カミュ、錬金について(閑話休題)
皆が帰宅後、家で夕食をとり、その後くつろいでいると、ククリコンがカミュに聞いてきた。
「前からカミュさんに教えてもらおうと思ったのですが・・・・いいですか?」
カミュは読んでいた本から目を離し、ククリコンを見て
「いいよ、何?」
「錬金についてです。カミュさんは凄腕の錬金術師ですが、自分で作れるものであっても、なるだけプロに任せれるものは自分でしないでプロに任せますよね。何故ですか。例えば鍬だって、僕の剣だってカミュさんでも作れたはずなのに鍛冶屋のラムザさんに任せましたよね。何故です。」
「そんなことか。それなら簡単だ。彼らが作った方がいいものが出来るからだ。錬金で作るものと、例えば鍛冶スキルで作るものの違いは、早さと仕上がりだ。」
ククリコンは???の顔をしながら
「どういうことです?」
と聞いた。カミュは
「同じものを作る場合、例えば鉄の剣を作るとしようか。鉄の剣の最高レベルの仕上がりを10とすると、錬金では精々7くらいのものしかできないのに対し、鍛冶スキルで作ったものは、例えばラムザさんの様な最高レベルの鍛冶屋が作ったら10のものが出来るということだ。」
「逆に、鍬をつくるとしようか。例えば1時間に作れる本数でいうと、俺が錬金で作れば40本位できるが、ラムザさんが作れば10本がいいところだろう。すなわちこれがさっき言った錬金のスピードということになる。」
「だから以前、ククリコンが来る前に村民用に鍬を作った時は。村民分すべての人数分の本数を作ったので、刃床部と柄は俺が錬金で作り、一番の肝である刃床部と柄の接合はラムザさんに作ってもらったんだ。すなわちスピードが必要で質がほどほどでよいところは俺が作り、しっかりつくらないと
いけない所は、ラムザさんに作ってもらった。」
更に続ける。
「ククリコンの剣もそうさ。最初は鉄で作るつもりで、鉄はたくさん採れるから、最初は鉄で俺が作ろうと思ったんだけど、ミスリルで作ることにしたのでラムザさんに頼んだ。ミスリルはなかなか採れないし、そのミスリルを使って剣を作るなら質のいいものを作ろうと思ってラムザさんに頼んだのさ。」
更に。
「さっき風呂で工事監督のボスガンさんが言ってたことは聞いたか。ボスガンさんは、風呂を自分たちが作った方がいいものが出来るといっただろ。これも同じことで、ボスガンさんたちが作った方が
質の良い風呂ができる、ただし時間のない中であの風呂を作ったことをボスガンさんはさすがといってほめてくれたんだよ、俺の錬金技術をね。」
そして、
「ハッサン先生との関係は少し違うかな。俺は錬金で薬を作れる、自分で言うのもなんだが、いわゆる一般的に薬草と言われるものを使わなくても薬を作れる。でも、俺はそれだけ。俺は薬は作れるが、患者にどんな薬を与えれば一番効くかはわからない。逆にハッサン先生は、患者にどんな薬を与えれば一番効くかわかるが、薬は作れない。だからハッサン先生が診察しどんな薬が必要かを見て、俺が薬を作るのが一番患者の為になる。だからそうしている。」
そんなところさ。ククリコン解かった?と聞くと、ククリコンはうなずいた。
そしていつの間にかククリコンは寝ていた。カミュはククリコンを彼の部屋まで負ぶっていきベットの上に乗せ、布団をかぶせて自分の部屋に戻った。
カミュは思う。
確かに錬金はスピード、職業スキルは質になる。しかし、この町の職人たち、ラムザさん、ボスガンさん、ハッサン先生ともレベルが高すぎないか。
王都にいるときは、例えば鍛冶の成果物については、一部の鍛冶屋が作る以外、カミュが錬金したものの方が早いうえに質の良いものが出来た。
この村に来て鍛冶屋に初めて行ったとき、こんな田舎の村の鍛冶屋だから大した職人はいないだろう、俺の錬金よりも質の悪いものしか作ることが出来ないだろうと思ったが、ラムザさんの仕事ぶりを見てそんな俺の考えが間違っていることがすぐ分かった。というか、ラムザさんの腕は、王都の一番うまいとされる職人よりもよほど上だろうと思う。
他の職人、ボスガンさん、ハッサン先生もそう。王都よりもレベルが高くうまい。
人にしてもそう。村長やルオさんは思慮深く堅実な、そして時には大胆な計画を立て、適切に指示する。
この村は田舎のくせに異常に腕のいい職人が多い。何か過去にあったのか、後で村長に聞こうと思った。
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