37.学院祭準備
また、学院祭の季節がやって来た。今年も錬金クラブは出し物をすると部長さんが張り切っている。Bクラスの女子では孤立しているティナだが、錬金クラブはうまく溶け込んでいる。それにティナの魔法の腕が確かなのでクラブでは重宝がられている。
今年の出しものを決める会議が開かれた。部長さんがまず挨拶をした。
「今年も学院祭の季節がやって来た。この学院祭は我々錬金クラブの力の見せどころだ。今年もみんなをあっと言わせる出し物をして、この錬金クラブの評価を上げたい。
一昨年は、『水魔法で重い物を上に上げる装置の実験』をした。昨年は、『火魔法による光の競演』をした。これらはいいアピールになった。みんなの忌憚のない意見を出してほしい。出来れば今年は土魔法を用いた何か実験が出来るといいのだがと思っている」
土魔法と言われて土魔法が出来る生徒はうなってしまった。すぐにいい意見が出てこない。みんなうなりを上げているだけで、意見が出てこない。その時ティナはブローチを作った時のことを思い出した。ティナが作ったブローチは丸い形だったけど土魔法だと色々な形の物が出来るのではないかと考えた。
ティナは手を上げた。すると部長さんが
「ティナさん何か意見がありますか」
「はい、私、以前ガラスでブローチを作ったのですが、私は火魔法なのでガラスを溶かすのは得意なのですが、溶かしたガラスを小さな塊に切って、再度加熱すると、今度は小さな厚さ6mmぐらいの丸い塊になりました。
材料を組み合わせると、色は付けられるのですが、厚さと形は変えられませんでした。どれも同じような厚さで形も丸いままでした。
そこで、もしここで土魔法で力を加えると厚さや形が変えられるのではないでしょうか」
「これは面白い発想だね、一度ここで試してみますか」
ということで、錬金クラブの教室で実験をすることになりました。私が、マジックバッグからガラスの材料を出して、火魔法で溶かしました。それを冷まして、いくつかの塊に切りました。
そして、それを火魔法で再度加熱、すると厚さ6mmぐらいの丸い塊になりました。みんな同じ形で厚さも同じです。ここで、今度は、再度加熱した時に、土魔法の得意な人が魔法をかけました。すると、形がまるでなく四角になりました。うまくいくようです。
そこで、部長さんが「犬の形」といいました。魔法をかける人はうなっています。いきなりこんな精密な加工は出来ないようです。うんうんうなって、やっと、犬か猫か見分けがつかないへんてこな形になりました。
すると部長さんが
「これも愛嬌、うまくいかなくてもそれなりの形になれば、会場から笑いがもらえる」
頑張っている人には失礼ですが、実際のところそれもそうだなと納得してしまいました。
その後は、土魔法が得意な人が私も私もとやり出して、みんなで一喜一憂しました。私は、さらにマジックバッグから色々な色のガラスの材料を出して、赤、黄、緑、青などの色の付いたガラスを作りました。
それを土魔法が得意な人が色々な形にしてその日は終わりました。これで出し物は決定です。ガラスの材料はジェフが父親の商会で学院祭の当日までに買いそろえてくれることになりました。
すると部長さんが
「この方法がもし商業ギルドで登録されていると問題なので、帰りに商業ギルドによって調べてみる。なければ錬金クラブで登録しておく」
と言った。
私が?マークでいると、ガラスは通常溶けたガラスを棒に巻き付けて息を吹き込んで作るのが主流らしい。また、溶けたガラスを溶かすと私が最初に作ったような小物、それも同じ形の物しか作れないらしい。それを今回はガラスが溶けた状態で土魔法で整形するので、色々な形の物が作れる。製作する物の自由度が広がるらしい。
私が
「よろしくお願いします」
と言うと
「言い出しっぺのティナは自由に作れるようにしておく」
と言っていた。
帰りにティナとジェフはいつものように花時計のところへ寄って感謝の言葉を述べました。
「今日は錬金クラブで、学院祭の出し物を決める会議がありました。私の提案が採用されて、みんなに褒められました。これからもいいことがありますように」
すると、花時計は何も言わないけれど
「それはよかったね、これからも見守っているからね」
と言ったような気がしました。
その日はルンルン気分で家に帰りました。いつもクラスの女子では孤立しているけど、錬金クラブはティナの憩いの場、錬金クラブに入ってよかったと思うティナであった。




