第9話 人と亜人
今回は7600Wです。
この世界の過去が少しわかります。
ではお楽しみください。
レイン一行は人でにぎわう大きな町の目抜き通りを歩いていました。
時間は午後で建物に使う白い石が真夏の日差しを吸収し、町は大きな水たまりのような青っぽい光に満たされています。
一行はサンドドラゴンのサンディの背中に乗り、悠然と町を散策しました。
「アニキ、おれたちこれからどこ行くんだっけ?」
「シティだ」
ゴブリンのジョーの質問に妖精レインが答えます。
シティは真ん中の国の中西部に位置する大陸最大の都市です。
「この前客から『シティに行って人に会ってください』ってリクエストがあった」
「シティか。おれそんな大都会に行くの初めてだよ。楽しみだなあ……」
「おいゴブリンだ」
そのときヒソヒソささやく声が聞こえました。
数人の若い男が、ニヤニヤ笑ってこっちを指さしています。
「肌が緑色だぜ」
「腐ったドブの色だ」
「臭え」
「ゲロの匂いもするぜ」
「ギャハハ!」
するとふいにサンディの足がピタッと止まりました。
「あんた」
若者に声をかけたのはサンディの手綱を持つウッディです。
「ゴブリンは霊食だ。人間のように肉を食べない。だから臭くなりようがない。彼に謝罪してくれ」
「……すまん」
ウッディの迫力に押され、リーダー格のリーゼントヘアーの若者はあっけなく謝罪しました。
手綱を軽く振り、ウッディはサンディを再び歩かせました。
「ハハ、悪いね……ウッディ」
すっかりおじけづいた若者たちに手を振り、レインは相棒をたしなめました。
「あいつらどこの町にもいるチンピラだ。ほっとけよ」
「いやだ」
レインの言葉にウッディが珍しく逆らいます。
「友だちが侮辱されたのにほっといたらぼくの中のマナが汚れる。ほっとけない」
「まあそうだろうけどさ……」
「それよりレインやジョーはどうして口があるの?」
「なんだよいきなり?」
「いや妖精やゴブリンのような亜人はみんなマナが主食でしょ? 人間のように口から食べ物を摂取しないから、どうして口があるのかなって思って」
「そういうことか」
レインはジョーと顔を見合わせ、互いに苦笑いを浮かべました。
「マナは目に見えないし触れることもできない霊的エネルギーだけど、体内に取り込むとき一瞬物質化するんだ」
と、レインが語っていると、サンディが急に大きく口を開けました。
口をもごもごさせてなにか咀嚼しています。
「今サンディがマナを食べた。今みたいにマナを体内に取り込むには物質化したマナを咀嚼しなければならない。このとき口が必要になるし、口や喉の筋肉、それに歯や牙もこのとき鍛えられる」
「やたらと固いマナとかあるよね」
とジョーもうなずきます。
「あれマナを食べてるんだ」
ウッディもようやく納得しました。
「ぼくてっきりみんながあくびしてると思ったよ。ねえ、マナってどんなタイミングで口に入ってくるの?」
「風みたいなもんでいつくるか全然わかんねえ。一回マナを食べたらそれから一週間は食べなくてすむ」
「へえ。味は?」
「とくに味はねえな……」
「お客さん、妖精さん」
そのとき白いエプロンをした、大柄な中年男性がニコニコ笑顔で声をかけてきました。
「いいエキスがあるよ。一服しないかね?」
その店は裏通りにありました。
「ここで待ってて」
ウッディはサンディをドラゴン停め用の柱につなぎました。
店に入って見ると
「なんだ、客は亜人ばかりじゃん」
店内を見渡すジョーの拍子抜けした声が響きます。
「エキスを嗜むのは亜人だけだからな」
「レイン」
そのときウッディの肩に腰かけたレインに声をかける人物がいました。
