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泡沫の恋の行方と花時計の思い  作者: @000ーooo


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32/54

32.学院祭当日

 学院祭当日になりました。私たち錬金クラブは教室が校舎の西の端にあるので、あまり人は来てくれません。朝から準備をして待っていますが、来るのはクラブに入っている子の親ぐらい。部長の話ではメインは講堂での実演だそうです。それに全力を注ぐそうです。それまでは適当にしていいそうです。


 部長は来る人に、酒の蒸留による分類をして、出来たお酒を大人の人にふるまっています。すると、男の人は興味がありそうで喜んでいますが、女の人は「朝からお酒は」と言っていやがっています。でも一口飲むと目の色が変わり、とたんに「もっと欲しい」と言っている人もいます。お酒の好きな人にとって、部長の作るお酒はとてもいい物のようです。


 アルベール様は公爵家の次男です。当然家の人も来ます。私は新入生歓迎パーティーで着るドレスを作ってくれたことがあるので、アルベール様に「家の人が来たらお礼が言いたい」と言ってありました。それで、アルベール様に呼ばれました。


 アルベール様が父と言っているので、緊張しました。声がどもってしまったのですが

「ティナです。以前パーティー用のドレスを作ってもらいました。ありがとうございました」

何とか言えました。

すると公爵様が

「そんなに緊張しなくてもいいよ。あの剣は素晴らしかった。だからお相子だよ」

と言ってくれました。ほっとしました。元のところに戻ろうとしたら、

「あの剣はここで打ったと聞いたが、本当か」

「はい、ここで打ちました」

「もう1度打ってもらえるかね」

「わかりました」


 公爵家の人が来たということで、みんなが見ていたようで、部長がすかさず、ハンマーとヤットコと鉄を持ってきました。


 私は、いつも工房でしているように、鉄をヤットコで持つと、火魔法で一気に加熱した。そして、ひたすらハンマーでたたき始めた。ハンマーで鉄を打ち始めたら、もう周りは見えなくなった。ただ、一心不乱に鉄を打つ。


 この姿に周り取り囲んだ一同はあっけに取られた。火魔法の行使が一瞬だったのと、その後も連続して火魔法を行使しているようだが、どこで魔法の掛け直しをしているのか分からないのである。


 そして、飛び散る火花が鉄に吸い込まれていく。これも不思議であった。普通の工房だと火花が周りに飛び散るのだが、ティナの場合は火花が鉄に吸い込まれていくのである。


 そして、それをしているティナがそれに気づいていない様なのである。とにかくティナは周りが見えていないようである。


 しばらくするとティナは打った鉄をそばの桶に張った水につけた。真っ赤に燃えた鉄は、銀色の剣に変わっていた。


 額の汗をぬぐって

「出来ました」

そう言って、差し出してきた剣は銀色に輝いていた。


「いつ見てもティナの鍛冶はすごいな」

部長の言葉に、みんなは我に返った。


 公爵様が

「いいものを見せてもらった。ティナさんだったけ、もう立派な鍛冶師だね」

「父親に比べるとまだまだですが、そう言ってもらえると嬉しいです」

「その剣、もらってもいいかい」

「はい、どうぞ」

「お金は、アルベールに渡しておくから、アルベールからもらっておくれ」

「お金なんか要らないのですが」

「そんなわけにはいかないよ」

「わかりました。ありがとうございます」


 公爵様が行かれたので、私たちはまた、元の配置に戻りました。


 講堂での実演は、その日の午後でした。午後になると錬金クラブの教室に「ただいま講堂で実演中」と書いた張り紙をして講堂に行きました。


 講堂での実演は錬金クラブの腕の見せ所です。当然全員で臨みます。私たち火魔法が使える者がメインですが、裏方も必要です。それにもしもの時のために水魔法が使える者が待機しています。


 実演時間になると、部長が前に出て、ショーの内容の説明をします。

「私たち錬金クラブは今年は『火魔法による光の競演』と題して、火魔法で色々な色の光を出して、それを混ぜ合わせることにより、いろいろな色を再現してみようと思います」


「まず、赤の光です」

舞台の左の竈の中に赤い炎が灯ります。


「次に、青の光です」

同様に中央の竈の中に青の炎が灯ります。


「次に、緑の光です」

同様に右の竈に緑の炎が灯ります。


「それでは、赤と青を混ぜてみます」

すると、左の竈に反射板がセットされて、その反射した光が演台の中央前面の箱の中に投影されます。同様に中央の竈にも反射板がセットされて、その反射した光が先ほどの箱の中に投影されて、赤と青の光が混ざりました。すると光の色が赤紫(マセンダ)に変わりました。


「おお、」会場からざわめきが洩れます。うまくいっているみたいで聴衆の心をつかんだようです。


「次にこれに先ほどの緑の光を混ぜてみます」

すると、右の竈に反射板がセットされて、その反射した光が先ほどの箱の中に投影されて、赤と青と緑の光が混ざりました。すると光の色が白に変わりました。


 会場から引き続き「おお、」と言う感嘆符が洩れます。しばらくして会場から拍手が沸き起こりました。実演成功です。


 その後も、会場からの要望で、赤と緑や緑と青なのでも混ぜてみました。会場の聴衆がその色の変化に驚いています。こうして、錬金クラブの実演は大成功に終わりました。

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