19.新入生歓迎パーティー
新入生歓迎パーティー当日となった。あれから、アルベール様の話では「私の打った剣は金貨5枚くらいの値打ちとのことで、ドレス代は要らない」とのことでした。「余分の金貨1枚を払う」と言われたが、「それは要らない」と固辞した。
家でドレス着てみた。私が私でないみたい。
「お母さん、どうかしら」
家には大きな鏡がないので、おかしいところがないかのチェックは母に見てもらうしかない。
「どうかと言われても、私もドレスを着た人なんて近くで見たことないからわからないわ」
「そんなこと言わずに、何か言ってよ」
でも何も言わない。母が役に立たないので、諦めた。
学院にはジェフが「馬車で行く」と言うので私も乗せて行ってもらうことにした。ドレスを着て玄関で待っていると、ジェフがやって来た。ジェフも素敵な服を着ている。
「ありがとう。どうやって学院まで行こうかと思っていたの、馬車に乗せてもらえて助かったわ」
「ティナ、綺麗だよ」
「私、変なところない」
「ない」
「よかった。ジェフもかっこいいわよ」
こうして2人で連れ立って学院に行った。そしてパーティー会場の講堂に行った。講堂に行くと、多くの人がきていた。みんな綺麗なドレスに着飾っている。
男子は制服を着ている人もちらほらいるが、女子で制服を着ている人はいないわけではないが、ほとんどいないい。
「やはりドレスを着てきてよかった」
「ほんとだね、男子は制服組もいるけど、女子はほとんどドレスだね」
「ねえ、ジェフ、私、ダンスなんてしたことないけど、どうする」
「どうすると言われても、俺もダンスなんてしたことないから、ここで見ているしかないだろう」
「そうよね、私たち平民にはパーティーは縁遠い物よね。ましてダンスなんてさらに縁遠い」
「結局、壁の花になるしかないな」
「壁の花ってどういうこと」
「パーティーにいて踊ることをせずに壁際でポツンとしている人という意味さ」
「そんな言葉があるのだ」
「そうだよ」
「でも料理は食べてもいいのでしょ」
「そうだな、今日は食べることに専念しよう」
しばらくすると、ルナとレムがやって来た。
「ジェフ様、今日は素敵ですね」
私には何も言ってこない。私は無視するみたい。そして私を見ると
「ふん、」
と言って行ってしまった。「やはりルナとレムはライバル」そう思った。
それからしばらくしてパーティーが始まった。生徒会長の挨拶。そのあと、新入生の代表の挨拶。代表は錬金クラブの公爵令息アルベール様だった。
「アルベール様って、優秀だったんですね」
「そうだね、俺も今知った。入学式の時も挨拶していたのかしら」
「さあ、その時は俺も余裕がなかったからよく覚えていない」
「そうね、私たち、その時は『貴族に嫌われないようにしないといけない』それしか頭になかったものね」
その後ダンスの時間となった。多くの男女がカップルになって踊っている。私とジェフはそれを見ているだけ。会場の後ろ方に居たら、ほかにもちらほら見ているだけの生徒が集まってきた。
「私はリタ、Aクラス平民よ、貴方も平民でしょう」
「俺はジェフ、Cクラス平民」
「私はティナ、Cクラス平民」
「よかった。私平民だからダンスなんて踊ったことないから、これからも仲良くしようね」
「こちらこそ」
「それから、Cクラスの平民の女の子が無詠唱で魔術を発動したって聞いたのだけど、それってひょっとしてティナさん」
「はい私が無詠唱で魔術を発動しました」
「そうなんだ、いやAクラスでも評判になっていたから」
「そうなんですか、私Aクラスなんて遠いところだと思っているので」
「でも、アルベール様は知っているのでしょう」
「はい錬金クラブで一緒させてもらっています」
「そのアルベール様が、『無詠唱で火魔法を操り剣を打つ姿がすごかった』て言っていたから」
「そうなんですか、私『剣を打って』と言われてただ打っていただけなので、周りの人が私をどう見ていたかは分からなくて」
「それだけ、真剣に打っていたんだ」
「そうですね、私、剣を打ちだすと周りが見えなくなるので」
その日は結局、ティナとジェフは壁の花になってパーティーを過ごした。そしてまたジェフの馬車で家まで送ってもらった。