「こっちじゃよ」
見ると円卓に向き合って座るドワーフとエルフが、手を振っていました。
「ようロッド! フロース!」
レイン一行はドワーフとエルフがいるテーブルに着きました。
ドワーフのロッドは黒い革甲冑に黒い革パンツ、エルフのフロースは緑のワンピースという服装です。
二人はてのひらサイズの、乾燥した細い棒の匂いをしきりに嗅いでいました。
この棒がエキスです。
珍しく頬を紅潮させて旧友との会話を楽しむレインのもとにもエキスがきました。
嗅いですぐウッディは首をかしげました。
「なにも匂わないよ?」
ウッディの不満に答える声はありません。
「……」
ジョーはふつうサイズ、レインは妖精用の小さい棒の匂いを嗅ぎ、たちまち目の焦点が定まらないボーッとした顔になりました。
極上の陶酔感に酔っているのです。
「エキスの香りはマナを食べる者にしかわからんからのお」
「ロッドさんとフロースさんはレインのお知り合いですか?」
ウッディの質問にドワーフのロッドがうなずきます。
「うむ。百年前からのつきあいじゃ」
「わたしは二百年前、レインが森に生まれたときからのつきあいよ」
フロースの発言にウッディは目を輝かせました。
「レインはどんな子どもでした?」
「小鳥のように可愛かったわ。だれよりもたくさんマナを食べてあっという間に魔法をマスターしたの。幼いころはよくわたしの足にまとわりついて『お姉ちゃん』って甘えたわ。そんな子が、今ではエキスに依存するようになって」
フロースは小さくため息をつきました。
レインは年上のエルフの嘆きにまるで気づかず、エキスに陶酔してブツブツ何事かつぶやき笑っています。
「そういうなフロース。わしらもエキスに依存しておる。それになにかに依存するのは大人になった証拠じゃ。近ごろわれわれ亜人に対する人間の当たりが強くなってきた。レインも酔わねばやってられないのじゃろうて」
「さっき彼が町のチンピラにバカにされたんです」
ウッディはヘラヘラ笑うゴブリンのジョーを指さしました。
「なぜ人間はあなたがた亜人を憎むのです?」
自分が人間であることを忘れたウッディの質問に、ロッドは淡々と答えました。
「それは遠いむかしわしらのご先祖と人間のご先祖が戦争して、わしらのご先祖が勝ったからじゃろう」
「……え?」
それはウッディにとって初耳の知識でした。
それからロッドとフロースは何事もなかったように談笑しましたが、二人の声はもうウッディの耳に入ってきません。
ウッディは今聞いた知識を、頭の中で何度も反芻しました。
(人類と亜人が戦って、人類が負けた? そんなバカな。すべての亜人は人間に対する強烈な庇護本能を持ってる。三年前ブナの木の下に血を流して倒れていたぼくを、道行く人間は全員無視した。妖精のレインだけが助けてくれた。そんな亜人が、どうして人間と戦うんだ?)
しばらくするとレインとジョーの正気が戻りました。
「やっぱひさしぶりにやると効くな」
レインは瞳孔が開いた目で、手もとのエキスを見つめました。
「この一服のために生きてるって感じっすね」
ジョーも瞳孔の開いた目でうなずきます。
「どうレイン? あなたちゃんとマナ食べてる?」
「食べてるよ。なあフロース、むかし森で迷っておれたちが道案内したアーサーって修験者を覚えてる?」
「覚えてるわ。あの人わたしが出会ったもっともパワフルなマナの持ち主だった。わたし五百年生きてるけどあんな強烈なマナのオーラを浴びたのはあのときだけよ」
「ウッディはアーサーよりもっとパワフルなマナの持ち主だよ」
「あら素敵!」
