カミュ、前夜祭が荒れビビる。1
それから武闘会が始まるまで、午前中は練習、午後は色々用事をこなし、夜はバッチらと夕食と散歩をという生活をした。
午前中の練習は宿に庭を借り、素振り、座禅、立ち合い練習をククリコンと行った。ククリコンに指摘をすることで、自分の剣も見直せた様な気がした。
午後の色々な用事というのは、魔族の宿への訪問の対応、取材の対応、後は呼ばれた所に行くか人と会うことだった。宿には、魔王軍の隊長をはじめとするお偉方が訪問しに来て挨拶をしていったり、練習や立ち合いを求められたりした。
練習や立ち合いは大会前ということで断った。また、ケルググン殿の家にあいさつに行ったり、魔王城で暇してる竜王の命令でその相手をしたり、錬金や魔法、発明のことについて魔王と話したりした。ナーサスさんとも会った。彼はケルググン殿の家に泊まっているとの事。町を案内してもらった。ラオンとも会い、魔王軍の施設を案内してもらった。
夕方はバッチらと夕食、散歩だった。最初のうちは、身バレしたら色々騒がしいだろうという事で変装したがメンドクサイのでやめた。魔族王都だと、当たり前だが魔族が多く、人間の俺と人化しているバッチは大変目立つ。
素顔のままで町を散歩したが、魔族からは「大会頑張れよ。」「見に行くぞ。」などの応援の声かけが多く、プライベートを邪魔されるようなことはなかった。
バッチについては、ヒソヒソ声で
「氷の姫バッチだ。」「何のために町を歩いているのだ。」と警戒されていた。
大会の審判部長ですって言えよと言ったが、一応大会サプライズの一つなので大会当日まで言うなと言われていると言っていた。
そのうちにトリッパーも到着した。どこに泊まってるのか聞くと、魔族の王都の旧セト領領事館と言っていた。魔族領という事で、常駐している職員がいるとのこと。
先に来ているなら上手いものが食える店を紹介してくださいよ、とのことで何日か一緒に行動した。バッチに紹介したら俺とはどのような知り合いか知りたがったが、一応昔の知り合い以上の事は言わなかった。
まあ念のため。知りたかったら勝手に調べるだろう。
ククリコンは魔族に近いと思われている様で、特に応援の声かけが多く、喜んでいた。
そういえば、竜王の武闘会予想という記事を見た。優勝が俺で準優勝がククリコンになっていた。
Aグループは他の予想では混戦と書いているものが多いが、竜王から見るとカミュ一択で決定。
ククリコンは実力の伸びが凄く、決勝は我の租借地であるアイナ村コンビで行われ、経験の差でカミュが勝つ。来年は我も人化した上で剣を稽古し参加したいと書いていた。
そんな記事を書いて、魔族を煽って盛り上げていた。
そうしてすごしているうちに、前夜祭があった。
これは闘技場にステージを設け出場選手が出席し豊富を述べるというものだった。
ナーサスさんを応援するドワーフ応援団、シンバさんを応援するゴブリン応援団が目立ち、俺やククリコンを応援してくれるアイナ村の村民や竜、トリッパーを応援する旧セト領民も居た。
司会は魔族の広報(そんなの居たんだ! )で司会と出場者に「拡声」の魔法をかけて行われる。
司会が出場戦士に抱負を聞く。
まずはAブロックの選手からだ。
Aブロックの本選1回戦の組み合わせは以下の通り。
出場選手
Aブロック
1.ナーサス(ドワーフ)ドワーフ軍元隊長 予選会勝ち抜き
ダビア(魔族) 魔族軍第2隊隊長 シード 前回準優勝
2.カミュ(人間)アイナ村所属 シード 招待選手
キグナス(魔族) 魔族軍第5隊隊長 予選会勝ち抜き
3.ケルググン(魔族)魔王軍宰相 予選会勝ち抜き 過去優勝5回(連続)大会無敗
