カミュ、もう一人の魔族の英雄と知り合う。 2
話を柔らかくするためだろう。ククリコンが
「ナーサスさん。情報交換しませんか。」
と笑いながら言った。
俺も
「それはいいや。俺たちは魔族の事をあまり知らないので教えてくださいよ。」
と言い、ナーサスさんを見た。
「よしわかった。その代わり卿らも最近の隊長の腕を教えろよ、アイナ村で何度も立ち会っているのだろうから。」
といい、ククリコンのグラスに酒を注ぎ組み合わせ票を出してきた。
「まずはAブロックだが、俺の1回戦の相手のダビアだが、こいつの情報は要らんよな。俺が勝つから。」
といいつつ
「奴の得物は槍だ。槍のリーチを生かし相手を距離で威嚇牽制しつつ潜り込もうとする相手のスキを見て攻撃するタイプだ。まあ守りのタイプだな。ただ、潜り込まれれば弱い。」
「キグナス、ロベルトは立ち会ったことがあるだろう。どうだ。」
と聞かれたので
「お二人はラオンと同じタイプで剣で戦うタイプです。キグナスさんはラオン並みの攻めを見せるが守りが弱く、ロベルトさんはその逆でラオン並みの守りを見せるが攻めが弱い。お二人とも自分の得手が破られるとなすすべもなく敗れるでしょう。俺はキグナスさんが緒戦ですが、敢えて守らず攻めてみようかと思ってます。」
「確かにカミュさんの言うようにキグナスさんはフェイントに引っ掛かりやすいね。守り弱いね。」
とククリコンが言った。
ナーサスさんは
「そうだな、キグナス相手に攻め込ませて完璧に守って疲れさせ勝つというのも見てみたいが。俺には出来ん戦い方だからな。だが攻めてみるのも面白いだろう。得手を伸ばす、ケルググンの教え方だが、あの二人はそろそろ欠点を防ぐことを教えてやったほうが良いかもしれんな。」
と言った。続けて
「コールマンも剣で、スピードはラオンよりあるが、攻め、防御ともラオンより落ちる。だが努力家だ。俺はラオンが現場の隊長から上に上がった時、魔王軍最強と言われている第一隊の隊長は第二隊のダビアではなく奴だと思う。トリッパーはよくわからん。セト攻略の時に今の隊長どもをかなり苦しめ、皆やばかったと聞いた。かなり強そうだな。」
と言った。
「トリッパーは知ってます。昔の知り合いです。攻めも強いですが受けが強い。剣の受けだけなら俺よりも上手いかもしれません。」
ナーサスさんは真剣な顔をし、
「それほどか。」
といい、俺に話を促すよう言った。
「はっきり言いましょう、順当にいけば準々決勝はケルググン殿と奴です。ケルググン殿は負けはしないでしょうが、奴、トリッパーにかなり苦戦をすると思います。」
ナーサスさんは、何故と言う顔をしていたので
「相性ですよ。俺とやった時は、ケルググン殿が攻め、俺が守りでした。攻めてスキを作ろうとし、守ってスキを作ろうとする戦いでした。お互いスキは作れましたが攻め込むことは出来ませんでしたがね。多分トリッパーともこのような戦いになるでしょう。トリッパーは先ほども言いましたが受けは俺よりうまいです。受けた後の体制の立て直しがとても速いです。その分俺より反撃が早い。決定的な一打を与える事は出来ないでしょうが、ヒヤッとする場面は俺とやったときよりも多くなるかもしれません。」
「ラオンとくらべてどうだ。」
「ラオンより強いです。俺は今のラオンなら何度立ち合っても負ける気はしませんが、トリッパーなら10やって全勝しろと言われたら自信ありません。奴がセト義勇軍として魔族と戦っていた時、魔王軍と義勇軍では兵の質が違いました。奴は義勇軍の生き残りを優先していました。もし奴が義勇軍生き残りよりもセト軍勝利に動いていたら、奴と戦った魔王軍の隊長は全滅していたかもしれません。」
「そうか。大会が終わったら一度立ち合いをお願いしよう。その時はカミュ殿、口添えを頼むぞ。」
と言ったので、笑いながら
「解りました。」
と言った。
ククリコンは
「ラオンさんが実力のAブロックと言っていたのは本当だったね。Bブロックはラオンさんが圧倒的に強いのに対して、Aブロックはラオンさんより強い人が4人もいるね。でもBブロックの人も知りたいね。」
と言った。
ナーサスさんは
「ブレックス、シーサーはアイナ村で立ち合ったことはないのか。ブレックスは斧、シーサーは槍を使う。ブレックスは打撃は俺よりかなり弱い。かなりだ。」
といい笑った。
「守りは俺とどっこいかやや落ちる。斧使いは俺以降あまり強いやつはいない。スキを作り強い打撃を撃たせそれを受け止めれば勝てるだろう。シンバは身体能力が隊長連中とくらべやや弱いが相手の得手不得手を見抜くのが上手い。多分シンバが勝つだろう。シーサーはダビアと同じ槍を武器として使うがダビアの劣化版。ククリコンよ、さっき卿の素振りを見たが、奴の槍を恐れず懐を付けば負ける事はないだろう。」
「マンテナだが、つい最近までドワーフ村に来て俺が教えていた。斧と剣を使う。まだ粗削りだが俺はコールマンの次の第一隊長はこいつだとみている。マナックは剣の使い手でパワーはあるが守りが弱い。俺はマンテナの二刀流になすすべもなく敗れると見ている。」
「トラジャは勢い付けば実力以上のものを出すが、ラオンの小僧相手では無理だろう。」
と言った。
ナーサスさんはグラスに酒を注ぎ
「まあしかし、武闘会は実戦ではないからな。純粋に1対1の武術が楽しめるからいいな。」
と言った。
ククリコンは
「どういう意味ですか?」
と聞くと
「実戦だと1対1とは限らない。例えばわしは1対1ならラオンに負けるとは思わんが、今の魔王軍隊長7人とやったば勝つ自信はない。それに実戦だと魔法もある。魔術師が唱える魔法を交わしながら我ら剣士は戦わなければならないし、魔王様やカミュ殿の様に剣も魔法も使える方がいる。剣ならケルググンとカミュ殿は互角かもしれんが、実戦なら魔法も使えるカミュ殿の方がケルググンより強いだろう。魔王様は正直剣ならケルググンや儂より弱い。しかし戦ったらワシやケルググンが束になってもあの方には勝てぬ。それと同じだ。ククリコン、実戦の経験は? 」
と聞かれ、ククリコンは
「一度、ボーナンがアイナ村に攻めてきたときに。」
と言った。
「そうか。職業として剣士を選ぶ、すなわち軍に入るか、心身を鍛える為に剣を修行するのかは考えておいた方がいいぞ。」
と言った。
その後様々な話をして、ナーサスさんの部屋から自分の部屋に戻り寝た。
次の日の朝、庭を借り素振りをしようとしたら、ナーサスさんが既にいた。
ナーサスさんの素振りを見て
『ラオン、お前ナーサスさんと今なら互角と言ってたが、正直ナーサスさんはお前より全然強いぞ』
と思った。




