↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
泡沫の恋の行方と花時計の思い  作者: @000ーooo


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/54

52.ネーポムク公爵の置き土産

 ネーポムク・ルーリール公爵が急死した。この報告はすぐに王宮に送られた。生前ルーリール公爵は公爵家を継ぐ者として、長男アルデルトを指名していた。そして、アルデルトが成人していない場合は代理としてティナを公爵代理とすることも併せて公表していた。


 これは寄子の貴族たちにも知らせてあった。自分の死が近いことを悟った公爵は夏の寄り子の貴族を集めたパーティーでも繰り返し、長男アルデルトと妻ティナを頼むと貴族たちにお願いしていた。そのため、この継承はすんなりいくと思われた。


 しかし、この継承に異議を唱えた者がいた。ルーリール公爵家の傍系の子爵家の当主が、

「ティナは平民である。平民が産んだ子がこの由緒あるルーリール公爵家を継ぐことはできない。儂アルフォンス・マルバールこそがふさわしい」

と葬儀の準備をしている公爵邸に乗り込んできた。アルフォンス・マルバールはネーポムク前当主の鳩子にあたる。ネーポムクは一人っ子だった。兄妹はいない。親の従姉の子、もう血が薄すぎる。


 ティナは

「あなた様はどちら様ですか。主人からは『公爵家を継ぐのは長男アルデルト』ということで聞いています。それに『主人は一人っ子で兄妹はいない。親戚付き合いをするような貴族家はない』と聞いています」

すると

「こんな平民風情に話をする必要はない。おいハンスとメアリーを呼べ、彼らだったら分かるだろう」

「お待ちになってください。ハンストメアリーはうちの使用人、主人を差し置いて使用人と話をするのはおかしいと思います」

「ええい、平民風情と話をする口は持っておらん。早くハンスとメアリーを呼べ」


 すると、主人が呼びもしないのに、ハンスとメアリーが出てきて、

「お待ちしておりました。アルフォンス様。ようこそおいでくださいました。これから葬儀の話をしましょう」


 主人を差し置いて、遠い親戚と話をしようとするハンスとメアリーを見てティナは切れた。

「今ここを持って、ハンスとメアリーを解雇します。今すぐ、この屋敷を出て行きなさい」


 すると、ハンスは

「その権限は汚らわしい平民にはない。むしろ出て行くのはティナたちおまえたちだ」

そう言って出て行こうとしない。


 仕方がないので、ティナは衛兵を呼んだ。駆けつけた衛兵も公爵夫人と家令の喧嘩である。その上、アルフォンスが

「わしが公爵家を継ぐことになっていた」

と言い出す始末である。どうしていいのか分からなくなって、呆然と立ち尽くしている。


 そのような中、王宮から国王の名代が来たというので、ティナたちは玄関に出てきて国王の名代を迎えることになった。アルフォンスとハンスとメアリーも一緒に出てきた。


 国王の名代は見ると、アルベール様だった。アルベール様はティナを見ると

「お久しぶりです、公爵夫人」

と挨拶してきた。


 これには、アルフォンスとハンスとメアリーが驚いている。平民で貴族の知り合いなどいないと思っていたのに国王の名代を務めるような王宮の官吏と知り合いである。驚いて物が言えない。


 すると、アルベール様は

「ちょうどいい、みんなが揃っているのなら、ここで国王の言葉を伝える。心して聞くように。


 今回のネーポムク・ルーリール公爵の死に哀悼の意を述べる。公爵とは生前ともに語らい一緒に酒を飲んだ仲である。それがもう出来ないと思うと悲しみで胸が張り裂けそうである。


 また残されたティナ公爵夫人や長男のアルデルト君、長女のカルナさん、次女アンナさん、次男ミシェル君、三女レノアさんの悲しみはそれにもまして大きいものがあると慮れる。


 生前公爵から申請された、長男のアルデルト君の公爵位の継承を認める。また、長男のアルデルト君が成人するまでの間、ティナ公爵夫人を公爵代理に任命する。


 ネーポムク・ルーリール公爵の葬儀が終了し、一段落した段階で、王宮へ参内するように。そこで長男アルデルト君の公爵位の拝命式とティナ公爵夫人の公爵代理の任命式を行う。


 そして、長男のアルデルト君とティナ公爵夫人の公爵家の運営に支障をきたさないように、王家としても全面的に支援する。そのために王宮の官吏を相談役として派遣する。


 差し当たっては、今回派遣したアルベールに分からないことがあれば聞くように」


 そこまで読んで、アルベール様が、

「ええー、俺がティナさんの相談役、こんなの聞いていない」

と叫んだ。


 こうして、公爵家の相続問題は解決した。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。