12.学院の入学試験
12歳になった。今年の夏に試験が行われる。今はその試験に向けての最終確認といた状態である。あれから、ティナもジェフも座学についてはかなり上達した。
特にティナの上達が目覚ましかった。最初はアデーレの作った問題と解答を丸暗記して書くだけであったが、そのうちに数学と魔法理論についても基本的な内容を理解して問題を解けるようになった。
それからティナの魔法の腕は、その後も上達した。最初は「着火」という言葉を唱えていたが、それもそのうち唱えなくてもよくなった。もう無詠唱で、それも瞬時に高威力の魔法を発動させている。
これは工房で、鍛冶師として作業しているため、絶えず火魔法を使っているのと、その後も学院入学後の授業料をためるため、冒険者を続けて魔獣を狩っていたためである。
父親が
「工房の収益から授業料を出す」
と言っても、
「父親にあまり迷惑はかけられない」
と思い、できれば自分で稼いだ金で払いたかったからである。
その結果、3年間の授業料金貨108枚を稼ぐことが出来た。とにかくティナの火魔法は強力であった。それも無詠唱のため、短い時間で多くの魔法を放てるため、強力な魔獣が数体出てきても瞬殺であった。
このようにして、ティナはお金を貯めレベルを上げたのであった。そして、それに従ってティナの能力も上がり座学でもいい結果を出せるようになった。
試験は2日間にわたって行われた。
1日目の午前中は国語、数学、魔法理論、外国語の4教科、午後が地理と歴史、貴族の常識、法律の3教科であった。
出来栄えは、国語、外国語については普通ぐらい。数学、魔法理論については、さすがに事前に用意した問題と解答の中からすべての問題が出るようなことはなかったので、山が当たった場合は回答できたがそれ以外はあまりできなかった。8割ぐらいの出来である。地理、歴史、貴族の常識、法律についてはアデーレの山が当たったので、ほぼ完ぺきであった。
2日目の魔法か剣術の実技については、もちろん魔法を選択した。
試験は事前に聞いていた通り得意な魔法を的に当てるのであった。多くの受験生が詠唱をしてやっと的に当てるといった出来栄えだった。ジェフも同様で、詠唱して水を的に当てていた。
これに対してティナは無詠唱で的ごと破壊した。これには見ていた教官が驚いて思わず
「合格」
と叫んだほどだった。
こんな受験生はいなかった。試験は平民と貴族で会場が違うため、明確なことは分からないが、少なくとも平民の会場では一番の実力であった。
3日後に結果が張り出された。ティナはジェフとアデーレの3人で結果を見に行った。2人とも合格していた。そして2人とも同じCクラスだった。
「やった、ジェフ合格だね。それもCクラス。授業料免除になるといいね」
「そうだね、よかった。これでオヤジにも顔向けが出来る」
「おめでとう、ジェフ、ティナ、これであなたたちもこれからは学院生よ。それにCクラスだから多分授業料免除になるわ。ちょっと待ってね、平民の数を数えるから」
「そんなのわかるのですか」
「わかるわよ、平民は名前だけだから、それも、合格者の最後の方に書かれるから、名前だけの人数を数えれば平民が何人合格しているかわかるのよ」
「Aクラスが3人、Bクラスが4人、Cクラスが5人、Dクラスが6人ね。成績にもよるけど、AとBとCクラスは授業料免除、Dクラスはどうなるかは分からないわね、成績が同じようなら全員授業料免除、離れていると半分免除かもしれない。そんなところね」
その後、事務室によって、入学の書類をもらった。書類は必要事項を記入して10日以内に提出する必要があるとのことであった。その書類には授業料免除の記載もあった。
家に帰って父と母に結果の報告をした。
「私学院の試験に受かった。Cクラスだった。授業料免除だって。これでお父さんに迷惑かけなくて済む」
「おめでとうティナ」
そう言って両親から抱きしめられた。
その後、書類に必要事項を記入して、次の日ジェフと一緒に提出した。
これでティナとジェフは学院生となった。




