カミュ、魔族の非常勤相談役に驚く。
次の日、早朝いつものようにククリコンと剣の稽古を行った。
ククリコンは強くなってきている。腕もそうだが読みが深い。毎日建築の職人たちと一緒に仕事をしており、それで読みが深くなったのか、と思った。
早朝訓練をしていると、カムストックさんと奥さんが出てきて
「頑張ってるねえ。」
と声をかけてくれ、一緒に朝食をとらないか誘われご馳走になった。美味かった。
その後、家に帰り、俺は蒸気機関の開発を行い、ククリコンは昨日の様にアイナ村北側の竜の村落作成に行った。
午後になり今度はカムストック夫妻をうちに呼び昼食をご馳走した。
作ったのは天ぷらそば。こちらの世界のソバの実と組成が似ている実を挽いたものに水と塩を混ぜ練ったソバに、魔族が持ってきてくれた芋と漁師さんがくれた白身魚をある植物の実を絞った油で揚げた天ぷらを乗せたものだ。梅雨は魚醤に甘味を加えそれを水で薄めたものを作った。
カムストックさん夫婦は美味いと言ってお代わりをして食べてくれた。奥様が作り方を教えてほしいと言うのでお教えし材料を分けてあげた。今から俺とカムストックさんは村長宅に行くが、その間に挑戦してみるとの事だった。
カムストックさんと歩いて村長宅に行く途中、
「カミュさん、なんで空を飛ぶなり移動の魔法陣を使わないのだ? 」
「歩いて周りを見ながら行くと色々な発見があるのですよ。この草は薬に使えないかとか、村のみんなが
こういうことで困っているのであれを作ろうとか。」
「そうか。非常勤とは言え私も相談役になったのだ、私もそのへん注意しないとな。」
と言った。
村長宅に行くとすでにルオさんと何故かケルググン殿が居た。カムストックさんが
「何故魔族の宰相閣下がここにいるのだ?」
「私もここに呼ばれたのでな。要件はそのうちわかるさ。そちらこそ竜の内政責任者が何故ここに? 」
「私は引退してここに妻と住んでいるのだ。住むにあたり、村長殿より非常勤の相談役となってくれと言われ、家の場所も都合をつけてもらい温泉の傍にしてもらったので受けたのだ。」
と言った。
さすが大国の魔王国ナンバー2と竜の領域ナンバー3だけあって牽制しあっている。空気が重い。
ただ、なぜかケルググン殿はニヤニヤしているが。
村長がアイナ村魔族駐屯所の責任者でもあるマナックさんを伴ってやってきた。
マナックさんはケルググン殿が居るのでびっくりしている。
村長は、
「いや、またせてすみません。実は今日ここにお集まり頂いたのは魔族から来ていただく非常勤相談役の紹介の為です。」
と言った。俺や、多分カムストックさんもだと思うが、マナックさんがなるのか、と思った。
「この度アイナ村の非常勤相談役を務めさせて頂くケルググンです。」
村長とケルググン殿はしてやったりという顔をし、俺、カムストックさん、ルオさんはビックリしている。
ルオさんが
「どういうことですか。」
と言うと、
ケルググン殿が
「実は武闘会前からそろそろ引退を、と考えていたのだ。武闘会後、私は入院し政は魔王様が、軍はナーサスに引き継いで貰ったが、その間、こちらに居たラオンを呼び戻し、魔王様、ナーサスの補助をやらせたのだがじつにしっかりとその務めを果たしてくれた。引退にあたり次はラオンにと考えていたのだが不安があった。しかし今回の事でしっかりその務めを果たしてくれたことで、魔王様に引退をお伝えしそれが了承された。」
ケルググン殿は水を飲み、
「私の後継はラオンだ。ラオンが魔王軍宰相として立つことになる。明日にでも発表があるだろう。
引退して何をしようか、と考えた時、カミュ殿のいるこの村で共に剣の道を極めようと考えた。魔王様にその旨お伝えすると、よいのではないか、とおっしゃって下さり、村長殿に私が村民になれるよう紹介状を書いて下さった。」
周りを見渡す。
「その紹介状を村長殿にお渡しし、家を買いたい旨申し上げた。できればカミュ殿の家の傍ということで。」
「そうしたらカミュ殿の家の傍で温泉宿にも近い土地を紹介して頂き、村長殿より非常勤でよいから相談役をしてほしいと言われ、それを受けた、というのが経緯だ。」
ケルググン殿は村長を見て、
「まさか竜の内政責任者も非常勤相談役になっていたとは知らなかった。村長殿もお人が悪い。」
「ただし私は魔王様の非常勤相談役でもある。その事も了承してほしい。」
と言った。
カムストックさんは
「まさかお主と一緒に仕事をする事になるとは思わなかった。よろしく頼む。」
と言った。
ケルググン殿は、ケルググン殿の家が建ったら魔王様の相談役でもあるので家に魔王領との移動の魔法陣を作ること、その事は村長には承認を得ていることも言った。
俺は、
「では明日から早速一緒に稽古しましょう。ククリコンも驚くぞ。」
と言った。
ケルググン殿は奥様を病気で亡くし、子供もいない為この村に来ることに支障はなかったと言っていた。
ケルググン殿もカムストックさんと同じように、笑いながら自分の家に温泉引きたいと言っていたが同じ理由で保留した。
村長の奥様から、
「バッチさんがあなたに相談したいことがあると言って来ています。」
と言い、バッチが入ってきた。
「村長に相談があってきたのだが、何故ここに魔族の宰相が居るのだ。」
「本日付で宰相を辞めた。明日からはアイナ村に住む事となり今後アイナ村非常勤相談役となる事となった。バッチ宰相閣下、今後よろしく頼む。」
とわざとらしく敬礼をして言った。
バッチはムカついた顔をし、村長に
「こちらが竜の領域の人事で困っているのに。村長よ、アイナ村はカムストック、ケルググン、カミュが相談役だと。ふざけるな! 」
と言い、
「アイナ村は竜の領域の支配下にある。宰相として命じる。ケルググンよ。竜の領域の民生大臣と成れ !」
ケルググン殿は
「嫌だ。」
と言った。




