20.いつもの日常と錬金クラブの活動内容
新入生歓迎パーティーが終わって、またいつも日常が戻ってきた。朝花時計にお祈りをして辻馬車で学院に行って、授業を受ける。席はいつもジェフの隣。この場所は譲れない。私の特等席。時々ルナとレムが恨めしそうな顔をしているが、譲る気はない。
いつもの授業、黒板を見てノートに書き写す。ジェフは何をしているかなと思ってジェフを見ると、目があった。あわてて前を見る。恥ずかしい。恐る恐るまた横を見る。ジェフの横顔も素敵、そしてまた前を見る。
昼食は食堂で一緒に取る。最近は私たちだけでなく、Dクラスの平民の子たちとも一緒に昼食をとることが多くなった。貴族は何となく敷居が高い。Cクラスのルナとレムは同じ平民だけど、ジェフを狙うライバル。彼女たちがいると気が休まらない。
午後は剣術や魔術の実技、剣術の実技は、私たち平民はまだ素振り、貴族の子息や子女は2人で向かい会って木剣を交えているが、まだ私たちはその域に達していない。先生もそう思っているみたい。私たちに何かをしろとは言わない。
魔術の実技は、エメ先生も無詠唱はすぐには出来ないということで、最近は強い魔法を打つことに力点を置いているように思う。さかんに「明いっぱいの魔力を込めて」と盛んに言いている。
しかし、私は今度は目立ちたくないので魔力はあまり込めない。魔力少な目、それでみんなと同じくらいの魔法を行使している。ただし、無詠唱、ここで詠唱するとわざとらしいし。それに私は詠唱文を知らない。
週2回の放課後の錬金クラブは息抜きの時間。ここでは私は自重しなくてもいい。ありのままの自分をさらけ出しても部長も、クラブの部員も何も言わない。
錬金術の最終目標は賢者の石を作ることらしいのですが、生徒にそんなことはできません。それにあまり危険な薬品を使うと学院から活動停止命令が出るらしく、活動の主な主眼は、人目を引くような実験とのことです。
その点ではティナの行った鉄を打って剣を作る作業は、かなりの高得点とのことです。あの作業にはその場にいた部員全員が思わず見入ってしまったとのことです。ティナの気迫とハンマーを叩く際に飛び散る火花がまるで生き物ように感じられたとのことです。
今、部長さんが取り組んでいるのが、蒸留による酒の分類だそうです。酒を蒸留すると、アルコールが先に出て来るそうです。それを集めて冷却すると、元の酒よりよっぽどきついお酒が出来るそうです。
風味や香りも元の酒とは比べ物にならないくらいいそうです。欠点は私たちは未成年なのでお酒が飲めないことです。それで評価は先生につけてもらっているそうです。ただ、出来たお酒を先生のところへ持っていくと喜んで評価してくれるそうです。うまくいったら、伯爵家で工場を作るのが部長さんの夢だそうです。
他には、3年生のAクラスの女子が取り組んでいるのが紙の実験です。花の形に切った紙を折りたたみます。そして、その折りたたんだ紙を水の上に浮かべると、まるで花が開くようにその紙が広がります。これは初めて見せてもらった時はまるで紙が生きているような気がしました。
あと水魔法が得意な部員が取り組んでいるのが、水を使って、重い物を上に上げる装置の実験です。広い大きさの水槽の上に板を敷いてそこに重い物を置きます。その水槽の底は横の縦長の水槽とつながっています。縦長の水槽に水を入れていくと、広い水槽に水が流れていき、板を押し上げます。そして重い物を上に上げることが出来ます。
この装置の実験には大量の水が必要になります。そこでジェフも誘われて、現在はジェフもこの実験の1員です。
私たち火魔法が得意な部員が取り組んでいるのが、火の温度による色の変化です。火は低い温度では赤、温度が上がると黄色、白、青と変化します。それでいろんな色を出して人目を引くという物です。単なる遊びですがやっている人は真剣です。それに急に色を変えるには無詠唱でしなければならないので、無詠唱で火魔法が扱える私は重宝されています。
あと風魔法が使える人は、水に浸した布に風を当てて、涼しい風を送る実験をしています。これが実用化されると夏の暑さが軽減されると言っています。成果に期待したいところです。




