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カミュ、義手を試す。

 次の日早々に筋肉系の材料を持ってすぐに鍛冶屋のラムザさんの所に行った。

 金属部品は出来ていた。


 ラムザさんは、

「カミュさんが何を作るのか楽しみで今日は休みにした。」

といって、目を輝かせていた。


 本来ならば悪いからいいですと断るところだが、是非手伝いが欲しいところだったので、お願いした。


 図面をラムザさんに見せ、腱の部品、可動部の摩擦防止部品、筋肉の部品と骨に当たる金属部品を一緒に組み立てた。


組んだ後、シリコーン状の素材で覆い、腕の部品すなわち義手を完成させた。


「腕かい、これ?」

とラムザさんが聞いたのでそうだ、と言い、乾くまで放置だと言った。

 俺はラムザさんに乾くまでヒマだから何か手伝うことはないかと聞いたら、じゃあこれ大雑把でいいから魔法で切ってくれ、と言われ、ラムザさんの鍛冶屋の鉄板切断の仕事を手伝っていた。


 そろそろ乾くころであったのでラムザさんと義手の実験を行う事とした。


 俺はラムザさんに

「よく見てください、ラムザさんが異常と思うところを気が付く限り指摘してくださいね。」

というと、

「おいカミュさん。医学に関する実験を行うのにハッサン先生を呼ばなくていいのか。」

と言われたが、

「そんな暇はないです。上手くいったらそれを後で見せればいい。」

といった。

「今からリモートムーブの呪文、すなわち遠くのものの構造を動かす呪文を唱えこの義手を動かします。この呪文は動かすものの構造を感じることが出来る呪文です。ではやります。」

といい、無詠唱でリモートムーブを発動し、義手を感じながら動かしてみた。

 肘を曲げ、手首を曲げ、指を一本ずつ動かし、手をじゃんけんのグーチョキパーの形にする。


 しばらく動かして、

「ラムザさん。どうですか? 」

と聞くと、

「この義手の人差し指の動きが鈍くないか? 」

「やっぱりそうですか。呪文で動かしていても動かす感じに違和感と言うか可動域が少し狭い感じがします。」

「研磨はきっちりやった。カミュさんの依頼で精密にということだったから自分としてはこれ以上は無理だ。多分これルオの腕のつもりで作ったのだろうが、どうだ、実用には人差し指の動きはきついか。」

「うーん、あくまで簡易実験で実際人体につないで試験したわけではないから。でも、だからこそしっかり作りたいと思う。ラムザさん、大変失礼ですがイナバーン鍛冶師で研磨が上手い人とか心当たりはないですか。」

「カミュさん、本当に失礼だな。いや、怒っている訳ではないが。イナバーンで俺より腕が上の奴はいない。でも、ドワーフならいる。例えばこの前の魔族の武闘会でカミュさんが戦ったナーサスやその弟子であるサスカッチは俺より上だ。」

「ナーサスさんならよく知っている。でもあの人今はケルググン殿の代わりに魔王軍の軍務を担当しているから頼むのは難しいかな。ナーサスさんのお弟子さんのサスカッチさんに頼んでみましょうか。」

「そうした方がいいかもな。」

「では魔族の駐屯場のマンテナさんにナーサスさんと面会できるか聞いて、ドワーフ領に行く許可を貰ってきます。まずナーサスさんに会えればサスカッチさんへの紹介状を書いてもらってそれからサスカッチさんに会ってきます。」

「俺もついていく。かなり細かい研磨になると思うからカミュさんが話すより鍛冶屋の本職同士で俺がサスカッチに説明した方がいいかもしれないからな。」

「お願いします。」

 ラムザさんにそう言い、俺はマンテナさんの所に行きナーサスさんに会えるかどうか聞いた。

 マンテナさんは紹介状を書いてくれ、

「ナーサスさんは忙しいとは思いますがカミュさんでしたら要件が重要であれば会ってくれると思います。一応私からの紹介状を書いておきましたから、魔王城でこれを提出してください。」

と言ってくれた。


 俺はルオさんの所に行った。

 ルオさんは村長さんの所で旧ボーナン領の畑の開発について考えている最中であったが快く会ってくれた。

「どうしました? カミュさん。」

と聞いてきたので

 今、医療の研究を行っていること、その内容はパーフェクトヒール、エリクサーが間に合わずに壊死した腕や足の義手、義足に関するものであること、あるていど目算が立ちそうなのでルオさんに義手を付ける手術をしたいことを言った。


 ルオさんは最初難色を示した。

「今、私は隻腕で困っていないし、その様なことを研究しているのであればもう少し早くいってほしかったしその義手を付ける手術は大丈夫なのか怖い。それにこの前相談したアイナ村や竜の組織案はどうなってますか。義手義足の研究は大事ですが、まずすべきことは組織に関することで、それを先にするべきではないですか?」

と複雑そうな顔をして言った。


 俺はククリコンの鼻先のドリルの手術について説明したうえで、

「手術はククリコンの手術を応用したもので失敗の可能性はまずないです。失敗するとしたら接合した腕が本人の思うようにすんなり動くかどうか、ということです。失敗した場合切り離し元の状態に戻すことは可能です。この医療技術が成功すれば人間や魔族の隻腕、隻足の人にとって良いことになると思うので協力してください。」

と言い、協力してくれることとなった。


 組織案については、手術の事で部品の研磨をドワーフにお願いする事になるからその間に俺の案を作成する、と言うことを言った。


 その後鍛冶屋のラムザさんの所に戻り、明日転移魔法で魔王城に行きナーサスさんに会い、その後徒歩でドワーフ領に行きサスカッチさんに会う旨伝えた。

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