かわいさも財力も天才さも馬鹿さも凡人とは次元が違う3バカ
セントカクラ・アギ
私の名前は浅利淀。地球から超能力を開発する星、アビリスターに留学し、ステップ9という最強格の能力者になった女子高生。
「はあ……せっかくの休みだからと本当に午後まで寝かせるやつがいるか」
とても魔法界屈指の名家のお嬢様とは思えない、だらしないあくびをしたのは、私の棲家の主人、セントカクラアギちゃんだった。
「何度も起こしましたよ。でもまったく反応がありませんでしたからね」
呆れた顔で言う執事、ケンリュウコウレ君。
「でも午後はエヌミさんとルリネさんが遊びに来てくれるとのことです。たまには運動でもしてくださいね。」
「よせよコウレ。0に0をかけても足しても0にしかならないっての。」
……的確?な嫌味を言ったのはアギちゃんの元夫であり、私と同じステップ9のロル・フランル君。
「それもそうですがね」
コウレ君はもちろん、ロル君も散歩中の私とジョギングで遭遇するくらいには、私生活は真面目だ。
会話の最中、屋敷の呼び鈴が鳴った。私とコウレ君、アギちゃんの三人で玄関へ向かう。
やはり、初登校日に見かけたアギちゃんの隣の席の二人だった。
「いらっしゃいませ。君たちがエヌミちゃんとルリネちゃんだよね」
「そうだな。ヨドにはまだ紹介してなかったな」
「私はヒトキ・エヌミや。自分で言うのもなんやけど、女子高校生にしてプロのオチゴ家やで」
関西弁(宇宙外文明なので自動翻訳されている)のエヌミちゃんは、灰色のショートボブがよく似合うかなりの美人だった。
「オチゴ家って?」
「基本的に椅子や座布団に座って、一人で様々な役を演じながらオチのある話を展開する、アビリスターでは人気の芸能の一種ですよ。」
要するに地球で言えば落語みたいなものらしい。
「私はコノツカサ・ルリネ。こう見えてサイスプリムさんと同じステップ9の一人なんだよ。能力は万能武器生成。」
紫髪短髪ツインテールのルリネちゃんもかなりの美人だ。
「基本的に自分の目で見た武器ならなんでも生成できるが、本人はボンクラ以下なので総合的な戦闘力は少なくとも淀よりはるかに弱いだろうな」
「まあどちらもアギとは入学して以来の腐れ縁ですよ。」
「まあアギちゃんとロル君には負けるけどねえ」「「うるさいわ。」」
タイミングがぴったり合う二人を見て、なぜか微笑ましい。
「ってことは二人共飛び級なの?」
「そして全員、少なくとも一般人からしたら桁違いのお金持ちのご令嬢でもあります。エヌミさんの実家はセントカクラ家の協賛企業でもある大財閥、ルリネさんの実家は母星で千年近く王家に仕えてきた名家です」
「まあそれ以外の基本スペックが相当低く、私生活もだらしないがな」
「まあだからこそ三人のセットってわけですが」
「ちょっとロル君と使い魔執事君! まるで私達三人が三馬鹿トリオみたいじゃない!」
ちなみに「使い魔執事」というのは、私の能力で召喚されると女装姿になってしまうコウレ君のあだ名だ。
「実際そうだろうが……てか今まで気づいてなかったのかよ……」
「てか使い魔執事って言わないでくださいよ!」
コウレ君の女装は天才的に可愛いけど、本人は天災的に嫌がる。
「まあこれからは三人並列に個性を尊重したバカということで」
「私自身がバカだと思われるのはいいよ! でもいくらなんでもアギちゃんやエヌミちゃんと横並びのバカと思われるのは嫌だよ」
「なんだとー。この私がお前らほどのバカであるわけないだろ?」
「私が他の二人ほど間の抜けたバカであるはずがないやろか!」
……私の頭の中で「どんぐりの背比べ」という言葉がデカデカと浮かんだ。
「じゃあテストの点でも見せ合ってキングオブバカを決めたらいかがですか? ちょうど定期テストが近いですし」
「バーロー。そんなんで本当の知能の優劣が図れるか!」
「そうやそうや」
「自慢じゃないが、全員今から毎日徹夜で勉強しても最低一科目以上は0点を叩き出す自信があるわ」
……確かに自慢じゃない。
「…じゃあなにで決めるんですか?」
「この学校には生徒向けのユアライブチャンネルがある。これに動画を投稿して、再生数でビリだった人が一番のバカということだ」
「おお。アギとして論理的な提案ではあるけど……」
「まあ本当に頭のいい人ならヒット動画を取れるはずやからな」
「賛成ー。ちなみにビリの人は罰ゲームとして、使い魔執事君といっしょにレオタード姿でオクスタン高を走り抜けるってことで」
「臨むところだ!」
「勝手に決めないでくださいよ……」
コウレ君が悲壮な顔になった。




