カミュ、魔族との実用新案?取り決めを聞く。
次の日、アイナ村錬金術所所長のキースロンさんが村長とルオさんと相談し、魔族領への石鹸製造許可案を決め、魔族のラオンに伝えた。
内容は以下の通り。
1.ルオさん製造の動物性油脂を使ったクリーム石鹸の製造はオッケー
2.今アイナ村の石鹸工場で製造している石鹸については、月当たりの製造量は、それぞれの石鹸の種類につき、月当たりのアイナ村石鹸工場製造数の半分までとする。
3.ただしこれは先日話し合った制度が決まるまでの取り決めとする。
という内容だった。
魔族のラオンに村長達が話をしたら、、
「とりあえずこちらとしては、石鹸工場を有するアイナ村の製造量よりどちらにせよ製造しても多くは作れないから了承する。」
とのことだったらしい。
また、船、快速船ボルチモアクリッパーについての問題点はやはり帆の部分らしい。
村長達と話して、とりあえずアイナ村の分と魔族領分の帆は俺が当分つくる。
キースロンさんには、少なくとも帆の部分は錬金や魔法で作るのは難しいので、ボスガンさん達工事の人間に俺の見本を元に作ってもらえばどうか、と言っておいたので、ラオンにも、見本を渡すから魔族の木工工事の人につくらせてみたら、とは言っておいた。
魔族に関しては、今鍛冶屋のラムザさんに作って貰っている魔石を燃料としたインチキ蒸気機関が出来たら、造船に関しては更に3歩くらいは先に行くことになるので、技術提供は寛容でいいだろ。
ラオンは相変わらず早朝、おれとククリコンが剣の稽古をしているとやってくる。
「ククリコン、最初立ち会ったころと比べると本当に強くなったな。」
「本当ですかね、ありがとうございますね。」
「今俺がここに駐屯で、魔族軍第一隊隊長はケルググン様が兼務していらっしゃるが、お前来ない?
来るんなら本気で隊長に推薦するぞ。」
「おいらは鹿島新當流を師範を貰うのが目標ね。だからまだまだね。」
俺と立ち合う。最初立ち会った時よりかなり強くなったがまだ俺の敵ではない。
「ラオン、お前ケルググン殿に剣を習ったのだろう? 違う流派の俺と剣で撃ちあって悪影響はないのか? 」
「ケルググン様からアイナ村にいる間は出来るだけカミュ殿に立ち会ってもらえと言われている。」
と言った。そういえば、ケルググン殿と立ち合ってから、ラオン以外の魔族から立ち合いを求められることは減った。その分何故かククリコンが立ち合いを求められるらしい。
ラオンは
「そうだ、ケルググン殿からの伝言。村長殿やルオ殿にはカミュ殿から伝えてくれ。この前話した件、魔族の考えがまとまった故、明後日ケルググン様がその件で来る。」
そして当日。
村長宅で、
魔族からはゲルググン、ラオン、旧セト領の村長ケルンさん
アイナ村からは村長、ルオさん、俺、ククリコン、村営錬金術所のキースロンさん、
竜からはバッチ、ローランさん
が参加した。
ケルググンは、
「以前このメンバーで話された魔族とアイナ村との技術提携の件、魔王様と政庁メンバーで会議を行い以下の様に提案したい。」
1.魔族、アイナ村にそれぞれ発明書庫を設ける。
2.発明、商品を所定の書式に記載し魔族、アイナ村の発明書庫に提出し半年保管。
3.この半年間は閲覧不可とする。
4.半年後、閲覧可能とする。この時点で発明として仮決定する。
5.この仮決定の技術、商品の独占権は、発明書庫提出後5年とする。
6.仮決定の技術、商品を作成希望する場合、作成希望者がこの仮決定判断を認める場合、発明者に対しお金を支払う。
7.上記6の金額は作成希望者と発明者で相談して決める。同意に至らない場合、作成を禁止し、禁止したにもかかわらず作成した場合は後述する処罰を与える。
6.この仮決定に対し、異議を申し立てるものは証拠を添えて異議書を魔族、アイナ村どちらかの発明書庫に提出する。発明書庫は異議書を受けた場合、その分野の長老若しくは知恵者を収集しその異議が正しいか否か判断する。
7.上記6.において異議を認める場合、仮決定は取り消し無効とする。
8.上記6.において異議が不採用な場合、仮決定は決定となる。
なお、食料、医療の生命に係る行為、物品及び天災時の復興時はこの発明にはあたらず誰でも使用できるようにする。
ケルググンは
「補足説明する。上記3は、この発明、商品を生産する場合の準備期間として半年も受けている。」
「発明書庫提出後半年でその発明を仮決定とするのは、いちいち一つずつその発明が有効か否か調べるのは実務上無理だからである。よって、他人が見て疑問を生じるもののみ審査することとした。」
「7.の処罰は魔族側では発明者の言い値の3倍ということにしたいと思うが村側の意見を聞きたい。」
「なお下記については、生命に関すること、天変地異時には発明云々もないのでこの制度外とする。」
以上であるがどうか、と言って来た。俺はこれ前世の実用新案に似ている制度だと思った。
魔王は所謂特許制度を実施するのはまだ無理で実用新案制度にした方が良いといっているのだろう。
流石魔王だ。
ちなみに魔王は特許制度、実用新案制度という言葉は知らないだろうが。
村側は2、3意見を魔族側に確認し、魔族とアイナ村の技術交流の取り決めは決まった。
バッチ、ローランさんの竜組は、我らも魔王領やアイナ村とこの取り決めを結びたいと言って来た。
ククリコンは
「おいらが出した案よりずっとよくなったね。」
と言い喜んでいた。
ただし、ケルググンは俺らに
「アイナ村とわが魔族との取り決めはこれでまとまったが、例えばイナバーン王都とアイナ村の技術の取り扱いはどうなるのだ。王都がアイナ村の技術を行商を使って盗み生産する可能性があるぞ。」
と言った。
俺は、
「ケルググン殿、商品を王都に持っていかれただけでマネされるものは発明とは言わないということです。発明書庫は人間は村の人間しか入れず、発明の書式は持ち出し厳禁とすればいい。」
と言った。
村長はケルググンに
「そのあたりはもう少し詰めましょう。申し訳ないがもう少し時間をくださいと魔王殿にお伝えください。」
と言った。
ご指摘のあった登場人物記載ミスを修正しました。




