18.女子に人気のジェフと新入生歓迎パーティーに着ていくドレスの調達
錬金クラブで悩み事を聞いてもらったら気が楽になり授業に集中できるようになった。ただ、授業は難しい。ジェフと同じ科目を履修して入るので、分からないところはジェフに聞いている。ジェフは丁寧に教えてくれる。ジェフは頭がいい。
問題は、ジェフにクラスの他の女の子が聞いてくることだ。
「貴族だったら家で教えてもらっているだろうに」
と思うのだけどなぜか、ジェフに聞いてくる。
そんな女子にジェフは丁寧に教えている。
時々女子がジェフに甘えた声で聞いているときがある。そんな時は、「むかっと」来る。「早く行け」と思ってしまう。しかし、言葉には出せない。相手は貴族、私は平民、睨まれたら終わり。
でも、ジェフとはいつも行き帰りは一緒、これだけはほかの女子と違うところ、これだけは私が一歩リードしている。そして、困ったことがあった時に花時計に祈ること。これもほかの女子と違うところ。花時計に祈っているときはジェフと私の心は1つになる。そんな気がする。とても心が温かくなる。
「ねえ、ジェフ、最近クラスの女の子に甘いのじゃないの、そんなに丁寧に教えなくても」
「そんな事ないよ。俺たち平民は貴族に聞かれたら、丁寧に教えないと後で何されるか分からない。嫌われたら終わりだから、些細なことでも懇切丁寧に教えないといけない。
それよりもティナだって、錬金クラブで公爵令息に剣を渡したじゃないか」
「あれは、私が打った剣を『家の者に見てもらう』て言うから渡しただけよ」
「そうか、少しは気があるのじゃないか」
「そんな事はないわよ。私はジェフのこと好きだもの」
「ティナは俺のこと好きなのか」
「そうよ、小さい時からここで遊んだのだもの。好きに決まっているじゃないの」
それからしばらくして、新入生歓迎のパーティーが開催されるという案内があった。参加は自由とのことだったが、ジェフは「参加する」というのでティナも参加することにした。
ここで問題が生じた。どのような服を着て行けばいいのか分からない。クラスの平民の女の子ルナとレムに聞いてみた。
「新入生の歓迎パーティーはどんな服を着るのですか」
「ドレスよ。そんなことも知らないの」
「パーティーなんて行ったことがないもので」
「そうね、あなたは鍛冶師の娘だったわね」
「はい」
この2人と話すと、自分を見下しているようでいつも不快になる。しかし今回はそんなことは言っていられない。
「そのドレスはどこで買えばいいのですか」
「王都の中通りの店で買えるわ。でも今から注文しても間に合わないわよ。ドレスは自分の体を計ってもらって、そしてその体に合わせて作る物だから、時間がかかるの」
これを聞いて青くなった。今からでは間に合わない。もうパーティーに着ていく服がない。ジェフに相談してみたが、ジェフもドレスは持っていないとのことであった。
困ったときの錬金クラブ。錬金クラブに行った時に部長に相談した。そうしたら、
「新入生歓迎パーティーは別に服装の指定はないぞ。不快にならない服装ならいいことになっている。過去には制服で来た生徒もいたぞ。俺は制服で行った。母上や姉上がごちゃごちゃ言っていたが気にしなかった」
すると公爵令息アルベール様が、
「確かに男子は制服で来る生徒もいるが、女子は少ないと聞いていますよ。今からドレスを仕立てるのは時間的に無理ですが、中古のドレスを買ってそれを仕立て直すなら今からでも間に合うと思いますよ」
「その中古のドレスはどこで買えるのですか」
「何なら帰りに寄ってみるか」
「お願いします」
ということで、帰りに王都の店に案内された。店に行くと店員が
「これは、これはアルベール様、今日はどのような御用で」
「錬金クラブの女の子が新入生歓迎パーティーに着ていくドレスがないというので、中古のドレスを買って、ここで仕立て直してもらおうと思って」
「このお嬢様ですか。どのようなドレスがお好みですか」
「私は平民なので、あまり目立たないおとなしいドレスがいいです」
すると店の店員は奥へ行って、ドレスをいくつか持ってきた。その中からティナは一番おとなしそうなドレスを1着選んだ。そして
「これいくらなんですか」
「これだと金貨3枚、それに仕立て直し代が金貨1枚、合計で金貨4枚になります」
「わかりました、それでお願いします。お金は明日持ってきます」
すると、アルベール様が
「お金は公爵家につけておいてくれ」
とおっしゃられた。
「それは、困ります。アルベール様に迷惑かけるわけにはいけませんので私が払います」
「それでは以前預からせてもらっている剣を私に譲ってもらう訳にはいきませんか」
「そんな物でいいのですか。私の打つ剣は金貨2枚にしかなりませんよ」
「いや、父上に見せたら、あの剣は相当な値打ち物らしい。とても金2枚ぐらいで買える物ではないとのことだ」
「でも」
「わかった。あの剣を鑑定士に見せて値段をつけてもらって、足らなければその分を後でもらうということでどうか」
「わかりました。その時は言ってください。わたし払います」
このようにしてティナは新入生歓迎パーティーに着ていくドレスの調達に成功した。




