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泡沫の恋の行方と花時計の思い  作者: @000ーooo


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48/54

48.ティナの妊娠

 ティナがネーポムク・ルーリール公爵と結婚して4か月がたった。その間公爵邸からは1歩も出なかった。絶えずそばにはメイドがいた。商業ギルドの人が月1度公爵邸で働く人たちの給金を持ってくるが、その商業ギルドの人は女性だった。だから、ティナが男性と接するのは公爵だけだった。


 また、ティナがドレスを1着しか持っていなと分かると、公爵はドレスを扱っている仕立て屋を呼んでくれた。体を採寸してドレスを仕上げていく、ティナには初めてのことだった。また宝石商を呼んでドレスに合う宝石も購入してくれた。


 公爵は年は29歳、ティナより14歳も上である。父親と同じくらいだ。最初は怖い人だと思ったが、話をしているとやさしい人だと思った。


 しかし、こんな人が何故3度も離婚しているのかよくわからなかった。ただ、言えることは公爵家当主の義務として子供を残す必要がある。それを口癖のように言っている。


 たぶん私に子供が出来なければ、すぐに何の感情もなく切り捨てられるのだと思った。公爵に離縁されたら、どうしようかなと思った。


 3年もするとジェフは結婚しているだろうし、実家はティナを受け入れてくれるだろうか。父が居ればまたティナはまたハンマーを握れると思った。


 公爵邸では、ティナの仕事は何もなかった。ティナの仕事は商業ギルドの人が月に1度持ってくる給金を公爵邸で働く人に渡すだけだ。


「あとは好きにしろ」と言われた。それに「それ以外のことをしろ」と言われても、ティナにはその知識も経験もなかった。すべてメイド長の言うとおりするだけである。


 また、パーティーやお茶会の誘いもすべて断っているようで、ティナのところまで話は来ない。外に出ることもできないので買い物もできない。


 それで、「公爵邸に鍛冶工房を作ってもいいか」と公爵様に聞くと「好きにしろ」と言われた。それで、家令に頼んで、公爵邸の庭に工房を作ってもらった。


 そこで、剣を打った。久しぶりの鍛冶はすべてを忘れて夢中になれた。メイドが傍で、「平民の考えることは分からない」と言っている。


 そのような生活が4か月ほどしたとき、体の異変に気が付いた。公爵様に話をするとすぐに医者を呼んでくれた。結果は妊娠3か月とのことであった。結婚してすぐに妊娠したようである。


 公爵はすごく喜んでくれた。しかし、これで公爵から離婚されることはなくなったと思うと、ティナの心は複雑だった。公爵と離婚することがなくなったということは、もうジェフと結婚する道も完全になくなったということだ。


 それに、自分が子供を産むということがいまいち実感が伴わない。お腹をさすりながらここに公爵の子供がいると思うと複雑な気持ちだった。


 医者の話では激しい運動を控えれば生活はいつも通りしていいとのことなので、ティナはまたハンマーを握った。ハンマーを握っていると無心になれる。ティナの心が一番安らぐ時間だった。


 しかし、それも、ハンマーを握るティナを公爵が見た時、こんな激しい運動をしてもいいのかということで止められた。


 それからは庭の散策がティナの日課になった。屋敷の中は窮屈である。メイドたちのおしゃべりは聞いていてもあまり気持ちのいいものではない。


 平民ということで私を見る目がきつい。ここに勤めるメイドの多くは貴族の子女である。そんな中に平民のティナが公爵夫人としてその上に居るのである。メイドにしたら目の上のたん瘤である。


 そんなメイドたちが何故公爵の妻に成れなかったかというと、どうも公爵は学院卒それを最低条件していたようである。それもBクラス以上、この公爵邸に勤めるメイドにはその条件に見合う者はいなかった。家令やメイド長でさえ学院はCとDクラスとのことである。


 そんな中、平民とはいえ学院をBクラス、それも魔法の腕を隠しての55番、公爵はティナが魔法の腕を隠しているのも知っていたようである。セリーナ様だけでなく公爵も商隊の護衛として盗賊を撃退した話は知っていた。


 そのようなわけで、公爵はティナを随分と評価してくれていたようである。

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