↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
38/154

カミュ、弟子を取られそうになる。

 アイナ村が同盟会場となることを村民が認めた旨、竜側と魔族側に伝わった。


 約束通り村には魔族のラオンから次の日村に下見に来る魔族の報告が毎日あった。

 魔族は人化した場合人と見分けることが難しいので首に赤いネックレスをすることとなった。


 魔族は村の施設を見学し、また村の再計画や農業、商売について村民に様々な事を聞いていた。

 特に、肥料としての竜の糞について詳しく聞いていたらしい。


1.畑に竜の糞置き場から取ってきた糞と土を混ぜて畑に撒くこと。

2.竜の糞置き場から取ってきた糞を水で薄めて水肥として撒くこと。


 これらについての効果を詳しく聞かれたと村民が言っていた。


 農業水路についても、水の流れる流路の設計方法をルオさんに聞いていた。


 俺自身も、温泉の見つけ方や温泉を見つけた後の風呂場まで流す処理の仕方などを聞かれた。

 サーチで地面の奥に何かあると感じ、実際掘ったらあったとしか言えなかったが。


 パネル工法についても興味を示し、ボスガンさんを質問攻めにしていた。

 丁度竜の駐屯所をパネル工法で施工していたので、それを教材として教えているらしい。

 ローランさんやロッカさんは、最初は自分たちで建てるからと魔族が施工に参加するのを嫌がったが、竜族の上の方から命令があったようで仕方ないという感じであった。


 実は、魔族のラオンが会談まで常駐する宿、ローランさんやロッカさんが駐屯所できるまで泊まる宿がともに「羊の休息」亭であり揉めないかということを村では心配したが、それぞれの上司より命令があったみたいで揉めなかった。最初はともに警戒していた様だが、竜の駐屯所をともに作ることになったので、次第に打ち解けていった。


 魔族は村民に教えを乞うだけではなく、村にも色々教えてくれた。


 まずは作物。俺の前世で芋と言われたものを2種類持ってきてくれた。サツマイモの様な芋と里芋の様な芋だ。


 これらは魔族が料理をして毒見、食べれることを示してくれた後、種芋を持ってきてくれた。

 天候不順でも育ちやすいので飢饉用に栽培しているとのことだった。


 あとは左近木という木を持ってきてくれた。葉を塩ゆでにして食べると癖があるがおいしいというものだった。これは手をかけずに育ちやすいので魔族は家の生垣として使用しているとのことだ。また木の葉は内臓の働きを促進する効果があるとのことだ。ハッサン先生に解析してもらったらその通りだったので栽培を奨励することとなった。


 俺自身も魔族に油が沢山詰まってる実、ヤシの実のようなもの・・がないか聞いたら、持ってきてくれた。これで石鹸の量産に目途がついた。魔族にはこの実は食べられないし何に使うのか聞かれたが、ヒミツ・・・うまくいったら教えると言ってごまかした。


 村長宅では、竜側はバッチやカムストックさん(この竜は長老で政の部分でファフニールをフォロー)、魔族側はラオンとガムルウさん(魔族の外交官らしい)、村長、ルオさんが連日同盟条件と会談方法を詰めているようだった。


 俺は同盟に関する打ち合わせには加わらなかった、というか加われなかった。

 魔族と竜の、人間と魔族の治安について見なければならなかったからだ。

 この村では、竜と魔族が揉めた場合、最悪力で抑えられる村民は俺しかいなかったからだ。


 生真面目な魔族が村民に習い、村民が魔族に習う。そんな状態が続くうち、村民と魔族両方の願いで村を訪問する魔族が増えていったのも俺が同盟に関する打ち合わせに加われなかった原因であった。


 また、早朝魔族の剣士がうちに来ることが多くなった。俺の評判を知る腕自慢の剣士たちが立ち合いを求めてくるのだ。


 実は早速ラオンに立ち会いを求められた。

 ラオンはそれなりに強かったがまだ俺の敵ではない。魔族の剣法は力に頼り初撃にかけるというもので、初撃を耐えればこちらの敵ではなかった。3本ほど入れたら、参りましたと言われた。


 ラオンにはククリコンとも立ち会ってもらった。ククリコンも立ち合い相手が俺ばかりでは行き詰るだろうと思ったからだ。俺はククリコンではラオンに敵わずボコボコにされるだろう、それもいい経験だと思ったが、意外にもククリコンは善戦した。

 右手の振る剣でフェイントをかけ、左の突く剣で有効打を狙っていた。あんなの教えてないぞと思いつつ見ていた。しかし経験と腕の差が出てしまい、一本取られてしまった。


 ククリコンは

「最初はいけるかもと思ったね。でもラオンさんは俺よりずっと強いね。」

と言い悔しがった。


 ラオンは俺に

「素晴らしい素質をもった弟子ですね。うまい。」

とククリコンを褒めた。

「カミュさんが剣を教えてどれくらいになるのですか。」

と聞くので、3か月と言ったら生真面目なラオンが目をひん剥いて驚き、ククリコンに

「うちの隊に来ないか?ククリコンならうちの分隊長を任せてもよい。」

といい、本気で誘っていた。ククリコンは

「おいらは鹿島新當流を極め免許皆伝をカミュさんから貰うのが目標ね。」

と言い笑ってごまかしていた。


 後で魔族のガムルウさんに聞いたら、ラオンは魔族軍第一隊隊長で、セトとの戦争時魔族軍第一隊

は緒戦で10倍のセト軍を粉砕したとのこと。そりゃ強いわ。


 ククリコンはラオンに今後も都合がつけば立ち会ってほしいと言い、ラオンも快く了承してくれた。


 その後他の魔族が俺に立ち合いを求めることが増えた。

 ガムルウさんに聞いたのだが、ラオンは魔族達に、

「カミュ殿と打ち合ったが評判通りの強さだった。俺では手も足も出なかった。」

と言いふらしたらしい。

他の魔族もそれを聞いて、是非俺もカミュ殿と手合わせしたいというものが多いとの事。


 俺自身も自分の鍛錬になるので、早朝9時までか午後17時以降ならという条件で立ち合いを受けた。色々な魔族と立ち会ったが魔族はそれなりに皆強かった。(ラオンより強いやつはいなかったが。)


 そして俺と立ち合う条件として、ククリコンとも立ち会うことを求めた。

 ククリコンは始めは負けが込んだがそのうち魔族の腕自慢にも勝てる様になっていった。

 ただやっぱりラオンには勝てなかったが。


 そんなこんなで過ごしているうちに、ついに同盟の下準備は最終段階となったらしい。

 明日、魔王の右腕といわれる魔王軍宰相ゲルググンがバッチと最終打ち合わせをするためにアイナ村に来ることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。