイド
ロンミ×ラツミネのラブストーリー

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歴史的なのに当人達にとっては平凡な結婚式

顔合わせから数週間後、私は厳かな式場で、生まれて初めて着るタイプの豪華絢爛な婚礼衣装に身を包み、正式な挙式を迎えていた。

一応私たちは、この魔術師の星の君主夫婦のはずだ。けれど反対意見や時勢に遠慮して、集まったのは最低限の関係者だけだった。正直、私にとっては大勢に囲まれるよりそっちの方がずっと落ち着く。


大勢……と言っても身内ばかりの重鎮や幹部たちが固唾をのんで見守る中、誓いの言葉を交わす。

だが――ロンミ氏、いえ「ロンミ王配殿下」の顔は顔合わせのときよりさらに赤く、この式の間中も、ただの一度たりとも私と目を合わせてはくれなかった。

神父の前で誓いの吻(くちづけ)を交わす場面に至っては、ベール越しでも彼の心臓の鼓動だけがやたらと激しく打っているのが伝わってきた。

(……やっぱり、私なんかが相手で嫌だったのかしら。それとも、政略結婚の重圧に押し潰されそうなだけなのかな)

私の方はというと、「ファーストキスはレモンの味がする」なんて聞いたことがあるけれど、何の感想も湧いてこない、ただただつまらない味がするだけだった……。

キスを終えて旦那様を見ると、その顔はますますリンゴのように真っ赤に染まっている。変なの。


ちなみに改めてロンミ氏側の親族についても紹介されたのだけど、なんとマスブレイカ殿の元妻・アギさんは、あの宇宙屈指の大魔法一族・セントカクラ家のお嬢様だという。彼女の祖父ヌルタイジはゲンソクトウの魔術師にも友人が多いらしい。でも、それが私たちにとって役に立つことはなさそうだ。

「元妻」という言葉通りとっくに離婚しているし、当人はマスブレイカ殿とも祖父のヌルタイジとも折り合いが悪い。幼少期に2人は「セントカクラ家側が巨額の持参金をやるから」と強制的に結婚させられたそうだが、政略結婚とかそういう上等なものではなかったらしい。アギさんの母親の方は「次期ステップ9の母親」という肩書きを使ってアビリスターでふざけた馬鹿騒ぎをし、アビリスター側はその持参金を使って宇宙から美女を拉致して遊ぶのが主目的だったとのこと。


なぜこんな酷い話が私の耳に入るかというと、この結婚式をきっかけにロルやミンネとはさらに距離が縮まったからだ。ほぼ同い年だし、必要な場以外ではお互いに呼び捨てで呼び合おうと約束も交わした。

ロルは式そのものより、式で出される料理の方に興味がありそうだったけれど、それは私にとっても同じことだ。お互いに事前持ち込みの最低限の食糧だけで腹ごしらえを済ませたという事実が、皮肉にも私たちの間に謎の一体感を生み出していた(両者共に毒味ができないため、式場の料理には絶対に手を出さないよう事前に釘を刺されていたのだ)。

披露宴では、少し高い場所に設置された玉座のような椅子に座り、ヘラヘラと愛想笑いを浮かべながら、両家の出席者に手を振り続ける時間も一緒だった。

お互いに虚しい作業だったけれど、自分たちの周辺の平和のためと思えば少しだけ気分が晴れた。なんだかんだで、私のメンタル以外は無事に結婚式は終了したのだ。


……しかし、私たちは夫婦。

むしろ、この後の「初夜」こそが苦痛の本番と言えるかもしれない。最後にして最大の苦痛。肉体的にも、精神的にも……。

考えるだけでも心が擦り減りそうだったが、結婚式後、私が住む館への移動時間も情け容赦なく過ぎ、ついにその日の夜――初夜を迎えることになった。

けれど、これさえ乗り越えてしまえば、今度こそグッスリ眠れるはずだ。

侍女たちにされるがまま浴室へ連れて行かれたが、正直お湯に浸かる気なんて起きなかった。

その後、初夜を迎えるためということで普段とは別の広い部屋へと案内される。

「お布団でお待ちください」と言い残し、侍女たちはさっさと退散してしまった。薄暗い部屋に一人、取り残される。


言われた通りに布団に潜り込みながら、彼を待ち続ける。

初夜だからと携帯電話は事前に没収されており、部屋にあるのは大きな布団と、大きな窓が一つだけ。窓の外から聞こえる小さな虫の声だけが、かすかな暇つぶしだった。まもなくロンミさんもやってくることだろう。

さて、肝心のロンミさんとは、結局披露宴の場でも会話する機会が一度も無かった。それどころか、終始向こうは私とちっとも視線を合わせてくれないのだ。

形だけとはいえ、私たちは盛大な式を挙げた夫婦なのに、本当にこれで大丈夫なんだろうか? 本当にこれから「ちゃんと」できるのだろうか?

せめて彼が変態的な夜の趣味を持ち合わせていないことだけを強く祈りながら、私はその時がやってくるのを、黙って待ち続けるのだった。


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