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泡沫の恋の行方と花時計の思い  作者: @000ーooo


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50/54

50.花時計の思い出

 ティナは最近よく夢を見る。王都の花時計の周りで遊んだ時のことだ。そこには決まってジェフがいる。ジェフとかくれんぼをしたり、おままごとをしたり。ジェフはいつも笑っている。決して怒ったりしない。


 花時計に一緒にお祈りする時「大きくなったらジェフの嫁さんになる。花時計さん応援してね」そんな時花時計はいつも笑っていた。


 隣のジェフがどんなお願いをしているのか気になった。

「ジェフ、今どんなお願いをしたの」

「俺か、俺はずっとティナと一緒に居られますようにと祈ったよ」

「ありがとう。私もジェフとずっと一緒に居られますようにと祈ったよ。そして、将来はジェフのお嫁さんになりたいと祈ったよ」

「俺のお嫁さんか。そうだなティナと結婚したらずっと一緒に居られるな」


 でもその時花時計がどんな顔をしていたかよくわからない。そこだけは思い出せない。


 次の日ティナはまた昔の夢を見た。ジェフの家でジェフと一緒にアデーレさんに勉強を教わっている時の夢だ。魔法理論など苦手な教科をジェフに教えてもらったり、地理、歴史、貴族の常識、法律などについてアデーレさんに山をかけてもらったりしてそれを丸暗記する。そして隣にはいつもジェフがいた。


 学院の試験が済んで合格発表を見に行った。合格者名簿に自分の名前とジェフの名前があるのを見て喜んだ。そして、同じクラスになれた。とてもうれしかった。そして、事務室に行って書類をもらった時、授業料免除の記載もあった。すべてジェフと一緒、そしていつも隣にはジェフがいた。


 次の日ティナはまた夢を見た。学院でジェフと一緒に学んだ時のことだ。席はいつもジェフの隣、分からないことはいつもジェフに聞く。すると、丁寧に教えてくれる。


 そして一緒に錬金クラブの教室の扉を開けて教室の中に入った。そして一緒に錬金クラブに入部した。その後錬金クラブで一緒に活動した。学院祭での発表も一緒だった。


 学院の行帰りはいつもジェフと一緒。同じ乗合馬車で行った。帰りも一緒である。そして悲しいことがあっても、うれしいことがあっても、いつも花時計にお祈りをした。そうするといつもうまくいった。


 その後ジェフは王宮の官吏の試験を受けて合格した。合格祝いに一緒に行ったお店でジェフにプロポーズしてほしくて

「いつまでも待っています」

と言ったけど、ジェフは何も言ってくれなかった。そして、その帰りの祈りでは花時計の顔は、寂しそうだった。


 それでも、このまま永遠の幸せが続くのかなと思っていた時、ジェフが地方勤務となった。


 そこで夢が覚めた。


 長男アルデルトを産んでしばらくして、ジェフがセリーナ様と結婚したと聞いた。私は結婚して子供を産んだのだから、もうジェフと結婚することはない。


 私はジェフの幸せ祈っていたはずだ。ジェフがセリーナ様と結婚して幸せになるのはうれしいはずなのに、なぜか涙が出た。でもジェフが幸せになるのはいいことだ。ジェフおめでとう。私は心の中でジェフの結婚をお祝いした。


 その後ジェフは地方勤務から王都勤務になったそうだ。そしてサンシッソンヌ伯爵家に婿入りしたそうだ。子供も生まれたそうだ。その後届いたセリーナ様からの手紙に書いてあった。私も近況を簡単につづって返事を書いた。


 私はこのルーリール公爵家に嫁いできてから、この領都から出たことはない。最近は公爵様も領都の買い物ぐらいは許してくれるが、領都から出ることは許してくれない。


 私は結婚してから領都を出たことがないので、当然王都へも行ったこともない。実家の工房は私が嫁いでからは大変だったようだ。剣の注文は父がこなせるが、アルベール様の商会からの注文は断面が変化するパイプは製作が難しかったそうだ。最初は上手くできなくて装置を買った客から苦情が来ることもあったそうだが、そのうちうまくこなせるようになったそうだ。


 もう王都の花時計は夢で見るだけだ。そしてその隣にはいつもジェフがいる。夢から覚めた時はよく涙している。そんな時はよく子供に抱き着いている。長男アルデルトに抱き着いて涙していると

「また悲しい夢を見たの。母さんは泣き虫だね」

と言ってくれる。

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