25.期末試験とジェフの商会の旅に同行
それからしばらくして期末試験になった。今度は入学試験の時のように山をかけるわけにもいかず、ジェフに教えてもらいながらひたすら勉強した。
でもやっぱり最後は山をかけた。数学は例題と解き方をすべて丸暗記、魔法理論と魔法陣、薬学も出そうな問題すべてを丸暗記した。なんか記憶力がよくなっている。不思議とそんな気がした。
それからはそれ以外の教科も教科書を丸暗記した。何故かそれが頭にすんなり入った。「不思議」と思ったが入った物は入ったのでそれでよしとした。
結果は110番だった。クラスで10番と思うと信じられなかった。ジェフは80番とのことでした。学院では1から50番までがAクラス、51から100番がBクラス、101~150番がCクラスといったクラス分けが行われている。ジェフがつぎの年度末試験でも順位が100番以内だと次に年はジェフはクラスが上がってBクラスになってしまう。私はたぶん変わらないだろうがジェフがほかのクラスになると思うと寂しかった。
後クラスで成績が上がってクラスが上のクラスに行きそうなのはセリーナ伯爵令嬢とカルナ子爵令嬢でした。この2人は次の試験でも成績が良ければクラスが上がるかもしれない。
いつものように、帰りに花時計のところに寄った。
「ジェフがほかのクラスになってしまうかもしれない。成績が上がるはジェフにとっていいことなのだけど、ジェフがほかのクラスになるのは嫌」
矛盾したお願いしした。
花時計は何も言わなかった。ただ黙っている。そんな気がした。
それからしばらくして期末休暇になった。
ティナは休みの間また工房で剣を打つようになった。剣を打つときは無心になれる。そして、嫌なことが忘れられる。
そうして過ごしていたら、ジェフからジェフの商会が王都郊外の農家を回っている旅に同行しないかと誘われた。期間は10日ほどとのこと。
久しぶりのジェフの誘いだったので2つ返事でOKした。両親に話すと了解がもらえた。
どんな服を着て行こうか迷ったが、ティナは護衛の冒険者の1人という立場とのことなので、冒険者の装いをしていった。ジェフの家の前に行くと、ジェフの商隊と護衛の冒険者がいた。
「ジェフ、今回は呼んでもらってありがとう」
「ティナが冒険者をしていると聞いたから父に言って護衛に加えてもらったんだ。こちらは、うちの商会のいつも農家を回る旅をしているアウレール、今回俺はアウレールの補佐という立場、分からないことはアウレールに聞いてね。
それから、こちらは、うちの商会が旅に行くときいつも頼んでいる冒険者の疾風の名馬のリーダーのカール、一応彼の部下ということで、護衛の仕事についてはカールの指示に従って」
「わかりました。アウレールさん、カールさんよろしくお願いします」
「ティナさんは、小さい時からよくうちの商会に遊びに来ていたお嬢ちゃんだよね。もうこんなに大きくなったんだ」
「私以前会いました?」
「そうか覚えていないか。ティナさんはジェフ坊ちゃんしか眼中になかったか」
「おい、アウレールそんな言い方はやめろよ」
「はい、はい、わかっていますよ。よろしくねティナさん」
「ティナさんは冒険者の等級は何なんだ」
「私は、D等級です。あまり冒険者活動はしていないので、いつもは学院に通っているし、休みの日は剣を打っているので」
「そうかD等級か、それで得意なのは魔法か剣かどちらだ」
「剣は自分で作りますが、扱うのはあまりやったことがないので不安です。得意なのは火魔法です。火魔法ならオークやビッグベアぐらいなら倒せます」
「単独でビッグベアやオークを倒せるのなら十分だな」
「分かった、俺の側に居ろ、魔獣が出たら俺の指示に従え」
「わかりました。よろしくお願いします」
このようにしてジェフの商隊は王都を出た。商隊の馬車は2台、2台の馬車には疾風の名馬のメンバーの内3人ずつが護衛として乗り込んでいる。ティナはリーダーのカールと一緒に先頭の馬車に乗った。商隊の荷物はマジックバッグに入れて後ろの馬車に乗るアウレールさんが持っている。
街道の周りは一面の冬小麦の平原、冬を越した緑が青々しい。香ってくる風にも早春の息吹が感じ得られる。
「気持ちいい」
「そうだな、こんな見晴らしのいいところだと魔獣も現れないし、王都を出たばかりだから、盗賊も襲ってこない。今日は気を抜いてもいいぞ」
「ところで、嬢ちゃんは剣を打っていると言っていたが、鍛冶師か」
「はい、鍛冶師です。父は工房を経営しています」
「その剣は自分で打ったのか」
「はい、自分で打ちました。最近は冒険者の人や学院の友達も買ってくれるようになって1本金貨2枚で販売しています」
「見せてもらってもいいか」
「はい、どうぞ」
そう言ってティナは腰の剣をカールに渡した。カールは剣を受け取ると鞘から抜いて、見ていたが、
「これはいい剣だな、金貨2枚だったか。安いぐらいだな」
「はい、学院のアルベール様にもそう言われました。でも学生の私が打っているので金貨2枚にしてもらいました」
「そうか、そのうち剣が必要になったら俺たちも打ってもらおうかな」
「お待ちしています」
その日は何事もなく、一行は最初の村に着いた。ここで商隊は2泊するそうです。明日は商品の販売と農産物の買取、出発は明後日とのことです。




