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JKメイドの私が宇宙に留学し20億人の命を奪える女になった話  作者: 環状ブレイド
すごくベタな淀がアイドルになる話(ヒゾラ初登場回)46〜50

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淀「彼女はサイキョーでテレポーターのアイドル」

私の名前は浅利淀。地球からこのアビリスターに留学した、ごく普通……いや、ステップ9という超能力者の頂点に立つ女子高生だ。

「はあ〜、淀、おはよう」

「おはようって、今もう11時だよ……」

「それが普段より数時間早く起きた人間に対して言うセリフか! 学校がある日は正午以降に起きるのがアギスタンダードだぞ!」

「いや、言うセリフだと思う、うん」

まあアギちゃんはいつもこんな調子だ。夏休みは厳しい寺修行に行くはずだったんだけど、結局いろいろあったらしく、10日ぐらいでイカレタヤカタに戻ってきた。

それから数日で当然のように自堕落な生活に戻り、寺修行の名残は丸坊主の頭だけである。外出時は帽子を被っているが、端正な長髪を取り戻す日も近そうだ。


「淀さん。この引きこもりお嬢様とミンネさん、そして僕といっしょに、とあるライブに行きませんか?」

「あの方ですね。私はもちろんいいですが。もしかして、あれですか?」

「ええ」

彼らはアギちゃんの執事のコウレ君と、メイドのミンネさんだ。

「ライブってどんな?」

「こいつだよ」

アギちゃんがテレビをつける。

画面に映ったのは、アビリスターの美形子役タレント、ミバリ・ヒゾラちゃん。

「コウレ君はヒゾラちゃんのファンなの?」

「ファンというか、なんというか……」

正直、コウレ君がそういうのに興味があるのが意外だった。

「まあ、お嬢様のちょっとしたご友人でして」

「へえ。流石セントカクラ家」

「淀さんは興味ありますか?」

「まあ人並みにはあるし、できるならぜひ御一緒させてもらおうかな」

「決まりですね」

しかしアギちゃんにしては珍しく、時計を確認する。

「ではもうそろそろ行かないとな」

「ライブまで時間、余らない?」

「ちょっと野暮用があってな」


連れてこられたのは、ライブ会場でも、その近くのショッピングモールでもなく、会場の側の裏山だった。そこで待っていたのは、なんとミバリ・ヒゾラちゃん本人である。

「久しぶりだな、ヒゾラ」

「ご無沙汰してます」

三人の様子から、どうやら別人の変装とかでもなさそうだ。

「ちょっとコウレ君。今日は新しいステップ9を連れてくる予定だったわよね?」

「え?」

どうやら話がわかっていないのは、私だけのらしい。

「私はコウレ君とのプライベートにまで、新人アイドルとのコラボや審査員とかやる気力はないんだけど」

彼女はプライベートではアギちゃんの友達だけあって、多少はっちゃけるタイプなのかもしれない。現職のタレントなのに、一般人に対してかなりのブラックジョークである。

「こいつが浅利淀。まさにその新しいステップ9のサイスプリムなんだが?」

「なるほどね」

そのとき、私は大木が空から降ってくるのに気づく。危ない!!私は反射的に避けつつ竜巻を起こして、木の落下の衝撃を無力化する。

上を見上げると、ヒゾラちゃんは大木の上から私を見下ろしていた。

「まさかこれ、ヒゾラちゃんがやったの?」

「これ回避できるなんて、本当にステップ9のようね」

「どう見てもステップ6の威力じゃないよね、これ」

ステップ6は日常生活で役立つ程度である。テレポーターは自分を移動させることができる時点でステップ7という扱いと聞いたことがある。それどころか、自分の体重の何倍にもなるだろう大木を軽々と移動させており、おそらくステップ8ぐらいはありそうだ。

「ステップ6というのは建前だけね。テレポーターって実用性がありすぎて、それがアイドルなんてやってたら関係者に危害が及ぶでしょ。真の能力は貴女とお揃いのステップ9よ。サイスプリムさん?」

「まさか私と勝負しろと?」

アギちゃんはようやく気づいた、という顔になる。


空中で舞う私を相手に、ヒゾラちゃんは何度もテレポートを繰り返す。そのたびに間合いを詰めてくるが、しばらくしたあたりから、明らかに息が上がり始めた。

「……っ、ちょっと待って」

次の瞬間、ヒゾラちゃんの足がもつれた。私は慌てて風で体を支え、倒れ込む彼女を受け止める。

「大丈夫ですか!?」

「……過労の症状ですよ、これ」

駆け寄ってきたコウレ君が、冷静に告げる。ヒゾラちゃんは薄く目を開けたまま、苦しそうに息をしていた。

「おい、あいつのライブまであと30分もないよな」

もしファンなら、本番土壇場でバックレるなんて、間違いなくショック半端ないと思う。

「でも大丈夫。一応、この場を繋ぐのはなんとかなるのでは?」

「えっ、代役のタレントさんでもいるの?」

まあセントカクラ家の財力とコネならなんとかなりそうだ。それが不幸中の幸い。

「そうですね。僕の目の前に、ちょうどうってつけの方がいますし」

「えっ、どこに?」

私は周囲を少し見渡す。ちょうどアギちゃんが、私のことをじっと見つめてるのに気づく。

「セントカクラ家の力で代理のタレントでも用意するの?」

「ああ、用意するさ。新人アイドル・浅利淀を」

衝撃の一言だった。


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