カミュ、真の武士に礼儀を返す。
この後、トーレスにもパーフェクトヒールをかけたあと、村長、ルオさん、ケルググン、バッチと相談し、残りの兵士は殺さず、
1.この村に居たいものは残ってよし。ただし監視は付けるし働いてもらう。
2.旧セト領には仕事がいっぱいあり、賃金も正当に支払われている。仕事を求め旧セト領に行くのも認める。
3.ボーナンに帰る。今日の事を十分に伝えろ。今後このようなことをしたら、カミュがボーナンを殺しに攻め入る。
を選ばせた。
当初1.と3.のみで選ばせようとしたが、兵士たちが2.の選択肢を言い出したのでケルググン殿の了承を得て加えた。
バッチ、ルオさんはボーナンに帰る兵が多く、その者たちはまたボーナン兵として攻め込んでくるだろうと言い反対したが、ケルググン殿が兵たちの希望を聞いてから判断すればいいというので希望を取った。
兵たちは300程居たが、
2.を希望する者が一番多く150程
1.を希望する者が110程
3.を希望する者が40程
であった。しかも3.を希望するものの大部分が、ボーナンに家族がいるからであって、家族と会ってから家族を連れてアイナ村や旧セト領に住みたいというものがほとんどだった。
「ボーナンに居ても、家族を人質に酷使されるだけ。食料もお金に目の眩んだボーナンが領民の分もホクリクンに売ってしまい少ない。領民は食料を我ら兵には売ってくれず自分たちの食べる分を確保するので精いっぱいだ。ボーナンに居ても領民に白い目で見られひもじい思いをするだけだ。」
と言った。ボーナンの状況は惨い。
俺たちは兵士たちに賛同し、兵士の中で俺への連絡係を決め、家族を連れて避難する際は俺が責任者となり協力することとなった。
王都の状況もヤマタが豊作でそこから食料を購入しなんとかなっているが惨いものらしい。
ボーナン侯爵は領民から食料を徴税し、そして王都から食料を調達しようとしたが断られ、領民から再度食料等を調達しようとしたが、それを命じられた彼ら兵士もとてもではないが現状の食料状況では心情的にできず見逃し、それでアイナ村から略奪しようとしたとのこと。
アイナ村からの略奪はゴンゾーラが以前からボーナン侯爵に提案していた。
しかしカミュ殿、ラオン殿をはじめとする武官の魔族、ローランさんら一騎当千の武者がいたから彼らが居なくなる機会を狙っていたとのこと。
丁度この村へ行く行商から、今日、カミュ殿がアイナ村を空けること、ラオン殿が魔族領に一時帰る予定であることを聞き、今日攻めた事。ローランさんは強いがハッサン医院でヒールの呪文治療を行っていることから治療呪文を得意とする竜で、攻撃魔法はあまり得意でなさそうなのでなんとかなると思いゴンゾーラが攻めたこと、を聞いた。
すぐに攻め落とし食料を調達しボーナンに帰る予定であったが、ククリコンが強かったこと、ローランさんが治療が得意とはいえ粘ったこと、それにより時間を稼がれカミュ殿が戻ってきたことが誤算だったと言った。
自分たちは家族の心配さえなければ、ここに残りたいとのことだ。
ただ、何人かの古参の兵が
「我々は先代に恩義がある。その恩義を考えるとボーナンを去ることは出来ぬ。」
といい、
「ただし他の者が言うことも充分納得できることである。よって我々はボーナンに戻ったらケガという事にして1か月休養する。休養中はボーナン侯爵にも他の軍人にも何も言わぬ。家族を伴い脱出するならその間にせよ。」
と言った。
俺はその兵士に
「ありがとう。貴君らには感謝する。」
といい、
ククリコンは
「皆さんはボーナンに戻ってどうするのね。ボーナン侯爵が暴政を行っているなら、民の事を考えて行動するのが先代の恩に報いる事ね。」
というとその兵士は、
「確かにそうかもしれぬが、わしらは大恩ある先代に今の侯爵を頼むと言われている。ククリコンと言ったな。もし貴君がボーナンに攻め込むならわしらはそれに対抗する。貴君はわしらを全力で切り倒せ。」
と言った。
ククリコンは
「でも・・・」
と言ったので俺は
「ボーナンにも武人はいたか。ククリコン、もし戦場で彼らに有ったら全力を持って切り捨てる。
それが真の武人に対する礼儀だ。」
その武人は、
「カミュ殿、敵わぬまでも存分に戦わせて頂き申す。」
と晴れやかな笑顔で言った。
ボーナン領の騎士の処分を行った後、
俺はククリコンに、俺が居ない間何があったか聞いた。




