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カミュ、ルオとおはなし

開票が終わり結果を見た後、俺はルオさんに声をかけた。

「今回の魔王軍の説明をどう見ましたか。」


ルオさんは俺を見て、

「私は昨日事前に村長に問われて賛成しましたよね。今後のこの村の問題点を村の南に限定することが出来ることになってよかったと思ってます。竜と魔族が同盟を結ぶことでその境に張り付かせる竜が減る。その分この村が南、ボーナンと紛争が生じた場合竜に援軍を要請しやすくなる。」


俺はルオさんを見て言った。

「ボーナンだけならこの村にいるローランさんら竜の助けすらいらない。俺一人で十分ボーナン軍を蹴散らすことが出来る。」


ルオさんはやれやれと両手を広げたポーズをし、

「ボーナンだけであればカミュさんのみで大丈夫でしょうが、問題は更にその北です。もしボーナンとわが村が揉め、ボーナンを撃退したとしましょう。次に出てくるのはその他の諸侯軍、そして王国軍が出てきます。」


俺は、大げさなと思い

「そこまで出てきますか。」


ルオさんは笑みを止め真剣な顔つきで、

「出てきます。ボーナンはバカとは言え貴族。例え正しいのはアイナ村であると王都が判ったとしても平民で構成されたわが村が貴族であるボーナンを退けた事を知れば、貴族のメンツにかけて軍を出しアイナ村を制圧しようとします。」


ルオさんは更に続ける。

「私はこの時に以前カミュさんとバッチさんにお話しした策を実施するべきであると考えてます。この時であればあの策について村長及び村民は賛成するでしょうし。」


更に一息いれ

「もしこの時点であの策が受け入れられなかった場合でも、竜の援軍を多数得ることが出来ます。ファフニール殿は無理としてもバッチさんは来てくれるでしょう。カミュ殿に加え、竜のナンバー2、氷の姫バッチが竜軍を従え援軍に来たと知れば王国軍は引くでしょう。」


そして

「竜と魔族の会談にこの村を提供することは南からの脅威に対しても有効です。あと何日かすれば王都にこの情報が行くでしょうし、王都から会談をこの地で行うことを中止せよと指示があるかもしれません。その場合王都には、もう竜や魔族と約束してしまった事で今更当村からは断れない。会談を中止するのであれば王都から断ってくれと言えます。またその事に対して王都が苦情を言ってきても、であれば当村は魔王軍に降る、魔王軍の機嫌を損ねて攻撃されるくらいなら降った方がマシだ、と言えます。魔王軍はあの軍事大国であるセトに完勝して領土まで割譲させています。王都としては事を構えたくないでしょう。わが村と王国が揉めたとしても、この会談を行うことによって魔族は少なくとも中立はしてくれるでしょう。」


フーっと一息ついた後で

「魔王軍がセト北部を今回割譲させたことで、魔王領とアイナ村も領土が接する事となりました。最善の場合、魔王軍の援軍を求める事も可能になるかもしれません。そのことを考慮し、王都が魔王軍対策に軍を常駐させると言ってくるかもしれません。その場合も下手に魔王軍を刺激して攻められるのはごめんだ。魔王軍の機嫌を損ねて攻撃されるくらいなら降った方がマシだと言えます。また、わが村は竜と仲良く、竜の領域の抑えとなっている。それなのに軍を駐留させたら竜たちを刺激する恐れがある。竜が攻めてきたらどうするのですか、と言って断ることが出来ます。」


 そして

「カミュさん、この村はかつて貧しいことが敵だった。それはあなたが来て再生案を出してくれて倒すことが出来そうになった。他種族が敵だった。それは解りあうことで竜が味方となり、竜のおかげで魔族が少なくとも敵ではなくなった。そして最後の敵と成り得るのは同属の人間、しかも同国の人間です。これってどうなのでしょうね?」


といいルオさんは寂しく笑った。

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