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カミュ、魔王が借金?

 俺はルオさんに、イナバーンと魔族が戦争しないようにはどうすればいいと思うか聞いた。

 ルオさんは


「魔族が竜に金貨を借りればいい。いや、あの魔王のことです。すでに借りに行ってるかも。」

と言った。


 俺は???だったのでルオさんに説明を求めた。

「いや、ですからセトが魔族に滅ぼされたら困る国は何処ですか。ホクリクンですよね。」

たしかにホクリクンはセトを挟んでいるので魔王領とは接していない。


「それと、ホクリクンは商業の国、商人が治める国です。その商人の国は、セトにお金を提供することで魔王軍の脅威をセトに負わせていたと言えます。」


 ルオさんは水を飲み

「セトは魔王軍と戦争をしていました。戦争をするには食料や物資が必要です。これらはホクリクンより大部分を購入していました。セトの国土は荒れ、疲れていましたから。そのうちセトはホクリクンに借金をするようになっていました。」


「すなわちホクリクンにとってセトが滅びると、セトへの借金が踏み倒されること、ホクリクンが魔王領と接する様になるので困る。だからホクリクンはセトに更に金銭、物資を援助しているのですよ。」


「今、この大陸全体の通貨量はどうなっていると思いますか。多分ですが大雑把に言って、竜の領域が7割、ホクリクンが2割、残りの1割をイナバーン、ヤマタ、魔王領で分け合っている状況だと思います。で、一番通貨を持っている竜の領域はお金を貯め込むだけで使っていない。要するにこの大陸で動いている通貨は3割しかないということになります。」


俺はますます???だった。


「ここで同盟を組んだ竜から借金をします。借金をしたお金でホクリクンからモノを買いまくるのです。金貨の量が増えたホクリクンの物価は上がります。ホクリクンは旧セト領に対して人類の裏切り者と言っていますが、その実裏では以前から魔族と取引しています。魔族がモノを売ってくれと言ったら売るでしょう。」


「通貨の流入が増える、儲かるのでどんどん売ると思います。お金の出どころに関してはまさか竜とは思わないでしょうから、魔族領のカネだと思うはずです。しかし実際の出どころは竜です。すなわち大陸の流動的通貨量が従来の大陸全土の3割から増える事になります。」


「すなわちホクリクンはインフレになります。モノは魔族に売った後なので物資が無くなります。物資がなくなればセトに対して魔族との戦争の為の食糧や物資を援助することは出来なくなります。モノが無いのですから。」


「そしてその状態で魔王軍はセトを攻めるか・・・それか食料のないセト領の住民を懐柔し受け入れます。受け入れた場合の食糧はすでにホクリクンから買った物資で賄える状態です。それか魔王領の収穫時に合わせてホクリクンから購入した分と魔王領の収穫余剰分をホクリクンに売ります。ホクリクンはインフレ状態なので高く売れます。自分たちが消費する分プラス売り物として買う分でかなり魔王領は金銭的に潤うでしょうね。利子付けて竜に返しても十分に利益は取れるでしょう。」


「こうすると今まで流動通貨をたくさん持っていたから力を持っていたホクリクンの地位は落ちます。保持している流動通貨の割合が減りますから。なんだかんだ言って大陸の対立はホクリクンが自国の地位を守る若しくは上げる為にカネの力で引き起こした場合が多かったですが、保持する流動通貨の割合が減ったホクリクンは今後そのようなことが出来なくなります。」


「しかし、竜がどうするか、でしょうね。まずお金を魔族に貸さないという場合も考えられます。また貸す以上どんな目的で借りるのか聞くでしょうから、それを聞いてセトを魔族と竜で攻めた方が

よいというかもしれませんし。」


「魔王のハラもわかりません。私は多分ですが竜のお金を使ってホクリクンにインフレを起こし時期をみてモノを売り付けることによってホクリクンの流動通貨量を減らすと思うのですが・・・食料を買い占めセトを攻め滅ぼすという可能性も高いです。」


どうなるか私たちは観察しその結果で動くしかないでしょうとルオさんは言った。



 最近うちに来ていなかったバッチが、夜来ると言う。ルオさんを呼んでおいてくれと言っていた。

どうしたのか聞くと、

「魔王が昨日やってきて、お金を貸せと言って来た。」

俺はルオさんと顔を見合わせ

「で、どうしたんだ。」

と聞くと

「明日夜返事をすることになっている。王は賛成、カムストックさんは反対、武官は賛成が多く、文官は反対が多い。」

「王が賛成って・・・ファフニールが良く賛成したなあ。」

「王は、魔王は敵にしたら最も嫌な奴だが、味方にしたらこんなに頼りにやるやつはいない。その奴が何も言わずにカネを貸せと言っているなら貸せばいいと言っている。」

「で、お前はどうすればいいと思っているんだ。バッチ。」

「わからない。だからカミュとルオの意見を聞きに来た。」

ルオさんは

「私とカミュさんは貸すべきだと思いますよ。」

と言った。何故とバッチに聞かれたので、先日俺にルオさんが言ったことを伝えた。

「魔王は理由を言わなかったのですね。」

ルオさんが確認するとバッチは

「言わなかった。何も言わずに貸してくれ、2年後までには1割利息を付けて返すといった。」

「だったら魔王を信じて貸せばどうだ。あの方は嘘はいわんだろう。ルオさんの考えとは違う為に借りに来たのかもしれんぞ。」

「うーん。ルオの意見を聞き、私も貸す方にまわるようにしよう。」

と言った。


その後、ルオさんは家に帰り、バッチはうちの風呂に入った後帰っていった。

温泉宿はもう営業しているのだからうちの風呂じゃなくてあっちの風呂にはいれよ。

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