「どうじゃレイン、このごろ人間とうまくやってるか?」
「やってるよ、っていいたいけど、仲良くなるのは転生者ばっかだな」
「転生者か……」
ロッドは難しい顔で腕組みしました。
「『転生者が増えると世が乱れる』とはインチキ呪術師定番の煽り文句じゃが、このごろ急速に転生者の数が増えておるのは事実じゃ。そのせいかどこの町でも治安警護人がピリピリしておるよ」
「こっちの世界にだれか大物の転生者でもきたんじゃない?」
エキスを嗅ぎながらフロースが語ります。
レインは素早くウッディを見ました。
(ナザレのイエスがこっちにきてるのは秘密だぞ)
(わかった)
レインが目頭で合図を送り、ウッディが相棒の腹を読んでうなずいたときです。
「ああ、そういや最近ナザレのイエスって人がこっちにきたらしいよ」
エキスを嗅ぎながらのんきに語るジョーの言葉を聞いて、レインはずっこけました。
「おまえなんでそんなこと知ってんだよ?」
「んあ? かくし鉱山の奴隷仲間が話してたんだよ。そいつは転生者で、なにかのきっかけでイエスって人がこっちにきてるのを知ったらしい。『イエスさまは偉大な救世主だ。必ずおれたちを地獄から救ってくださる』そいつがしょっちゅうそんなこといってたからおれも名前覚えたんだ」
「ふーん。イエスってどんな人? どっかの国の王さま? それとも剣士?」
「新興宗教の教祖だって」
「新興宗教? 教義は?」
「えーと、『右の頬を打たれたら、左の頬も差し出せ』だって」
「それって非暴力の教え?」
「さあ? あとは……イエスは自分の故郷で全然教えが受け入れられなかったらしい。
『おまえ大工の息子のイエスだろう?』って知り合いにからかわれたんだって。それでイエスは『預言者は故郷に受け入れられない』『こういうときは足の塵を払って黙って去れ』と弟子にいって故郷を去ったって」
「へえ」
人間臭いエピソードだな、とレインはイエスに好感を持ちました。
「それからある娼婦が処刑されようとしている現場にイエスがたまたま通りがかった話がある。その土地で売春は重大なタブーで、娼婦は群衆に石を投げつけられ殺される習わしだった。するとイエスはその場にうずくまって『罪なき者のみ石を投げよ』っていったんだって」
「まあ」
話を聞くフロースの顔に感動が広がります。
「イエスの言葉を聞いた一人の老人が最初に石を捨てて立ち去り、ほかの人たちも次々石を捨ててその場を去り、娼婦の命は助かったって」
「すごい」
ウッディの目がキラキラ輝くのも感動のせいでしょう。
「ちなみにイエスに助けられた娼婦の名前はマグダラのマリアっていうんだ。すげー美人で、この騒動のあとイエスのもっとも忠実な弟子になったってさ」
ウッディはとっさにレインと顔を見合わせました。
(マリアさんが?)
(あの二人前世で夫婦ではなく師弟だったんだ!)
二人が話の意外な展開に驚いていると、最後にジョーがいいました。
「それからイエスは弟子にこんなこといったそうだよ。
『わたしが地上に平和をもたらすためにきたと思うな。
剣を投げ込むためにきた』
だってさ。いいこというと思ったら急に物騒なこといい出すんだよねイエスって人。情緒不安定でおもしろいね。アハハ!」
すっかり日がかたむいた夕暮れ時、レインたちは店を出ました。
たくさんエキスを買ってレインとジョーはホクホク顔です。
すると
「あ」
ウッディがうろたえた声をあげます。
「もらっとくぜ!」
ウッディの手から背嚢をひったくったリーゼントヘアーの若者が、その背嚢をかかげて前方を走るのが見えます。
「待て!」
ウッディが走り出し、レインも慌ててあとを追いました。