コールマン(魔族)魔族軍第1隊副隊長 シード 前回ベスト8
4.トリッパー(人間)旧セト領所属 元セト軍義勇軍隊長 予選会勝ち抜き
ロベルト(魔族)魔族軍第6隊隊長 予選会勝ち抜き
この順番でコメントをすることになった。
ナーサスさん(ドワーフ軍元隊長、魔王軍及びドワーフの英雄)がコメントをしにステージ前に出るとドワーフ応援団が沸き、ナーサスコールが闘技場に響いた。
「ケルググンとカミュ殿、ククリコン殿、トリッパー殿と戦う為に出場した。奴らには勝つ!あとのやつらはどうでもいいや。今の現役の軍人は弱いし。」
とかましてくれたおかげでコメントは例年に比べ荒れた。
ダビアさん(魔族軍第2隊隊長 前回準優勝)
「確かにナーサス殿はかつての我が軍の英雄だが、前回の準優勝者は私だ。今の軍の実力をかつての英雄に見せたい。」
といい、ベテラン軍人・・・特にドワーフの、にブーイングを浴びていた。
俺(アイナ村)
なんか不穏な雰囲気だぞ、と思い無難に
「初出場です。アイナ村代表として胸を借りるつもりで頑張ります。」
と言ってごまかしたら何故かブーイングを浴びた(しかも魔族ではなく竜王、バッチ、ローランさんら竜族から。)。
でも、見に来てくれているアイナ村の村民たちからの「カミュさんがんばれ~」の声が聞かれ嬉しかった。
キグナスさん(魔族軍第5隊隊長)も空気を呼んで無難に言ってくれた。
次はケルググン殿だ。嫌な雰囲気から解放されるコメントを出してくれるだろうと思ったら、
ケルググン(魔王軍宰相)
「今の現役の軍人は今回、何人一回戦を突破できるかな。慢心しているからゼロか。」
「先ほどカミュ殿が実に無難な事をコメントしていたが、内心では雑魚しかいねえ。Bブロックは消
化試合位にしか思っていないだろう。」
といい、不穏なうえに淀んだ空気になった。現役魔王軍はラオン以外皆俺を睨みつけている。勘弁してくれ。
コールマンさん(魔族軍第1隊副隊長 前回ベスト8)はケルググン様に挑戦出来て光栄といった無難なセリフだった。
トリッパー(旧セト領 元セト義勇軍隊長)の野郎は
「カミュさんとケルググン様、ナーサスさん、俺、ククリコン、非軍人の方が軍人より強い武闘会って珍しいよね。」
といい、凄いブーイングを浴びていた。
旧セト領の方々は沸き、トリッパーコールをしていた。
ロベルトさん(魔族軍第6隊隊長)は
「ケルググン様、ナーサス様、かつての魔王軍の英雄は我ら現役が弱いとおっしゃるが、そうでないことを見せたい。」
といい、観客席の現役軍人から拍手喝采を受けていた。
おいおい、皆強気だな。武闘会の前夜祭は例年こんな感じなのか、と俺とククリコンはガクブル状態だった。
ここで一旦休憩が入り、休憩後Bブロックの選手のコメントとなった。
ラオンがやれやれと言った顔つきで現役魔王軍の出場選手に囲まれていた。現役魔王軍は皆「やってやる! 」という顔付をして周りを睨みつけている。
ケルググン殿はナーサスさんと談笑している。
俺とククリコンが控室すみの方で目立たぬようにしていたら、トリッパーが来て
「隊長、もっとコメントかまさなきゃ盛り上がんないですよ。」
と言うので
「お前空気読めよ。試合前にここで乱闘が起きそうだぞ。」
「そしたらその乱闘した選手は失格です。本選前に失格になるバカな選手はいませんよ。マスコミやケルググン様に言われませんでしたか、コメントはかましてくれって。」
「俺とククリコンは言われなかったぞ」
「招待選手だから皆気をつかったのかな。ククリコン、お前は大口叩けよ。」
とククリコンを見て言い、ククリコンは
「お、おう。」
と言った。




