カミュ、同盟会談の裏側を聞く。
会談終結後、村長、ルオさん、俺、ククリコン、バッチ、ラオンが村長宅に集まった。
ローランさんが駐屯所工事現場に戻った。
会談の成功を祝うとともに、話し合いになった。
まず、風呂での魔王と竜王の会談は、内容は二人にしかわからないが成功だったらしい。
竜と魔族間の簡単な取り決め、共同で実施する内容の確認など政務に関することを話した後は雑談というかそんな話をし、性格は異なる二人であるが、それゆえある程度意気投合した
とのことであった。
会談についても、和やかに実務レベルの話をしたとのこと。
お互いの地に訪れるときは、害意が無い証明のため、人化して行く(人化すると魔族、竜とも力というか戦闘力が落ちるので)、人化したものに対して理不尽な暴力をふるったものは重罪、後はお互いの領土に必要なモノを交換し合って国力を高めるとのこと。適宜お互いが求めるときに両種族が集まり会議をし、共に問題を解決する事他あるていどの取り決めを行ったとのこと。
ただ、問題もあったらしい。
領内に人間のスパイがいることは会談に参加したメンバーも気が付いていたらしいが村長夫人が昼食を作るために取り寄せた屋台の食べ物に毒が入っていたとのこと。
屋台から食べ物を持って来た人がいつもの屋台の人と違うので、村長夫人がルオさんに相談し、ルオさんが竜のカムストックさんに食べ物の鑑定をお願いし、毒の混入を確認したとの事。
一時会談は中断され、セトかイナバーン王都かボーナンの仕業であろうとのことで、その場で好戦的な連中達が・・ラオンがセトに攻め込み、ローランさんがボーナンに攻め込み、ファフニールが
王都に攻め込むと言ったらしい・・・が、意外なことに魔王が止めたらしい。
どこが毒殺を試みたのかわからないのに疑わしきは罰するで攻め込むのは如何なことか。
今セトは魔族に敗れおとなしく、イナバーンも表面ではなにもしてこない。それをこちらから乱す必要はない。
このことをいつか人類と交渉するときの為に有利な条件とすべき。その為の証拠固めが必要であるとその場で宰相ケルググンに調査を命じ、竜王にも竜側で調査をしてほしいと要請してきたそうだ。
会談時、魔王軍は様々な状況を考え軍を配置していた。この時の配置は、
一応魔王領と竜の領域境に1部隊おいてもよいとのことであったが、竜から手出しをしてくることはないだろうから、ということで、退役した魔族を置いたとの事。
この兵を募集するに際し、魔王ベルゼバブは
「竜から手出しをしてくることはまずないだろうが、手をだしてきたら時間を稼ぎ死んでくれ。」
と言ったらしい。
そして我先にと退役軍人が応募してきたらしい。
ラオンは後程
「俺の指揮する魔族軍第一隊が魔族最強の隊ではあるが、この時に関してはこの志願兵の隊が魔族最強であったことは間違いない。海千山千の古強者揃いのしかも士気の高い隊。魔王様はこのことも計算して自ら退役軍人から募集したのだろう。流石魔王様。」
と言っていた。
また、竜より人間の方が何かやってくる恐れがあるということで、
魔族軍第一隊・・・魔王領旧セト領と現セト領の国境
魔族軍第二隊・・・魔王領旧セト領とボーナンの国境
に配置し、いつでも出陣出来る様に準備をしていたとのこと。
竜の方は、空を飛べる分機動力が魔王軍よりあるということで、竜の山で竜軍300をいつでも出陣可能にはしておいたとのことだった。
今、竜と魔族が同盟を結んだことで、この同盟勢力の領土は大陸全土の1/3。人間より魔族、竜の方が1対1でははるかに強い。
ラオンとバッチに言われた。
『魔族、竜軍対セト、イナバーンとなった時、イナバーン所属のアイナ村が中立宣言を出した場合魔族や竜軍はその中立を認めるだろうが、人類の軍は認めるのかな。』
村長は
「わかってます・・・」
といい、ルオさんは俺を見ながら腕を組んで考え事をしていた。