カミュ、魔族ラオンの愚痴を聞く。
ククリコンと村を歩いていると村長と会った。
今から時間を取れるかとのことだったので、大丈夫ですと答えると、ラオンを連れて30分後に村長宅に来てくれとのことだった。
30分後、ラオンとククリコンと3人で村長宅に向かった。ラオンに村長の用件は何か知っているか聞くと、不機嫌そうにそのうちわかると言われた。
村長宅で村長夫人の淹れたお茶と手作りのお菓子を頂きながら村長を待っていると
村長が
「遅れて申し訳ない。ラオン殿、カミュ殿、ククリコン殿。」
と言いながら村長が入ってきた。
村長は
「魔王様から手紙が届いた。私、カミュ殿、ククリコン殿宛の。」
俺らを見渡し笑いながら
「ラオン殿は事情はご存じとして、まず読んでください。」
と言い、俺とククリコンに手紙を渡してきた。封を切り中身を見ると、魔族の武闘会への参加依頼書だった。
村長は
「それは魔王様からの命令ではない。あくまで依頼との事だ。村の仕事などがあり参加できない場合は断ってもらって結構とのことだ。」
「で、カミュ殿、ククリコン殿どうしますか。」
と言った。
「私は参加したいと思います。ククリコンは? 」
ククリコンも
「鹿島新當流の師範として自分の実力を試すいい機会ですね。ぜひ参加したいですね。」
と言った。
俺は
「参加したいですが、村の方の仕事は大丈夫ですか。また村の防衛などにも影響が出ませんか? 」
と聞いた。
「それは大丈夫だ。村の開発は一区切りついているし、防衛については武闘会中竜の駐屯所の人員の増加を竜の領域に頼もうと思っている。」
と村長は言った。
「武闘会のルールなどについてはラオン殿にお聞きしてください。ではちょっと今から巡回にいかねばなりませんので。」
と言い、出て行った。
俺たち3人は村長宅を辞し、ラオンの駐在している魔族の駐屯所に言った。
ラオンは不機嫌そうに
「ルールはお互いの武人としてのプライドである。一本寸止めで入れれば勝ち、相打ちは両者失格となる。なお、あくまで武闘会であるので飛行及び魔法の使用は試合中一切禁止。飛行、魔法を使った場合はその時点で失格となる。」
「お二人は招待選手なので予選は無し。本選大会は1週間。場所は魔王領の王都で行われる。ここアイナ村からだと、旧セト領を通過し、北上して行く経路が一番楽であるだろう。陸路を通る場合は同封してある通過許可書で通行可能であるが、空を飛んでいく場合は領空通行許可書を申請する必要がある。その場合は我に言ってもらえば手配する。」
と言った。
ククリコンは
「折角久しぶりに村外に出るね。色々見て回りたいから歩いていきたいね。」
と言い、
「沢山の魔族の方に立ち会い稽古をつけてもらったね。あの時より上達した腕を見てもらいたいね。そして戦って勝ちたいね。」
と言い、
「出来ればもっと色々な方と立ち合いたいから予選から出たいね。自分はまだまだ未熟だから勝ち負けより経験を積みたいね。」
ととても嬉しそうに言った。
ラオンは
「それは駄目だ。旧セト領の開発についてククリコンには手伝ってもらいたいことが一杯あるからな。」
と不機嫌そうに言った。
ククリコンは
「カミュさん、ラオンさん。でも自分の実力で本選から出てもいいのかね。」
と聞いた。ラオンは
「よく言う。俺にはまだ勝てないがククリコンは立ち合い稽古で何人も魔王軍隊長を倒しているじゃないか。魔王様は最初カミュ殿のみを招待される予定であったが、他の魔王軍のメンバーがククリコンも招待すべきと魔王様に訴え、宰相ゲルググン様も、わが弟子達に何度も立ち合いで勝ったカミュ殿の弟子を見てみたいとのことでククリコンの本選参加が決定した。」
「通常本選は8人トーナメント戦だが、今回は記念大会ということで16人シード制となる。前回本選参加者の8人のうち4人がシード、お二人が招待選手でシード、残りの10人が予選会からの参加となる。」
と相変わらず不機嫌そうに言う。
ちょっと気になったので、
「ラオン。お前さっきから嫌そうな顔をしているが、俺たちが参加するのに何か不都合があるのか? 」
と聞くと、
「ある!せっかくカミュ殿とククリコンが参加するのに俺は参加できんのだ。」
と言った。
ククリコンは
「なんでですかね。おいらは大会でラオンさんからの初勝利を狙っているんですがね。」
と聞くとラオンは
「俺は前回大会までで3連覇している。3連覇したら次の大会には出る事が出来ないことになっている。すなわち俺は今大会出れないのだ。」
「しかも!今回はカミュ殿を招待するということで、ケルググン様も久しぶり10回振りに参加されるとのことだ。今度こそはカミュ殿に勝つ!と言い参加を決定された。ケルググン様は前回大会の参加実績がないから予選会から出場されることとなっている。」
「大陸最強と呼び声の高いカミュ殿、魔王軍最強の剣士ケルググン様が参加するのに俺は参加できんのだ! 」
と大声で叫んだ。
駐屯所にいる他の魔族が
「またはじまったよ」
と小声で囁いている。どうやらラオンは自分が参加できないことに対して部下に八つ当たりをしている様だ。
俺は
「魔王様に直訴するか、ケルググン殿にお願いしたらどうだ。」
と聞くと
「魔王様にお願いしたら、今回はケルググンが参加する故ケルググンの代わりに審判部長をやれと言われた。ケルググン様は、規則は規則だから駄目だと言われたのだ。」
と怒っている
ククリコンは
「だったら優勝者が決まった後で優勝者に勝負を挑めばいいね。優勝したなら3連覇の俺に勝ってから言えと言って戦いを挑むね。優勝者が決まった後だと審判要らないね。」
「ケルググン様が優勝した場合、そんなこと言える訳がない。言ったらたとえ勝ったとしても次の日から魔王軍に俺の居場所はなくなる。魔族一番の剣士に対して何たる非礼と言われてな。」
俺は
「魔王様がいるじゃないか。あの方はケルググン殿には剣では及ばずとも優れた剣士でもある。あの方にお願いすればどうだ。」
「魔王様は今回ケルググン様とカミュ殿が参加されるということでこの大会を楽しみにしていらっしゃる。ケルググン様は魔王様に審判部長をお願いしようとしたが、魔王様は審判部長は嫌だ、皆の戦いを見てみたいと申された。」




