カミュ、難題を押し付けられる。
皆を温泉に招待してから何日か経過した。
村の水路工事はかなり進んでいる。
もうすぐ村内の工事は終わり、後は村外南側の水路工事、再度川に接続する工事を残すのみだ。
ローランさんは、あまり竜の領域に帰らなくなり、村に泊まることが多くなった。
水路工事が終わったらローランさんの家の工事に取り掛かることとなり、ローランさんは「羊の休」亭に泊まっている。
俺の家は部屋が余っているのでどうですか、と聞いたのだが、
ファフニール様からの指示であるこの村の観察業務最大の観察対象である俺の家に泊まるのはどうも・・・ということで、うちにはたまに来るが、泊まることはなかった。
ローランさんの家は、俺が植林の為に伐採したゲインの木を使って作るとのこと。
監督のボスガンさんから木を湿らさない様に注意を受けたので、伐採保管所に屋根を作ったりした。
ローランさんの家を作るに際し、パネル工法を使ったらいいのではないか、と思い、監督のボスガンさんにパネル工法の説明をした。木枠を作り内部にバッテンブレスを組み込み木枠両面に板を張ったパネルを作りそれで家を作ればどうだろうと言ったら、面白いからやってみよう、プランが決まったらパネルを作り始めてくれと言われた。
ボスガンさんと相談したのは、ボスガンさんが俺の作ったパネルを立てて壁を立てる、パネル間の施工及びパネルの開口部の処理はボスガンさん達が施工する。屋根も屋根パネルを作りそのパネルを置き固定した後細かい所はボスガンさんたちが施工することとなった。
壁パネルのサイズは基本幅1820㎜×高さ2730㎜とした。
俺は研究も兼ね、ローラン温泉の更衣室を錬金のみでパネル工法を用い作ってみるとボスガンさんに言った。ボスガンさんは
「とりあえずやってみてよ、カミュさん。カミュさんの試作を見て、どの程度俺たちが仕上げたらいいかを見たい。この工法がうまくいったらかなり建物の工期が縮まるぞ。」
と興奮して言った。これは前世では当たり前にやっていた技術なので俺の技術ではないのだが、と思いつつ役に立てばいいか、と思った。
ローラン温泉についてだが、これは水路の施工、ローランさんの家が完成してからという事になった。それまでは俺の作った仮の温泉のまま使うこととなった。
実は、まず源泉から俺の家まで温泉を引いて家内部の風呂に接続するのは先にやった。
錬金で行ったので完璧ではないが。
皆がズルいと言ったがこれは発見者の役得ということで押し通した。
ハッサン先生が、温泉の泉質の解析結果から、この性能の消毒液を錬金しろとの指示があった。
ちょっとこの配合だとハッサン先生の錬金技術では難しいとのことなので、俺が錬金して作ることとなった。
ハッサン先生によると、かなり竜の痒い病気に効くとのことなので期待している。
村長、ルオさん、ハッサン先生、俺で、これで竜用の治療湯を作り、竜に対して入泉料を取ればかなり儲かるのではないか、と話した。
で、あれば竜用の治療風呂も作らないといけないが、そのことについてはボスガンさんに村長とルオさんから話すこととなった。
それまではまず効能を確認する実験として、石や木で人がひとり入れるくらいの風呂を作り、そこに温泉と消毒液を入れて試すこととなった。
村長やルオさんにボスガンさんと話したパネル工法を説明した。
あまりよくわかってない様子だが、とにかくやってみてくれとの許可を得た。
実はあれから男連中は仕事後温泉風呂に入りに来るようになっている。
パネル工法を試すために明日一日かけてパネル工法で更衣室を作るから明日は入浴禁止だな。
そんなことを考えていたら、村長とルオさんが困った顔をして、お互い顔を見合わせている。
「村長、ルオさん何かまだあるんですか?」
と聞くと、村長が
「いや・・あの・・・」
「どうしたんですか。」
「あの、カミュさん。実は村の女性たちが私達も風呂に入れろっていうんですよ。」
「今の状態では無理でしょ。女性が入るとなると裸を見られないために風呂に囲いを作らなくてはならないし、更衣室も壁有りでのぞかれないようなのを作らなくてはいけないし。」
ルオさんが、
「そう言ったのですが、仕事の後風呂に入ってすっきりした男たちを見て、男たちだけずるい、私たちも温泉風呂に入りたいと騒ぎだして。」
「それ、我々は観光のための温泉風呂をどうするか打ち合わせしながら入っているってことで、水路工事が終わるまで待て、という訳にはいきませんか。」
村長は
「いきません。すぐに入りたい、すぐ入れなければ仕事や家事をボイコットするって言ってます。」
カミュは面倒くさそうに
「じゃあ、風呂の壁は帰ったら仮設のものを作ります。結局作り直さなければならないから2度手間になっちゃうますが。明日更衣室を作る予定だったのですが、今日はこれからする予定だった薬の錬金、鉱石の採取は中止してすぐに取り掛かります。ハッサン先生、ラムザさん。そういうことなので
今日の薬と鉱石の納入は延期してください。」
「仕方ないなあ。」
ハッサン先生とラムザさんは言った。
「ボスガンさん。という訳なので早く作らなければいけないみたいですから、今から作ります。」
「仕方ないなあ。」
ボスガンさんが言った。
「みなさん。私はこれで帰りますが、温泉風呂についてですが・・・」
と言ったところでローランさんが入ってきた。
村長が、
「ローランさん。急にどうしました?」
と聞くと
「温泉風呂のことをファフニール様にお話しした所、是非我も入りたいとのことで近日中にこの村に来たいとのことです。」
と言って来た。
「ローランさん、今きたばかりだから知らないだろうけど、温泉風呂の事で問題が発生した。俺はすぐ手を打つために帰らなければならないが、ファフニールには問題を解決したらすぐ呼ぶからもうちょっと待てと言ってくれ。ところでファフニールは消毒風呂に入りたいといっているのか?であれば更に待ってもらわねばならないが・・・そうか、ファフニールには大浴場、すなわち大きな風呂でなくてもいいなら、俺の家の風呂に入ってもらえばいいか。ローランさん、ファフニールには消毒風呂に入りたいならまだ待て、大きな風呂に入りたいなら2~3日待て、とりあえず温泉に入りたいなら俺の家来いと伝えてください。」
俺は更にみんなを見渡して紙を出し、
「温泉風呂については、以下のどれにするか決めねばならないと思う。」
1.観光地の目玉としての温泉風呂とするなら
1-1 観光客はとりあえず竜をターゲットにする。
1-2 観光客はイナバーン国民をターゲットにする。
2.村民用の大浴場温泉風呂について。
1-1 とりあえず一つの風呂を男性と女性で時間制にするか。
1-2 最初から男性用と女性用の2つを作るか。
1-3 とりあえず今の場所に一つないし2つの温泉風呂を作り、後日村内にも作る。
1-4 竜用の風呂をどうするか。消毒風呂を男用、女用の2つ、普通の風呂を男用、女用の2つ
作る?それとも普通の風呂は人間と共用でよいか。
まあ、こんなところだけど、どうするか決めておいてくださいとカミュは言って、家に帰った。
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