背嚢をひったくった若者ではなく、相棒を追ったのです。
「落ち着けウッディ!」
返事はありません。
三年前ブナの木の下にウッディが倒れていたとき、彼の手もとにあったのは不知火丸と背嚢だけでした。
記憶を失ったウッディにとって、この背嚢は過去と現在の自分をつなぐ大切な遺物です。
(その大切な遺物をさらわれたら、そりゃあ切れるさ)
このままウッディがあの若い衆を捕まえたら半殺しじゃすまないぞ! とレインが焦っていると
「アニキおれが行く!」
ジョーは軽やかに走り出し、あっという間に先行するウッディを追い越しました。
「やべえゴブリンがくるぜ!」
「オジーの店に入るぞ」
リーゼントヘアーの若者が二人の連れに声をかけます。
「あの店の裏口から逃げる」
若者が顎でさす店の看板に「オジー魔道具店」とあります。
「OKジミー」
「了解」
二人の連れがニヤニヤ笑ってうなずきます。
これが三人組定番の逃走経路なのです。
三人は速度をゆるめず店に飛び込みました。
「悪ぃオジー! 邪魔するぜ……」
「バカくるな!」
黒い服を着た店主のオジーはランプでビーカーの液体を温めていました。
走ってきたジミーはそのビーカーをひっくり返してしまいました。
すると
「逃げろ!」
というより早く店主のオジーが店を飛び出しました。
わけもわからずジミーと連れがあとに続きます。
「なんだよオジー? いったいどうしたって……」
「バカ者あれを見ろ!」
オジーは自分の店を指さしました。
煉瓦造りの二階建ての建物全体が、炎に包まれています。
「え?」
「今魔薬を調合しておったんじゃ! 魔薬が起こした炎は水では消えん!」
「そんな……」
「返しやがれ!」
やっと追いついたゴブリンのジョーが、ジミーの手から背嚢を取りあげます。
「この野郎一発ぶん殴る……そんな状況じゃねえな」
ジョーは遅れてやってきたサンディの角に背嚢を引っかけ、店主のオジーに尋ねました。
「中に人はいるの?」
「二階が託児所じゃ!」
そのとき二階の窓から割れたガラスとともに若い女性の声と、子どもたちの悲鳴が降ってきました。
「助けて!」
「子どもは何人いるの?」
「三十人じゃよ」
「そりゃやべえ」
ジョーはひらりと跳躍しました。
一階の店先を覆うひさしテントに飛び乗り、そのまま跳躍してあっという間に二階の窓にとりつき中に入りました。
すべての亜人の中にある「人間に対する庇護本能」がジョーの中で発動したのです。
「はいみんなしゃがんで」
ジョーが子どもたちに命じます。
態度は大人びて偉そうですが、実をいうとジョーはまだ五歳ですからここにいる子どもたちとそんなに年齢は変わりません。
「全員いるか確認するぜ。番号!」
「一」
「二」
「三」……
子どもたちの点呼は二十九で終わりました。
カウントが二十九で終わると保育士はパニックになりました。
「リリーがいないわ!」
「たぶんトイレだよ」
一人の男の子の発言を聞いてジョーは立ちあがりました。
託児所は仕切りがないだだっ広いスペースで、奥のほうにトイレと階段があります。
そちらははやくも煙が充満しています。
「よく見えねえ……」
目を細めジョーはたちまち青ざめました。
床にてのひらサイズの透明なドームが転がっているのが見えたのです
先日夜の公園でヴィヴィアンが聞いていた、あのミュージックドームです。
(ミュージックドームは炎に触れると爆発する。
爆発したらこの建物ごと吹っ飛ぶ!)
ジョーは血相変えて走ると床のドームに飛びつきました。
同時に階段からせりあがった炎が、貪婪な肉食獣のようにジョーに襲いかかりました!
