独眼竜の誕生
あの撤退戦から早くも300日以上が経過した。
まさに地獄絵図であったと報告があるがなんと陳州軍はあの黄巣を相手に粘った。
このことに応えないなどまさに外道だ。絶対に救って見せる。
李克用もヘラついていない。最近は陳州への攻略のために睡眠時間を大きく削っているほどだ。
ちなみに李健久は酒癖の悪さがやはり悪く曹娘子と崇韜とともに帰らせた。
つまり俺の手駒は今いない。でも案外これも経験だ。いつか別で戦うかもしれないしな。
そして今日李克用が出陣を決めたのだ。ついに始まる。
李克用は号令を掛ける前に俺を呼んだ。
「元山賊でありながらも僕についてきてくれてありがとう。普段の笑顔を見せたいのだけどね。
陳州の同胞たちが討たれているとなるとこれは許せない。済まないがいつも通り笑えない。
でも笑えなくても、僕の実力が変わることはない。
同胞たちが黄巣軍を削ってくれたんだ。朱温も俺も絶対に負けない。頼むよ。」
その姿は俺の惚れた男の姿だった。俺は笑顔で頷いてやった。
俺達は10万規模の軍勢となっていた。そのまま進軍した。
ボロボロの黄巣軍対万全な官軍だ。陳州に着くやいなや俺達は黄巣軍を圧倒し始めた。
その時だった。
最前線で弓を撃っていた李克用に対して挑む声が聞こえた。
「李克用。この黄巣が相手になる。」
その挑んだものは紛れもない黄巣本人であった。
俺は内心笑った。弓の対決で李克用の右に出るものはいない。そう思っていた。
「よかろう。互いに一矢ずつ構え一騎打ちをしようぞ。」
李克用も勝負に乗った。でも黄巣はさらさら武士の誇りなんてものはなかった。
刹那前に出てきた李克用を挟み込んだ。
そしてやつの手が上がるとその伏兵が一気に李克用に襲いかかった。李克用はすぐに剣に持ち替えた。
だがそれが裏目に出る。
黄巣の矢は矢を放った。
それは無情にも李克用の目を貫いた。
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