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異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


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第60話 緊急事態と、みんなを起こせミッション開始!

「ぐるる、どちたの!?」


『問題が起きた。それもかなりの問題がな。モルー……はヒトミが起こしておいてくれ。俺はシーとクーに話がある。シー!! クー!! 起きろ!!』


 グルルのあまりにも緊張している声に、私はそれ以上何も聞かず、言われた通りモルーを起こすことにしたよ。


 と、起こそうとしたところに、ケリーさんとライラが、失礼しますと言いながら部屋に入って来て。私がクローゼット取り出し、ソファーの上に置いておいた洋服を見て、あれ? って顔をしたんだ。


「これは……」


「しゃっき、めがしゃめて、ぐるるとおはなちちてて。しょれでぐるるが、あわててへやからでていったから、なにかあるかもって、よういちといたの」


「そうなのですね。私たちの仕事ですのに、申し訳ございません」


「ううん、きんきゅうだから、あたちよういちた。あやまらない。よふく、きがえる?」


「はい。ライラ、他の準備を」


「はい!!」


 他の準備。あれかな、それもさっき私がやったやつ。


「ほかの、だいじなものも、もっていくかもとおもって、ばっぐにいれておいたよ」


「え? え?」


「そこまで……。ありがとうございます」


「かくにんちてね」


「はい。ではライラ、必要な物の確認を」


「はい!!」


「ヒトミ様は、お着替えをいたしましょう」


「うん。もるーおこちながら。もるー、なかなかおきない」


「そういたしましょう」


 私もね、周りがうるさくても、1度寝たらなかなか起きないんだけど。モルーは、私以上に起きないんだよね。グルルとシエラが、殴り合い、蹴り合い、噛みつき合いの喧嘩を、真横でやっていても起きないんだから。ただ……。


『シー!! クー!! おい!! 早く起きないか!!』


 シー君とクー君を、大きな声と、ビシバシとしっぽで2人を叩きながら、起こそうとしているグルル。でも、すや~、すぴ~と、幸せそうな寝顔のまま、全然起きる気配のないシー君とクー君。これは2人もモルー並みに起きないんじゃ?


 だって、これだけの騒ぎなんだよ。しかもしっぽで叩かれてるのに。


『まずいな。こいつらもモルーと同じか。おい!! 早く起きろ!! 時間があまりないかもしれないんだ!』


「もるー、もるーもおきて!! なにか、もんだいおきたみたい。はやくおきないとだめ!!」


 ケリーさんに洋服を着せてもらいながら、私も一生懸命モルーを起こす。って、なに寝返りして、お腹を掻いてるのよ。私は、起きてって言ってるんだけど?


「もるー!! おきて!!」


『シー!! クー!! 起きろ!!』


「さぁ、ヒトミ様、着替えは終わりましたよ。こちらをお持ちください」


 ケリーさんにマジックバッグを渡されて、私はそれをしっかりと首からかける。そうそう、このマジックバッグも、街に来てからちょっと進化したんだ。


 肩掛け紐が1本だと、突然切れたら大変だからって。ママが裁縫屋さんに頼んで、簡単に切れない素材でできている紐を、もう1本付けてもらい。

 さらに肩掛けだけじゃなく、リュックみたいに背負えるようにもした方が良いと、背負う用の紐をつけてくれたの。その時その時で、自分が楽な方で持てば良いって。


「それでは私は、荷物の確認をいたします」


「うん!!」


 ケリーさんがライラの方へ行き、ライラがまとめていた物をチェックした後、自分も動き出す。まだまだ、準備はあるみたい。少しでも用意しておいて良かったかも。2人の準備が減るからね。


 さて、私はモルーを起こさなくちゃ。と、言っても、このままずっと声掛けをしてもね。絶対に起こせない自信がある!! そんな自信満々に言われてもって? じゃあ、どうやって起こすのかって? フフフ、私にはあれがあるからね。


「ぐるる! これ、ちゅかって!!」


『助かる!!』


 私がマジックバッグから出したのは……。そう、私が焼いたパン。しかもこの世界で初めて焼いたパンじゃなくて、地球で焼いた、しっかり作られているパンの方。これでモルーたちが起きないわけがない。……いや、シー君とクー君は分からないけど。


 モルーは絶対に起きるよ。さっき言った、グルルとシエラの喧嘩だけどさ。それで起きなかったのに、パンを出したら起きたことが、何回かあるからね。さぁ、どうだ!!


『ぷー、ぷー……。ん、なんだじょ? パンの匂いなんだじょ?』


 目を瞑りながらだけど、体を起こし、這うようにしてパンの方へやって来たモルー。そしてパンの前につけば、バッ!! と目を見開き、パンに飛びつこうとしたよ。


「もるー、おきた?」


『ヒトミ、パンなんだじょ!? 食べて良いんだじょ!?』


「えっちょ、ぐるるのはなち、きいたあとで、たべるじかんあったらね」


『ん、なんだじょ? グルルなんだじょ?』


『すや~、すや~……ん?』


『すぴ~、すぴ~……ん?』


『……クンクン』


『……くんくん』


『この匂い!!』


『美味しいの匂い!!』


 おおー。シー君とクー君が起きて、パンに飛びつこうとしたところを、グルルが上手くパンを離したよ。うんうん、これで全員起きた、一安心だ。


 って、モルーもだけど、シー君もクー君もさ、自然界で生きて来た魔獣なんじゃないの? よくこんなに爆睡してて、今まで無事だったよね? だって自然界だよ? 誰に狙われるか分からないのに。それだけママやパパ、みんなが守っててくれたってことかな?


『んもう、なんでパン離すの?』


『ぼくたち食べたいのに』


「パンは後だ。今は緊急事態だからな」


『緊急事態なんだじょ? グルル、慌ててるから、本当に大変なんだじょ』


『きんきゅう?』


『じたい?』


 緊急事態って言葉を知らなかったみたい。


『とっても大変で、危ないってことなんだじょ!! そういう時は、食べないでお話しするんだじょ。それで、避難もしないといけないかもなんだじょ!!』


『『ん?』』

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