(やべえ)
床に這いつくばったジョーが歯を食いしばったそのとき
「風!」
一陣の風がジョーの頭上を吹き抜けました。
風は魔薬の炎を一気に階段まで押し戻しました。
「ジョー大丈夫か!?」
「妖精」
「妖精さんだ」
宙に浮かぶレインを見た子どもたちがはしゃぎます。
「大丈夫ありがとうアニキ!」
ミュージックドームを半ズボンのポケットにねじ込み、ジョーはトイレに向かいました。
水洗トイレは男女に分かれていて、女性用トイレの扉に鍵がかかっています。
ジョーは拳を固めました。
「ゴブリンパンチ!」
気合いとともに木の扉を殴るとボコッと鈍い音がして、拳サイズの穴が開きました。
入って見るとおかっぱ頭の女の子が、狭いスペースにぼんやりとした顔で立っています。
「リリーかい?」
女の子が無言でうなずきます。
「煙を吸った?」
やはり無言で今度は首を振ります。
「よかった。行こう」
ジョーはリリーを抱えて窓際に向かいました。
「それ」
「ちょっと!」
ジョーが抱えてきたリリーをポイッと窓の外に放り投げたから保育士は悲鳴をあげました。
「ほいよ」
一階で待っていたドワーフのロッドがリリーを受け止めます。
ロッドは素早くリリーをエルフのフロースにたくしました。
「治療」
フロースがかざしたてのひらから放たれた青い光が、リリーを包みます。
「はいどこにも異常なし。健康健康」
フロースはリリーをひょいとかついでサンディの背中に乗せました。
「キャキャ」
リリーは目の前の火事を完全に忘れて、ドラゴンの背中で楽しそうに笑いました。
「よし次行こう」
ジョーはポイポイ子どもたちを放り投げ、レインも魔法の風で子どもたちを地上におろし、二階の部屋はあっという間に人がいなくなりました。
ジョーは室内を見わたし、保育士に声をかけました。
「あとは先生だけだね」
「え?」
保育士が気づいたとき、彼女の体は宙に浮いていました。
ジョーが彼女を抱えて二階の窓から飛び降りたのです。
あっさり着地し、保育士をおろすとジョーは二階に向かって叫びました。
「いいぜアニキ!」
「わかった! みんな建物から離れてくれ!」
ウッディ一人を残して路上から人がいなくなると、レインは背中の羽根をひるがえし、窓から飛び出しました。
裏に回り、位置を決めて斜め上空から建物を見おろし、それから大声で叫びます。
「ウッディいいか~!?」
「いいよ~!」
「よし」
レインがてのひらを前方にかざすと虚空に大きな五芒星が浮かびました。
「風!」
レインが呪文を唱えると、五芒星から風が放たれました。
むかしの人が颶風と呼んだ、強く激しい風が。
颶風は建物の内と外を洗い、炎だけ器用に引きはがしました。
引きはがされた炎はウッディが口を開けた背嚢にスルスル吸い込まれました。
最後の炎が吸い込まれると、ウッディは背嚢の口をピタッと閉めました。
「炎を空気がない異空間に転移させた。もう消えてるよ」
ウッディにそういわれたリーゼントヘアーのジミーはわけがわからなくて、ただ「はあ」と間の抜けた返事をしました。
「どうもすいませんでした!」
リーゼントヘアーの先端を震わせ、ジミーは頭をさげました。
「おれのせいでたいへんな目に!」
「まあいいさ」
店を燃やされたオジーが額の汗をぬぐいます。
「レインが魔法の風で祓ってくれたから店の道具はほとんど無事だった。まったく奇跡だ。焼けたぶんや家の修理費は保険金が出るし、子どもたちにケガはない。そんなに気にするな」
「オジー……」
「ただし二度とやるな! それからこちらさんにもちゃんとあやまれ!」
「本当にすいませんでした!」
さらに深々と頭をさげるジミーの肩を、ウッディは「もういいよ」と笑顔で軽くポンと叩きました。
レインはホッと安堵しました。
(やれやれジミーのやつちゃんと頭をさげたな。よかった。ここできちんと頭さげないと自己嫌悪と罪悪感にさいなまれて、あいつ一生インポになるとこだったぞ。謝罪は他人のためにするんじゃねえ。自分のためにやるんだ)
「キャハハ!」
サンディの背中に乗ってはしゃぐ子どもたちの面倒を見ようと、レインはそっちに向かいました。すると
「おい」
路地の片隅に立っていた、灰色の制服を着た治安警護人が相棒に耳打ちします。
「シティ本部に連絡だ。『妖精、少年剣士、ゴブリン、サンドドラゴンの四人組がシティに向かっている。一週間以内にそちらに着くと思われる。とくに妖精と少年剣士は凄腕である。警戒されたし』呪術師の魔術通信を使え」
「だれに連絡するんだ?」
「そんなの決まってる。
シズエ・ハラ本部長だ」
いかがだったでしょう。
次回第10話「ナザレのイエス」は9月6日(日)朝5時投稿します。
どうぞお楽しみに!




