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カミュ、ククリコンに顛末を聞く。

 俺はククリコンに、俺が居ない間何があったか聞いた。


 俺が旧セト領に行って、すぐにボーナン軍のゴンゾーラ率いる一隊が村に来たと言う。


 村長が対応した。

「これはボーナン侯爵軍の皆さま。わが村になんの御用ですか? 」


 ゴンゾーラは

「村長、ボーナン侯爵の命令である。謹んで聞くように。」

といい、村長らを見まわし

「現在、アイナ村にある食料を全て提出せよ。」


 村長は

「ここアイナ村は王直轄の領地です。それは王のご命令ですか。今までですと徴税の命令は王都から直接勅使から私にご命令があり、ボーナン侯爵から伝えられたことはございませんが。」


 ゴンゾーラは

「えーい、黙れ!今回は王都も食料不足で勅使を出す余裕もない故、我が領が代理を言い付かったのだ。」


 ルオさんが

「では勅使印の押された代理人委任の委任書が有る筈。それをお見せください。」


 ゴンゾーラは

「急故王よりわが主に口頭で直接命が下ったのだ。命に従え。」

村民がなにがあったのかと思い周囲に群がってくる。


 ローランさんも村長に

「何があったのですか? 」

と聞き、村長はローランさんに説明する。

 村長はゴンゾーラに

「全て食料を差し出すとわが村は収穫期までの食糧がございません。また、勅使様は今までもそのようなご無理な指示は出すお方ではございません。ボーナン侯爵をお疑いするわけではございませんが、勅使様の委任状を見せてもらえぬのであれば、村民の命もあり今この場で食料をお渡しするわけにはいきません。」

といった。


 ローランも

「ゴンゾーラ殿、私は竜の領域でこの村駐在担当をしているローランと申します。第3者として言わせてもらえれば村長殿の仰ることは誠に正論であると思う。ここは一度引きなされ。なお、ここで手を引かぬといい食料をあくまで全部略奪すると申すのであれば、今後ボーナン伯爵は我が竜の領域に敵対行為を行ったとみなす。それでもよいか。」


 ゴンゾーラは

「黙れ竜人。これはあくまでもイナバーン国の事である。竜には関係のないこと、口を出すな。皆の者アイナ村の食糧を運び出せ。」


 ローランは

「そうか、ボーナン侯爵はわが竜の領域を敵に回すということだな。」

 村長は

「おやめくだされ、ゴンゾーラ殿」

といい

集まった村民は

「ボーナン軍はボーナン軍に帰れ! 」

と言い出した。


 ひるむボーナン軍に対しゴンゾーラは、

「何をしている。食料を運び出せ、貴様ら兵の家族は何処にいると思ってるんだ。」

といった。

 ここでトーマス、この村に来て母親の病気に対し薬を錬金してあげた子・・がゴンゾーラの足につかまり

「全部持っていかれたらみんな餓死しちゃうよ! やめて! 」

といった


 ゴンゾーラは

「黙れガキ、足を離さぬなら殺すぞ! 」

といい、トーマスを切ろうとした。

 その剣をおいらが受けた。おいらは

「トーマス、後ろに下がれ。村長、ルオさん、みんなを安全な所へ。」

といい、

「ボーナン軍、食料を強奪するならおいらが相手だ! 」

ローランさんも

「ククリコン殿、助太刀致す。」


「鹿島新當流カミュが弟子、ククリコン、参る! 」



ということが有ったらしい。

 ククリコンが攻め、ローランさんが攻めながら回復呪文をククリコンにかけ、ボーナン軍を倒していったがローランさんは弓にやられ、ククリコンもボーナン軍にトーレスを人質に取られてしまい、斬られる寸前に俺が来たとの事。


 ちなみに取られた人質は、俺がゴンゾーラと話しているとき、ボーナンに帰ったあの武人が、「卑怯! 」と叫び解放してくれたとのこと。


 ククリコンは

「カミュさん。たったあれだけの人数に不覚を取り、鹿島新當流の名を汚してしまいました。」

といったので、俺は

「人質を取られた状態であれだけやったんだ。よくやった。ククリコン、今日からお前は鹿島新當流

師範と名乗れ。」

と言った。


 バッチは村に黄色い煙が上がったのでファフニールの命令で来たとのこと。本当はファフニール自ら来るつもりだったようだが、今後の状況による指揮のこともあり代わりに来たとのことだ。


 ケルググン殿は、たまたま旧セト領に軍務で来ており、煙を見て何事かと思い来たとのことだった。


 今後どうするか、という話になった。


 村長やルオさんは、

「とりあえず今回の件でイナバーンから離れるということになるだろう。こんなことがあって村民誰もがもはやイナバーンは選ばないだろう。」

と言った。


 それなら、とバッチが言った。

「これはファフニール様のお考えだ。村長、ケルググン殿もおられるので言っておこう。」

「アイナ村は旧セト領と合併することとし、魔王領とする。ただし、アイナ村については、100年竜の領域が魔王軍から租借し、その間は竜の領域の領土とする。」

「人間の国所属ではない人類は、我が竜の領域より旧セト領を領土に加えた魔王領の方が多い。であれば魔王領が治めればよい。我ら竜には領土欲はないのでな。但し、アイナ村との交流は我が竜の領域の方が長くわが国民もアイナ村の領民とは親しみ、この村に来ること、この村が好きな者が非常に多い。したがって魔王領ではあるが我が竜の領域が魔王軍に租借することとする。あくまで租借地であるのでアイナ村の規則に則れば魔族がアイナ村に来るのは問題はない。竜の領域はアイナ村の自治を認める。ただし、防衛は竜の領域が行うこととし、その為の駐屯はする。ケルググン殿はどう思う。まずは聞きたい。」


ケルググンは言った。

「魔王様もしくは魔王軍政庁にこの議題を懸けた上でないと正式回答は出来ない。但し私個人の意見としては賛成だ。ただし我が魔王軍はアイナ村の意見を尊重する事に変わりはない。」


 ルオさんは、

「私も賛成です。今後の事を考え、わが村は竜の領域か魔族のどちらかに保護してもらう、どちらがいいかということで投票を行った場合正直票は割れるでしょう。この方法なら村民の意見統一が図りやすい。」

 村長も、同意した。


 次の日村民投票が行われた。

 バッチ案は圧倒的多数で可決され、アイナ村は魔族領であって竜の領域の租借地となることが決まった。

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