17.錬金クラブでの悩み事相談
魔術の授業で無詠唱で魔術を行使してから、次の日、放課後は錬金クラブの活動の日になった。錬金クラブは週2回放課後活動がある。
放課後、ジェフと一緒に校舎の西の端、錬金クラブの教室に行った。教室に行くと、すでに部長のクラウスさんは来ていた。他の部員はあんまり来ていない様だったので、先日の魔術の授業のことを聞いてみた。
「あの部長様、相談があるのですが、いいですか」
「さっそく相談かい。いいぞ、何でも聞いてくれ」
「私魔術の授業で無詠唱で魔術を行使したのですが、そしたら無詠唱はクラスで私だけだったので、一部の生徒からなんか恨まれているような気がして、若し貴族の方に恨まれたらと思うと不安で」
「無詠唱か、ティナさんは魔術が得意なんだね。1年生は中々無詠唱は難しいものな。俺も1年の時は苦労した。2年になってやっとできるようになった。今でも無詠唱は威力が小さい」
「部長さんでもそうなのですか。すると私恨まれていないでしょうか。私平民だし」
「そんな事を気にしているのか。それは別に気にしなくていいぞ。若し平民ということで誰かに言われたら俺のところに言ってこい。その生徒に言ってやる」
そんな話をしていると、クラブの部員が集まってきた。そして
「ティナさんて、無詠唱で魔術が行使できるの」
と聞かれたので、
「私はいつも無詠唱で魔法を放っています」
と答えた。
すると1年生の新入部員のAクラスの男子名前はアルベール様、公爵家の次男の方が
「Aクラスでも、無詠唱はいなかった。先生がCクラスに1人いたというのはティアナさんだったのか。別に平民だからねたまれるとかは気にしなくていいよ。そんな事を言うやつは言わしておけばいい。取り合わなければいい」
「でも私平民だし」
「気にしなくていいよ。部長じゃないけど、そんなこと言ったら問題になるからだれも言わないと思うよ。そんなこと言われたら俺に言ってこいよ。力になるよ」
「なんかみんなに言われたら気持ちが楽になりました。ありがとうございます」
「それにしても無詠唱か、1度見てみたいな」
「私いつもは父の工房で魔法を行使しているので、それでよければお見せします」
私がそう言うと、部長が鉄とハンマーとヤットコを持ってきた。
「ここで、この鉄を打ってみてよ。どんなものが出来るか見てみたい」
「どんなものって、最近は剣を打っているので、剣でよければ」
「じゃ剣を打ってみて」
「はい」
そう言ってハンマーとヤットコと鉄を受け取った。
鉄は常温だったので、火魔法で加熱した。一瞬で鉄が赤く輝きだす。
これには周り取り囲んだ一同はあっけに取れた。いつ魔法を行使したのか分からなかったのである。とにかくティナが鉄を受け取ってヤットコとハンマーを構えた瞬間に鉄が輝きだしたのである。
「もう魔法を行使したのか」
「はい、火魔法で加熱しました。もう少し加熱します」
すると鉄は輝きを増した。
そしてティナが鉄をハンマーでたたきだす。すると飛び散る火花が鉄に吸い込まれていく。もうティナは一心不乱に鉄を打っている。
そのあふれるばかりの気迫に一同は声も出せずに、その様子を見ていた。
しばらくするとティナは打った鉄をそばの桶に張った水につけた。真っ赤に燃えた鉄は、銀色の剣に変わっていた。
額の汗をぬぐって
「こんな感じです」
そう言って、できた剣の刃を見せた。
「すごいな、こんな感じでいつも剣を打っているか」
「はいだいたいこんな感じです。出来た剣の刃は後で工房に依頼して鞘と持ち手を付けてもらって完成です。私のところでは、剣1本で金貨2枚です。最近は剣の注文も増えて私が学院に行くお金を工面することが出来ました」
「確かにこれでは詠唱をしている時間などないな。ティナさんが無詠唱になったのは仕事で剣を打っていたからか」
「たぶんそうだと思います」
「この剣、すごくいいように思うのだけど、うちの公爵家の人間に見せてもいい」
「いいですが、私が打ったものなので、いつもは冒険者の方が買ってくれています。貴族の人のお目にかなうようには思わないのですが」
「そんな事はない。とてもいいものだよ」
「わかりました。よろしくお願いします」
錬金クラブのみんなが、「心配しなくていい」と言ってくれたので、ティナはうれしくなった。それに久し振りに鉄を打ったら気持ちも晴れたようで、すがすがしい気持ちで家に帰った。




