なんの変哲もない我儘お嬢様が丸坊主にされて寺修行させられる話
オリエンテーションをサボって自宅で食っちゃ寝していたことがバレた、クズニートのお嬢様・アギ。
そして夏休みを待たず、これから寺修行に行かされることが決定した。そのためコウレとミンネの使用人コンビは、アギを風呂場へ連行して剃髪の準備をしている。
「は? 風呂場に来いとは何を言っておる。まる3日入っていないだけではないか」
安定のダメ人間だな。うん。
「まともな男が見たら幻滅程度じゃすみませんよ。さあ、行きましょう」
なにか自分にとって良からぬことの始まりだと気づいたアギは、さらに拒否丸出しの顔になる。「バカ。風呂なんかに連れてってどうするつもりだ。とにかく私は行かないぞ」
「やっぱり力ずくしかなさそうですね」
「ミンネさん、ロープを頼みます」
「言われなくても」
「おいコウレ、ミンネ、何をする。運ぶな、おい!」
俺も野次馬として風呂場についていく。
「さて、あまり暴れないでくださいね。これはR18ではありませんので、お嬢様の全裸描写はすぐに終わらせなくてはいけませんから」
「おい、何を無理やり脱がせようとしてるんだ、お前らは」
まあアギが幼女形態だから、脱がせるのに一応男のコウレが加わっても……尚更アウトだな。うん。
「やっぱり2人がかりで大正解ですね」
「ですよね」
「ってか、いつの間にか手足にロープをつけた上で、無理やり洗うな!」
……ミンネとコウレの2人がかりで、アギの身体を洗っている。当然、身体の何から何まで。まあ丸3日風呂に入っていない人間を、そのまま格式のある寺に預けるのは迷惑だからな。
「すぐ終わりますからね。ミンネさん、バリカンを」
「バリカン? まさか私を丸坊主にする気か。やめろ、おい」
「そのまさかです。お嬢様には夏休み中、とある寺で修行していただこうと思います」
「おい、冗談だよな?」
既に震えた声になるアギ。
「これから冗談でないことがわかると思いますよ。ミンネさん、アギの頭を固定していただけますか?」
「承知しました」
2人はアギを風呂用の椅子2脚の上にうつ伏せで寝かせ、ミンネがロープと自分の体を併用して抑え込む。
「さて。髪が目や口に入るのが嫌なら、抵抗しないでくださいね」
「本気でやるのか? おい、やめろー!」
コウレは、スタイルとは不釣り合いなほど下ろすと腰まで届く、アギの端正な髪をつかみ、うなじにバリカンをあてがう。そして前頭部に向かって滑らせる。当然、アギの長い金髪は周りの床の色を変えていく。
「あっ、私の髪の毛が……ああーっ!」
「これでとりあえず一通り剃り終わりました」
「どうせならもっとツルツルにされては? これ、シェーピングクリームです」
「そうですね」
「うわあああああああ!」
女性との付き合い以外は何をやらせても万能な執事により、アギの頭部から髪の名残が消えていった。
「うええん……ぐすっ……」
強制的に自分の髪を奪い取られ、ただただ号泣する引きこもりお嬢様。いや、夏休み没収和尚様?
「とりあえずこれで、修行する気が起きましたか? 鏡をどうぞ」
「うわーん。なんだこの頭はー! 完全な丸坊主頭だし、酷すぎるぞ」
「わりと似合ってるけどな」
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「うるさいわ!」
「さて、一通り剃髪が終わりましたから、そろそろ法衣を」
2人は無理やりアギに下着と法衣を着せる。
「おい、なんだこれは。それに、何また運ぼうとしてるのだ、おい」
「だから寺修行と言っているじゃないですか」
「寺に移動させるための宇宙船の用意も済んでいます」
2人は事前に借りて置いたらしき特別工務隊の囚人用の檻に、アギを無理やり放り込む。
「丸坊主で護送車なんて、まるで囚人同然ではないか!」
「この高性能な宇宙船なら、東京の奥地の寺になんてすぐ着きますから、我慢してくださいね」
「明日は俺、学校も工務隊の仕事も休みで暇だから、ついていっていいか?」
「ご自由に」
宇宙船はかれこれ1時間もかからないうちに尼寺に到着した。有言実行というやつだな。
俺たちは降りて、既にコウレが話を通しておいた寺の関係者に挨拶をする。
「このアギは、学校をサボって引きこもり、ゲーム・漫画・アニメばかりのどうしようもない怠け者なんです。ぜひお宅の修行で少しでも立て直していただけると幸いです。もちろんこの通り頭は剃髪済みですので、修行が終わるまでは維持させてくださいね」
「はあ〜、修行はいつまでなんだ?」
「今夜から次学期の前日までですよ」
アギの顔は、さらに絶望という言葉を体現したものになる。
「はあ、夏休み中ずっと丸坊主頭でこんな寺で修行しろというのか。せめて学校があるときにしろ〜」
「学校があるときにしろ、そういう考え方はこの際、寺修行で改めてください」
「お嬢様の引きこもりを治すためですよ。これで少しは新学期に行く気が起こるように、心を入れ替えてください」
「まあ漫画の原稿自体はやる時間をとってもらえるように寺とも交渉済みだから、連載を落とす心配はないだけでも感謝しろよ」
「待て、コウレ、ロル、ミンネ〜!」
アギを預けたが、どうせなら少し周辺を観光してから帰ることにしよう。




