42.会えない日々
学院を卒業して3か月が過ぎました。私は相変わらず父の工房でハンマーを振るっています。アルベール様の商会からの注文は相変わらず来ます。それはうれしいのですが、暇がありません。貧乏暇なしそんな言葉がよく似合う今日この頃です。
ジェフは王宮に採用されたといっても勤務地は地方の王家領、そこの事務官として勤務しています。たまに手紙は来ますが、それも最近は間隔があいてきて、私が出す手紙の半分も返ってきません。
そんな時はいつも花時計のところに行って愚痴を言っています。
「花時計さん、聞いて、ジェフからの返事まだ来ない。忘れられているのじゃない」
しばらく愚痴を言っていると、気が晴れてまた家に帰ります。そしてまたハンマーを握っています。
そんな時に錬金クラブで一緒だったカルラ様からお茶会のお誘いがありました。久しぶりに女子6人で会おうというのです。
当日は、私の唯一のドレスを着て、辻馬車で男爵家の近くまで行って後は歩いて行きました。行くと昔の錬金クラブの女子が全員そろっていました。私はCクラスからBクラスになったけど、ほかの女子はクラスは変わらなかったようです。Dクラスが2人とEクラスが3人です。
行くと
「久しぶり、元気にしていた」
と話しかけられました。
それからは開会の挨拶もなしに近況報告です。私は父の工房でハンマーを握っていると報告しました。すると、
「ジェフとはどうなの」
「手紙は出しているのだけど、中々返事が来ない」
「忘れられているのじゃない。ジェフは顔がいいからもてると思うけど。それに、王宮の官吏だし、学院の最後の試験、40番でしょう。あの順番見て、貴族の女子の中には本気で婿に考えた人もいたみたい」
「ほっておくと他の人に取られちゃうわよ」
「そんなあ」
「真面目な話、聞いたところでは、男爵家の令嬢がジェフにそれとなく話を持っていったらしいのだけど、断られたみたい。それで、その腹いせで地方に飛ばされたという話を聞いたわ」
「そんな事あるのかしら」
「男爵家ぐらいだと、官吏を地方に飛ばすとか、そんなことはできないわ」
「そうよね」
「ただ、そう言う話が出てくるということは、王宮としても将来もめ事が起こっても困るから、地方勤務にする可能性はあるわね」
「すると、ジェフはずっと、地方のまま」
「その可能性はあるわね」
「すると、いつになったら私はジェフと結婚できるのかしら」
「いっそのこと、ジェフのところに押しかけて行ったら。押しかけ女房。このままほっておくと、ジェフはそれでなくても顔がいいから、その地方の娘に言い寄られて結婚しちゃうかもしれないわよ」
「それと、ティナあなたも気を付けた方がいいわよ。あなた自分では気づかないかもしれないけど、貴方も結構点数高かったのよ」
「私?」
「そう、貴方学院卒業時は55番でしょ。Bクラス、それもトップクラス、下級貴族ぐらいだと話があってもおかしくないわ。でも傍にジェフがいたからみんな遠慮していたみたい。
私なんてずっとDクラスだし、家は男爵家だし、たぶん結婚の話がきても男爵家かよくて平民の商会ぐらいよ。父は貴族といって頑張っているみたいだけど、商会ならジェフがいいなって思っていたのだけど、ティナに悪いからそれはなしね」
「私は、結婚が決まった。商会長の息子。父がこの間まとめてきた。うちの家は貴族といっても貧乏だから、私が嫁に行くと援助してもらえるみたい」
「そうなの」
「私はまだ、決まっていない。父が色々なところに話を持って行っているみたいだけど、Eクラスだったし、条件きついみたい。ダメなら側室でもいいかなと思っているの」
「でも、側室だと、生まれた子供は家を継げないじゃないの」
「そうだけど、貧乏な家に嫁に行って苦労するのも嫌だし」
学院を卒業すると女子はもう結婚していくようです。どこへ嫁に行くか。それによってその後の人生が変わるので、みんな真剣です。
帰りは馬車で来ている子に家まで送ってもらった。ジェフの不安だけが募るお茶会でした。




